221 堕天の姦計
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[たましいのこえを、ふと、とおくへ]
[このこころ……よらにえる、か? どこだ? きみをたすけたい。 いつでもきみのそばにいる。きみをたすける]
[むちゃばかりするな……]
(+0) 2013/05/13(Mon) 00時頃
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[オスカーへの2つ目の返答、それを応えようとした所で、ふと、眉をひそめる。 先程、別な場所へ向けた魂のこえ、かえってきたのは……]
[ジェフェル隊長……なんということだ!]
(+1) 2013/05/13(Mon) 00時頃
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[ジェフェルへつなげる魂の声が震える。 先程までほど明瞭ではないイメージで]
返しはしない……? それは、どういうことだ。 あれが……未来などではなく、ジェフェル隊長の今の、姿……?
[全く予想もしていなかった。 誰より輝かしい、敬愛する天使。堕落する天使がいるとしても、ジェフェルだけはそんなものとは無縁だと思っていた]
[でも、そうだと言われれば、色々なものが納得出来た。 妙な違和感を感じたジェフェルの言動。他の天使と魂の声を交わした時とは違う、不安の湧きあがるような感じ。 撤退ではなく待機という理解困難な命令]
(+2) 2013/05/13(Mon) 00時半頃
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[動揺は、しかし腕の中の守るべき存在によって鎮まっていった。純粋なる使徒。若く輝かしい存在]
貴方を救いたい、ジェフェル隊長。 そして、それが無理なら、自分が貴方を滅ぼす。 自分は皆を守る。貴方からも、この魔界からも。
(+3) 2013/05/13(Mon) 00時半頃
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[そして今までで一番、鮮やかな魂の声で]
……堕天使ジェフェル。 第7096小隊副長、盾の天使ケヴィンが最後の慈悲を与える。 我々と共に天界へ戻り、神の裁きを受ける意思はあるか?
[天の御使いとして、魔だと認識した相手にそう、尋ねた]//
(+4) 2013/05/13(Mon) 00時半頃
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ケヴィンは、オスカーつばさでつつんでいたおすかーをはなし、でぐちへむけておして
2013/05/13(Mon) 01時頃
ケヴィンは、オスカーにげろ、これはおれがしるなかでもさいあくのだてんし。
2013/05/13(Mon) 01時頃
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[ジェフェルの堕ちた姿>>10を、真っ直ぐ見つめる。 彼を見つめる瞳に籠るのは、悲しみと慈愛と、決意]
[互いの会話も聞こえないようなおぞましい声に満ちたこの空間で、ジェフェルの声はそれらに邪魔されずに届いた。 呪いの声にかき消されないほど、邪悪であるからなのか]
[オスカーを背に庇い、左右、2つの盾を構える。 純真な使徒から離れればそれだけ勝率が下がると分かってはいたが、それでも彼には生き伸びて欲しかった]
(+5) 2013/05/13(Mon) 01時頃
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[翼に力を入れ、いましも体当たりを繰り出そうとしたその時]
[……!! ジェフェルの視線が、自分ではない方を見ているのに気付いた>>21。 続いて嘲られた言葉の意味を理解する前に、その指先を向きを見て、咄嗟に翼の向きを変える。 体当たりの速度で走りこむのは、ジェフェルとオスカーの間]
[右のラウンドシールドの方ならば、あるいは堪え切れたかもしれない。 ……しかし、ジェフェルの放った瘴気の矢が貫いたのは、左の籠手に創りつけられた盾。その盾は、魔界に降りてからの戦いや、中でも牢獄の鍵を壊した時の酷使によって、限界に来ていた]
[砕け散る左の盾と、なおも勢いを失わずにオスカーを貫く矢>>22]
(+6) 2013/05/13(Mon) 01時半頃
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[守り切れ、なか、、った……?!]
[焦りと動揺が浮かぶ。 一瞬、注意が完全に少年に向けて逸れ、ジェフェルに背を晒した]
(+7) 2013/05/13(Mon) 01時半頃
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[──!!!]
[人間としてのケヴィンの生涯を終わらせた、背から胸まで貫く傷。 それが今、天使としてのケヴィンにも、突き立てられた。 かつてと同じように、裏切り者によって]
[背。 聖なるものを守る盾の、最も弱い場所]
[瘴気に貫かれ侵されながら、けれど、その目が見つめるのは、]
(+8) 2013/05/13(Mon) 02時頃
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[しょうねんに、めでうったえる]
[にげろ。おすかー。 にげのびて、こたえをみつけろ。 こたえは、かならずあるから]
[ふるえるてで、じぶんのつばさから、まだひかりののこるはねをわしづかんで、むしって、しょうねんのてにおしつけて]
[にげろ]
[さいごのちからで、しょうねんをつきとばした]
(+9) 2013/05/13(Mon) 02時頃
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しょうねんに、めでうったえる。
にげろ。おすかー。 にげのびて、こたえをみつけろ。 こたえは、かならずあるから。
ふるえるてで、じぶんのつばさから、まだひかりののこるはねをわしづかんで、むしって、しょうねんのてにおしつけて。
にげろ。
さいごのちからで、しょうねんをつきとばした。
(+10) 2013/05/13(Mon) 02時頃
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ー 深淵 ー
[引きずりこまれる。 魔界よりなお深く、暗い闇の中]
[そんな世界にも、底があるのか? ケヴィンにとっては上も下もわからない無明の闇。 突き立てられていた刃が、手酷く引き抜かれる。 灼熱の痛みに、震えた]
[……心臓を、確かに貫かれたのに、 なぜ生きている。なぜ、その痛みを知覚できる?]
(+11) 2013/05/13(Mon) 09時頃
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[なにかが、破れた心臓を補っている。傷口を塞ぎ、いや、塞ぐふりをして侵入しようとしている。 鼓動の度に、血のふりをした何かをめぐらせようとしている]
[今までこんな冒涜を受けたことはなかった。これまでのどんな傷も、これほど恐ろしくはなかった。 死以上の苦痛の予感に、天使になってからはじめての、]
(+12) 2013/05/13(Mon) 09時半頃
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………っ、 ぁ、、………、っ! っ、っあ、あああああああああああ!!!
[初めての肉声が、ことばをなくしていた喉から迸った。 構えられる刃に、抵抗するすべはもたないまま]
[いや]
あ……なたが……かわいそうだ……
[痛みに痙攣しながら、しかし、まだ、抗った]
(+13) 2013/05/13(Mon) 09時半頃
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[心を犯そうとする言葉と、 体を蝕もうとする闇と、両方と戦いながら喉元の刃を見る。 ……この闇でものが見えるのは、ジェフェルが見せようとしているからだろうか。それだけ侵食が進んでいるということだろうか]
[けれど]
[何が出来る、その問いに、ふいに一抹の可笑しさがよぎる。 全くの偶然だろうが、それは、オスカーがケヴィンにした問い、 『人を救う実力も無いのに、人を救いたいと考えるのは誤ってるか?』 それと酷似していたから]
(+14) 2013/05/13(Mon) 10時頃
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[ジェフェルの注意を自分に向かわせ続けることができたら、その間に皆が逃げられるのではないか? ……このジェフェルが今までに見た最悪の堕天使であることは、間違いない。 だから、そんなことをしても無駄かもしれないが。 それでも]
……ああ、あやまり、ではない、よ。おすかー。 むりょくでも、すくいたいと、おもっていい。 かんがえていい。
[苦鳴を噛み殺し、くす、と笑う。あまりうまくいった気はしないが、ジェフェルの気を引くことは、できるだろうか……]
(+15) 2013/05/13(Mon) 10時半頃
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ケヴィンは、>>+14 ×何が出来る ○何も出来ないお前
2013/05/13(Mon) 10時半頃
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[喉に向けられる手、思い出したばかりの声を塞がれ、ただ、脂汗に濡れた顔を歪めて]
[だが、続くジェフェルの宣言を聞いて、それは冷たい汗に変わった]
[声が出せないままならば。名を、呼んだりしなければ]
いく、な……!
[ようやく手を離され、見慣れた翼のない背を向けられれば、咳き込みながら哀願した]
やめろ……!
(+16) 2013/05/13(Mon) 11時頃
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[そして新たに増えた気配に、焦りの目を向ける。 誰だ。……見知らぬ男。 禍々しい姿。彼も、堕天使……いや、純粋な悪魔なのか?]
[いや、どうでもいい、それよりジェフェルを止めなければ。 この身なら、いくらでもいたぶられていいから]
ジェフェル……!!
[力の入らない体で這い寄ろうとする]
(+17) 2013/05/13(Mon) 11時半頃
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ぐ……、、
[見知らぬ悪魔に頭を踏みにじられ、指爪が闇色の床をむなしく掻く。 ケヴィンは光輪は戴いていなかったが、それでもその行為は不快で、屈辱的で]
ふれる、な……!
[翼の光が弱々しく明滅し、背と喉の傷を埋める闇がわずかに後退した。 それでも。 右の翼の内、自分でむしって露出した肌の部分が、最初に暗く染まり始めて]
(+18) 2013/05/13(Mon) 11時半頃
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[悪魔に名を呼ばれることに、おぞましさを覚える。 と、同時に、その囁きのあまりの甘さに別種の震えを感じた。 そうだ……自分は頑張った……追わなかったのではなく、追えなくて、、 、、ちがう、、ちがう]
無駄だ。
[やめろ、をそう言い換え]
誘惑など、効かない。
[誘惑しないでくれを、そう言い換えた。 傷は灼熱を帯び、間断ない痛みが全身を襲う。 それでも、なお悪魔の足元から這い出ようと]
(+19) 2013/05/13(Mon) 12時半頃
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ぅぐ、 ……ぁっ、 っが……!
[これだけの体格差があって、片手だけで反らされる。傷がミシリと痛んだ。 近くに寄せられた顔がはっきり見える。全く知らない、見たこともない顔なのに、なぜだろう、何か、どこかで……?]
訳が……分からん事を……、 どちらも拒否する……!
[生前に女を知らないではなかったが、男と不埒な事に及ぶ趣味はなかった。 生理的な嫌悪の表情を浮かべた]
(+20) 2013/05/13(Mon) 13時頃
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[やめろ、と言う代わりに、歯を閉じあわせた。 悪魔に守って貰われるなど、信じられたものではない]
[なのに、舌がねじ込まれて、歯列をなぞられれば、染まりつつある喉と心臓が、鳴って高ぶった]
[天使として再びの生を受けて以来、耐えて久しかった劣情が沸き上がり、ケヴィンを戸惑わせる]
[首を振ろうとするが、髪を掴む指は鋼鉄のようにかたく。 だから、床を握っていた指を手刀に変え、悪魔の喉を狙って突き上げた]
(+21) 2013/05/13(Mon) 14時頃
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[鋭利な舌は歯列すら越えて侵入してきて。 喉の奥まで触れられる感触に、ケヴィンは小さくえずいた]
[手刀の攻撃で、悪魔を離すことには成功したが、咳き込ませたのみという結果に指を握りこむ。 万全の状態と体勢であったならば、喉を砕けたはずなのに]
[荒い息をつきながら、悪魔の魂の声を聞く。天使同士の交流とは違う、ねっとりと毒のある蜜のような]
なに、を、言っている。 わけが分からない。
(+22) 2013/05/13(Mon) 14時半頃
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[子供でも扱うように転がされ跨がれて、低く呻く。 全く起き上がれない。細身の青年と見えるのに、竜にでも乗られているようだ]
[だが、傷の上に掌が乗っても予想したほどの痛みがこなかった。 疑問はしかし、悪魔が作り出し、見せた物への驚きで、後回しにされてしまった]
(+23) 2013/05/13(Mon) 14時半頃
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よ…ら、にえる、 よらにえる!
[聞こえないし、もし聞こえたとしても、彼女はこの声を知らないはずだ。 でも、その憔悴した姿に呼びかけずにいられなくて]
[その肩を抱き寄せて、話を聞いてやりたい。翼で包んであげた時の、あの表情を見せてほしいと思うのに……。悪魔の下を脱することはかなわず、ただ無駄に何度も羽ばたいて翼で床を叩いた。もう燐光の消えそうな白の羽が数枚、むなしく舞った]
(+24) 2013/05/13(Mon) 17時半頃
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[聞こえない……? ケヴィンの中を凌辱しつつ闇が嗤う。 聞こえなければいいな、と]
よらにえる……君は逃ゲロ。 もう、自分ハ傍ニいらレない。 デモ、生キよう、必ず。君達ガ生キ伸ビル事ガ、 自分ノ唯一ノ望みだ。
[ケヴィンの声の一部だけは、きっと地上に届く。 悪意を持った闇に、意味を歪められて]
(+25) 2013/05/13(Mon) 18時半頃
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っく、う、 う……。
[首筋に触れてくる悪魔の手。肌の上を滑るむずがゆい感触。 そうじゃなくて、 もっと、 ……して……いいのに]
ん……あ……、
[痛みならば耐えられる。なのに、湧き上がる別の。 体の奥が、じわり、揺らいで。 なにか、危険な場所へ堕ちて行く気がするのに……、 抵抗することが、次第に億劫になって]
(+26) 2013/05/13(Mon) 19時半頃
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よらにえる…… もうい……い……
[ただ、己を保つ為に、妹とも娘とも思う、自分を大事にしない危なかしい天使の名を呼んで]
よらにえる……。
(+27) 2013/05/13(Mon) 19時半頃
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[ずっとケヴィンを苦しめ続けた胸の傷。 傷を埋める闇が、差し込まれた指を歓迎して滲み出て。 消えそうな小さい光が、それを拒絶して震えて]
……こんな…… ちが……
[だが、 確かに身の内に異物が挿入される感覚はあるのに、想定した痛みとは違う。 叫び出しそうに苦しいのに、どこか物足りない]
[汗のしずくが目に入って、弱弱しく首を振った。 生理的な涙がこぼれて、目じりを伝って耳元までぬるく]
……ぱてぃえ、る?
(+28) 2013/05/13(Mon) 20時頃
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[呆けかけていたケヴィンの目に、力が戻る。 慈愛の笑みを浮かべるパティエルの手にある、あれは何だ。 どうして、パティエルが、ヨラニエルに弓を向けているのか]
……ぱてぃえるガころすノハ自分ダッタハズ……。 そのむすめハ違ウ。 自分ダ。ころしてくれ。此処ニイル。 やくそくヲシタ……!
[動かない体で、必死にもがいて]
(+29) 2013/05/13(Mon) 20時頃
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