[……貴方は、珈琲をどう飲むのだろう。
ブラック? それともミルク? 砂糖はいくつ?
そんな事も、わからない。貴方の珈琲の飲み方すらもわからないのに、あんな風に触れてしまったのは――確かに、些か性急過ぎたのかもしれないと。
その事に気付けば、また少し落ち込んで。
ドリッパーの中に敷かれたフィルターに豆を入れて沸いた湯を注ぎながら貴方の方を見たのなら、貴方はまだ荷物の方を見ていただろうか。]
お待たせ。……ゲイリー。
[備え付けの二つのカップにそれぞれ淹れたちの珈琲を注ぎ、トレイに乗せて貴方の近くへと近付いて。
けれど貴方がいる場所よりも少しだけ手前、背の低いテーブルへとトレイを置けば、今度は貴方のすぐそばまで近付いていく。
そうすれば、貴方はこちらを向いてくれたろうか。
向いてくれたのなら、少しだけ躊躇って。向いてくれなかったのなら、それよりももう少しだけ躊躇って。
貴方がしゃがんでいれば、俺もまた床に膝をつき――貴方の方へと、両手を伸ばす。]
(+5) 2015/12/01(Tue) 01時頃