―回想・体験授業の話―
[ポーチュラカはあまり人の名前を覚えておくのが得意ではない。実際、顔は何度か見たことがあるのに、ミツボシの名前は覚えていない。
それなのに、なぜ須藤の名前は覚えているのか。それにはわけがあった。]
え……どこが悪かったですか。
[ポーチュラカは、基本真面目で素直な生徒だ。そして、学校の教師陣はのほほんとした人が多い。>>169
常識が欠如していても、ポーチュラカはあまり怒られたことがなかった。
しかし! 体験授業のあと、提出した感想文。その件について怒られたのだ。
体験授業のテーマは、能と狂言の違いについて。ポーチュラカはその授業の感想文にこう書いた。
『能がシリアスで、狂言がコメディだと思いました。
私は、眠くなるのが能で、あまり眠くならないのが狂言だと思います。』
至極真面目に書いたつもりだったが、睡眠導入的な観点で感想を述べたのは悪いことだったらしい。
お説教をした教師に「授業をしてくださった須藤先生に申し訳ない」というフレーズを繰り返され、ポーチュラカは覚えた。
あの先生は須藤先生。
須藤先生に、私は申し訳ないことをしました。*]
(235) 2017/05/21(Sun) 23時半頃