203 【続連鎖村】絆が絡まって全消しを目指す村
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〜回想・保健室〜
[男の娘から、希望図書のリクエストを受け取る。>>1:64 署名を記した紙片の、意匠の可愛らしさに思わず笑みが零れる。]
タロットの画集かぁ…問題ないよ。 美術書のひとつと考えれば、蔵書に加える理由も価値もある。 個人的にも、けっこう興味あるジャンルだし。 もちろん僕は、きみほど詳しくは知らないワケだけど…確かサルバトール・ダリが図案を手がけたタロットとか、あったよね?
ともかく引き受けたよ、原さん。 次の希望図書として発注するから、来月あたりに期待してて?
[メモをポケットにしまいながら、男の娘へ柔和な微笑を向けた。]
(11) 2013/03/03(Sun) 16時頃
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〜回想・書道部室〜
[本庄的には、それほど期待していたわけでもなかったが、剣環を贈ったことは想像以上に効果があったようだ。ひとり書道部員のテンションは、あからさまに上がっている。>>0]
本庄流華…確かにお祖母ちゃん、そんな雅号だっけ。 僕自身は、お祖母ちゃんの期待に応えられなかった不肖の孫だけど、その後輩にきみみたいな子がいるとなれば、お祖母ちゃんも喜ぶだろうね。 お祖母ちゃんの個展も、僕は何だかんだと理由をつけて、顔を出さずに逃げ回ってばかりいたけど…きみを連れて行けば、お祖母ちゃん感動してくれるかな。 ってか、きみが一緒に行ってくれるなら、僕も個展へ行ってもいいって気になるんだから、現金なもんだよね。
[跡部が、礼を尽くして剣環を擦りはじめ、やがて筆を取った。 半紙の上に、一気呵成に刻まれてゆく墨跡を、感嘆しながら見守る本庄。]
(12) 2013/03/03(Sun) 16時頃
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[跡部とのやり取りを終え、書道部室を出た。]
さて…これからどうしようかな。
[と、どこからともなく聞こえてくるピアノの調べ。 ソツこそないもののどこか不安定で、決して器用な演奏ではないのだろうが、何故か本庄の心を捉えて離さない調べだった。 旋律に誘われるようにして、本庄はその足を音楽室へ向けた。]
(13) 2013/03/03(Sun) 16時半頃
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−音楽室−
[ピアノに向かっていたのはミフネ妹だった。 彼女が一曲を弾き終えるタイミングを待って、小さく拍手しながら音楽室へと足を踏み入れる。]
弾いていたのは、やっぱりミケちゃんか。 そうと知ってて、僕はここへ来たワケではないけど…何となく弾いているのがミケちゃん、きみなんじゃないかって気が僕にはしていたよ。 だって、今の演奏それ自体、ミケちゃんそのものって感じだったからね。 完璧に近いようでいて、どこか激しすぎるところがあったり、折れそうに危なっかしいところもあったりして…完璧と称するには不安定さが目立ってて、きっと模範的な演奏ではないんだろうね。 でもミケちゃん、僕は…きみの演奏が嫌いではないよ。むしろ好きだな。 音楽に限った話じゃないんだろうけど、何かを表現するって行為には、その人の内面がにじみ出るものでしょう? そうじゃなきゃ面白くないしね。 今の演奏は、実にミケちゃんらしくて僕は好きだったよ。
[本庄はミフネ妹の側に立ち、そっと囁いた。]
(14) 2013/03/03(Sun) 17時頃
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−音楽室−
[ミフネ妹が立ち去り、誰もいなくなった音楽室。 本庄は所在なげに、ピアノを前に腰を下ろした。]
ふふっ…何をやってるんだろうね、僕。 まぁいいか、僕には僕の道ってもんがあるもの。
[本庄は何とはなしに、ピアノの鍵盤を叩きはじめた。 両親も祖父母も教育熱心という家庭で、また一人っ子だったこともあり、本庄は幼少の頃より様々な習い事を経験させられていた。 ピアノもそのひとつだった。 そもそも飽きっぽい性格でもあり、ピアノに限らずどんな習い事も長続きしたためしがなく、それぞれの道を究めるには程遠い結果に終わってばかりだったが、戯れにピアノを弾ける程度の技倆だけは身についていた。 本庄が奏ではじめた曲は、リスト「愛の夢」第3番・変イ長調。 何の情感も伴わない、小器用なだけの演奏だったが、本庄は大過なく「愛の夢」を弾き続けた…もっとも、誰を想って弾いているのか分からないが。 そもそも、誰かを想って弾いているのかさえ定かではなかったが。]
(37) 2013/03/04(Mon) 02時頃
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〜回想・書道部室〜
いや、巨匠って。 世間様の評価は分からないけど、僕にとっては身内だからね。 お祖母ちゃんを巨匠だなんて思ったことはないし、そのことでプレッシャーを感じたこともないなぁ…あるいはそれ、お祖母ちゃんには失礼なことなのかも知れないけどさー。
正直言って、お祖母ちゃんの書は僕にはよく分からないんだ。 文字も達筆すぎると、かえって判読しづらくなるでしょう? そりゃ芸術性とかテクニックとか色々あるんだろうけど…文字は読めてナンボだと、僕は思っているからね。 読みづらいレベルの技巧が凝らされた書は、僕はあまり得意じゃないかな。
(41) 2013/03/04(Mon) 02時半頃
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[ピアノを弾くのにも飽きた。 そもそも、目的意識があって弾いていたわけではない。 単なる手慰みに過ぎないのだ。]
さて…そろそろ、僕は僕のテリトリーに帰ろうかな。
[本庄は音楽室を後にし、図書室へ向かった。 図書室が、大変な状況になっていることはまだ知らない**]
(44) 2013/03/04(Mon) 03時頃
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