……それで。
[聞かなきゃいけないことがあった。だけど、聞くのが怖かった。
十朱君の顔を見られなくて、あたしは地面に視線を落とす。]
椿ちゃ……ふえっくしゅ!
[椿ちゃんの容体を聞こうとして、あたしは盛大にくしゃみをした。
そうだ。ドーナツショップからここまで自転車をかっ飛ばしてきたんだ。
その汗が急激に冷やされて寒気が来た。寒い。ぶるっと体を震わせる。
それから気がついた。病院内ならともかく、こんな外で男の子とふたりでいるのはとてもまずい。]
ごめん。めっちゃ寒いから、あたし中に入るね。
十朱君も入った方がいいと思うよ。
風邪ひいちゃうよ。
[十朱君にそう伝えて、自転車置き場に自転車を止めた。
そうだ、と建物に入る前に母にメールする。
“友達が病院に運ばれたって連絡があったから、お見舞いに行ってきます。遅くなっても心配しないで。”
送信完了を確認して、あたしは病院に足を踏み込む。]
(+6) 2018/02/19(Mon) 12時半頃