─ヨアヒム専用抜け道─
[お姫様の言葉には戸惑いを浮かべ、
ヘクターらのことを抜け道を抜けるまで気にかけながら、結局外へと出た。
久しぶりに、頭の上に何も無い空を仰いだ。
ニールに撫でられ、言われた言葉に一度儚い笑みを浮かべたが、すぐに崩れて目を伏せた。]
……ヘクターにも、同じようなこと言われたよ。
[忘れていた、何かするときも困ったときも言えと。
結局、言わないままでいる事を選んでしまったけれど。
ずっと気にかけてくれたのも、今そこに居てくれたのも、兄だったからなんだとようやく理解した。
お兄さんと唇が動いたが声にはならず。
ただニールに抱きしめられれば腕の中が暖かく。
今までお疲れの言葉に、震えながら何度もその胸の中で頷いた。
服の下に居たカイがするりと足元に落ちて、案じるように足に静かに絡み付いて離れようとはしなかった。]
(@38) t_nuke 2011/02/13(Sun) 03時半頃