−廃村:忘れられた家―
「やめろ…もうやめてくれ…。俺は悪くない、仕方なかったんだ!仕方なかったんだ!!!」
しばらくぶつぶつと繰り返していたが、突如男は錯乱したかのように、手を振り回す。
そのとき不意に彼の手が首輪に触れた。
瞳を大きく開き、冷たい手触りを改めて確認した男は、獣のような咆哮をあげた。
「こんなもの、こんなものがあるから…っ!」
理性を失った男は、がむしゃらに首輪に指をかけ、引き離そうとする。
途端に、
「首輪に衝撃が加えられています。速やかに手を離してください。繰り返します、首輪に衝撃が―」
けたたましい警告音とともにPDAからアナウンスが流れる。
だが、男の耳にその音が届くことは無かった。
男はただひたすら首輪を外そうとし、もがき続ける。
(#7) 2013/08/25(Sun) 00時頃