>>43
[案内する、という提案に目を見開くと、ぱっと頬に赤みがさした。驚きと喜びを抑えるように胸に手を当て、一息おいてから口を開き]
…学校、わたし行ってもいいですか?本当に?
……。その、すごく嬉しいです。ありがとう、楽しみにしてますね。
[ジリヤはほんの少し、学生たちを羨ましく思っていた。故郷ではジリヤの年で働くのは普通の事だったが、今の店に同じ年頃の子はいない。仕事は好きだし今の暮らしに不満はないが、学校に通う少年少女とは住む世界が違うと感じていた。
だからフィリップの提案は、なんだか、彼らとジリヤを隔てていた柵が取り払われたような――はじめからそんなもの無かったのかもしれないが――気がして。とても嬉しかった。
ジリヤは自分でも気付かないうちに、少女めいた表情になり、]
フィリップさんも、ぜひお店来てください。恋人喜ぶ贈り物、たくさんありますから。
[最後にはそんな冗談まで口にして、声をあげて笑ったのだった]
(49) 2017/06/06(Tue) 00時頃