196 Fiducia - 3rd:fragrance -
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/* わし的補足 ちなみに世渡介は殺すと言わず、 「―――。」 ↑これで表現してました。 世渡介がどう思っていたかは各自の想像次第という事です。 もしかしたら秘話で止める、捕まえるとかは言っていたと思います。 PL的に言えば、投票が集まればまぁそのときはといったところです。
(-30) 2013/01/13(Sun) 01時頃
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――中庭――
[暗闇から醒め。一人中庭に立って居る。 何人かの者が深い眠りについており。 ここに居るものはわし一人やった。 鬼。人。ここで起きていることを考えると。 馴染客の同心から聞いた昔話を思い出す。 同心は噺好きでおもしろおかしいものから。 人情噺に階段噺。色とりどりの噺を聞かせてくれた。 思い出すのは餓鬼とお侍さんの噺。]
(+41) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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今は昔。日之本國。西の方。 ある年、冷害と浮塵子による大飢饉があったという。 只でさえ冷夏による不作だというのに。 稲は浮塵子によって到るところが坪枯れして。 大層お金を持った立派な身なりの人でも。 食べるものがなく飢え死にしたそうや。 浮塵子は水田一杯にはびこり。 水の色は醤油のようやったと言われとる。 路上では多くの人が野垂れ死に。 村では死に絶えて空き家になっていく家が何軒も出たそうや。
(+42) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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ある時、その土地の代官様が。 若いお侍さんに年貢の徴収を命じられたそうな。 金納は納められてはいたものの。 米がないため現納物は納められとらんかった。 代官様も困ってはったんやろなぁ。 お金やなくて米をくれって。
告げられたお侍さんは一人馬に乗り。 その村へと向かったそうや。 何でも手前の目には自信があると。 出せる米が有るのか無いのか。 この目で確かめてくると言わはったそうや。
(+43) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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お侍さんが村に入ると。 村は噂通りの有様で。 道行くところで人々は野垂れ死に。 野犬の群れはその屍を喰い漁る。 家々は空き家になって閑散としており。 牧には牛馬が死屍累々と横たわっていたそうな。
お侍さんはその現状に嘆き憂いて。 疑いを向けた自身の浅はかさを恥じ。 徴収を諦めそのまま帰還することにしたそうや。
夕暮れ時。代官様のいる御屋敷に帰る道すがら。 年の頃は十二、三になろうかという小人がおったそうな。 その小人はぼろを纏っており。 右の手には笹刈り鎌を持っておったそうな。 ろくに飯を食っておらんのか 骨に申しわけ程度の皮がついているといった風。 不思議なことに骸骨のように見えるその小人は。 腹がぷくぅっと大きく膨れており。 まるでその様は餓鬼のようやったと聞いております。
(+45) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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お侍さんは言ったそうや。 「小僧。父母はどこぞにいる?」
小人はこう答えたそうや。 「へぇ、お侍さん。 狂ったおかぁは二人の弟妹を道連れに川の底でさぁ」
お侍さんはたじろぎながらももう一度聞く。 「ならば小僧。お前の父はどこにいる?」
小人はこう答える。 「へぇ、お侍さん。 飢えたおとうは墓を掘り起こし。 それも尽きれば行き倒れを」
お侍さんは小僧の口を黙らせて。 「みなまで言うな」
と叫んだそうな。
(+46) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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飢饉のあったその年は冷夏で。 大層涼しく心地よい気候だったそうです。 まぁ物事には両面があるということですなぁ。
涼しい涼しい冷夏なはず。 けれども、お侍さんの顔から。 ぽたりと汗が垂れ落ちる。
お侍さんは続けて小僧にこう言う。 「稲がとれぬこの村で。その鎌を何に使う?」
小人は手に持つ笹刈り鎌を目に止めて。 それからお侍さんのほうを見やる。 能面のように変わらぬ顔でこう答えたそうな。 「へぇ、あっしの力じゃ人一人を持つのはどうにも無理でして。 小さく分けるその為の鎌でさぁ」
(+47) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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お侍さんはゆっくりと乗っている馬から降りまして。 鞘に仕舞われた刀の柄をぎしりと握ると。 小僧との距離をじわじわと詰める。
小僧はというとお侍さんの目をじっと見据えたまま。 その能面を外そうとはしない。
じりじりと詰め寄るお侍さん。 その距離はもう小僧の一間前。 されど小僧の能面ははがれない。
痩せこけた小僧の顔はしゃれこうべのよう。 錆びた鎌を見。また顔を見。そして。 柄を握る手に力を込めたその時。 後ろでヒヒィンッと駒のいななき。 気勢を殺がれたお侍さん。 柄を持つ手の力を緩めた。
(+48) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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代官様の御屋敷に着いたお侍さんは。 米粒一つない村の様相を語り。 現納物を免除してもらえる様に嘆願した。 代官様は斟酌されてその年の村の現納物を免除されたそうな。
しかれども熱意の割にその表情は能面のよう。 きっかいに思った代官様は。 侍にこう尋ねられたと言う。 「貴殿はどうしてそんな顔をする? 貴殿の心持ちは褒められるものぞ」
(+49) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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お侍さんはこう言います。 「私は小僧を斬りました。 人喰い小僧を斬りました」
代官様は慮って告げられる。 「それは致し方ないこと。 貴殿は人として小僧を斬ったまで」
宥められたお侍さんは愕き。 すぐさま目に憎悪の色が浮かばせ。 激昂してこう言ったそうな。 「小僧も人です。 貴方の心は盲いているからそれがわからないのです」
(+50) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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きっかけはともすると出鱈目なものです。 既に日が落ちたあとであれば何事もなかったでしょう。
時は夕暮れ時。駒のいななきのすぐあと。 丁度小僧の鎌に西日が射しまして。 陽光が刃ではねかえりお侍さんの目に刺さりました。 同時にひんやりとした汗がまぶたの上に流れ落ちてきまして。 汗の幕と陽光で両目は見えなくなってしまいました。
お侍さんは緩めていた手を。 もう一度力強く握りしめて。 一気に刀を抜いて仕舞われたそうな。
(+51) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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この噺に応えがあるとは思いません。 この噺に救いがあるとは思えません。 そうであっても人は生きていく以上。 手前を肯定して生きていくものです。 それゆえに人は目を曇らせ。 盲いてしまうこともあるのでしょう。 それゆえにこそ人は手前を否定せずに。 生きていけるのでしょう。
今はわたしの噺です。 しかれども元は同心の噺。 言った噺は相手のものか。手前のものか。 今でもわたしにはわかりません。 わしの生き様は居直ることです。 これはわたしの噺です。
(+52) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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/* 最後の流れはカミュの異邦人のオマージュ(パクリ)。 一応世渡介的には肯定の話です。 生きてやんよ! おれが幸せにしてやんよ! みたいな乗りで。 と言ってもここまできて結論は開き直りです。
(-72) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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/* おぅふ。いくつか誤字発見。
(-77) 2013/01/13(Sun) 03時頃
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