―展望車―
>>57
[発車のアナウンスが流れ、のんびり窓の外を眺めていると、ジリヤの後ろを風が駆け抜けた。驚いて振り返れば、デッキに出ようとしているフィリップの姿。
列車は既に走り出しているのに外に出るのは危険だ。引き留めようと身を乗り出して、様子がおかしいのに気付いた。――外に何か…?彼の視線を辿ると、鮮やかな鳥の姿が。下車した時にはぐれたのだろうか。しかし、フィリップが呼んでも戻らない。
どうして…?はらはらしながらデッキの入り口で見守るジリヤは、己の手にあるグローブに気が付いた。もしかして、これがあれば…!
ジリヤは意を決し、デッキへ飛び出した。列車は速度を上げている。風がジリヤを嬲り、被っていたストールが外れて車内へ飛んで行った]
…フィリップさん!フィリップさん!!
これを…!使ってください!
[風のせいで声が届きにくい。精一杯の大声で彼の名を呼び、必死の形相でグローブを持った手を伸ばす]
>>60
[その時足元をすり抜けた猫の姿に気が付いた。もし彼が、フィリップの注意を引いてくれれば、こちらに気付いてくれるかもしれない]
(61) 2017/06/06(Tue) 01時半頃