196 Fiducia - 3rd:fragrance -
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/01/08(Tue) 02時頃
落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/01/08(Tue) 02時頃
落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/01/08(Tue) 03時頃
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― 客室 ―
[ひらがなとカタカナ。それに漢字が少し。男に読めるのはそれだけ。西洋の文字はとんとわからぬ。巻物ではない本もまだ慣れず、開いた本が上下逆だと気づいたのも、中表紙らしきものを見つけてからだった]
あか
[朝焼けの色。着物でよく見る臙脂に似た色。見たこともない派手な桃色。濃い、とても濃い血のようなあか。慶を染めていた色]
あお…
[空の色。海の色。鬼のように強い瞳をした女が羽織っていた色]
(7) 2013/01/08(Tue) 03時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/01/08(Tue) 03時頃
明之進は、頁を*めくる*
2013/01/08(Tue) 03時頃
落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/01/08(Tue) 21時半頃
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― 二階客室 ―
[頁をめくれば、乾いた紙が指先を傷つける。入った線にぷっくりとあかい玉が浮かび上がり、幾つも見た物言わぬ塊となった人を想起させる]
…知ったら、もっと怖いじゃないか
[言い返せなかった言葉。たとえ口にしていても鼻で笑われただろうが。正体を暴くとは、何をすればよいのだろうか。 問いただす?弁が立たぬことなど、わかりきっている。それとも]
もしかして…
[頁をめくる。 けれど男の瞳はもう、その本を映していなかった。次の頁を開いたまま寝台に置くと、立ち上がり背を向けていた箪笥に歩み寄り、引き出しを開けた]
(46) 2013/01/08(Tue) 21時半頃
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[取り出したのは、小雪ちらつく日の空に似た色の―――骨]
(47) 2013/01/08(Tue) 22時頃
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[焼き残ったのだろう、崩れて何処の骨だかわからない。細く、持ちやすく、尖端を持つそれを冷え切った手で握り締めた]
……怖い、けど
[灰になる前に、と家に持ち帰り、けれど怖くてすぐに放り出した骨。落とした瞬間砕けてしまったはずなのに、何故か今、此処にある]
(49) 2013/01/08(Tue) 22時頃
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[骨を懐に入れれば、冷たい刃物が手に触れる。なまくらのそれは帯に見えないように挟み込み、骨だけになった懐をそっと上から押さえた]
あの子も、おれも ……人ではない、と
[言いたかったのだろうか。 わからない。わからないものを理解するには、わかる形に押し込めればいいのかもしれない。 離した手の中は空っぽ。縋るものは今はなく、そのまま廊下へと扉を開く]
(53) 2013/01/08(Tue) 22時半頃
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[残された寝台上の本は、灰色の頁を開いたまま]
(54) 2013/01/08(Tue) 22時半頃
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[扉を開けた先、廊下に人影はあったか。 しろを染めたあか あかはいずれくろへと変わっていくだろう]
……
[自らを守るようにぐ、と腕を掴む。足音を立てぬように、鬼を起こさぬように、廊下を進み、さっき女が入っていった部屋の扉を開けた]
いない、か
[誰もいない部屋。 それだのに、何処からか声がした。首を竦め慌てたように扉を閉めその勢いで廊下を進む]
(62) 2013/01/08(Tue) 23時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/01/08(Tue) 23時半頃
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[あかは避けて大階段を下りる。 一階に下りて止まりかけた足。骨の上、色無地を握り締めそのまま玄関の扉へと歩み寄った。
開かないことは知っている。 そして、やはり外に出たいわけではなかった。
扉に背を預け、首をめぐらせた]
(66) 2013/01/08(Tue) 23時半頃
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…鬼がいるなら 姿が見えないのかな
[この館に入って来た時、広さに目が眩み満足に眺めることもできなかった。今は、薄暗い廊下に沈む影がすべて、あかに見えてしまうから。やはりじっとは見ていられない。 声から逃げるように、そして暖かさを求めて一番近い扉へと向かう。最初のあの時のように。開いた先、腰掛けの傍にいた二人がいることを心のどこかで期待して]
(67) 2013/01/09(Wed) 00時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/01/09(Wed) 00時頃
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― → 居間 ―
きょうは ……寒い、よ
[うん、と頷いた。だから暖かい所にいて欲しかった。中庭に眠ることは知らず、まずは、と居間の扉を薄く開いた]
……朧、さん
[思わず、といった風に名を呼んだまま足は踏み出せず。背中は寒い廊下に晒したまま]
(70) 2013/01/09(Wed) 00時頃
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[促されれば、視線は足元と朧の顔を往復し、色無地から離した手は宙を数度掴んだ]
……は、い
[ややあって頷くと足を踏み入れ、扉を閉じた。 暖炉からはやはり視線を逸らし、それでも腰掛けの前へと回って――部屋に朧一人だと、確認する]
………
[続く言葉を持たず、無言のまま、腰掛けの前に立ちすくんでいる]
(74) 2013/01/09(Wed) 00時頃
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何か そう、何か ……また、人が死んだだけ
[腕の中から消えた本。手離した何かが今、目の前に]
…おれ、は おれも 鬼なのかな ぬえ、なのかな
だから…わからないから もう
[普段、あまり口数の多くない男は、やはり少ない語彙の中、混乱を表に出す。どうすればいいかわからなかった。何をしようと、あの灰色に手を出したのか、自覚するのが怖かった]
(77) 2013/01/09(Wed) 00時半頃
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…人、かな そうかな 何も知らなくても、いいのかな
[人の命の、重さと軽さだけは嫌と言うほど知ってしまったけれどそれだけで。人とはなんたるものかと、わからぬまま、それでも朧の言葉に少しだけ、手の力を緩めた。 それでも、続く問いへの答えに、ぎり、と奥歯をかみ締める]
(82) 2013/01/09(Wed) 01時頃
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人、でしょう?
[情けなさに涙が滲んだ。 己の未熟さに腹が立った。
人であって欲しいと、願いを口にして]
(83) 2013/01/09(Wed) 01時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/01/09(Wed) 01時半頃
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[朧の言葉に、二階で再び姿を現した真っ黒い何かが薄まっていった。人に戻れる道を見つけたと。
だからこそ、繰り返す]
違う、人だ……っ 貴方こそ…
(87) 2013/01/09(Wed) 01時半頃
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[縋るのではなく、此方側にひきとめようと手を伸ばす。 その手が掴めたならば、やはり縁だと掴んでしまうのだけれど]
ごめん、なさ…
[降りだした雨は、この部屋ではきっと雪になることは*ない*]
(89) 2013/01/09(Wed) 01時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/01/09(Wed) 01時半頃
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[謝罪にはただ首を振る。礼の言葉にも、また。 引かれた腕は、今はただ目の前の衣を掴む。ぼんやりと目を開けば、暖かく柔らかい色が見えて、今度はほっとしたように瞼を閉じた]
ごめ、な …さ
[涙で濡らしてしまうと首を振れど、手を離すことはできずに、もう見つかることなど無いと思った暖かい場所から離れたくないと、いっそう涙を溢れさせて**]
(130) 2013/01/09(Wed) 17時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/01/09(Wed) 17時半頃
落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/01/09(Wed) 22時頃
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…うん、あの ごめんなさい 泣いたり、して
[顔を隠したい、と僅かに俯いてもきっと意味の無い距離。子供みたいに、と目元を赤くし、未だ手が櫨染を掴んでいることに気づいていない。 おるごおるが止み、静寂が通り過ぎれば、視線を泳がせながらも顔をあげ]
………ぁ
[これが雪解けだろうか、と小さく笑みを返した]
(153) 2013/01/09(Wed) 22時半頃
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おるごおる…
[巻きなおさなければ、とようやく手を離す。 離してから、握り締めていたことに気づき、ぎゅ、と拳を作ると隠すように手を下ろそうと]
あ、の 本 ありがとう、ございました
[表情を綻ばせたまま感謝の言葉を紡ぐ]
(154) 2013/01/09(Wed) 22時半頃
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楽しい…?
[何が、と混乱しつつも困っていないのならと口を噤む。 くろは見た。けれどやがて来るだろう灰色を恐れて放り出してしまった。 最後まで眺めれば、それこそ楽しい話もできたろうに。次があれば……と分からぬ先を考える]
(159) 2013/01/09(Wed) 23時半頃
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………
[薪の爆ぜる音を消すように、ぽろぽろと零れ落ちる言の葉を拾い上げる。慶の名を聞けば、再びあの色見本が頭をよぎった。 空の色。 灰色ではない空をくれた人。
死んで欲しくは、なかった。 それだけで、一度はこの手で、と考えたこともあった。けれど――]
(160) 2013/01/09(Wed) 23時半頃
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朧さん、が鬼と言っても …やっぱり、おれにとっては人、なんです
[人を殺しても笑える。きっと、泣ける。 温もりを分け与えることができる。 慶も、風伯も、あの輝く髪を持った鬼ですら、きっと]
……だから、その
[傷つかないで欲しかった。 けれど心を痛める人でいても欲しかった。 矛盾を処理しきれずに、先に払われた前髪をかきあげる]
……………よく、わからなくなった すいません
(162) 2013/01/09(Wed) 23時半頃
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[答えは、自らの手で。 俯くように頷いたまま、骨が入った懐を拳を作った手で押さえた。これは答えを相手に求めようとした証。このままでは…いけない、と]
おれも…探します 全部よくわからないままだから、それじゃ 駄目だ、って
[人と言ってくれたから人になろう。 モノノ怪といわれた黒い気は押し込めて あれが、鬼かどうかは…確かめなければならないけれど]
(167) 2013/01/10(Thu) 00時頃
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[手を離し、朧が腰掛けた椅子の柔らかさを確かめる。座れば、そのまま前を向けば火が目に入る長椅子。 背凭れに手をつき、とん、とん、と数度叩いて首を傾げた]
不思議、だらけだ
[座るか座るまいか、考えながら相槌をうち、結局ほとんど朧の方を向くように、半分あぐらをかいて腰掛けた]
(170) 2013/01/10(Thu) 00時頃
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おれは…
[出られるか、どうか。その考え方はなかった。ただ――]
出られなくて、いいと 思って …それだけ、です
(172) 2013/01/10(Thu) 00時頃
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……はい 話すのもいいな、って …朧さんの
[あときっと、慶の]
おかげかな
[また不意に強くなった哀しみの色を隠そうと俯いて]
(188) 2013/01/10(Thu) 00時半頃
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[俯いたまま頷いて――そして首を振った]
ない、です 帰る家は、あるけど
[未だ間取りを覚えていないあの建物を家とはたして呼べるだろうか]
………逃げ出したんだ、おれは
[暖かい羽織の場所も分からずに身一つで。 衝動のまま逃げ出した。
あのままでいたら、きっと死んでいた。 それでも良かったけれど、今改めて思う。 あの少年は―――救いだったと]
(189) 2013/01/10(Thu) 00時半頃
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辛いとか 哀しい、とか そういう言葉も全部、そこで知ったけど
………多分ずっと 哀しかった
[ようやく顔をあげた男の瞳には、哀しさよりも懐かしむ色が濃く]
でもそう 今、は――
[哀しくないなんて、言えない。言うつもりも、ない]
………きっと大丈夫です
[目を細めて、笑ってみせた]
(207) 2013/01/10(Thu) 01時半頃
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朧さんは… ……楽に、なりましたか?
[髪を解いて駆けていった、あの瞬間よりは 少しでも楽になっていれば、と。
しっかと視線を合わせて尋ねかえす]
(209) 2013/01/10(Thu) 01時半頃
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………そう、思えたなら
[良かった、と笑みを交わす。随分柔らかくなった頬をぐい、とひっぱり]
………一生分、笑った気がする
[よく笑う男がいた。 弔いに、という声を背中に聞いた。 慶は、みつは――何処だろう]
……おれ、慶さんに会ってきます
[行きますか、と伺うように朧を*見た*]
(230) 2013/01/10(Thu) 02時頃
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