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視点:
人
狼
墓
少
霊
全
亀吉に5人が投票した。
亀吉は村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
芙蓉が無残な姿で発見された。
運命はたった独りだけを選んだ。すべてを見過ごす独りをのこし、世界は、永遠に強烈に吹き荒れる風雪の、奥底に沈んでいく……。
目の前に広がる光景は何だったか。
赤のたゆたう鉄錆の海か。
鵺の啼いた儚い命の涙か。
哀しいこの世界の風景か。
やがて 雪は降り積もり、眩しく眩しく、光の螺旋が駆け抜ける。
人の声も
ぬくもりも
噎せかえるような花の匂いも
意識も
記憶も
遠く
遠く
(#0) 2013/01/13(Sun) 03時頃
穏やかな光が君達の全てを包む。
凍えるような冷たさの中。
たった独りぼっちになってしまったような感覚の中。
手招くように 螺旋を捲く光の扉。
ほんの一瞬
黒の少年が見ていた、湖のロッジが見えた。
黒の少年が乗っていた、黒い蒸気機関の汽笛が聞こえた。
黒の少年が座っていた、大広間のパーティ会場が見えた。
とおく
とおく
その未来(さき)を君達が信じるならば ―――……
(#1) 2013/01/13(Sun) 03時頃
君は意識を取り戻す。
それは暗闇に映える雪の夜。
君があの館に訪れるよりも前。
黒の少年に手を引かれ、この世界へと到る前。
(#2) 2013/01/13(Sun) 03時頃
「 、 。」
透明な傘に雪華を咲かせて。
闇夜に棚引く、白の羽根。
黒の少年は微笑んだまま。
差し出した冷たい 手で、 君の手を握る。
(#3) 2013/01/13(Sun) 03時頃
「君が生まれた世界。」
「哀しいと、思っている世界。」
「…―――だけど、君が“生きていくべき”世界。」
(#4) 2013/01/13(Sun) 03時頃
「誰かを信じる事は、とても難しいんだ。」
「誰かを愛する事は、とても難しいんだ。」
「美味しいパンを焼くのと一緒。」
(#5) 2013/01/13(Sun) 03時頃
「だけどね。」
「本当は簡単なことなんだ。」
「寂しくも、苦しくも、哀しくも、ないんだよ。」
(#6) 2013/01/13(Sun) 03時頃
「だからもう、君は哀しくないよね。」
(#7) 2013/01/13(Sun) 03時頃
君達には聞こえるだろう。
君達には見えるのだろう。
不思議な声が耳元で囁く。
笑っているようで。
泣いているようで。
怒っているようで。
愉しんでいるようで。
(#8) 2013/01/13(Sun) 03時頃
“―――生きて、 僕や、僕を殺したあの人の分まで”
泣いている、少年が。
(#9) 2013/01/13(Sun) 03時頃
もうそこに、少年の姿は ない。
(#10) 2013/01/13(Sun) 03時頃
*CAST*
黒の少年
???
(#11) 2013/01/13(Sun) 03時頃
樋口 慶三郎
wiosna
宵渡 朧
oranje
相馬 みつ
ぶんちゃん
風伯 雷門
anbito
菱川 世渡介
hippolyte
(#12) 2013/01/13(Sun) 03時頃
久慈 明之進
茄子
天宮 亀吉
sakanoka
ゆり
hana
しの
lalan
木南 沙耶(木原 平太)
k_karura
(#13) 2013/01/13(Sun) 03時頃
芙蓉
mmsk
ウト
suchlich
小雀 小鈴
六花
(#14) 2013/01/13(Sun) 03時頃
and
you.
Very thanks!!
(#15) 2013/01/13(Sun) 03時頃
雪が降る。
嘘のような世界にしんしんと、降り積もる。
それは仄かに、花の匂いを携えて。
「 、 。」
広げられる透明な傘。
招かれる、黒の洋館。
その招待状には ―――……
(#16) 2013/01/13(Sun) 03時頃
fragrance...
…―――They lived happily ever after ?
(#17) 2013/01/13(Sun) 03時頃
|
[次いで寄るのは壁に凭れる芙蓉殿の傍。>>8:82 姿を表情を見れば、芙蓉殿の死も近いのだと知れます。いつ手負ったものでしょう。気付かなかったと目を伏せます。]
薬売りが怪我をしてどうする。
[紡ぐ五文字に眉を顰めました。>>8:83 『“さや”けき灯』に、ぐと唇を噛みます。]
見事。
[伸ばした手を一度止め、間を空けた後に背伸びをして芙蓉殿の髪を撫ぜました。>>8:85]
(0) k_karura 2013/01/13(Sun) 03時半頃
|
|
[距離等関係もなく明瞭に聞こえた久慈殿の言葉>>8:84に、ゆるりと顔を向けます。]
嗚呼、久慈殿。 言いはしなかったが、私は主に幼い頃の己を重ねていた。勝手に、だがな。
だから――― ―――怯えても良い。真っ直ぐに、軸を持って、生きてくれ。
[『殺そうともした』という言は飲み込み、目を伏せたのです。]
(1) k_karura 2013/01/13(Sun) 03時半頃
|
|
……沙っちゃん。
[聞こえた声>>8:+53に、振り返って。 少し複雑な表情で、柔らかく笑む。 瞳は、ただ敵を見据えるだけの、無機質なものではなく。 名を呼ぶ音は、挑発するものではなく。]
(2) 六花 2013/01/13(Sun) 06時頃
|
|
わきまえろと、言ったではないか。
嗚呼、死んだ今となっては詮無いこと。
……沙っちゃん、か。 今にして思えば随分と懐かしい呼び方だ。
[小雀殿の呼び声と柔らかな笑みに>>2、お嬢様の声もまた柔らかくなるのでした。]
芙蓉の傷は、あれは――小雀が?
(3) k_karura 2013/01/13(Sun) 11時半頃
|
武家の娘 沙耶は、メモを貼った。
k_karura 2013/01/13(Sun) 12時頃
志乃は、|ω・`)
lalan 2013/01/13(Sun) 13時半頃
志乃は、|)))
lalan 2013/01/13(Sun) 13時半頃
沙耶は、志乃を信頼の目で見た。
k_karura 2013/01/13(Sun) 13時半頃
志乃は、隅っこでまるくなる。明たんはおぼろんとこいけー、ぐいぐい押す
lalan 2013/01/13(Sun) 13時半頃
志乃は、沙耶を見た、ちわわの目。
lalan 2013/01/13(Sun) 13時半頃
沙耶は、志乃を体の前に座らせ、髪を手に取った。荒れておるのう
k_karura 2013/01/13(Sun) 14時頃
沙耶は、朧に手を振った。
k_karura 2013/01/13(Sun) 14時頃
沙耶は、明之進に手を振った。
k_karura 2013/01/13(Sun) 14時半頃
沙耶は、隅に行った芙蓉殿に視線を向けます。
k_karura 2013/01/13(Sun) 14時半頃
芙蓉は、沙耶に軽く手を振った。
mmsk 2013/01/13(Sun) 15時頃
沙耶は、芙蓉殿に頷きを返します。
k_karura 2013/01/13(Sun) 15時頃
|
[芙蓉の傷>>3の事を、問われれば。 僅か視線を下げて。瞳は少し昏く陰る。] ……そうだよ。
(4) 六花 2013/01/13(Sun) 19時頃
|
|
[死んだ後も、意識があるのだろうか。それとも? まだ混乱する所では、あったけれど。
死んだと思ったアタシと、話をしている沙耶。 額に血の花を咲かせ、眠る沙耶の亡骸。 先程の光と音は、沙耶に向いたのだと分かって。] ……ばか。 アタシは、亀ちゃんの未来を信じてたのに。
[涙が一粒、頬を伝った。 でもそうやって、亀ちゃんに必要なのは沙耶だと、手を放したのだ。 ぼんやりとした視線の先を追って>>37、呟かれた言葉に。]
(5) 六花 2013/01/13(Sun) 19時頃
|
|
失くした? ……まさか、アタシじゃないよね。
[小さく笑う。 自分は不要な人間であるという事が、当たり前過ぎて。]
でも、それでもね。 亀ちゃんが、一人の時は。 アタシが背中に乗っけて、飛んであげたいって。 思ったよ。
[でも、もう無理みたい。 瞳から、また、涙が零れた。]
(6) 六花 2013/01/13(Sun) 19時頃
|
|
みつさんは、今どこに居るのかな?
[中庭で別れたきりで。 まさかその場で眠っていたと、その後行った時も気づかぬままで。]
本当に、人を殺めたのに。 頬、打ってもらえなかったな。
[ぽつ、と呟く。]
[抱き締めるアナタの腕は 頬を打つアナタの手は 打った後の、アナタの涙は 優しくて、温かかった。]
[アタシは、知らない『母親』の影を、貴女に見ていました。]
(7) 六花 2013/01/13(Sun) 19時半頃
|
|
世っちゃんも、まだどこかに居るのかな? ……。うん。でも。 居るならきっと、見られていたよね。 さすがに、幻滅したよね。
[そう呟いて、苦笑して。 また、向けてもらった気持ちを否定してしまう。だって。]
綺麗なものが、好きだって聞いた。 ……アタシはこの世で一番。
[――……『醜い』もの。**]
(8) 六花 2013/01/13(Sun) 19時半頃
|
|
[小雀殿の視線は下がります。瞳の陰りを見逃せません>>4。]
そんな目で、芙蓉が見れるなら見るといい。主の『敵』を、討ったのだから。
[見れないのならそのような目をしてくれるなと咎めますが、小雀殿の涙>>5に唇を噛むのです。]
嗚呼、やはり私は、主に何も言えぬな。
(9) k_karura 2013/01/13(Sun) 22時頃
|
武家の娘 沙耶は、メモを貼った。
k_karura 2013/01/13(Sun) 22時半頃
志乃は、沙耶にぺちょってした。
lalan 2013/01/13(Sun) 22時半頃
志乃は、慶さんにあいたかった(ゆいごん)
lalan 2013/01/13(Sun) 23時頃
志乃は、おみつちゃんにむぎゅする。むぎゅう。
lalan 2013/01/13(Sun) 23時半頃
志乃は、だんせいあじっておいしいの?
lalan 2013/01/13(Sun) 23時半頃
|
[小雀と沙耶との会話を、近い所で聞いていた。
己に痛みが殆ど無かったのは、本当。>>8:-19>>8:-27 一撃が迷い無く胸に吸い込まれた為に。 体内に巣食うもののお陰で痛みに鈍かった故に、でもあったかもしれないが。
唯、己へと殺意を鋭く向けた小雀が、己の顔をまた見たいとは思わないだろうから。
少し目を伏せ、手を繋いだ侭の、沙耶の影に居た。]
(10) lalan 2013/01/13(Sun) 23時半頃
|
琴弾き 志乃は、メモを貼った。
lalan 2013/01/14(Mon) 00時頃
沙耶は、小鈴に、にゃーお
k_karura 2013/01/14(Mon) 00時半頃
|
……『敵』って、言ったのに。
[ぽつ、と零した後。>>9 ぷいって、そっぽ向いてみたけど。]
(11) 六花 2013/01/14(Mon) 00時半頃
|
|
[沙耶の影に居たのは、アタシが殺めたひと。>>10 アタシの顔は見たくないだろうに、なぜこんな近くに居るのだろう。 それを差し引いても、沙耶と一緒に居たいのか、なんて思いながら。
少し、沈黙した後に。]
…………。アナタ、男なの?
[ぽつりと零す。 勝手場で聞いた、少年の様な声、身体に触れた時の感触。 気になった事は、やはり確かめたい性分。]
(12) 六花 2013/01/14(Mon) 00時半頃
|
町娘 小鈴は、メモを貼った。
六花 2013/01/14(Mon) 00時半頃
|
[俯けた顔では、己と沙耶、どちらへの問いか判らなかった。>>12 ふと顔を上げてみれば、きっと此方へ向けられた視線。]
あ、 え、
[戸惑い、声は紛れも無く少年のよう。 けれど、性別を偽らなければならないと刻まれた過去故に、言葉での肯定は出来ない。]
(13) lalan 2013/01/14(Mon) 02時頃
|
|
―赤の服―
[目の前でゆっくりと命の灯が消えていきます。 消されていきます。
どんなに首を振っても、砂は落ちていくだけでした。
不条理だと嘆く事もありません。
天宮殿の生きる意思すら奪ったのは、お嬢様なのですから。
斯様な『未来』>>5を選ばせたのは、お嬢様なのですから。]
(14) k_karura 2013/01/14(Mon) 02時半頃
|
|
[やがて迎える天宮殿の終焉の頃。床に横たえられた天宮殿の遺体の傍に膝を着き、白レースの着いた赤の洋装を見下ろします。お嬢様が拾い上げた赤と白の服です。
お嬢様の返り血にも染まったかのような、赤でございました。
生きた証。死んだ証。 ――赤 死。]
(15) k_karura 2013/01/14(Mon) 02時半頃
|
|
[血塗れの頬に触れ、小指の先で天宮殿の唇をなぞります。 唇の上に乗る赤は紅のよう。]
全く、なんという格好をしておる。
これではまるで―――
(16) k_karura 2013/01/14(Mon) 02時半頃
|
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……何でもない。
[肯定も否定も返らない音>>13に。 やはり話しかけるべきではなかったのだと、視線を戻す。]
(17) 六花 2013/01/14(Mon) 02時半頃
|
武家の娘 沙耶は、メモを貼った。
k_karura 2013/01/14(Mon) 02時半頃
|
[確かに約を返した男>>8:-50。 その彼が笑いながら、泣いているとは、思っていなかった。
――違う。おそらく、気づいては、いけなかったのだろう。 真の心に気づいていればきっと、その優しすぎる手を、止めていた。]
(18) sakanoka 2013/01/14(Mon) 03時頃
|
|
[この時、私にとってそれが『始まり』だとは、思っていなかった。 ただ、此処で『終わり』ならば、幾つもの命を喰らったあやかしには、きっと、勿体ない最期。きっと、ずるい最期。 目を閉ざしながら、ほんの少しだけ――わらっていた。]
( うん、 ―――…おやすみ、なさい、 )
[首許に触れる熱が、籠る命の力だけが、感覚の内に。 そして――全てが、 終わった。 ]
(19) sakanoka 2013/01/14(Mon) 03時頃
|
|
―それから―
[意識が再び目覚めた場所は、青い目に何も映らぬ闇。
首を絞める命の熱さも。迸る血の飛沫の濃さも。 抱き留める腕も。抱え上げる腕も。繋がれる手も。撫ぜる掌も。 触れ合わせる額の感触も――此処には何も、在りはしない。
亡霊となってこの世を彷徨う、ということさえ無い。 死しても尚、私にいくべき場所はない――、 その思いは正しかったと、この時漠然と思ったものだった。]
(20) sakanoka 2013/01/14(Mon) 03時頃
|
|
[無明の中でも、けれど確かに私には判っていた。 甘い、あまい、懐かしくない、懐かしい花の――薔薇の籠の中。 しろがねこがねに囲まれて、けれどそれでもたったひとり。 あの あかくて しろい ねぐりじぇで、眠れる私が居ることが。
異端の香に装いに囚われ、籠という枠にも囚われ。 棘に囲まれ血を流すのも、もはや慣れては何も感じず。 笑いもせず、泣きもせず、ただただ其処に在るだけの。 生きているとも、死んでいるともつかない心地。
それは黒いわらべに会う前の。 姉が姿を消してからの、座敷の中の私そのもの。]
(21) sakanoka 2013/01/14(Mon) 03時頃
|
|
浦島も知らず水底に籠る、竜宮座敷の亀姫様。
……とは、誰に言われた揶揄だったか。
[ぽつりと私は声を零す。 生きた身体でない故だろう、まるで姫御前のように、高く細い。 実際、――姫のようだったと、私は思う。]
まるで本当に、水底の竜宮城のよう。 昏い水底は、きっとこんな風に、静かなのだろう、な―――…
(22) sakanoka 2013/01/14(Mon) 03時頃
|
|
………静かすぎる、よ。
[あの人の好きだった熱いあかと、私のしろを混ぜたねぐりじぇ。 鶴(たづ)の自由さに憧れた私は、その憧れを纏ったまま。 何処にもいけず、たったひとり、身を休めるのみ。――けれど。]
ううん。 静かじゃ、 無い。
[それでも、何処からか、籠の内に伝わってくるいろ。 色とも音とも、香ともつかぬ、いろ。
私は青い硝子の目で、闇を見詰め、籠の中で幽かに歌う。 繋いでくれるこえがあるならば、きっと、届く。そんな気がした。**]
(23) sakanoka 2013/01/14(Mon) 03時半頃
|
座敷守 亀吉は、メモを貼った。
sakanoka 2013/01/14(Mon) 03時半頃
武家の娘 沙耶は、メモを貼った。
k_karura 2013/01/14(Mon) 16時半頃
志乃は、さむに
lalan 2013/01/14(Mon) 20時頃
町娘 小鈴は、メモを貼った。
六花 2013/01/14(Mon) 20時半頃
薬売り 芙蓉は、メモを貼った。
mmsk 2013/01/14(Mon) 21時半頃
小鈴は、(((Λ_Λ コンバンハー。
六花 2013/01/14(Mon) 23時頃
芙蓉は、子猫鈴をよしよしなでた。
mmsk 2013/01/14(Mon) 23時半頃
|
[未だ私が生きていた頃のことなら、その時のこえ>>5>>6は届いている筈が無い――けれど。 ぼんやりと何かが、ふわり、伝い来る気がした。載せてきたのは雪の冷たさか、花の香か。]
――ちづ、る。
[けれど此処まで伝い来るいろは、とてもおぼろげで。 誰の目にも映らない姿で、ひとり歌う声。 彼女に届くかと思えど、本当に届くか如何か、判らなかった。]
(24) sakanoka 2013/01/14(Mon) 23時半頃
|
|
…………、
[私は闇をただ見詰め。眠りながら、耳を澄ます。 ふわり、冷たさの中で遅れて伝い来るいろは、]
(25) sakanoka 2013/01/14(Mon) 23時半頃
|
|
…………、
[再び、闇の中で眠る。 ああ、今度こそ、本当に何も聞こえはしないのだと、
否。やはり、静かでは、無かった。 今、確かに、そのいろが。こえが。籠の内に、伝い来た。]
さや。
[おぼろげでなく聞こえてきた、そのこえ>>16>>-285、は。 あまりにも、突拍子無く、意識の中に、響いてきた。 洩らした声も、かなり素っ頓狂なものになっていた。]
(26) sakanoka 2013/01/14(Mon) 23時半頃
|
|
[その時確かに、私は、笑っていた。 笑いながら、泣いていた。
私の所為で失くした人、と思っていた沙耶の、 その声がまた聴けるなんて思っていなかったのだから。 ああ、死ぬ前の惨めな私の姿を見て、彼女は何と零したのだろう。 ああ、あの時の闇の中、最後に彼女から告げられた言葉は、何だっただろう――。**]
(27) sakanoka 2013/01/15(Tue) 00時頃
|
座敷守 亀吉は、メモを貼った。
sakanoka 2013/01/15(Tue) 00時頃
|
[抱擁の時は永遠であったか、其れとも一瞬であったか。 巻き戻る時間の中では意識はあやふやであり、己は一瞬、此の儘終わりなど来ないのではないかと錯覚した。
然様な夢物語を視ていたのだ。
―――――然し、夜明けは訪れる。]
(28) wiosna 2013/01/15(Tue) 00時半頃
|
|
[此の命が奪われたあの時、己は笑ってみせた。 然うして、他の何を斬ってでも護らねばならぬと誓った命を、己はあっさりと手放した。
されど、光の螺旋が己の瞼を貫いた刹那、――己はただ抗った。
己はみつの背に回す腕により力を篭める。 歯の根を噛み締めながら其の肩に顔を寄せる。 閉じた瞼から溢れる雫がみつの肩を濡らそうとも、 己はがむしゃらに抗い、抗って、其の熱を追い続けた。]
(29) wiosna 2013/01/15(Tue) 00時半頃
|
|
[然し嗚呼――――…… やがて其の熱すら遠くなり。]
(30) wiosna 2013/01/15(Tue) 00時半頃
|
|
[色硝子を通して差し込む暁光が眩く己の眼を焼いていく。 右眼も、視えぬはずの左眼をも。 冷えてかじかんで行く指先はやがて力を喪っていく。
然うして抗えぬ、 と悟った最期、]
なァ、みっちゃん。
……―――― どうか、
[其の耳元に向け一言だけ、届くようにと。]
(31) wiosna 2013/01/15(Tue) 00時半頃
|
|
[其れを最期に、己の意識は一度ふつりと途切れる*]
(32) wiosna 2013/01/15(Tue) 00時半頃
|
浪人 慶三郎は、メモを貼った。
wiosna 2013/01/15(Tue) 01時頃
|
[小雀殿は顔を他へと向けられました。>>11]
結局のところ、芙蓉を『敵』だと思えなかったということであろう? ほら、主のせいで芙蓉は苦しんでおる。
(33) k_karura 2013/01/15(Tue) 01時半頃
|
|
敵は敵。 斬って捨てるしか己の生きる道がないというのなら、斬るまで。
そういうものであろう?
小鈴。
(34) k_karura 2013/01/15(Tue) 01時半頃
|
|
―――そうで、あったのに、なぁ。
[お嬢様が視線を向けるのは天宮殿と風伯殿。 斬って捨てる相手の事など、考えたことも、考えようとした事がありませんでした。 それは、『背負っていきよう』とは考えようとしなかったからです。
次いで芙蓉殿と、顔を背けたままの小雀殿へと目を向けます。
志乃殿への問いかけに、沙耶様は黙って志乃殿の手を繋ぐばかりでした。>>10]
(35) k_karura 2013/01/15(Tue) 01時半頃
|
|
嗚呼。ふたつ、聞いても良いだろうか。
ひとつ。 小刀を人に投げても気負いのない主は、やはりくノ一なのだろうか。 結局私は、主が何者であるかまでは知らなかったからな。
ふたつ。 主は亀吉の、どんな「未来を信じていた」>>5のだ?
[口元に手を当てて言葉を探します。 「アタシじゃないよね」と否定し、孤独を慰めようとする言葉と頬を伝った涙を思えば、行き着くのは唯1つ。>>6]
(36) k_karura 2013/01/15(Tue) 01時半頃
|
|
亀吉を……好いて? いた、のか。
[適切な言葉であったかどうかと、小さく首を傾げました。*]
(37) k_karura 2013/01/15(Tue) 01時半頃
|
|
ううん。敵だと思ってたよ。
敵という言葉を信じたのに。 でも、敵じゃなかったみたい。 いや、やっぱり敵なのかな? ……難しいね。
アタシ、あんまり芙蓉さんの事知らなかったしさ。
[沙耶の言葉>>34に、小さく苦笑をして。 問いには、こくりと頷いて。]
(38) 六花 2013/01/15(Tue) 01時半頃
|
|
くの一ではないよ。 沙っちゃんや亀ちゃんとは、とおーい身分、かな。
どんな? んー……。 亀ちゃんの望む幸せを、得られる未来。かな。
[続く問いには、少し瞬いて。]
アタシ、嫌いな人の幸せを優先する程、イイひとじゃないよ。 分かるでしょ?
[小さく笑って、首を傾げる。]
(39) 六花 2013/01/15(Tue) 01時半頃
|
町娘 小鈴は、メモを貼った。
六花 2013/01/15(Tue) 02時半頃
|
>>-8 [意識が戻るその場所に。 小雀一羽じべたに落ちる。 そう綺麗なものがわたしは好きです。 あんたは一番。]
綺麗です
[西の男は小狡くイキる。 綺麗事と言われようとも。 歯の浮く言葉を何度でも。]
わたしは小鈴を好いてます 惚れたおなごが一番綺麗や
[これは夢かも知れないが。 ようやっと小鈴と会えたもの。
好いたおなごの気持ちは分からんが。 手前の気持ちも分からんもんや。]
(40) hippolyte 2013/01/15(Tue) 03時頃
|
呉服問屋 藤之助は、メモを貼った。
hippolyte 2013/01/15(Tue) 03時頃
|
[では目を逸したのは――と問おうとして開いた口が閉じるのです。>>38]
終わった後では、詮無いことだな。 信じたのが間違いであったかどうか、確かめる術など本人に尋ねるより他はないのだから。
[名を呼んだ事もお嬢様としては第一歩でございましたが、さらりと猫の様に躱され隠されました。>>39 とおーい。ただ其れだけ、とおいのだと知れば充分だとばかり。]
何度も言うが、沙っちゃんなどと気軽に……。 わきまえろ。とおい身分というのなら。尚の事。
小雀。寄ろうとするな。
(41) k_karura 2013/01/15(Tue) 03時頃
|
|
[ふぅと長めに息を吐きました。 天宮殿の望む幸せとは何か、思い付く事は出来ません。]
然様、か。それは良い未来―――だったな。
[だった、としか言えません。]
さぁ。 少なくとも、「無理は、いけないんだよ」と私の頭を撫でた主は、イイひとだと思うがな。
[小雀殿の小さな笑みの理由は、伝わっておらぬようでした>>39。*]
(42) k_karura 2013/01/15(Tue) 03時頃
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武家の娘 沙耶は、メモを貼った。
k_karura 2013/01/15(Tue) 03時頃
呉服問屋 藤之助は、メモを貼った。
hippolyte 2013/01/15(Tue) 03時半頃
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[聞こえた声>>40に、びくりとして。]
いきなり、出てくるな……。
[俯いて、ぽつと零した後。顔をあげて。]
そんなわけ、ないじゃない!! アタシが、一番醜い。汚いよ。分かってる。
見てなかった? それなら、教えてあげるよ。 アタシは、世っちゃんを殺めたひとを、殺めた。 明ちゃんを殺めるかもしれないと思ったひとを、殺めた。 こんな女、最低でしょ!?
[言い切ってから、ぼろぼろ零れている涙を拭いて。]
綺麗、は間違い。ごめんね。
(43) 六花 2013/01/15(Tue) 03時半頃
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>>43 そないな事言っても。 わたしも気づいたら居てますんや。
[続く鳴き声聞いてみる。 じっと黙って耳を澄ます。
醜い? 汚ない? そないな事あるかいな。
見てませんでしたなぁ。
わしを殺めた? そうか、別品さんのあれはほんまやったか。
わしは死んだと小鈴は言う。 人を殺めたと小鈴は言う。]
(44) hippolyte 2013/01/15(Tue) 04時頃
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[言い切ってから涙を拭いて。
綺麗、は間違い。ごめんね と。]
そうかぁ。人を殺してもたか。
[独り言のように呟いて。 思わぬ告白にたじろいだ。]
せやなぁ。 わしは人を殺めたことないから。 その気持ちは分かってやることはでけへん。
>>8:+42 [わしは餓鬼と侍の噺を思い出す。]
(45) hippolyte 2013/01/15(Tue) 04時頃
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せやけど、わしの目に映る。 小鈴が綺麗なのには変わりないしなぁ。
人殺しかぁ…。
[うーんと悩み。頭を傾げる。 殺してしもたら死んだ後はどないなるんや。 閻魔様にでも捕まると言うんか。 良案浮かんでぽんっと手を打つ。] それならわしと逃げよか
あの世の果てまで逃げたらええわ
(46) hippolyte 2013/01/15(Tue) 04時頃
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呉服問屋 藤之助は、メモを貼った。
hippolyte 2013/01/15(Tue) 04時頃
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[ゆったりと、ゆっくりと、目を閉じる。 視界はさっと暗くなって、もう目を開けようとすることも出来なくて、最期なのだと、実感した。 黒が、徐々に白く明るく変わる。 まさに今死なんとする自分に光明の見えることに疑問を抱くも、次の瞬間拓けた視界に、疑問を呈するなどといった感情は簡単に霧散していった。]
(47) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時頃
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[思わず、意識を失う前は人前で呼ぶこともなかった名を叫ぶ。 が、しかし、叫んだはずのそれは何の音を出すこともなく、ただほんの僅かの空気の揺れ動きを作っただけ。 届かぬは幸か不幸か。秘匿していた呼び名を他に聞かれることもないが、届くこともない。 亡霊の、声を聞いたのを思い出す。 このもどかしさを、皆思っていたのだろうか。 だからこそ、こちらに届くと知って幾つも話しかけてきたのだろうか。 届いた時は、どれほどに嬉しかったのだろう。 今度は自分がその番か、と思えば苦く笑えた。]
(48) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時頃
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[見える後ろ姿に、届かぬ呼び声がかかる。 彼女たちは話をしているのだろうか、様子を見れば表情をくるくる変えたりと、会話が成り立っているようだった。
何を話しているのかは、わからなかった。]
(49) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時頃
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[口を動かして、目の前の後ろ姿を見て、そうして漸く得た答え。
静寂の中にいるのは、自分だけだ。
誰の声も届かない。誰にも声は届かない。 耳も口も全くの意味をなさなくて、ただ目だけがはっきりと現状を捉えていた。 自分の亡骸も、眼下に見える。亡霊とはこのような存在か。 彼女たちも、その亡骸を見て言葉交わしているようだった。]
(50) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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[そうっと、手を伸ばした。 こちらを見ないままの沙耶のつややかな、長い髪。足を縛るために解かれたそれに、そうっと、おずおずと。 指先を動かしたのは愛しさか、慈しみか、渇望か。 何かに操られるように指先は伸び、そして、触れ合った瞬間に、]
(51) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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[『人殺し』。その言葉は、ズキリと胸を刺す。>>46 永遠にも思える様な、首を傾げる間の後。 告げられた言葉は、考えもしなかったもの。 また、涙が溢れて。]
ばか……。 ばかじゃないの……。
[俯いて、止まらない涙を拭きながら。>>46 顔を上げると、泣き濡れたままの目で、笑んで。]
世っちゃんは、綺麗なままなんだから。 天国に行きなさい。
[泣きなら、くすくすと笑って。]
(52) 六花 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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[ばちん、と音を立てて何もかも消えた。]
(53) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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[暗く、哀しい世界ではないけれど。 ただ白く、すべてがない世界で。 薄ら寒くすら感じるその空間に、それでもゆらりと光は揺らいだ。 刹那過ぎるロッジも、汽笛も、覚えあるものではなかった。 が、その次にちらついた、大広間は。
逃すまいかと、手を伸ばしたまま駆け出して。 気付けば、光の扉の中に呑み込まれていた。]
(54) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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ねぇ。一つお願いがあるの。
アタシ、自分の名前、大嫌いなの。 苗字から、『め』を取っただけの。 『要らない』って意味の、名前。
[名を呼ばれる度に、それを自覚させられた。 いつしか、麻痺してきたけれど。]
世っちゃんなら、アタシになんて名前をつける?
[野良猫は、複数の名前を持つもの。 姿を消しても、その名を呼ぶ人の所へ、ふらりと戻ってくる。 だから、さよならしても、いつかまた会えるよ。]
(55) 六花 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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――そうして――
[雪が降っている。 いつの間にか、うたた寝をしてしまっていたかもしれない。]
さむ……
[悴んだ指先を擦り合わせ、息を吹きかける。 草の汁で暗緑に染まった爪先。顔に近づければつんと青臭い。 いつまでこんな事を続けるんだろう。 いつの代からだかの薬草園を、霜が降りないように布を張り毎朝取り、冷たい露に濡れた草を摘む。 古臭い鉢ですり合わせて汁を絞って滓を固めるだの、汁を練膏に混ぜるだのして缶に詰める。 そうして訪ね来る人に売り、居なければ買い手を求めて練り歩くのが毎日だ。]
(56) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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――はい。
[戸が、叩かれる音がした。]
(57) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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[そこにいた黒ずくめの洋装の子供は戸を開けた手をすっと握って。 幾つも、幾つも、よく分からない言葉を並べて、そして。]
『もう、君は哀しくないよね』
[そう言って、笑った。]
(58) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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――!
[それで、一度に蘇る。 触れ合った体温。交わした言葉。薔薇の香り。冷たい水。紅茶の渋さ。赤い血のぬめり。捲った本の重さ。身を斬る刃の熱さ。手を伸ばせない後悔。失わされたことへの怒り。]
な、ん……
[そして、 愛しさ。]
(59) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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なんでや!!!
[そのまま、笑みを浮かべる童子に掴みかかった。 喉元、身長差のせいで吊り上げてしまいそうになりながら、怒りをそのままに、感情を強くぶつける。]
誰が望んだ!? こんな……こん、な
[黄泉がえり、などと。 いや、もしかすれば本当にただ夢だったのかもしれないが、それでも。それでもだ。 あっていいものではない、と。]
(60) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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[いつのまにか、声は震えていた。 怒りか、哀しみにか、涙が落ちるのを隠せないままでいた。 童子の身体を積もった雪の白の上に降ろす。 がっくりと、項垂れそうにすらなった。 けれど。 童子は、言った。]
『――生きて、僕や、僕を殺したあの人の分まで』
[笑っているようで、 泣いているようで、 怒っているようで、 愉しんでいるように、
泣きながら。]
(61) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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[その涙に、気づいた時には。 いつだったかと同じように、その黒い姿は消えていた。 雪と真逆の色をした黒は、だというのに溶けて消えるように、跡形もなく、消える。 あれは、死人なのだろうか。死して、ゆえに、誰かを生かそうと、手を伸ばしているのだろうか。 この身は生きる価値があるのだろうか。 多くの者を助けられるようにと、親から授かった太助の二文字。 だと言うに、この手から砂は零れ落ちるばかりで。 自分は、いったい何の為に生まれて――]
(62) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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[はっと、した。 息が詰まるような心地で、薬鞄をこじ開けた。 金創に効く軟膏と、化膿止めの葉。 他にも幾つかの薬に葛糖が足りない。
生きて。 童子はそう言って、黄泉にあった自分をここへ還らせた。 夢なんかじゃぁ、ない。]
(63) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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――き、なみ、さや。
[先とはまるで違う感情に、唇は震えた。 生きている。皆。あの場にいたものは、皆。 記憶を確かめるように名前を紡ぐ。あぁ、書き留めておかなければ。 木南沙耶。木原平太、かもしれない。どちらがより通るか、見つけられるか。 この広い日ノ本國。どうあっても辿り着かないかもしれない。 けれど、それでも。 また手を伸ばしていいと、次こそは手を伸ばせると、そう教えてもらったから。]
(64) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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――傷に、痛みに、練軟膏! どんな傷でも立ちどころぉ!
[夜も、更けた頃合いに。 雪道を麓の村まで駆けて、声を張った。 怒りに任せて出てきた爺さんでもいい。こんな夜分に薬を求める客でもいい。 こちらに意識を向けた皆に、木南という武家を知らないか、もしくは平太と名乗る少年武士を見ていないかと、訪ねて回る。
辞世の句は、二度と詠む気はしないが。 さやけき人を、今追い行かんと*]
(65) mmsk 2013/01/15(Tue) 04時半頃
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>>52
言いましたやないか。 わたしは馬鹿で阿呆と。
[手招きするように手を上下に振り。 おどけて見せる。 美人の微笑みは極上の酒にもかなうまい。]
小鈴がおらんのやったら地獄でええわ。
好いたおなごと一緒なら。 地獄も釜も有馬に変わる。
[続く願いに耳を傾ける。]
(66) hippolyte 2013/01/15(Tue) 05時頃
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>>55 [またも思いがけない事を言いおって。 小鈴。小鈴と手前は何度呼んだものか。 名前をつけろと猫は言う。 今度は籠やのうて首輪になるか。]
名前をつけてくれなんて随分無茶な…。
[美人と言えば小町か。 いや、雀には飛んでほしいから! せやけど猫でもあるしなぁ。 わしが一番願うとることはなんやろ…。
うん。そうや。]
(67) hippolyte 2013/01/15(Tue) 05時頃
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生幸。なりこでどうや。
[生幸。幸ある名前。] 『生』そのまま生きていること。命あること。一生や。 『幸』は心の中に花がずっと咲き続けること。つまり幸せや。
あんたには一生幸せでいてほしい。 それがわしの願いやから。
(68) hippolyte 2013/01/15(Tue) 05時頃
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呉服問屋 藤之助は、メモを貼った。
hippolyte 2013/01/15(Tue) 05時頃
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[そう言ったあと、もう一度考える。 雀に合う名は何やろと。]
うーん。反対もありやな。 幸生(こなり)。
思い切って読み方変えて。 幸生(ゆきみ)や生幸(みゆき)もありやなぁ。
うーん。参ったなぁ。
[参ったという風に頭を押さえて。]
この中で気に入った呼び名はあらへんか?
[雀の意見を聞いてみる。]
(69) hippolyte 2013/01/15(Tue) 07時頃
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呉服問屋 藤之助は、メモを貼った。
hippolyte 2013/01/15(Tue) 07時頃
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地獄は痛いよ?熱いよ? 天国は、綺麗なおなごが沢山待ってるよ。
[世っちゃんはそろそろ怒っていいと、自分で言っていて思う>>66。 ごめんねって思う気持ちは、下がった眉に表れて。] 生幸。 ……ねぇ。世っちゃん? アタシ、もう死んじゃったんだけど。
[言ってから、半分はおかしくて、くすくす笑う。 もう半分は、とても嬉しかったからだ。 『要らない』一生の名を、『幸せ』の名に変えてくれたのだから。 それは。そうだ。]
(70) 六花 2013/01/15(Tue) 07時頃
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……うん、それは、世っちゃんそのものだね。 アタシを、初めて好きになってくれたひと。 アタシが、持っていなかったもの。 それだけで、幸せだよ。
[『要らない』一生を、『幸せ』に変えてくれた。]
アタシは、この名前があれば、どこでも大丈夫。 だから、『天国』で待ってて。
(71) 六花 2013/01/15(Tue) 07時頃
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どれでもいいわ!!
[こめてくれた意味が、大切なのだし。 でも、それだけ一生懸命考えてくれている事が嬉しくて>>69。くすくす笑って。 そうして、少し考えた後。]
それなら。 ――……『幸生(ゆき)』にする。
雪の日に、会ったから。 世っちゃんと、みんなと。 ここがアタシの、始まり。 全部、忘れない様に。
[置き字になってしまうけど。 付けてくれた名前も嬉しくて、一緒に考えた名前も嬉しい。 考えてくれたものは全部、こっそり大切にしまっておこう。]
(72) 六花 2013/01/15(Tue) 07時半頃
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芙蓉は、二人の様子を見つつ和んでいる。
mmsk 2013/01/15(Tue) 14時頃
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>>72
『幸生(ゆき)』
[わしが願うはおなごの幸せ。 幸せであるように生きてほしいと]
ええ名前や。
[廻り廻ればまた会える。]
ほならまた雪の日に――――。
[夢の続きはまた見れるものか。]
(73) hippolyte 2013/01/15(Tue) 16時頃
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――座敷・囲炉裏端――
[ここは花街。貸座敷。 初会裏馴染みと三度重ねて通い詰め。 炉端でうとうと涅槃仏さながら眠っておった。]
やっぱりおなごの腿はええ桃や ひやこい身体がよう暖まる
[外はしんしん玉雪が。 季節の始終を物語る。 頭の下にはおなごのやわ肌。 枕代わりにぬくぬくと。 手前の心を暖める。]
(74) hippolyte 2013/01/15(Tue) 16時頃
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なぁ夕霧。 哀しい噺を聴きたないか?
[唐突に何をと女は笑う。 寝惚けて夢の中に居るつもりかと。
わしも笑って。]
そうかもしれん
[それでも顔は、然も。 『愉しい色』をして笑う。]
(75) hippolyte 2013/01/15(Tue) 16時頃
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[噺しだすのは愉しい噺。 わしが噺すと悲劇も喜劇。 異国の屋敷の不思議な噺。]
宴もたけなわ。噺も佳境。 幕引き役は誰ぞがつとめる。
今宵この場で起こったことは。 誰もが忘れぬ白昼夢。
各々の胸に何が残る。 各々の心は何が変わる。
小僧が告げるその言葉や如何に。
(76) hippolyte 2013/01/15(Tue) 16時頃
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[表情うかがい噺を止める。 女の顔は浮かない顔。]
おもろないか? まだ続きはあるんやけどなぁ。
[嫌や嫌やと女は言う。 聞かぬままだと寝覚めが悪い。 されど噺は聞きとうないと。]
実を言うと事の顛末をわしも知らん。
[誰が生き。誰が死に。誰が殺し。 その後みなはどうしたのか。 わしはすべてを知っている訳ではない。
寝転んだままで女の顔を見やる。 このおなごは確かに美しい。 せやけど、一番綺麗ではない。]
(77) hippolyte 2013/01/15(Tue) 16時頃
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[女は笑ってこう言う。 何をそんなにじろじろと。 どうどすうちの顔は。]
おまはんはとびきりの別嬪さんや。 そんじょそこらの者とは違う。 [ほんまもほんまのほんとの気持ち。 何をそんなに白々しく。 ついっと女はそっぽを向く。]
あかん。わしの心は傷ついた。
[じゃれ合うように押し倒し。 腋をつついて笑かし合う。 笑う女の口を指で塞ぎ。 わしはまた噺を紡ぐ。]
(78) hippolyte 2013/01/15(Tue) 16時頃
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生涯数えれば。 たわむれた女三千七百四十二人。 小人のもてあそび千百人。
身はいつのまにか恋にやつれて。 ふっと浮世に今と云う今こころのこらず親はなし。 子はなし。定る妻女もなしとくる。
ならば浮世の遊君、白拍子、戯女、身に残す事もなし。
短崎の角山から補陀落渡海。同業七人。 山盛りの宝と責め道具を好色丸に詰め込んで。 海の彼方にあるという女だらけの女護が島をめざし。 行方知れずになったという。
[みなまで言い終え得意がる。**]
浮世にイキた男の噺や
(79) hippolyte 2013/01/15(Tue) 16時頃
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呉服問屋 藤之助は、メモを貼った。
hippolyte 2013/01/15(Tue) 16時頃
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[命落としたお嬢様達が今もこの場に留まっているのです。 天宮殿の声>>26>>-355が聞こえてもおかしくはないでしょう。
何処にと見渡しても、その姿はありません。 姿は紅を差した骸、声はおなごの様な高いものだけでした。
天宮殿の顔に視線を戻し、指先は右の目尻に赤を乗せて引きます。]
(80) k_karura 2013/01/15(Tue) 16時半頃
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然様、こうすればもっと。見た目だけでも、必要なことだろう。 姉御を追うのなら。
見た目を変えねば、分からぬこともある。心の内まで心の有り様まで、誰も見えぬ。
[姉御のようになりたかった。姉御と共にありたかった。そのどちらもと天宮殿はおっしゃいます。>>-356 さぞ理想の姉御であったのでしょう。 言葉から、既に故人なのではと察して眉を微かに寄せました。
思い返すは青い瞳と白髪を褒めた時のこと。>>1:-13]
私では、亀吉の姉御の代わりになどなれぬが――大丈夫だ。 私の近くに居る時も、笑えていたと思うぞ。
(81) k_karura 2013/01/15(Tue) 16時半頃
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[天宮殿の声は震えているようにも聞こえました。 左の目尻から離れた指先からパラと欠けて、光になって消えていきます。 場に留まる時間はもうないということでしょう。]
(82) k_karura 2013/01/15(Tue) 16時半頃
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亀吉。 人は死ねば生まれ変わるという。 私の中の鵺は主が殺した。私はまた、自分が何者かと問うのだろう。 その答えを見つけるのは、次の世――だな。
何もない――はずは、もうないのだから。
[何もない。何者でもないと嘆いてばかりでございました。 その嘆き哀しみを終わりにしたいと思うのです。]
嗚呼、こんな言い方をするのは可笑しいと思うが。
(83) k_karura 2013/01/15(Tue) 16時半頃
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[小さな囁きを残し、目を伏せました。**]
(84) k_karura 2013/01/15(Tue) 16時半頃
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武家の娘 沙耶は、メモを貼った。
k_karura 2013/01/15(Tue) 16時半頃
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[目を逸らしたのは結局、答えが出なかったからだ。>>41 本人に聞かなければ、分からない事。]
……そうだね。木原様。
[訂正しようにも、本当の苗字を知らないなと思ったけれど。 それなら、以前聞いた方の名を呼べば良いのか、と思う。]
うん。すぐには手に入らなくても。 その一歩を踏み出す力、でもね。
[そうして続く言葉>>42には、少し猫目を丸くして。]
そぉ? それなら、アタシは木原様の事も好きだったんじゃない?
[と小さく笑って。]
(85) 六花 2013/01/15(Tue) 17時半頃
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……アタシね。辛い顔、怯える顔、哀しい顔、 見るの、嫌なの。
[今まで、沢山見てきたから。 そして、きっとアタシもそうだったから。 いつしかそれも、麻痺してしまった気がするけれど。]
木原様にも、そうしていた事情があるんだろうけど。 心を曲げて、無理をして。 いつか、心を失くしてしまわないといい。 大切な物、本当に望む未来を見失って、失わないといいと。 思ったよ。
(86) 六花 2013/01/15(Tue) 18時頃
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[そうして、先程の問いへの返事を。 生きていた時は、言えた事でも。 死んでしまった今は、あまり口にしたくなかったんだ。 その過去が人生の全てで、もう終わってしまったのだから。]
……アタシは、曲芸師だったの。
[ぽつ、と言葉にして。]
――……ねぇ。『沙耶』の話も聞かせてよ。
[悪戯な猫目が、にまっと細まる。 『小鈴』と呼んだのだから、一度位呼ばせなさい。*]
(87) 六花 2013/01/15(Tue) 18時頃
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町娘 小鈴は、メモを貼った。
六花 2013/01/15(Tue) 18時頃
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[雪花の様にふわり舞い落ちる、高い声。>>24 だけど、その名を知っているのは一人だけ。] ……亀ちゃん?
(88) 六花 2013/01/15(Tue) 20時頃
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町娘 小鈴は、メモを貼った。
六花 2013/01/15(Tue) 20時半頃
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[何とはなしに、目が熱い。 それはまるであたかも目の縁に触れられているかのようで。 きっとそれは、ただ泣いている所為でもあったのだろう。]
うん―――、 沙耶が言うなら、きっとそう。 お姉様の強さも、貰えてる……筈。
[「こうすればもっと」と言うこの人>>81に、一体どんないろの化粧でも施されているのか。 想像してみれば何処か不思議で、何処か可笑しい。]
ああ、沙耶も――木原様も、そうやって。 心のすがたを、あなたの見目に表されて、た――
[男の武士のすがた纏っていたひとのことを思い浮かべながら。 今、こうして聞こえる声が、声交わせることが、温かくて。 それこそまるで、奇跡のようで――。]
(89) sakanoka 2013/01/15(Tue) 22時半頃
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――ああ。 そうか。私は、ちゃんと、笑えてたん、だ。
[帰って来ぬ沙耶の声を漸く聞けた時>7:90。 闇の内では誰も見ていなかっただろうが、その時もきっと、笑っていたのだ。 そして、今も。]
(90) sakanoka 2013/01/15(Tue) 22時半頃
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[――けれど。 そう。姉と違うこの人は、姉の代わりなどではない。 姉とは違う人で、それでも――。
そんな私の目には、私が殺した沙耶の顔は見えない。 腕の一つも動かせなければ、触れることも、叶わない。 声が繋がっていても、結局は、ここにひとり残されるのだろう。]
(91) sakanoka 2013/01/15(Tue) 22時半頃
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[あの時沙耶と共に帰ってこなかった人。 多く彼女の傍に在った、微かな声のその人。 その距離の近さが――願いの眩さが、羨ましかった。 きっと私以上に、真っ直ぐに彼女を信じる人なのだろう。
あの時沙耶と共に帰ってきた人。 ふたり何処か楽しそうに見えたのが羨ましく――、 ああ、命つなぐ手の彼は本当に沙耶を想っていたのだと、 彼女の死で遂に強く咎められたことで、漸く気づいた。
望む未来さえも護れず、この手で全て殺した私より。 かれらの方が、あの人の隣には相応しい――、 きっと何処かでそう覚っていた、筈だった。]
(92) sakanoka 2013/01/15(Tue) 22時半頃
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|
生まれ、変わる?―――来世、
[それ>>83は聞いたことの無い思想、という訳では無かったが。 これまで強く信ずることも特に無かったように思うもの。 私は何も見えぬ目を、瞬かせた。]
ああ、そうだった。 あなたは私に、鵺退治を、と。 そうして、けれど私は、あなた も 、殺めて、
[少しだけ、彼女の声の距離が遠くなった、気がした。 それは彼女が此処に留まれる刻限が近いからか。 彼女を殺したことを意識して、自ずから距離を、とってしまった、からか。
けれど。沙耶が続けたその言葉。]
(93) sakanoka 2013/01/15(Tue) 22時半頃
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さや、
[あの時私は、辛い旅路に行く勇気を持てずに、たった一つの居場所を失った。 青い目の裏で繰り返される、去っていくあの人の後姿。]
さや、
[腕は動かない。何も見えない。 ただ少しだけ――光の欠片が見えた気がした。それだけ。 その光が何を示すものかも巧く判らぬまま、私はただ、声を張り上げる。]
(94) sakanoka 2013/01/15(Tue) 22時半頃
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居なくならないで、沙耶、 置いてかないで、沙耶、
沙耶が何者だって構わない。 身を、心を、壊すものであっても、構わない。 ――…あなたと同じ旅路に、居させて、よ。
(95) sakanoka 2013/01/15(Tue) 22時半頃
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|
[そうして包まれる、光の螺旋。 手招くような、光の扉。 一瞬、湖のロッジ、黒い蒸気機関、大広間のパーティ会場が見えた。 その扉の先に見えたものは。]
(96) 六花 2013/01/15(Tue) 22時半頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
sakanoka 2013/01/15(Tue) 22時半頃
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[目が覚めれば、そこは見世物小屋から逃げていた雪道。 握られた手>>#3を、ぎゅっと握り返して。]
……アタシ、生きてる? キミは、本当に死んでいるの?
どうやったのか、分からないけど。 なかなか素敵なカラクリだったよ。 ありがとう。
[繋いでいない方の手に未だ残るのは、『0.愚者』のカード。]
……泣かないで。
[頬に伸ばした手は、触れる事叶わずに、少年は雪に溶けて。 アタシは、また雪道の先へと走りだした――……。]
(97) 六花 2013/01/15(Tue) 22時半頃
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[アタシが持っていたもの、『剣―スート―』。 身を斬る様な辛い過去。戦ってきた人生。 一人のアタシが、自分も顧みず、捨て身で切り開こうとした未来。]
[あの洋館で得たもの、『杯―カップ―』。 信じる事ができずに、逆さにしても、何度も溢れる程に貰った愛情。 そして、アタシが好きになった人達。 一人じゃなくなったアタシ。願ってもらった未来。 自分を、好きな人達を守りたいと願う心。]
[アタシは『剣』と『杯』を持って、外国船に潜りこんで、海を渡った。]
(98) 六花 2013/01/15(Tue) 22時半頃
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[『剣』と『杯』で創造した、『杖―ワンド―』。 知らない異国の地、旅芸人の一座に拾ってもらったアタシは、団員のみんなと沢山のお客さん達を、幸せにしたいと願う。 みんなが笑い合える場所を、作りたいと願う。]
[そして『杖』がやがて、『硬貨―ペンタクルス―』を作ったら。 ――……アタシはみんなを、探しに行くんだ。]
[一つが二つになり、合わせると新しい物が生まれる。 アタシは『剣』と『杯』と『杖』と『硬貨』で、『未来』を創造する。 アタシは『千』の空を渡り『幸』せに『生』きる『鶴』。 そして――……。]
(99) 六花 2013/01/15(Tue) 23時頃
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[遠い異国の、雲一つない青空。 ぼろぼろになった『0.愚者』のカードを空にかざして、語りかける。 空はどこまでも続いていて、遠く離れていても、届く様な気がしたから。]
ねぇ。少年の名前は、なんていうの? アタシの名前は、小鈴。
[少年に名乗る名前は、これでいい。 鈴は輪廻転生を現すものだと、知ったから。 今の生で、アナタの足跡を見つける事は、できるでしょうか? 叶わなくても、いつか必ず、輪廻の果てで会える様に。 アナタがくれた、ひとときの魔法。 いつかアナタが哀しい時は、今度はアタシが傘を差してあげる。]
……泣かないで。 もう、哀しくないよね?
[前を見て、不安に足が止まる時。 後ろを見て、後悔に足が止まる時。横を見て? アナタの隣には、未来を創造する――……『I.魔術師』**]
(100) 六花 2013/01/15(Tue) 23時頃
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町娘 小鈴は、メモを貼った。
六花 2013/01/15(Tue) 23時頃
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―回想・1日前―
『決行は明日の日没後ぞ!』
『『おー!』』
[同志達が一斉に拳を上げました。あまり大きな声は出せぬものですから密やかに、密やかに。その中には沙耶お嬢様の姿もありました。 士気が高まる中、広げられた館の図面を指差しながら持ち場を決めていきます。
各自解散の後、父御に呼び止められました。月見をしようと縁側に座ります。 花のような粉雪が舞う中、手渡されたのは1つの書簡。
これはとお嬢様が父御の顔を見上げますと、日頃の厳しい顔のまま、父御はおっしゃるのです。]
(101) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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[討ち入りに加わらず、生きてこの書簡を後世に伝えよとおっしゃるのです。
お嬢様は首を横に振りましたが、父御は一度下した決定を取り下げる方ではありませんでした。
最後の離脱者として、父御と兄御と同志達から離れたのです。ひとり。**]
(102) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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―雪道―
[齢十八の武家のお嬢様は諸事情故に少年武士の格好をされています。 これも今日この日までと志に努めていらっしゃいましたが、今は同士と別の道をただ一人。 哀しさと悔しさと供に、ただお一人。
簑に着いた白は赤を吸い、お嬢様の歩いてきた道に小さな証を残すのでした。 複数の誰かを斬ったという感触だけは、残っているのです。
白ばかりの道の途中、真暗な冷たさは孤独を増していくようです。 光の扉の先、見えた光景に瞬きを繰り返し、大広間の光景にハと息を飲みました。]
(103) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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[繋いでいたはずの手がないのです。 軟膏を塗り、手当をしたはずの左腕はじくりと痛むのです。 撃ち抜かれたはずの額に孔など空いていないのです。]
……私は、何処に……いた? 生きて、いる?
[白ばかりの道の前に人影を見つけ、紅く冷たい頬を拭います。 それは透明な傘を持つ異国の少年でした。
柄に手を伸ばしたお嬢様の手を、冷たい手でそっと握るのです。 耳元で囁く声は、諭すような祈るような声でございました。]
(104) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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“―――生きて”
(105) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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[とても難しいことですが、本当は簡単なことだとおっしゃるのです。
ひょーひょーと啼く儚い声は、もう内から聞こえません。
鵺はもう、墜ちたのですから。]
っ、少年! ……主は、結局 何者だったのだ……。 何故、殺されたのだ。
[答えは返っては来ませんでした。少年と繋いだ手は離れ、道の半ばにまた ひとり。]
(106) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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……嗚呼、そうだな。
私は死んだ。だが、生きている。例え夢でも構わぬ。 今生きていることを嬉しく思う。
私には―――望む未来>>86があるのだから。 心を曲げず、そうあるべきだと決めつけず。 沙耶でなくとも平太でなくても構わぬ。 何者であっても良いと、言うてくれる者がいるのだから。
どのようにしても、生きて―――…
[被っていた笠を脱ぎ、するりと髪を縛る水色を解くと口に咥えました。 束ねた長い髪を持ったまま、脇差を抜きます。 髪に宛てがい、下から一気に振り抜きました。]
(107) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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[ゆっくりと頭を振り、髪を払います。 愛しさや、慈し、渇望だけを残すように。>>51 黒髪は風に流され、蝶のようにひらひらとはらはらと舞い落ちていきました。
少年に案内された道はどれだったでしょう。 辿り着いた洋館は何処にあったでしょう。 記憶を頼りに歩くのです。
ざくりと雪道を踏みしめて、呼ぶのです。]
(108) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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――嗚呼、答えて。
[白い息を吐き出しながら、やわらかな雪の上に膝を着きぼすりぼすりと叩くのでした。**]
(109) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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―生道―
[花のような粉雪が舞う夜明けでございました。 木南家当主を初め、同志の方々は主君の仇討ちに屋敷に押しかけ、見事敵の首を討ち取ったのです。そのまま主君の眠る墓の前に捧げ、皆々割腹されたのです。
辞世の句を遺して、華々しく忠義に散っていかれたのです。
討ち入って本懐を遂げようが遂げまいが、不埒者として召し捕らえられ死罪は免れるはずがないのです。 よくぞやったと世間は褒め称えましたが、離脱した者の中には不忠を責められ自害された方もおりました。 主犯の木南の家は取り潰され、お嬢様は家を失ったのでした。]
(110) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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『へぇ。木南は、確か討ち入りなさったっつーお侍さんの名ではなかったとですかね』
[薬売りの問い>>65に答える者はおりましても、『木南沙耶』の名を知る者はおりませんでした。
もしもご存知の方が居らしたら、哀しげな色を浮かべて斯様におっしゃるかもしれません。]
『お可哀想に。2年前に亡くなられたと、聞き及んでおりまする。』
[『木南沙耶』なる者など、とうに世から消えていたのです。**]
(111) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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―街道―
[ある日のこと、お嬢様は道中追い剥ぎに出くわしてしまいました。 何も盗るものがないと言えば、刀を置いていけと脅されます。 手放せば見逃してくれる算段ではないのでしょう。 結局は斬り合い、けれど命を奪うことは出来ませんでした。
逃げおおせたのは良いものの、切りつけられた左の腕が痛み、持ち上げられません。 街道の茶屋まで辿り着き、水を求めるのです。]
……いや。薬の類は持っておらん。切れた。
(112) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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『へぇ。先程、薬売りの方が休まれておいででした。 まだ遠くは行っていないはずでしょうから、追いかけて薬を買うて参りましょうか。』
嗚呼、―――頼む。
[僅かの薬でも売って貰えれば幸いと財布を取り出し、茶屋の主に頷きました。]
『ところでお侍さん。もしや「平太」という名ではありませんか?』
……何故?
『いえ。その薬売りさんが、然様な名前の方が訪れたら教えて欲しいと言うものですから。生憎と腹痛の薬しか置いて貰っておらんのですけど。』
(113) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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[ゆっくりとお嬢様は息を吐きました。平太の名前を知っている薬売りといえば1人しか思い当たりません。 銭を受け取った茶屋の娘が駆けていく道の先を、じつと見ます。 あの先に、芙蓉の衣を纏った薬売りが居るのではないかと思えば、自然と涙が出そうになるのです。]
残す不要の……
[そうして、痛みに唇をぐと結ぶのでした。**]
(114) k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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武家の娘 沙耶は、メモを貼った。
k_karura 2013/01/15(Tue) 23時頃
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[ステンドグラスの前。
暗闇の中ではその微かな光しか無かった筈が、 唐突に光が溢れ、螺旋を描いて視界を奪う。
それが何を意味するのか、何が起きているのか。
――直ぐには、理解出来なかった。
けれど背に回された腕、自分を抱く力が増し、 それを悟らせる>>29。]
(115) ぶんちゃん 2013/01/16(Wed) 00時半頃
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―――っ、……ぃ、ゃ……
[自分の顔の直ぐ横、寄せられた顔。
慶を抱いていた手を滑らせ、 首へと添えて引き寄せるように、しがみつく。
慶の落とす雫が肩を濡らしたのと同様、 自分の涙が慶の青朽葉を濡らす。
触れたところから伝わる、想いを寄せた男の暖かみを抱いて。
終わってくれるな、と願う。願う。願う。]
(116) ぶんちゃん 2013/01/16(Wed) 00時半頃
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[それなのに。
これほど互いが互いを抱いているというのに、 触れているところから身の内へと、 まるで引いてゆく潮のように遠くなってゆくその暖かさ。]
(――嗚呼、寒い。)
[まるであの少年と会ったあの時のように体は冷え、 光で何も見えぬ。
触れている筈の男がまだ其処に居るを感じるは、 必死に抗う為の息遣いのみ。
姿が見えずとも、触れている熱さえも奪われようとも…。
この息は耳を、心を暖めてくれる。]
(117) ぶんちゃん 2013/01/16(Wed) 00時半頃
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|
[けれど―――。
終に、その時を悟ったのだろうか。
耳に届く聲色>>31に、 駄々を捏ねる子供の如くふるふると頭を振る。
潰される程の力で抱きしめられた時よりも遥かに苦しく、息が詰まる。 もう動かなくなった筈の心の臟が握り潰される心地。
遠くなる息―――。
心が千切れてしまう。そう思った。
中庭で貰ったのと同様に耳に届く言葉は途切れ>>2:-171 頭の中に響くような聲>>-366が続く。]
(118) ぶんちゃん 2013/01/16(Wed) 00時半頃
|
|
[――――何も、告げられなかった。
別れの言葉など、知らぬ。
何か言ってしまえば、本当に最期になってしまう気もして。
例えこれが終わりだとしても。 終わりだなどと、思いたくはなかった。]
(119) ぶんちゃん 2013/01/16(Wed) 00時半頃
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|
[姿も、暖かみも聲も、…息も喪って。
本当に一人になってしまって漸く、
遠退く意識の中―――、ぽつ、と呟く。]
.
(120) ぶんちゃん 2013/01/16(Wed) 00時半頃
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[ステンドグラスを、…万華鏡を、 時を忘れて眺めてしまう、そのような人のままで――。
これは、―――別れの言葉などでは、ない。**]
.
(121) ぶんちゃん 2013/01/16(Wed) 00時半頃
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[『木原様』>>85と呼び名に戻った事にお嬢様は胸をなで下ろしました。]
――なん、だと? 好き?
[小さく笑う小雀殿を見返します。 人として好きだということでしょうが、然様な事を言われた事などないのですから。 互いに刃を向け合った事もありました。 続く願いの言葉>>86に、やはり小雀殿は「イイヒト」なのだと表情を緩めました。]
曲芸師? 嗚呼、道理で迷いなく投げられたのか。
迷いなどあれば、死ぬからな。見せる為の芸であろうに。
[小さい頃に見た覚えがありました。 小刀使いも入れば獣使いも居た賑やかな一座でございました。]
(122) k_karura 2013/01/16(Wed) 01時頃
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私の、話か?
[『沙耶』>>87との呼び名に片眉をあげられましたが、目くじらばかり立ててもと肩を落として、細い猫目に困ったように小さな笑みを零しました。]
そうだ、な……。沙耶の―――どんな話が良いだろうな。
[剣術の修行話などは詰まらないだろうかと探りながら、ぽつりと話し始めるのでした。**]
(123) k_karura 2013/01/16(Wed) 01時頃
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武家の娘 沙耶は、メモを貼った。
k_karura 2013/01/16(Wed) 01時頃
沙耶は、笑いを噛み殺しながらウト[[who]]>>-487
k_karura 2013/01/16(Wed) 01時頃
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――夜の村で――
[夜に声を上げたものだから、ぎろりと睨む目を避けられやしない。 馬鹿野郎、と飛びくる罵声もあった。眉を寄せてひそひそとこちらを伺う目線もあった。 が、そのうちに一人の女が、曲がりはじめた腰が痛むのか片腕で支えながら、のそのそと歩み出てきた。]
『如何なさったね、太っちゃん』
[お父の頃からの、長い付き合いの家だ。 芙蓉の名を貰う前から自分を知っているこの人は、未だに芙蓉とは呼んでくれない。 長く自分を知るこの人だけが、今、縋れる唯一の。]
(124) mmsk 2013/01/16(Wed) 01時頃
|
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あぁ、良かった、小津の姐さんだけでも出てきてくれて。 ――探し人、や。 お武家さん。木南、ってぇ家名の、お武家さんを探しとる。
[あからさまに安堵して囁けば、にぃたりと姐さんの口元が弓なった。 それが女の勘だというのならば、これほど怖いものはないなと、肝が冷える心地で。]
『おや、おや。お武家のお姫様に惚れなすったかい、太っちゃん。……けれどねぇ、すまないが心当たりはあたしにはあらせんな。ちょぉ聞いて来るから、待ち』
[小津の姐さんの、人脈の広さには恐れ入る。 この近くに住まう人間で、姐さんを知らないものはいないだろう。 程なくして、二人の男が連れられてきた。]
(125) mmsk 2013/01/16(Wed) 01時頃
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『芙蓉、さん、言うたか。お探しになっとるのは、木に、南で木南いうお武家の方でええんですか』
[頷きを返せば、男はひどく苦い顔をして、唇を湿す。 詳しいことは、うちも知らんのですよと前置きをしてから、討ち入りに入った木南という武家の話を、何度もつっかえながら、少しずつ話してくれた。]
沙耶、という娘さんのことは。
[駄目で元々だと、名を出して尋ねる。 男はうつむいて、緩く首を振った。]
(126) mmsk 2013/01/16(Wed) 01時頃
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『お探しの人言うんは、その方ですか。……お可哀想に。2年前に亡くなられたと、聞き及んでおります』
……さい、ですか。
[彼女の死を目に、耳にするのは、これが合わせて二度目だが。 死んではいないと、確信があった。身を偽っていたような彼女だから、すでに"死んで"いてもおかしくはない。 小津の姐さんがすまなかったねと、深く謝罪を向けていた。 こちらこそ夜に騒いですまなかったと、俄に騒がしい夜はそうして改めて帳を下ろした。]
(127) mmsk 2013/01/16(Wed) 01時頃
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――それから――
[あの日の翌朝から、常より多くの薬を拵えて、常より遠く、時には何泊かしながら、情報を求めて歩きまわる日々が続いた。 宿場、茶屋、団子屋、蕎麦屋。旅歩きの足がかりになりそうな場所には、立ち寄れば必ず「平太」という武士を探していること、簡単な外見と、それからひとつの手紙を残して。
その生活が、何日続いたろう。 別に、夫婦になりたいと強く望むわけではない。きっとそんなことを言えば、困らせるのだろうと思っている。 ただ。ただ、この目で今一度で構わないから、生き、歩む姿を見、願わくばその命に、手を伸ばせれば良いと、その一心で。 今日もひとつの茶屋に平田の名を告げて、手紙を残す。]
じゃぁ、もし、もしで構いません。何かありましたら、宜しくお願いします。
[そうして、茶屋を後にした。]
(128) mmsk 2013/01/16(Wed) 01時頃
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[茶屋の主は幾らかの銭をもらって店を出、そうして直ぐに引き返した。 慌てた足取りでがたがたと、一枚の紙を取り出して、侍姿の前に置く。]
『ああ、お侍さん。もし、お心当たりがあるようでしたら、こちら』
[息を切らせてそれだけ言って、また直ぐに駆け出していく。 慌ただしい主は店にぽつんと一人を残して、背を見られているも気づかず小さくなっていくばかり。 もしも、その手紙を開いたならば、記されているのはたったの一言。]
――Help is coming soon――
[西洋文化に通ずる相手に残した、掛詞。]
(129) mmsk 2013/01/16(Wed) 01時頃
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『薬売りの、お兄哥さん!』
[走りきた茶屋の主にの声に、くるりと振り向く。 なんぞ忘れ物でもしたろうかと、その時は呑気に向いたものだが。]
『お薬を、お分けいただけたいのです、刀傷の、新しいもの』
[肩で息をする声は途切れ途切れで、苦しげで。 うまく言葉が出ない代わりに、袖を引かれて元きた道を戻らせようと。 それほどまでに急がずとも、と思うが、新しい金創と聞けば急ぐこともあるだろうかと、足取りに続く。 主がはぁ、はぁ、と荒い息を整えながら行く道中。 どうにか肺に息を渡らせると、一言。]
『お手負いの、平太さんと仰る、お侍様――!』
(130) mmsk 2013/01/16(Wed) 01時半頃
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[それを聞いて、どくりと心臓が跳ねた。 また、傷を。気が急いて、ここまで走りきた店主を、なお急かしたか。
その茶屋まで、もうあといくらもない*]
(131) mmsk 2013/01/16(Wed) 01時半頃
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小鈴は、(((Λ_Λ タダイマー
六花 2013/01/16(Wed) 01時半頃
女中 おみつは、メモを貼った。
ぶんちゃん 2013/01/16(Wed) 01時半頃
|
[「終わり」までの刹那の幸福を噛み締めた。>>8:-56 たとえ離れ離れになろうとも歩みて往けると信じた。>>8:-58 然うして共に逝けぬ旅路の幸を願った。>>7:-93
詰まるところ、己は疾うの昔に定めを受け入れていたのだ。
―――― 然し、 如何して。]
(132) wiosna 2013/01/16(Wed) 02時頃
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|
[薄れゆく意識の中]
[其の女は首を振る。>>118
噛み締めた声で、「みっともなく」己を呼ぶ。>>-469]
[ 幾度踏み荒らされても立ち上がる、野薔薇の如く。 ]
(133) wiosna 2013/01/16(Wed) 02時頃
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|
[神宿る白は白雪の中笑みて紛れる。
一面の白の中に一点、潔く佇むは涼やかなものとおん。
ものとおんの足下に路作るは提灯の赤、
路を駆ける桃色の猫を追う江戸紫。
天に眼を向ければ灰から変わり往く淡青の空を黄の魚が泳ぐ。
紅衣は水色と共に凛として立ち、
青き眼の兎が高く跳ね、咲き誇る花は紅花の芙蓉。]
(134) wiosna 2013/01/16(Wed) 02時頃
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[時が逆巻く雪原を己は駆ける。 光よりも速く、駆け抜ける。
椅子の並びし白きてえぶるが視えた。
暗き海を走る黒鉄の列車が視えた。
湖畔に佇む西洋館が視えた。
其の全てを己は追い抜いていく。 其の光の果て、唯一つの温もりを追いかけて―――――……]
(135) wiosna 2013/01/16(Wed) 02時頃
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……―――っ、
アアあああァァァぁああああああああ ッ ッッ ッ !!!!!
[ 其の先を 「信じる」 ならば。 ]
(136) wiosna 2013/01/16(Wed) 02時頃
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[
――――落ちる手は、 は と取られた。>>#3
]
(137) wiosna 2013/01/16(Wed) 02時頃
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『だからもう、君は哀しくないよね。』>>#7
[己の求むるあたたかさとは真反対の、死者の冷たさを宿した手。 童子が己を覗きこみ、微笑む。]
(138) wiosna 2013/01/16(Wed) 02時頃
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|
[視界は既に奪われて久しき。 やがて触覚も、聴覚も死して逝く。 故に童子が最期の言葉は己には届かぬ。]
[熱を喪いし己はただひとり、 永久に吹き荒れる風雪の中に、 沈み 逝 く 。]
(139) wiosna 2013/01/16(Wed) 02時頃
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町娘 小鈴は、メモを貼った。
六花 2013/01/16(Wed) 02時頃
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―街道・茶屋―
[主の震える手に怪訝そうな顔を浮かべ、置き去った紙に視線を落とします。>>129 心当たりはあるのですが、すぐには開くことが出来ず、裏に表にとひっくり返すのです。
鼻を寄せると、草の匂いが僅かに致しました。
意を決して手紙を開き、記されていた横文字の意味は――]
(140) k_karura 2013/01/16(Wed) 02時頃
|
|
……っ!
[待つ事は出来ませんでした。立ち上がり、背中を追うのです。 腕を抑え、痛みに顔を顰め、それでも追わずにはおられませんでした。
間もなく、の『間』すら、もう待ちたくはないのだとでも言うように。
芙蓉の紋は、変わらず蝶と共に居たでしょうか。 少年のように短く切った髪を見ても、お嬢様だと気付いて下さるでしょうか。
不安だからこそ、名を呼ぶのです。]
(141) k_karura 2013/01/16(Wed) 02時頃
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太助! 澪標の太助!
[お嬢様しか知らぬであろう薬売りの名を、呼ぶのでした。*]
(142) k_karura 2013/01/16(Wed) 02時頃
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武家の娘 沙耶は、メモを貼った。
k_karura 2013/01/16(Wed) 02時半頃
浪人 慶三郎は、メモを貼った。
wiosna 2013/01/16(Wed) 02時半頃
|
――街道の茶屋――
[浅橙色に、蝶と芙蓉の鮮やかな仕立ての着物は、土埃に少し汚れていて。 それを隠すように、桧皮の羽織がはためいている。 命よりも大事な薬鞄の重さすらどこか煩わしいほど、足は急いでいた。
もう、まもなく茶屋というところで。 茶屋から駆け出てくる、姿。]
『お侍さんったら、駆けていらして! 傷は――』
[店主がそう窘めるのがはっきりと聞こえるほど、自分は声を失っていた。 綺麗だった髪はばっさりと切られて、より少年らしくなったようにも思う。 けれど、凛とした瞳のいろは、忘れもしない。]
(143) mmsk 2013/01/16(Wed) 02時半頃
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[澪標の太助、と呼ぶ声が、心のうちの奥へ奥へと、どくりと刺さる。
ああ、 この声を、 この人を、 ずっと、 求めていた。]
(144) mmsk 2013/01/16(Wed) 02時半頃
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|
――沙耶!
[確信を持って、名を叫んで。 そしてこちらを呼ぶその人その顔その頬に、すっと手を伸ばし。
ぱん、と一息に平手を張った。]
(145) mmsk 2013/01/16(Wed) 02時半頃
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|
怪我人が走らない。
[そうぴしゃんと言い切って、それから赦されるならば張った頬を今度は慈しむようにゆるりと撫でる。 叱咤から始まった再会。けれど次の瞬間には吊っていた眉も黒鳶色の瞳も、ふっと緩ませた。]
逢えて、よかった。
[言いようもない感情が次から次と沸き起こるのを感じて、それでも努めて平静のままで、ただ、しあわせに、笑む。]
(146) mmsk 2013/01/16(Wed) 02時半頃
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戻ろか。 ここでその腕診るわけにいかん。
[想像よりは、浅い傷。 それでも傷には違いなく、その傷はこの手で、癒し繋がねばならない傷だから。 今一度と茶屋に戻って、忍冬の軟膏を、また手に取ろう。
「まもなくすぐに、たすけがくる」と、書いた手紙の通りに*]
(147) mmsk 2013/01/16(Wed) 02時半頃
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― 数年後 ―
さっっむ!!!
[渡り鳥なのに、寒い故郷に戻るのは、逆じゃないだろーかなんて思いながら。 見上げた真っ暗な空からは、雪花がはらはら舞い落ちる。]
なんで、雪の日なのよー!
[悪態をつきながら、ざくざくと雪道を歩く。 まぁ、それなら約束>>73を律儀に守らず、別の日にすれば良かった気もするけど。 昔は全然平気だったのに、今は、寒さに敏感になっている気がする。]
(148) 六花 2013/01/16(Wed) 02時半頃
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[故郷に戻って最初に行ったのは、昔居た見世物小屋。 得た『硬貨』で、まずはアタシを買い戻した。 すっきりした。]
[次に向かったのは……。>>74]
ねぇ、アンタの『天国』ここなの? ねぇ、帰るよ……?
[『天国』で待っててと言ったけど。 いやむしろ、予想は大当たりだったというべきか。]
[他の人に会いに行っちゃおうかなとか、思いつつ。 スカートにブーツの洋装に、短く切られた髪の猫目が、片手を腰に、溜息を漏らした。*]
(149) 六花 2013/01/16(Wed) 02時半頃
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町娘 小鈴は、メモを貼った。
六花 2013/01/16(Wed) 03時頃
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― Ending : 千紫万紅 ―
[ あか あお むらさき。 ]
[ みずいろ きいろ ももいろ。 ]
[ しろ。 ]
[天より来たりし光は彩り豊かに、綺羅りと輝く。]
(150) wiosna 2013/01/16(Wed) 03時半頃
|
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[眩しき光を瞼に感じ、己は薄っすらと眼を開いた。 七色の彩りが開いた右眼に飛び込んで来て、ひとつ瞬く]
此処は……
[一体何処、なのか。 己はゆったりと視線を彷徨わせる。 ぼやけた視線の先に黒を視て、強く手を伸ばそうとして]
…………っ、
[其の手を取られた。 今度こそ、生きた熱を持つ力強き手に。]
(151) wiosna 2013/01/16(Wed) 03時半頃
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[童子のものでも女のものでもない其の手の持ち主は、 『お加減如何ですか』 と己に問うた。 掠れた声、間抜けにも驚いた顔で己は大真面目に問いかける]
此処は……… 黄泉、 か?
[其の言に、黒を纏いし男は大層可笑しそうに、己を笑った。]
(152) wiosna 2013/01/16(Wed) 03時半頃
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[ ――――――― ]
(153) wiosna 2013/01/16(Wed) 03時半頃
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[己を助けた黒の男は、異教の宣教師であった。
己が行き倒れていた草むらは教会の裏庭であったらしく、此の宣教師が朝早く出かけた処己の姿を発見したのだと云う。 あたたかき、然し粗末な部屋は洋風建築ではあれど凡そ教会らしくは無く――されど嗚呼、たしかに。己の顔を照らしていた七色の光、すてんどぐらすが良く映える。
其のせいか未だ現実味は無く、 未だ此の身はかの館に居るのではないか、やら、此の宣教師なる男の言が嘘で、実際煉獄に来たのではないかやら、考え出す始末。]
(154) wiosna 2013/01/16(Wed) 03時半頃
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[然し、と宣教師がつぶやいたので、己は顔を上げる。 宣教師は続けて曰く、
本当に、雪の中に埋もれた貴方を発見した時には 死んでいるのかと思うた。 否、死しても可笑しくない雪であった。 然し其れでも、不思議と貴方の身体はあたたかかった。
貴方がどんどん熱を取り戻していくのを視て、 まるで蘇りを見ているが如き気になりました。 …… と。]
(155) wiosna 2013/01/16(Wed) 03時半頃
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[『神の思し召しかもしれませぬ』と牧師が呟く声が、遠くなる。
然うでは無い。然うでは無いのだ。
思い返すのは此の手に触れた生者の熱と、死者の冷たさ。 己は一度、確かに死んだ。 だとしたら 此の己を生かした「奇跡」の熱は、 ]
…… っ、 ちゃん…、
[ぽろり、ぽろりと雫が溢れ落ちた。 嗚呼、己はあの女に何回泣かされるのだろうか。 枯れた声でみっともなく、己は唸る。]
(156) wiosna 2013/01/16(Wed) 03時半頃
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― 二日後 ―
[床から起き上がった己は、直ぐに教会を出発することにした。
宣教師は未だ早すぎると止めようとしたが、直ぐに仕方ない、とでも云いたげな顔をして己の無事を祈ってくれた。 然して別れ際、此れは貴方のものだ、と云いて己の手にひとつ小石を載せた。
横一文字に疵のある赤みのかった黒き石。 其れは紛れも無く、己がかの館で拾った石だった>>3:+21>>3:+22]
(157) wiosna 2013/01/16(Wed) 03時半頃
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[宣教師に教えられ、己ははじめて石の名を識る。]
………風信子石。
[宣教師は頷いて曰く、此れは『哀しみを癒す石』なのだ、と。 仄かに暖かき其の石を握り締めて、己は教会を辞した。]
(158) wiosna 2013/01/16(Wed) 03時半頃
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[己は果てまで続く路の上に立ちて、天を見上げた。
見上げた天は高く、薄雲のかかる青。 本日は快晴也。真、旅立ちには善き日よ。
そら、南の海を観に行こうか。 其れとも山で臆病兎でも追い掛けようか。
狭き國だと人は云う。 然し日ノ本の大地は斯様にも広く、果てなき旅は続いて行くのだろう。 遠き道程。歩む哀しみは此の心締め付けて、 されど確かにいま、己は幸福だと云えるのだ。]
(159) wiosna 2013/01/16(Wed) 03時半頃
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[己は当代二番の頑固者、氏亡くした風来坊。
還る墓無く、されど帰る先有り。
決して忘れ得ぬ熱を此の身に宿し、いざ歩みて往かん。]
[―― 何時か「終わり」の果てに辿り着く、 * 其の日迄 * ――]
(160) wiosna 2013/01/16(Wed) 03時半頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
wiosna 2013/01/16(Wed) 04時頃
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[それは、世界が反転する音。]
(161) suchlich 2013/01/16(Wed) 10時半頃
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[ ...ぱしゃん。]
(162) suchlich 2013/01/16(Wed) 10時半頃
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―暗い色に彩られた屋敷―
[伸ばした手>>8:+23>>8:+25は、そこには届かなかった。 かちゃん。花瓶が落下する。 ああ確かおまえさんが花と一緒に最初に買った花瓶だ。透明な硝子は割れて、中の水が絨毯の色を深く染めた。
その上に散らばる花弁は赤。 赤薔薇はあたしに手折られる事はなく、けれどその花弁を無惨に散らす。]
『どうなさいました?』
[扉を小突くと共に声がした。「のっく」、というやつだろう。 どうって、花瓶を。]
(163) suchlich 2013/01/16(Wed) 10時半頃
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[あたしは花瓶を取ろうとしたのだ。書棚の上に飾られた、赤薔薇の入った花瓶。定期的に水を変えなければ花は死んでしまうのに、おまえさん、そんなこと思いもしなかったんでしょう?それとも花は手折られても勝手に生きているとでも思ってました?あの花が今まで生きていたのは、おまえさんの揃えた女中が世話をしていたおかげですのに。]
『奥様?奥様。』
[また、声。 奥様とは誰だろう。頭に靄が掛かっているようで、上手く物事を考えられない。何か大切な事を忘れている気がする。けれど思い出せない。 訝しげな声が、また上がる。『奥様、ウト様』、と。]
(164) suchlich 2013/01/16(Wed) 10時半頃
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…はい、ウトですえ。 [そこであたしはようやく顔を上げたのだ。*]
(165) suchlich 2013/01/16(Wed) 10時半頃
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―屋敷・おまえさんの書斎で―
[振り返ると同時に、すかぁとの裾が揺れる。 黒い洋靴に黒いわんぴぃす。なんでも西洋では”mourning dress”と呼ぶらしい。 是非着てほしいとおまえさんに言われれば、着ないわけには行かない。譬え和の喪服の中で、自分が奇妙に映っても。]
『大奥様が御呼びです、どうぞ下へ。』
[粛々と、女中が云った。あたしは苦笑いして、首を緩く横に振った。 行きたくないという合図。どうせ私が行かなくても、あの場は保たれるであろう。今頃遺産の振り分けに、熱心に額を寄せ合っている事か。おまえさんは長男ではないので継ぐ家もなく、あたしは子を持たない。
『あの海女をどうしようか』、そんな声が聞こえてくるようだ。 そんなこと、あたしにもわかりやせん。]
(166) suchlich 2013/01/16(Wed) 11時頃
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『どうか、下へ。』
[困った顔で女中が言った。わかっている。あたしが行かなければ顔が立たないことくらい。 おまえさんは成り上がったからいいけれど、ここは所詮日ノ本ノ國、周りは未だ慣習に縛られているのだ。 それに気付かず逝ったおまえさんはなんと幸せな暢気者。
遺される者の気も知らないで。]
形ばかり作ったって、 誰もこの服を、”widow's weeds”とは呼ばせてくれないんやろ?
[あたしが言うと、女中は首を傾げた。 通じやしないだろう、当たり前だ。 溜め息をついて、考え込む。ふと、目についた2つを指さした。]
…お義母様に、お伝えおくんなまし。 この2つと、上方への旅費。それさえ頂ければ構いませんと。
[やっと意図を汲んだのか、女中は一礼して部屋を出た。 ぱたり、扉が閉まる。]
(167) suchlich 2013/01/16(Wed) 11時頃
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[着替えたばかりの黄色い和服と、書棚から零れ落ちた一冊の本。 どうしてそんなものが欲しかったのか、わからない。 ねぇ、でもこれは大切なものな気がするのだ。 とてもとても大切なものな気がするのだ。]
おまえさん。 あたし、言うていなかったわ。 おまえさんのこと、ちゃーんと愛していたんだって。
[静まり返る部屋の中には、零れた透明の硝子と薔薇の香り。 黄色い衣と、おまえさんが読み聞かせてくれた本。 窓に目をやると、ふわり、雪花が舞っていた。]
(168) suchlich 2013/01/16(Wed) 11時頃
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誰が、こまどりころしたの。
[ふと、口に出してみる。 看取りも出来ず、賛美歌も歌えず、何も出来なかったあたし。 ねぇ、ならばせめて、まずおまえさんのために泣くことから始めようか。**]
(169) suchlich 2013/01/16(Wed) 11時頃
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楽士 ウトは、メモを貼った。
suchlich 2013/01/16(Wed) 11時半頃
ウトは、芙蓉あーれー、沙耶さんに言いつけますえー(帯くるくる)**
suchlich 2013/01/16(Wed) 11時半頃
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――街道・茶屋――
[羽織の下から覗く色は、相も変わらず鮮やかで派手な色合いでございました。>>143 お逢いした時よりも薬鞄が重くあるようでした。
お嬢様の御姿を見て、御声を聞いて、『沙耶』と呼べる方は一握りでしょう。
名を呼ぶ声に瞳潤わせ一歩寄り、右腕を差し伸べて応えますが、太助殿の手は思いもよらずお嬢様の頬を打ったのです。>>145 なんたることでしょう!]
(170) k_karura 2013/01/16(Wed) 14時頃
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な……
[よろめき空足を踏みます。然程痛みはありませんが、出会い頭に頬を打たれては驚きが勝るというもの。呆然と太助殿の顔を見詰められました。 再び頬にと伸びた手は、今度は慈しみ溢れる手に変わったのです。>>146]
(171) k_karura 2013/01/16(Wed) 14時頃
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[太助殿の叱責は真っ当なもの。 ばつの悪そうにむすりとしたまま黒鳶をじつと見詰めますが、優しげな色と光しか見えませんでした。]
太助が、来ると分かっていたが、つい。
[あまりにも幸せそうに笑みを向けるものですから、戻ろう>>147と促す太助殿の裾を掴んで僅かに引き留められました。]
私も、逢えてよかった。 信じていたぞ。手紙なんぞ渡されずとも、主が来ることなど。
(172) k_karura 2013/01/16(Wed) 14時頃
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[泣きじゃくる、その意識は次第に掬い上げられ、遠のいて。 だめ、と。いやだ、と。いかないで――と。 抗って、もがいて、ただ、声に成らぬ声を挙げて――、
全てが光の螺旋のうちに消える刹那。 私は、あの人のすがたを見た、気がした。]
(173) sakanoka 2013/01/16(Wed) 21時半頃
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[透明の湖畔。旅立つ者を載せる笛の音。 確かにさっきまで居た、宝物でいっぱいの、暖かい部屋。 全てはほんの僅かな間の、旅路の移ろう景色の絵。 けれどその景色も一瞬の鮮やかさで――、
生ある光のうちに。死にも近い冷たさのうちに。 私は、また、たったひとりぼっち、だった。
けれど。]
(174) sakanoka 2013/01/16(Wed) 21時半頃
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[私は、もう、自ら閉ざした籠の中には居ない。]
(175) sakanoka 2013/01/16(Wed) 21時半頃
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―ある、雪道。―
[降る雪花は何処までも冷たい。 淡色の髪が纏わりつく頬が、その冷たさに刺されるように痛む。
常磐の上着、肩に積もる白銀はさぞ衣に映える色だったろう。 しかし私の目は己のすがた振り返ることは無く。 ただ真っ直ぐに雪道の向こう側だけに向いていた。]
――――…お前、
[死人の如く冷たい手を握り返し。 私は、その手越しに、おのれの手の脈を感じ取る。]
(176) sakanoka 2013/01/16(Wed) 21時半頃
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信じることは。 愛する、ことは。
とても難しくて、
――――本当は、簡単。
[稀なる紅い灯りの主に、微笑と共に告げられたこと。 それはまるで、異なる自分に諭されているような、錯覚。]
(177) sakanoka 2013/01/16(Wed) 21時半頃
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[『生きて』と。 そう告げて消えて行ったその子の涙は、未だ青い目の内に。]
私は、 此処に、生きてる。
[支えを失くし地に付いた掌が、頬に触れる雪が、冷たく刺す。 息が白く零れる。身体が震える。 確かに、死んだ筈の私は生きている。 ――此処にたったひとり、取り残されて。]
でも、わたし、は、 やっぱり、わたし、は――――…
(178) sakanoka 2013/01/16(Wed) 21時半頃
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[凍らぬ涙の滲む目で、雪道の向こうの海を見詰めた。 それは昔、たづとよく眺めた思い出の海。 ――漕ぎ出でたまま帰らぬ人の、瞳の青にも似た紺碧。
私は、もう、あの時と同じように、手を離したりしないと。 幸せになるのだと、決めた。だから――。**]
(179) sakanoka 2013/01/16(Wed) 21時半頃
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―そして、それから―
[一人旅に出ると言い出した私を、かれらはどんな目で見ていたものか。 身の世話してくれた奉公人の娘が「職が無くなる!」と勘違いするのを宥めつつ――。 私は、勇気を持って、かの人に振り向き、その瞳を見た。]
あなたとのお人形遊びも、これで、お終い。 ――…清々した、と仰って頂けて何よりです。
それでは、お兄様。お元気で。
[腹違いの、この國の黒目の、蛇の如き兄。 一度、生意気を申したとして、立場を解らせようと私を組み敷いた人。 此度の「生意気」には、その手は伸びて来なかった。 ――もう、此処に私は居座らぬのだから。]
(180) sakanoka 2013/01/16(Wed) 21時半頃
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[それから目は、老い始めた父の許に。]
お兄様と違い商才も無く、養子にも出せぬ見目なれば。 私が出ていくことに不都合は無いでしょう。
それでは、お父様、
[私には、もう「捨てられぬ」迷いはない。 求めて、諦めて、けれど何処かで期待していた、父の――、
その手が、私の着物の袖を引いた。]
―――…旅路の文は、寄越します。
だからそんな、かなしい 顔をなさいますな。
[相変わらずの冷淡なその目に、その奥に、見えたいろに。 ふっと、私が零したのはこんな言葉で。 そして父から最後にはっきりと告げられた、その言は。]
(181) sakanoka 2013/01/16(Wed) 21時半頃
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『亀吉。
その格好で、決して「天宮」は名乗ってくれるなよ、――』
ええ。文を出す時以外は。
[大きな西洋鞄に、黒革のブーツに――雪花の白のワンピース。 羽織る女物の着物、目尻と口許の色どりは、どれも熱いあか。 少しだけ低い声と平らかな胸と共に、その「異装」はある。
私は、たづのように、青い目で堂々と微笑み返し。 ひとり、広い屋敷を後にした。]
(182) sakanoka 2013/01/16(Wed) 21時半頃
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[初めて履いたブーツは確かに走り易い。下駄とは違う。 薫る海風は心地良く、結われない白銀の髪が揺れる。 覆い隠すことなく、この白銀は晴天の下に在る。]
こんな風に走ったの、何時ぶりだったかな。
[異端の身であること、人を厭う言い訳にはもうしない。 奇異の目も蔑む目も、時に憎悪する目だってあれど。 全てが悪意に満ちている訳ではない、と。あの「夢」の中で、知ったから。
それに。 この國に稀なるこの白銀と青、あの時共にいた人達ならば。 それだけでもきっと、私が私であると気付くだろうから。]
(183) sakanoka 2013/01/16(Wed) 22時頃
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[私は、自由で剛毅な鶴のように風を切り。 怯えない快活な兎のように道を跳ねていく。
臆病さ故に踏み出せず、望みを自ら手放してしまう――、 そんな隠ぬ(おぬ)者、鬼(おに)は、確かに斬られたのだから。 私は今、探し求める――私の鬼を斬った、その人を。**]
(184) sakanoka 2013/01/16(Wed) 22時頃
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――座敷・囲炉裏端――
[ここは花街。貸座敷。 初会裏馴染みと三度重ねて通い詰め。 炉端でうとうと涅槃仏さながら眠っておった。]
やっぱりおなごの腿はええ桃や ひやこい身体がよう暖まる
>>149 [外はしんしん忘れ雪。 季節の終りを物語る。 頭の中には猫の声。 夢から醒めよと爪を尖らせ。 手前の背中を引っ掻くよう。]
(185) hippolyte 2013/01/16(Wed) 22時頃
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なぁ夕霧。 わしは死ぬかもしれん。
[唐突に何をと女は笑う。 寝惚けて夢の中に居るつもりかと。
わしも真顔で。]
そうかもしれん
[それでも顔は、嗚呼。 『哀しい色』をして笑う。]
(186) hippolyte 2013/01/16(Wed) 22時頃
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すみません。 はい。帰ります。
[身支度整え身形を正す。 見すかす遊女は去り際に。 わしの耳元。予言を囁く。]
「あんたは終まで対のまんまや」
[わしは今どないな顔をしとるんやろか。]
(187) hippolyte 2013/01/16(Wed) 22時頃
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[洋装纏った呆れる猫。 様相変わらぬ阿呆な男。]
その髪。よう似おうてます。 誰よりも一番綺麗です。
[満面の笑みを浮べて。 見せかけ一つない言葉を言う。
今宵の月は綺麗かな。 落ち行く雪を照らしてくれれば。 道行く二人も安心できる。 雪の明かりはあまりに綺麗で。 道草ばかり食ってまうんやろなぁ。]
(188) hippolyte 2013/01/16(Wed) 22時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
sakanoka 2013/01/16(Wed) 22時頃
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[幾月経とうが累年経とうが。 あんたが隣りにいるならば。 それは幸せそのものや。 連れ添いあって生きてゆきたい。 待ってくれと言わんばかりに。 二人だけのその名を呼ぶ。]
――、
と。**]
(189) hippolyte 2013/01/16(Wed) 22時頃
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呉服問屋 藤之助は、メモを貼った。
hippolyte 2013/01/16(Wed) 22時頃
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[場所が場所なので、中に入るわけにもいかないし。 どうしようかな、と思いながら、入口でくしゃみをひとつ。 人が出てくる様な音>>188が聞こえれば、言伝でも頼めないかとそちらを振り返り。]
…………。
[その時のアタシは、酷いあきれがおをしていた。 帰ろうかと思った足は、名を呼ぶ声>>189で、止めて。]
覚えてたんだねー。 すっかり 忘れたかと 思った。
[怒り笑顔で、とりあえず、満面の笑顔をつねり。 ひとつ息を吐いて。]
ただいま。 ――……『待って』た?
[それは暗に、妻子や他に想う人ができていないかという問いでもあって。*]
(190) 六花 2013/01/16(Wed) 22時半頃
|
|
―街道―
[鮮やかなあかの錦は、この時は襤褸の下に覆われていた。 西洋の雪花の衣も、その更に下に隠していた。 だから追い剥ぎに目を付けられることも無いと思っていた。
――ああ、甘かった。]
っ、さや、――――…
[西洋鞄を抱えながら、斬り合い傷ついた剣士>>112に丁度庇われるような形で逃げる様、命辛々、とでもいうべきところか。 夢ではない。だから、此処まで走りきれば息は直ぐに切れる。 茶屋まで辿り着いた時、眩暈さえ起こしていた。]
………ああ、頼りない、な。
(191) sakanoka 2013/01/16(Wed) 23時半頃
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[一先ず、こくん、と水を喉に通しながら。 ぼんやりと眺めるのは、茶屋の主が沙耶に尋ねていたこと>>113>>114。 そして、何らかの文を持ってきたのを>>140。]
――――…薬売り、
[まさか、とは思う。 けれど――決して狭くは無いこの國で、こうして奇跡のように、私たちは再び巡り合っている。 もしその人が、ああ、私と同じように、尋ね歩いていたのだとしたら。
沙耶の背中が、離れていく>>141。 私は遅れて立ち上がり、手負いの人の方に腕を伸ばし――、]
(192) sakanoka 2013/01/16(Wed) 23時半頃
|
|
[呼ばれるふたつの名を、聞く>>142>>145。]
え、?
[沙耶が呼んだ名は、まるで知らない名で。 けれど返ってきた声の主は確かに、かの人で。 ぱちり、瞬き、目を凝らせば―――。]
! おま、え!何を、
[あの男、事も有ろうが出会い頭に沙耶の頬を叩いていた!]
(193) sakanoka 2013/01/16(Wed) 23時半頃
|
|
――――……ああ、
[少し離れた茶屋からでも、確かにちらりと鮮やかな浅橙は見えた。 その鞄も、やはり聞き覚えのある、その声色も。
一歩踏み出そうとした足は、裾を引き留める沙耶の仕草>>172を見て、止まる。 臆病の鬼がぶり返した訳ではなく、ただ――、
けれど、うらやましい、とはもう言わない。]
(194) sakanoka 2013/01/16(Wed) 23時半頃
|
|
―街道―
[沙耶お嬢様と志乃殿、亀吉殿の行く手を遮った無頼の方々は、下劣な笑みを浮かべてお嬢様に言うのです。]
『何もなければ刀を置いていけ』
[そうして、襤褸を纏っておられる方々を上から下まで見渡したあと、亀吉殿に手を伸ばしたのです。]
『痩せたガキは売れやしない。こっちの女でも良いな』
……ほぅ。 私のお嬢様に触るな。穢らわしい。
[かちゃと鍔を鳴らし、 すらりと刀を抜くのでした。**]
(195) k_karura 2013/01/17(Thu) 00時頃
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|
芙蓉様。――沙耶。 のんびりしていたら、怪我、悪くなってしまう……
[うら若い娘のようなやきもちは、今はそっと仕舞いこんで。 巡り合えたこの時を、今はふたりだけにしておこうと思った、から。**]
(196) sakanoka 2013/01/17(Thu) 00時頃
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町娘 小鈴は、メモを貼った。
六花 2013/01/17(Thu) 00時頃
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―それは、何時かの。―
[その時は少し陽が落ちかけていた。 異人の居留地の建つ港町を出て、とある街道を往く姿、傍から見れば、異人じみた女の一人旅。 目立たない訳がないそれが、誂えの対象にならない訳も無い。]
っ、はな せ―――っ!!
[取られそうになったは高価な鞄か、身体の方か。 身を捩れども、腕を掴む手は振りほどけそうにない。 痛みに、嫌な冷たさに、震え竦む怯えを、辛うじて堪える。]
わたしは、『木原平太』という方を知らぬかと、聞いただけっ! あなたに、―――斯様にされる為では、ないっ、
[「木南沙耶」は死んだ、という話なら既に聞いている。 けれど私は、死んだのはその名前だけだ、と信じていた。 「生きるべき、この世界」に戻ってきた時に。 確かに、同じ空の下に、彼女は生きている、と信じられたのだから。]
(197) sakanoka 2013/01/17(Thu) 00時頃
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|
[けれど。 その彼女に再び見える前に、私は、此処で――]
たす、け て ………
[遂に堪えられなかった涙で滲む、硝子の目。 雫と薄暮とで揺らぐ視界、その時ふっと映ったのは。 ふわりと靡く短い髪と、帯びた刀の影のかたち――。]
(198) sakanoka 2013/01/17(Thu) 00時頃
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|
―そして、今。―
[命辛々逃げた後、その時の剣士の勇姿>>195に、私はあの薄暮のことを思い出す。 銃の一つもなければ、護られるばかりの――、 否、持っていても尚、私は何人もの人に、護られていた。 沙耶にも、芙蓉にも、きっと、しのにも。
けれどそれでも、私はただ弱いだけの身では無い、と信じている。]
…………はぁ。
[今度は、手を伸ばされただけで後ずさったりなどはしなかった。 それだけでも、少しは姉のように強くなっている――、と。]
(199) sakanoka 2013/01/17(Thu) 00時頃
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|
― 雪の中 ―
――――っ!?
[首元に違和感を感じて目を開く。
刹那、何かが手の内から零れ、 とす、と音を立てて落ちた。
開けた視界には、黒の空に白き雪の舞うが映る。 どうやら天を仰いでいたようだ。
ずくん、ずくん――。
激しく脈打つようなその場所に、そっと手を充てがうと、 ぬるりとした何かに触れた。]
(200) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 00時半頃
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|
[それに触れた掌を見ようと視線を落とし、 一面の雪の上、座り込んでいた自分に気付く。
そして、白の上にぱたた、と落つる深紅。 白に突き刺さる、深紅を吸った銀の刃。
嗚呼、いま少し刃を引いていたなら、恐らく―――。
漸く認識すると、 身の内よりぞぞ、と縮み上がって自身を抱いた。]
(201) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 00時半頃
|
|
[辺りを見渡してもあの黒の館は無い。
薔薇の香りも届かぬ。
生者達の言い合う聲も、命を奪う破裂音も、 ……暖かみをくれる息も感じぬ。
全てはこの寒さの中に見た、夢幻だったのだろうか。
否――、自分は確かに抱きしめた。あの暖かみを。 くっくとよく笑う、風来坊を。 最期まで、その存在を追うのに必死だった。
視界を奪われれば手で、熱を奪われれば耳で、 聲を、息を奪われれば、心であの男を追った。]
(202) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 00時半頃
|
|
[ぼろぼろと零れてくるものを抑えられず、
深紅に染まった手で顔を覆う。
悲鳴のような聲をあげて、聲が嗄れるほど泣いた。]
.
(203) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 00時半頃
|
|
[泣き疲れ、寒さもあって意識が朦朧とし始めた頃、]
“―――生きて、 僕や、僕を殺したあの人の分まで”
[頭の奥、響く聲はあの少年か。 吸い込まれてしまいそうなあの、赤い瞳の少年の――。]
死んでは…ならぬ。 …生きねば なら…ぬ。
生きて…… あぁ、きっと……
.
(204) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 00時半頃
|
|
[傷口をがり、と引っ掻き、 遠くなる意識を手繰り寄せる。
体内の、ドッドッという心の臓の拍動や、血潮の脈打つ音。 はぁはぁ、という呼吸。ずず、と鼻を啜る音。
じくじくと痛む傷を手拭いで抑え…。
ざく、ざく、ざく―――。
暗闇の中、真っ白な雪を踏み固めて、
ただただ、必死に足を前に進めるを繰り返す。]
[そうして飛び出した旅籠に辿り着き、 女将の顔を見て一言呟き、意識を手離した。]
(205) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 00時半頃
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[消えた命も消え行く命も、刹那、生きるそれらと同じく輝いた。そして光の螺旋となり、黒の洋館を明るく、まるで太陽のように照らし出す。 赤く濡れた手も、朧の優しげな顔も、眩しくてもう見えない]
―――…嫌、だ なんで
[手を伸ばす。温かい手に、何かに触れた気がした。キン、とおるごおるが旋律を奏で始める。まるで別れの曲みたいに。もう、会えないと示すように]
『真っ直ぐに、軸を持って、生きてくれ。』
[顔の見えない、もういないはずの誰かの声も、旋律と共に螺旋を描く。名を知らぬままだった。顔も、はっきりと見ていない。よく思い出せない。結局何も、知らないままだった]
(206) 茄子 2013/01/17(Thu) 00時半頃
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[水辺に佇む洋館が見えた。 鋭く強い、笛の音が聞こえた。 あかに染まった、あの広い部屋が見えた。
見たいものは何も見えないまま、全ては白に 灰のように細かく溶けて消えていく―――]
(207) 茄子 2013/01/17(Thu) 00時半頃
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……は、
[息は白い。身体は暖かいままで。 頭上には灰色の空。でも目の前は何処までも、白。 黒い影はあの少年だった。館は何処にも見えやしない]
『 、 。』
…聞こえない、よ
[少年の手は、雪のように白く冷たく、そして柔らかかった。 あの人の手は、暖かく、固かった。 雪の上に、暖かい雨が零れ落ちる]
『…―――だけど、君が“生きていくべき”世界。』
(208) 茄子 2013/01/17(Thu) 00時半頃
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[雪を掬う。 手は乾いたまま、白に塗れ。
命を掬う。 見渡す限りの、しろ。己の命を繋がなくては]
………怖い、けど
[守れなかった笑顔が浮かんだ。 あの手から、何度も何度も逃げた。 もう、二度と――逃げ出さない]
(209) 茄子 2013/01/17(Thu) 01時頃
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[振り返る。足跡はまだ、新しい。 一歩進み、また振り返った]
寂しいよ 苦しいし、多分これからもずっと――哀しい
[黒の少年は、ただ微笑む]
(210) 茄子 2013/01/17(Thu) 01時頃
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>>190 いたたた
[頬をつねられ、痛し痒しと悲鳴をあげる。]
忘れません 忘れるはずはありませんって
[素敵な笑顔に思いがけず。 恍惚感が押し寄せる。 この気持ちは何やろか。]
(211) hippolyte 2013/01/17(Thu) 01時頃
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[変わらず続けた放蕩生活。 事が知れれば、猫の仕返しが恐ろしい。 しかし思うおなごは只一人。]
お帰りなさい 『待って』ました [その言葉は力強く。 迎えるように両手を広げる。 抱き締めることが許されれば。 抑える気持ちは楽になるもの。]
(212) hippolyte 2013/01/17(Thu) 01時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
茄子 2013/01/17(Thu) 01時頃
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――茶屋のある街道――
それは、うちが来るてわかったらいてもたってもいられん、て言うてくれてんの?
[わざとそう捉えれば、引かれる裾。 くん、と小さな抵抗を生むその指先>>172に、そちらを向いて。]
――手紙、読んだんか。 綴り間違うとらんかったか、不安で。
[手紙を読んできたのだと、そう言われるだけで。 胸の奥が震えるような心地がして、はぐらかす。]
(213) mmsk 2013/01/17(Thu) 01時頃
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――うちのことを想い患う暇もないほど、傍にいたるわ。
[思わず、声を落とすのも忘れて。 きっと傍にいた亀吉やしのにも、はっきりと聞かれてしまっただろう。 構いは、しない。今更だ。 聞いたか聞かぬか亀吉が、茶屋への道を促せば、明らかに浮かれた笑顔が向いた。]
(214) mmsk 2013/01/17(Thu) 01時頃
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ん、そやな。 戻ろか。
[しかしその足取りがどうにもゆるりとしているのは、沙耶の傷に響かないように、だけでは、ない*]
(215) mmsk 2013/01/17(Thu) 01時頃
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呉服問屋 藤之助は、メモを貼った。
hippolyte 2013/01/17(Thu) 01時頃
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― とある西方の土地 ―
[背後より駆けてくる足音に振り返る。
駆け寄ってくるは、まだ幼き男児。 ――下働きをさせてもらっている屋敷の次男坊。]
「……みつ? また、彼処へ行くのか?」
[切らした息を整えながら、 此方の両の目を真っ直ぐと覗き込んで訊ねてくる。]
えぇ…。彼処へ通うはみつの楽しみ。
―――ところで祥次郎様、 今の刻限は手習いをせねばならぬのでは?
「じぃ、と見上げてくる目を覗き込めば、 わかりやすく動揺して。]
(216) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時頃
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「…あ、えっと…、今日は天気がいいから…。」
天気が良いと、なんなのです?
[問い返すと、目を泳がせてしまって。
聞けば、この男児に手をあげたは自分が初であったらしい。 甘やかされてというよりは、 両親からは居らぬが如き扱い。
実の親がそのような事をするものだろうか。 屋敷へ来て間もない自分には、その実情は未だ知れぬが…。
頬を打った直後、「叱られた事もなかった」と、 この男児は嬉しそうに泣いたのだ。]
(217) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時頃
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「………みつ。」
[名を呼ばれ、記憶の中より現実へと舞い戻る。
そして、目の前の祥次郎が、 何やら言いたげな顔を向けているのに気付いた。]
どうなさいました?
[すると束の間の躊躇いの後、「自分も行っていいか」と。
あまりにもびくびくとした様子に、 ふふ、と聲を漏らして笑ってしまった。
するとどうだ、目に見えて喜びを表情に表した。
この祥次郎は、学問も武芸もよくこなす。 そうであるのに顧みられぬなら、やる気も削がれて当然か。]
今日だけ、ですよ…?
(218) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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[二人連れ立って、キィと扉を開く。 薄暗い建物の中、見慣れた光景が胸を打った。
色硝子に日の光が差込み、 それが床を色鮮やかに彩る。
その光景に、隣の祥次郎は息を呑んでいる様子。]
…これは、『すてんどぐらす』と申します。
「すてん、どぐらす?…すてんど、ぐらす…。」
[何時かの自分のように、ぶつぶつと口遊み、 聞き慣れぬ言葉を覚えようとしている祥次郎に目を細めて、 通路を通って一番前の椅子へと腰掛けた。
ステンドグラスが気に入ったのか、 祥次郎はじっとそれを見上げて目を輝かせている。]
(219) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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[ふと、背後に人の気配を感じて振り返り見た。 黒い装束に身を包んだ男が立っていた。]
…お邪魔しております。
[此処へ通い始めているうち、 挨拶を交わすようになったこの男は宣教師。
優しげな顔を向けて、此方に歩み寄って来るを見て声を掛けた。]
(220) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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「……待ち人は、彼ですか?」
[宣教師はそう言うと、つと視線を祥次郎に向けた。 未だじぃと見入っている姿にくすり、と笑い]
いいえ、……本日も逢えず終いで御座います。
[言葉を紡ぐに顔に少し、 哀が滲んでしまったかもしれない。
それを最後に、特に会話もしないまま… 差し込んでくる光自体が赤みを帯びるまで、 三人はステンドグラスを眺めた。]
(221) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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[帰る間際。
「またここへ来ていいか」と言い出す祥次郎に、 「駄目だ」と言い聞かせるは骨が折れる。
未だ得体の知れぬとされる異教の場。
いくら出来が良く、されど顧みられぬとは言え、 ここに入り浸るをきっと彼の両親は良しとしないだろう。
さらなる冷遇を受けかねない。
駄々を捏ねる祥次郎に困っていると、 宣教師が装束の中より何かを取り出して手渡した。]
(222) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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万華鏡は、ご存知で?
[ふるふると、首を振る祥次郎と共に、 「名だけは…」とその手の中の者をじぃと見た。
「どうぞ」と勧められ、 祥次郎は手に取って筒状のそれを覗き込む。]
「ぅ、あ…………!!」
ど、どうなさいました?
[祥次郎の反応に、ハラハラと見守る。
すると、「みつも覗いてごらんよ」と手渡され、 祥次郎がしたように筒の中を覗き込んで――。]
(223) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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…………あぁ、……これは…。
[なんと綺麗なのだろう。
これか、慶の言っていた、 慶が夢中になって覗き込んでいた世界とは。
「回してごらんなさい」との宣教師の聲に従い、くるりと回してみると、
―――世界が、がらりと色を変えた。]
…………っ、…あぁ…っ、…き、れい……。
[掠れた聲と共に、つつ、と頬を暖かい涙が伝った。
また一つ、慶に近付いた心地がして…堪えられなかったのだ。]
(224) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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|
― 帰り道 ―
――これ、大きくなったらあいつにも見せてやろう。
[教会からずぅっと手に持っていたそれを今一度覗いて、 祥次郎は喜々として言う。
「あいつ」とは、最近妾腹に生まれた義弟のことだろう。
「腹は違えど弟は弟」と。 祥次郎はその弟をよく可愛がっている様子。]
.
(225) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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|
反対は致しませんが…、 万華鏡ばかり覗いていては駄目ですよ。
旦那様に取り上げられてしまうかもしれません。
[そう忠告をするのに祥次郎はにぃと笑って、 「大丈夫、そのようなことにはならないようにするよ」と。
そしてその言葉通り、 これより後この祥次郎は、更に才を伸ばしていくこととなる。]
(226) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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― しばらくの後 ―
[薄暗い部屋の中。 文机に突っ伏して寝る祥次郎を敷いた布団に寝かせ、 今宵も口遊むは子守唄。]
ね、…んねーん ころぉり…よぉ おこぉろ、りぃよ…
「ねぇ、みつ………。」
――ぁ、申し訳御座いません。起こしてしまいましたか…
[名を呼ぶ聲に、トントンと布団を叩く手を止めた。]
.
(227) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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[ふるふると頭を振って、目蓋を開けるを見ていると、]
「……みつは、哀しくならない? いくら待っても訪れない、待ち人に。]
[そう問うてきた。
誰から聴いたのか…否、思い当たるはただ一人。
本当は知っていた。あの宣教師から聞いていたのだ。 祥次郎は自分の言いつけを破って、時々教会に通っている。
自分の事のように泣きそうな聲で訊ねて、 じぃと見据えて。]
.
(228) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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…いいえ、ちっとも。
明日にはやって来るかもしれぬと思い、過ごす日々は、 …大変楽しゅう御座います。
.
(229) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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|
[あの、生きる意味を見い出せずに過ごしてきた日々を思えば、
――…何倍も。
例え二度と見える日が訪れなくとも、 最期の最期まで待ち続けるだろう。
姿が無いのを見ては哀しみ、
けれど明日は、と希望を抱いて**。]
.
(230) ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 01時半頃
|
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……ん。
[そう>>212言ってくれるんじゃないかとは、思っていた。 口元に笑みを浮かべて、こくりと頷いて。]
アタシは……。 言い忘れたかもしれないけど、幼い頃に見世物小屋に売られたの。
[『この身体も、自分のものではない』『見世物小屋の曲芸師』。 この二つは話したけれど、売られたとは言っていなかったな、と。]
洋館の夢を見た後、海を渡った。 それで、また帰ってきて、自分を買い戻して、今に至る。 これで、アタシはアタシのもの。 [にまっと、悪戯な笑みを浮かべて。]
(231) 六花 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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……でもまぁ、いいわ。 一生に一回しか言わないから、ちゃんと聞いてて。
[広げられた手。ふわり、背伸びをして、首に腕を回せば。 身長の差で、体重を殆ど預ける様になってしまうか。耳元で。]
(232) 六花 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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[ふわりと、微笑む。]
[アタシは、自由な鳥。野良猫。 海の向こうで待っている仲間達も居るし、またふっと姿を消すだろう。 でも、心はあげる。]
[”死が二人を別つまで”? ――……ううん。今度は、死んでも一緒だわ。**]
(233) 六花 2013/01/17(Thu) 01時半頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
sakanoka 2013/01/17(Thu) 02時頃
町娘 小鈴は、メモを貼った。
六花 2013/01/17(Thu) 02時半頃
女中 おみつは、メモを貼った。
ぶんちゃん 2013/01/17(Thu) 02時半頃
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>>231 [籠の中でのあの囀り。 今になってようやっと得心を得る。]
すごいなぁ
[あんたは世界を旅して廻り。 自分で自由を掴み取ったわけや。 悪戯な笑みは何よりの自信か。]
(234) hippolyte 2013/01/17(Thu) 03時頃
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>>232 [寒い冬には猫は暖まりにくるものか。 手前に向かうその体を受け止める。 小さくやわいその感触は。 狂おしい愛おしさを思い出させ心をかき乱す。
猫はそのまま首元に腕をまわし。 おなごの香しさが鼻孔をくすぐる。
近づく顔は唇を素通りし。 わしは一言一句聞き洩らさぬよう。 一生に一回の言葉を待った。
猫は告げる耳元でそっと。]
(235) hippolyte 2013/01/17(Thu) 03時頃
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>>-633>>233 [ふわりと微笑むその顔は。 自由を謳歌しているよう。 人生賛歌は自明の理。]
参りました わたしはあんたの帰って来る場所 他の猫が入らぬ様に戸締りをして待ってます
[やっぱりわしは猫が好きか。 追いかけたら逃げていく。 ほうっておけば近づいて来る。 しかし首輪をつけられたのはわしの方。 苦笑いをして頭を掻いた。**]
(236) hippolyte 2013/01/17(Thu) 03時頃
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呉服問屋 藤之助は、メモを貼った。
hippolyte 2013/01/17(Thu) 03時半頃
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―逆巻く刻の中―
[絶った命に、細長い息を吐いた。 男の手には痺れ。 そして顔には微笑み。 眉根を寄せて、ぎりと奥歯を噛み締めた。]
『哀しい』。 嗚呼、ただ『哀しい』だけではないですか。
[呟きと共に目を閉じる。 浮かぶ景色は白に染まった『郷愁』。]
(237) anbito 2013/01/17(Thu) 04時頃
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[その声は光の螺旋に捩込まれ、絡み、引き千切れ、
――――消される。]
(238) anbito 2013/01/17(Thu) 04時頃
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[渦巻く閃光に見たものは。 煌めく湖に浮かぶ家。 漣を連れて往く蒸気機関。 温かに彩られた異国の聖夜。
確かに零れた、幼子の涙。
彼は笑っていたのではないか。 愉快そうな声で、楽しむように。 其れがどうして。 何故。 あの様な顔で。
泣かねばならぬのか。]
(239) anbito 2013/01/17(Thu) 04時頃
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|
[男は『見つけて』やれなかった。 黒き幼子は己に死を与えるを『見つけて』と願っていたのに。
男は『生かして』やれなかった。 手前勝手に『祝福』と謳い、優しき者に手をかけた。 『生きたい』と願った命に、終いにしようと手をかけた。
生の燈作る指先は、命の灯を奪い。 もう提灯を作れはしまい。 男は重き、重きものを背負うと決めたのだ。
だからこそ て、見せたのだ。
終には誰にも判るまい。 男に繋がる『未来』はなし。]
(240) anbito 2013/01/17(Thu) 04時半頃
|
|
[浮かべた表情はなんであったか。
其れさえ螺旋に消ゆる、雪。
嗚呼、此処は?
一面に銀の行き渡る、街を見下ろす坂の上。 あの唐笠爺が、壇がよく歩いていた、街を見下ろす坂の上。 逆巻く刻に悪戯に、戻されたのか―――否。]
(241) anbito 2013/01/17(Thu) 04時半頃
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|
………―――――、ゴフッ!
[内から込み上げる熱は、びしゃりと雪を臙脂に染めた。 押さえた両手を塗り潰し、罪が、命が重く伸しか掛かる。]
嗚、呼。
[唐笠は失せ。 腕には爪痕。 そして、治まらぬは震え。 じわりと奪われていく、体温。]
(242) anbito 2013/01/17(Thu) 04時半頃
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嗚呼。
[世界は男を責めている。 男は男を責めている。
而しても尚、男は立ち上がるのだ。 雪を踏み締め。 赤を踏み締め。 命を背負い。 罪を重ね。
細長く棚引く白は何を隠そう。]
『いき』ましょう。
[音にすれば、同じ。]
(243) anbito 2013/01/17(Thu) 04時半頃
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哀しく、など。
(244) anbito 2013/01/17(Thu) 04時半頃
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[男は病に囚われた。 あの確かな夢の世界に奪った命の応酬であろう。
指先は熱を失い、震えを抑える事も出来ず。 肺をやられ、時折赤を吐き出す生活が続いた。 提灯は二度と作らなかった。 其れは男が頑なに決めたことであった。
連れもなければ子もない老いぼれの、行く末を誰が知ろう。 小さな街の、廃れた提灯屋は、幾年の刻を跨ぎ。
やがて静かに息を引き取るに至る。
短くも長い人生であった。 強くも果敢無い人生であった。 男は散り際、ひとつ搾り出すように告げたと謂う。]
(245) anbito 2013/01/17(Thu) 04時半頃
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今日は、大変寒く御座いますね。
(246) anbito 2013/01/17(Thu) 04時半頃
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[柔らかに笑み、見えぬ涙を零しつつ。 始まりの『愚者』の顔をして。
嗚呼それも。
繋がる『未来』のなければ、誰も知り得ぬ *冬の御話* ]
(247) anbito 2013/01/17(Thu) 04時半頃
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病人 雷門は、メモを貼った。
anbito 2013/01/17(Thu) 05時頃
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― と或る港町の商館 ―
嗚呼……糞ッ、御前さんも頑固だなァ。
[もう幾度目の押し問答となるか。手を変え品を変え交渉してくる此の福耳男、いっそ其の耳たぶ引っ張ってやろうかとも思うが押しとどめる。 一応雇い主であるからだ。 ――未だ、今のところは。]
きっかり一年。 此れは最初から決まってたんだよ。 本日を以って己は此処を辞める。 幾ら積まれても折れねェ、諦めな。
[眼鏡を外し、己は溜息ひとつ。 何故斯様なことになっているかと云えば、話は一年前に遡る。]
(248) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時頃
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― 回想:一年前 ―
[と或る港町を歩いておると、偶然武士と異人との争いに出くわした。両者の言い分、聴いていれば何やら些細な誤解が生じている様子。聞いていられなくなった己はぱっと出て行って其れを仲裁したのだ。 其れを見ていた福耳持つ恰幅の良い男に、はっしと腕を掴まれた]
己に、「通訳」を? 御前さん、本気で其れを云ってんのか。
[曰く男は商人で、異国語を理解する人間を捜していたらしい。 然して己とて人探しの旅の途中。笑って断ろうとすれば、金なら幾らでも積むと懇願される。]
……ったく分かった分かった、受けてやるよ。 然し期間は一年こっきりだ。其れでも良いのか?
[金に目がくらんでなぞおらん―― とは、云えんが。 人の多い港町ならば、捜し人の手がかりひとつ見つかるやもしれぬ。然して、たまには人助けのひとつもしようと思うたのがひとつ。 斯様な派手な黄色衣には、己はどうも弱いらしい。]
[然うして己はどういうわけか、此の港町で通商に携わることとなった。]
(249) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時頃
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[四十近くにしてはじめた慣れぬ仕事。 いちいち求められる契約書には骨が折れたし、送られて来る荷物は己とて見たことの無いものばかり。異人を狙う悪党どもの暴力沙汰に巻き込まれることもあれば、若い娘が一人、商船に潜り込んで海を渡っちまったと云う珍事なぞもあった。
忙しい日々の合間を縫い、港町を訪れる者達に聞きこみを続けた。
然し一年掛けて得た収穫といえば、芙蓉の紋の薬売りの評判が上々という噂に、かの晩のことは矢張り夢では無かったのだと安堵を得たことぐらいか。]
(250) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時頃
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[果てしない聞きこみに疲れれば、己は異人館を訪れてすてんどぐらすの前に立つ。 趣味といえば其の位。 其れすらもただ、遠き黒の館に思い馳せるばかりだ。
異教の開祖の復活を描くすてんどぐらすに、己はぼんやりとかの童子を弔った者はいたのだろうか、と考える。 考えても尽きぬこと。童子は、自らのことは何一つ語らずに消えてしもうた。 故に己は、童子の魂が『Heaven』に在ることだけをひっそりと祈った。]
[―――然様にして月日は流れ、また雪の季節が訪れた。]
(251) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時頃
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― 現在:と或る港町の商館 ―
[其れから押し問答を続けること16(0..100)x1回。 漸く―― 漸く、福耳の旦那を唸らせることに成功した。]
次の職なんざ決まってねェよ。 元々根無し草だったんだ、死にゃァせん。
[行先を案じられけらりと笑う。 いまでは己が身を包むは襤褸で無し。然し布が上等にいくら変われども、色だけは変わらぬ青朽葉。此れもまた襤褸になるのだと思えば笑いも溢れる。 然様な己の様子を見ていた福耳旦那、『斯様な話があるのだが』と、一通の文を差し出した。]
………… 学校?
[聞き慣れぬ言葉に、己は首を傾げる。]
(252) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時頃
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|
[福耳旦那は、「学校」を寺子屋の如きものだと説明した。 知人であると或る商人が異国流を真似て建てる、武家や商家の子弟を集め異国の物事を伝える施設だという。 然様な施設の師匠役に、己に白羽の矢が立てられたというわけだ]
はァ……。 時代は、どんどん変わっていくものなのだなァ……。
[己は、かの屋敷で赤の提灯職人と交わした言葉を思い返していた。 かの男は此の変わっていく時代を、いま如何見ているのだろうか―― 然様な事を思いながら住所を見れば、此処より幾分か西方。
と云うよりも、己が命を救ったかの教会に程近い場所ではないか。]
(253) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時頃
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[己は文に目を落としてしばし熟考した。――然うして]
………分かったよ。 其の話、受けてやろうではないか。
[まるで、定めとでも云うべきものに呼ばれているかのように思ったのだ。
それに、其れは無論此の日ノ本でも初めての試みであろう。己のような者に任せるとは依頼人もまた変わり者だが、変わり者の名こそ天下に響く。]
[己が名をあたらしき時代の香に載せて運んでいくならば、 何時か捜し人のもとへも届くであろうと、信じているから。]
(254) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時頃
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― 西方の教会 ―
[学校への挨拶を済ませた後、己は世話になったあの宣教師のもとに顔を出すべく教会へと向かう。 到着した頃は既に夕刻。 色硝子を通して赤き日の差すに、己は一時ただ目を奪われた。]
……おや、宣教師は居ねェのか。 相も変わらず襤褸っちい教会だなァ… ―― ん?
[ようやく宣教師の不在に気づき周囲を見渡せば、蹲りなにやら書き物をしている坊主が一人。どうやら此の坊主は坊主で、難しい問題に没頭するあまり己の姿に気づいておらぬらしい。 其れを覗きこみ、ひょいと紙を取り上げる]
なになに……。 "Blessed are those who believe without seeing me."
「見ずして信ずる者は幸なり。」 ……さね。
[驚く童子を見下ろして、己はにっとひとつ笑ってみせた。]
(255) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時頃
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|
[坊主は近くの家の子であり、此の教会に通っているらしい。其の語り口から身分卑しからぬ家であり、教会通いはお忍びであることが伺えた。 聖書を見つけたは良いものの異国語がちっとも判らぬ。お願いだから教えてくれ―――然様なことを頼まれたのも束の間。 漸く夕陽が差していることに気づいたのか、坊主は飛び上がった]
あー…… 分かった、分かった。 今度此の近くに学校ってのが出来んだ。 暇なら坊主も通ってきな、幾らでも己の知識を教えてやる。
だからそら、日が暮れる前に帰ってやれ。 今頃其の世話係が心配しているだろうよ。
[時を気にしながらも未だ懇願してくる坊主に向け、ひらりと手を振る。すると坊主は礼を云ってぺこりとひとつ頭を下げ、己にくるりと背を向けた。 家の躾が良いのだろうと、ひとつ笑う。]
(256) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時半頃
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|
……あ、そうさね。
[走る坊主の背を呼び止めた。 不思議そうにする坊主に、己はひとつ畏まり]
ところでつかぬ事をお聞きするが、 己は慶と申す者だが、御前さんの名は何と云ったかな。
[何時か、何処かで口にした口上で問いかける。 すると坊主が口にした名に、己はひとつ目を瞬かせた]
(257) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時半頃
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|
[其れは、己が決して忘れはしない名。]
…… 『正次郎』 ?
[襲いかかる郷愁をほろりと口から零すように、其の名を呼び返した。 然し、其の問は直ぐに間違いであったと識らされる。 己を見上げてにやりと一言。 「祥慶」の「祥」なのだと坊主が云うたからだ。]
『祥慶』 ――――…、
[目出度きことの兆し。]
(258) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時半頃
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………っは!
[此奴、中々才気のある坊主ではないか! 坊主が去り一人となった教会にて、己は何やらとても嬉しくなって、遠慮もせずにくっくっと笑い出してしまった]
此奴ァ随分とお目出てぇ話だなァ。
嗚呼……。己が身にも、なにか良いことが有りそうだ。
[其れは微かな予感。 否――― 其れを人は恐らく、『希望』と呼ぶ。]
(259) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時半頃
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[坊主との出逢いが、己にとっての祥慶と成り得るだろうか。
懐の小石を握り締め、己はゆぅるりと考える。 然し――若し其れが期待はずれであったとしても、 己は未だ希望を抱き続けることが出来るだろう。
いつか、どこかで。 美しいひかりのなかで巡り合うことを、
己は、いつまでも―――― 「信じている」**]
(260) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時半頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
wiosna 2013/01/17(Thu) 06時半頃
芙蓉は、そしてしごと いろいろ表のことも考えてきます**
mmsk 2013/01/17(Thu) 09時半頃
芙蓉は、寝ぼけて変なactした記憶ならあるけど見つからない。よかった。
mmsk 2013/01/17(Thu) 10時頃
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[共に、と声を交わしたまだ幼き面影>>8:-69が、不意にぐにゃりと歪んだ。水面に石が投げ込まれたかのように。美しい鏡面が、罅割れたかのように。]
きっと……
否、必ず――……
[頷きて、その腕を取ろうとした。『おるごおる』を掴もうとした。しかし指は空回り、歪んだ視界は白雪に沈んでいく。何故、と。どうして、と。
まるで全てが夢であったかのように 泡と消え、全てが逆さに戻りゆく。]
(261) oranje 2013/01/17(Thu) 13時頃
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[極彩色の洋館、その中で見た『も・の・とおん』の中庭。 積もる雪、流るる赤、深い闇。
果敢無き闇、落ちる背、悴む足、冷たき瞳、弔う手、笑う眦、細き声、駆けし猫、猛き華、聡し蝶、熱き指、――
その刹那に見えた紺鼠に手を伸ばす。俯いた、それでも眩しい明かり。『おるごおる』の音のような哀しさを持った人。届かず、やはりそれも空を切り、泡となり行くその前に。
今度こそ、守ると。一緒にいると決めた、彼の人へ。]
必ず、貴方と――
[小さき箱から流れ出した哀しき旋律は、やがてはその声をも掻き消して]
(262) oranje 2013/01/17(Thu) 13時頃
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[湖の近く、佇むような建物。 黒い異国の、蒸気機関。 飾り立てられた、大広間。
ああどれも、西洋の夢物語語る絵画のようで、絵本のようで。 その全ての頁を捲り、遠い旅をしていたような。 果敢無き夢を、見ていたような――]
(263) oranje 2013/01/17(Thu) 13時頃
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[虎落笛が鳴る夜は深く、冷たい。 男は一人、その名と同じように宵を渡り歩く。結い上げた長髪が静かに、背を追うように跳ねた。
時折口元から立ち上る、息の凍った白い靄が、目元に落ちる浅黒き影をぼかす。世界の全ての色が彩度をなくし、白と黒とその中間とで構成されているよう。
この色を、確かこう表現するはずだ。]
……も、の、とお……ん
[馴染みがないはずの響きがどうしてこうも、胸を締め付ける。
――否、本当は知っている。その理由も、その意味も。 だから目の前に現れた黒き衣と紅き瞳の少年に、男はただ表情を歪めた。]
(264) oranje 2013/01/17(Thu) 13時頃
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――そうだな、……哀しく、ない。
[口から滑り落ちた声は、少年が姿を消して暫くの後に辺りに響く。 泣いていた、あの幼き少年の前で、どうして哀しいと言えようか。]
(265) oranje 2013/01/17(Thu) 13時頃
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[胸に満ちるのは虚しさ、耳に残るは『おるごおる』の音、瞳に焼きつくは守ると決めた人の姿。 全てが満たされぬというのに。 それでも、決めた一つは。]
…………、生きなければ。 生きて、いかなければ。
[もしまた、彼と会えるなら。守り通すことが出来る希望があるのなら。 その明かりあればこそ、“哀しく”ないと。
故に男は、一歩踏み出す。 粉雪舞う宵闇の中、朧月を探すように、静かに**]
(266) oranje 2013/01/17(Thu) 13時頃
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―港町―
我等姉妹、両親に旅立たれ、母の実家を頼る旅路でございます。 髪を切り男の身なりをしておりますのも道中の心配があればこそ。 妹は病弱ですが、薬代はあまりに高く。
どうぞ憐れと思い、お恵みを。 1日だけでも構いませぬ。何か仕事を下さいませぬか。
(267) k_karura 2013/01/17(Thu) 15時半頃
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[女である事を隠すことなく、お嬢様は仕事が欲しいと方々に頭を下げて回りました。宿屋の玄関で客の足を洗うことも、井戸水汲みも、畑を耕すことも、異国の館で子守りをすることも、商隊警護に当たることも、厭いはされませんでした。
生き方も在り方も変えたお嬢様でしたが、『木原平太』の名前だけは変えませんでした。『木南沙耶』の秘密を知ってしまえば、残る手掛かりは平太の名前だけでしょうから。変えることなど出来なかったのです。]
ん、なんだ? まこと。私の手をじっと見て。 左様な事。構わぬ。必要だからやっていることだ。
いいから。まことは早く体を丈夫にすることを考えよ。今のままでは刀などとてもとても。
[ふわと柔らかな笑みを浮かべて、心配顔のまこと殿の髪を梳き、慰めるのでした。**]
(268) k_karura 2013/01/17(Thu) 15時半頃
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―街道―
[港町を出た街道でのことでした。 陽の傾き様に足を早めておりますと、前方より悲鳴>>198が聞こえました。見れば 白いワンピースを覗かせた>>182少女が腕を無頼の者に掴まれているではありませんか!
私のお嬢様にと、抜いた刃の前を向けるのでした。]
(269) k_karura 2013/01/17(Thu) 15時半頃
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[追い剥ぎの人数は小規模でしたが、数度斬り合い隙を作って逃げるので精一杯でございました。]
……ふぅ。ここまで来れば街も近い。 奴等も追ってはくるまいよ。
そなた、どこぞ怪我は――
[怪我の是非を問いますと、その方は背にかかる白髪を揺らし、青い瞳をお嬢様に向けるのです。目尻と口許の赤もまた印象的でありましたが、お嬢様が屍に施した通りの装いでしたので、驚きに唇が震えます。]
かめ、きち……亀吉なの、か?
(270) k_karura 2013/01/17(Thu) 15時半頃
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[土に汚れた亀吉殿の頬に掌を宛がい、じつと青色を覗き込みました。そうして、ふと表情を緩めるのです。]
嗚呼、亀吉だ。 ――変わらず、綺麗な青をしておる。
……ふっ。その格好は如何した。家は如何した。 亀吉、亀吉……。また、また逢えた、な。
[お嬢様は俯かれ、泪を一粒溢されました。夕陽が眩しいのだと、強がりとともに。**]
(271) k_karura 2013/01/17(Thu) 15時半頃
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[極彩色の洋館、その中で見た『も・の・とおん』の中庭。 積もる雪、流るる赤、深い闇。
果敢無き闇、落ちる背、悴む足、冷たき瞳、弔う手、笑う眦、細き声、駆けし猫、猛き華、聡し蝶、熱き指、震える銀糸――
その刹那に見えた紺鼠に手を伸ばす。俯いた、それでも眩しい明かり。『おるごおる』の音のような哀しさを持った人。届かず、やはりそれも空を切り、泡となり行くその前に。
今度こそ、守ると。一緒にいると決めた、彼の人へ。]
必ず、貴方と――
[小さき箱から流れ出した哀しき旋律は、やがてはその声をも掻き消して]
(272) oranje 2013/01/17(Thu) 17時頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
oranje 2013/01/17(Thu) 17時頃
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―薄暮の街道>>269>>270―
[目前の暗い影は、刃を抜き、暴漢どもを怯ませた。 私はただただ必死に、助けてくれたその人と、逃げに逃げた。 どんな風体の、人相の士であるか。その声の聴き覚えも。 逃げている間、其処まで意識する余裕は無かったのだが――、
追ってくる足音ももうしなくなった頃。 街も近い、と。怪我は、と気遣う声に安堵した時。 私はその響きのいろに気付き、瞬いた。]
―――――…
[息を切らしたまま、私は剣士に振り向く。]
(273) sakanoka 2013/01/17(Thu) 20時半頃
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[髪は短く切られていたが、確かに――。 間近に見るその瞳のいろも。顔出ちも。背の高さも。 その肩越しにもう一人見えた、覚えのある人影も。 ああ、やはり、その凛とした声色も――。]
さや、
[私は濡らしたままの青い目で、その人を見る。 その人の震えるくちびるが、私の名を紡ぐ。]
沙耶、
[転んで少し痛んでいた頬に、掌の熱が伝わる。 胸の奥から出かけた声が、詰まる。 震える目に、確かに、その人の緩んだ面持ちが映る>>271。]
(274) sakanoka 2013/01/17(Thu) 20時半頃
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沙耶!
[俯いたその人を、抱き締めたくて、私は両手をぐっと伸ばした。 ごとん、と手から鞄が落ちるのもそのままに。]
ああ、逢いたかった。 あなたに、逢いに、此処まで、来た。沙耶、
また、あえた、やっと、あえた、 さや、さやぁっ―――…!
[強がれない私は、ただ其処に確かに居る彼女の前で。 差した紅も崩れる程に、咽び、声をあげて泣きじゃくる。**]
(275) sakanoka 2013/01/17(Thu) 21時頃
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芙蓉は、お邪魔虫な予感がしたので沈んでいる。
mmsk 2013/01/17(Thu) 21時半頃
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―薄暮から、宵に。―
[事の次第を打ち明けたのは、街に辿り着き、幾らか涙も落ち着いた頃。 未だ、路銀には十分な余裕がある――。 しのの顔色も少し見ながら(それが余計な心配だったと、しても)私はふたりに、今夜はもうゆっくりと休もう、と促した。]
家には、時折文を送るだけになりました。 お父様たちも、私が出ていくに不便は無いとのことで。
――ああ、ちゃんと、「捨てられ」た。
[何時か沙耶が言ってくれた通りに>>1:-295。 旅籠に掛けられた提灯を眺めながら、沙耶に。]
(276) sakanoka 2013/01/17(Thu) 21時半頃
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[は、と一呼吸入れてから。 砂埃を被った白いワンピースを、小さく叩いた。]
それに、お姉様の見目も借りて。 その心の力も借りて、前に踏み出そうって。 ――本当に、私は支えられてばかり。
[小さく零した苦笑いは、自然に零れたものだった。**]
(277) sakanoka 2013/01/17(Thu) 22時頃
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亀吉は、沈んでいる芙蓉様を釣りあげた。
sakanoka 2013/01/17(Thu) 22時頃
芙蓉は、釣られた。
mmsk 2013/01/17(Thu) 22時頃
座敷守 亀吉は、メモを貼った。
sakanoka 2013/01/17(Thu) 22時頃
志乃は、さやといっしょにおふろはいる。
lalan 2013/01/17(Thu) 23時頃
朧は、お、俺だって一緒に入る。
oranje 2013/01/17(Thu) 23時頃
志乃は、おぼろんは明ちゃんと?(首こて)
lalan 2013/01/17(Thu) 23時頃
沙耶は、志乃をむぎゅうううとした
k_karura 2013/01/17(Thu) 23時頃
亀吉は、しのおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
sakanoka 2013/01/17(Thu) 23時頃
武家の娘 沙耶は、メモを貼った。
k_karura 2013/01/17(Thu) 23時半頃
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――いつの日か――
[あれから、どれだけの時が経ったか、それほどでもなかったか。 目まぐるしい日々が過ぎたから、感覚は薄い。 けれど、そのうちに慣れてしまうのが、日常というもので。 いつしか少し遠くへ旅歩くのも、その度に少しずつ懐が重くなるのも、常になりはじめた。 日々歩けば、情報も自然と集う。近く西洋の寺子屋に近い「学校」なるものができるとかいう噂も、小耳に挟んだ。 場所は此処よりは少しばかり離れたところだ。離れていても噂が届くくらいには、徐々に、徐々に西洋の文化も手近なものになりつつある。
学び舎。もし、それが自身の幼い頃に手の届くところにあったなら、どうだったろう。 どこか羨ましいような心地すらして、溜息とともに笑う。]
(278) mmsk 2013/01/18(Fri) 00時頃
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――勉学、なぁ。
[あの洋館で読んだ本。 不慣れな洋語に目を凝らしながらはじめの一章だけを読んだだけで、もう記憶の遠くに。]
悪かないわな。
[次に自宅に戻ったら、港町の方へ出る準備をしよう。 商人が行き交い、物流の起点となる港。海渡の品物が、一番初めに手に取れる場所。 そういえば、あの書庫番の男は、今はどうしているのだろう。 物静かだが嫌味のない、とても心地の良い男だったから、あるいはどこかの大きな書庫で、書庫番をしているやもしれない。 けれどそうした書庫持つ主も知らず。知っていれば頼れた可能性に、むぅと口をへの字に曲げながら、此度は帰路につくことにした。]
(279) mmsk 2013/01/18(Fri) 00時頃
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[港町は、常々潮に晒された土地である。 育つ薬草も限られれば、医師と薬師のやり取りは重要な土地、であった。 近頃は港で暮らすような人々の中には西洋の薬に手を出すものが多くなり始めていて、それこそこの芙蓉の紋に自信をなくす土地が、この港という町だ。 それでも未だ多くの手が、この薬を求めてくれるのだから有難い。
時折薬鞄を開き小銭のやり取りを繰り返しながら、どこかに西洋書、願わくば薬学か蘭学の解説書が手に入るような商館や書庫はないかと、聞きまわる姿が港では散見されたことだろう。 いつの間にか、己の噂が世間に広まり始めている>>250ことなど、まるで知らないまま。]
(280) mmsk 2013/01/18(Fri) 00時頃
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― 誰彼刻―
祥次郎様ー?……祥次郎さまーーー!?
[自室で読み物をしている筈が、襖を開けてみれば蛻の殻。 屋敷の中を探して見れど、その姿は無く。]
……あぁ、また彼処へ…
[自分が訪れる刻限を知っているが如く、 見事に鉢合わせぬには苦笑い。]
祥次郎様ーーーーー!!
[教会の程近く、態と大きな聲で名を呼び、
「ほぅら、鬼が来た。 早く逃げなければ、捕まって酷い目に遭わされてしまう。」
胸の内、語り部のように紡いで、本日も鬼ごっこの始まり、始まり。]
(281) ぶんちゃん 2013/01/18(Fri) 00時頃
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[けれど、]
「みつ…。みつ……。」
[祥次郎は自分の名を呼びながら、 胸に書を抱いてふらふらと姿を現した。
常ならば、出会さぬよう教会の裏より出て、 先回りして屋敷へと戻ると言うのに。
妙だと感じ、駆け寄りてその顔を覗き込む。
すると、真っ直ぐと此方を見上げ、 不安そうな顔で告げたのだ。]
「みつ…。今日、人が来たぞ。 …教会に、人が来たのだ…!!
この辺りでは見かけぬ、―――異国の言葉を識る男だ。」
(282) ぶんちゃん 2013/01/18(Fri) 00時頃
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―――どくん。
[心の臟が一つ大きく跳ね、 祥次郎の聲が遠退くように感じた。
聲の主は間近に。
その聲は確りと耳に届いている筈であるのに、 一人雪の中に立ちて遠方よりの聲を聴くが如き…。]
「みつ…、
みつの待ち人の名は、…何と申す…? なぁ、…みつ?」
.
(283) ぶんちゃん 2013/01/18(Fri) 00時頃
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―――どくん、どくん。
「名を、己は…名を聞いた。その男は…
『慶』と……!!
―――みつ!―――…つ!!」
.
(284) ぶんちゃん 2013/01/18(Fri) 00時頃
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[――駆け出していた。
無意識に、不安気な祥次郎の手を引いて。 否、―――本当に不安だったのは自分の方であろう。
通より敷地内へ。
その最中――。
何度も意識を失いかけ、 それでもその者の熱を求め歩き続けた、あの雪の晩を思い出した。]
(285) ぶんちゃん 2013/01/18(Fri) 00時頃
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[扉の前に立つ。
深く息を吸い込み、吐き出した。 そして祥次郎の手を確りと握り、]
―――キィィィ…。
[扉を開けて、中へと足を踏み入れる。
薄暗い教会の中、 赤の光は白よりも弱く、されど暖かで。
色硝子を通った様々な彩りが、 その中に佇む人の顔を悪戯に隠す。
着物の一部にも光の色は落とし、けれど―――。]
(286) ぶんちゃん 2013/01/18(Fri) 00時頃
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「みつ…。あの男だ。 あの男が…」
[ぼろぼろと零れてくるものが止まらぬ。
視界が滲んでしまって、 ずっと拝みたかったその顔を、確りと捉えることが出来ぬ。
しかし、それでも確信を得た。
違える筈が無い、―――この男だけは。]
はい……っ、…私の待ち人に、
………相違御座いません……っ。**
.
(287) ぶんちゃん 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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志乃は、はいぱーによによタイムはここですか?
lalan 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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――茶屋のある街道――
[芙蓉殿のわざとの言葉>>213には、むすりとしたまま>>172ではありましたが、こくと頷きを返されました。]
綴りの間違いはなかった。大丈夫。 寧ろ、異国語を覚えているところが凄いと思う。 向上心の賜物か。
いや、何。慣れぬ事が多くてつい傷を作ってしまっただけだ。 どれだけって……良いだろう、別に。
一言一句、聞いていた。然様か? 見事だと、思ったものだが。 私の名前……いや、なんでも、ない。
(288) k_karura 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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主のせいだからな、太助。
[2人の名を呼ぶ亀吉殿の声>>196に、少しばかり脚が急くのでした。 不思議と暑いと、手扇をして。**]
(289) k_karura 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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― 暗い蔵の中で ―
[高い塀に囲まれた屋敷に戻れば、冷えきった身体もそのままに蔵へと押し込まれた。埃っぽく、冷たい床。乱雑に詰まれた箱は今にも崩れそうだ]
…さむ
[開いた首元。いくら竦めても冷気は忍び寄り、座り込んだ尻と足が酷く冷たかった。たまらず立ち上がり、手慰みに箱を一つ、開けてみた]
本、だ
[乾いた墨の、紙の匂いが広がる。手にとって広げれば、うねるような文字が、絵が、目を入り口にして全身へ飛び込んできた。 読める文字はまだ少ない。それでも少しずつ、夢中で紙をめくった]
(290) 茄子 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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―――…へ、ふしっ
[くしゃみをすれば、もう文字を追えないほどに暗くなっていることに気づいた。それでも、薄ぼんやりと目の前は見える。灯りはないのにきらきらと、埃だろうか空気が輝いている]
…つき かな
[本を閉じ、箱の上に置いた。固まっていた膝をなんとか伸ばして立ち上がる。精一杯首を伸ばせば、窓の向こう、遠い空は晴れ―――]
朧、月?
[たった今、本で知った。柔らかくかすんで見える春の月を、そう呼ぶのだと]
でも今は、………
(291) 茄子 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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―薄暮の街道―
[雨など降っておりませんのに、目前の青はしとりと濡れておりました。>>273>>274 赤差した唇がお嬢様の名を呼びます。幾度も。幾度も。]
嗚呼、嗚呼。私だ。 沙耶だとも。主と共に居た、沙耶だ。
[亀吉殿の両手がぐと伸び、お嬢様の身を抱き締めました。>>275 逢いたかったと叶う喜びでしょうか、咽び、青からお嬢様の肩口へとぽたりぽたり、大きな雨粒が振るのです。
亀吉殿の腕の中、黙って背に腕を回すと頭を抱えてやり、そぅと白髪を撫でるのでした。*]
(292) k_karura 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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[次にアタシが向かったのは、その場所からそう離れていない『学校』。]
[思い出すのは、数年前、決死の覚悟で潜り込んだ商船>>250。 見つかった時は、ここで命を終えるのだと覚悟をしたものだけど。 アタシはそこでも、救われた。]
[戻ってきた港町、その場所で。 お世話になった人達に、改めてお礼と挨拶をするのと一緒に、薔薇の館で会った人達の手がかりを得られないかと話を聞いて回ったのだけど。
恩人の一人の福耳の商人が言う事には、以前自分の通訳をしていた人が、40歳近くでいつも青朽葉の着物を着ていたと。 今は西の方の学校で、教師をやっているはずだと教えてもらっていたのだ。]
(293) 六花 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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―またそれは、何時かの。―
[風吹き降りる坂の上から、街を見下ろすは心地よい。 栄える店、廃れた店。それは文化が流れ、人が流れてきた証。 飛び出していった港町とも違うその光景の中、佇んでいたのだったが]
あれ。―――…
[私は同じ旅路のその人から一度離れ、 吹かれ転がりおちていく風車を追っていた。]
(294) sakanoka 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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― 学校 ―
[異国の装いの猫娘。 学校の入口で、壁を背に、授業が終わるのを待っている。**]
(295) 六花 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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[からり、ころり――。 目を惹く古いあかいろは、何時かのあかを思い起こさせた。 ただ思い起こさせた、というだけ、だったが――、
人が居るか居ぬかも判らぬ古びた店の前で。 私は風車に追いつき、鞄無い方の手で拾い上げた。]
あの人の、唐傘みたいだ。
[手向けられ並んで立つ訳でも無く、たったひとつだけの風車。 あかい紙張られたそれを晴天に透かし見るようにして、私はふと、ごちていた。]
(296) sakanoka 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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[からり、ころり――。
私は天を仰ぎながら、呼び掛けてみた。 きっと、あの黒い館の雪風がそうしたようには、この声が離れていても届くことは、無かったかも、しれないけれど。]
風伯様。
(297) sakanoka 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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あ、………。
[はっと其処で我に返る。 晴天に向いた青い目は、声がした方へと振り向き、其方へ。]
すみません、いきなり行ってしまって。 少し、思い出されたことがあったのです。
[そう、追い掛けてきた人を私は見上げ。 拾い上げた風車を手に、その人の許へと――。]
(298) sakanoka 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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[ ――――― 。
乾いた音。ブーツ越しに足裏に伝う硬さ。 何処の風に吹かれたものか。私はその時初めて、ぼろぼろの提灯を踏みつけていたことに気付いた。**]
(299) sakanoka 2013/01/18(Fri) 00時半頃
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―― 季節は、雪解けし後に ――
[一人の男が、ゆっくりと道を歩いている。 顎辺りで切り揃えた黒髪は神経質さすら窺え、白い襟巻きは学者を思わせる。手にしているのは何冊もの書籍を束ねた荷と、簡素な鞄。そして何より目を引くのは、櫨染の鮮やかな羽織であろう。]
……久慈。 ここが、
[男が足を止めたのは、或る大きな館の前。彼の光が住まう場所。 いかにその家主が裕福であるか、生活が豊かであるか。誰の目にも知れる、そんな佇まいを見せる。
その家を探し当てるは、そう難しきことではなかった。有名な家柄故に、名前を出せばすぐにその場所は知れる。しかし、そこに接触するにはどうすればいいか。考えた末、入れ知恵してくれたのは誰だったか――、策を練り、今に至る。
切れ長の双眸はそれを暫し仰ぎ見る。その色は決して穏やかではないけれど、その奥に秘めし、想いは。]
(300) oranje 2013/01/18(Fri) 01時頃
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[一つ、呼吸を落とす。 ――もうその息は、凍らない。]
(301) oranje 2013/01/18(Fri) 01時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
sakanoka 2013/01/18(Fri) 01時頃
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――御免下さいませ。 御用を承りまして参りました、学士にございます。
[軒先にて、大きく低音の声をあげる。 待たずともして出てきた侍女は、学士という像と大柄な男の様子に戸惑ったのか、怪しむように此方を見れど。 切れ長は細まりて、穏やかに――笑う。]
ご主人様にお聞きになってはおられませぬか?
語学指導に参りました。宵渡、朧でございます。
[すらりと口をついて出た言葉は、何回も繰り返し覚えた文句。 もし彼に――明之進がここにいなかったら。もし、学士でもない、ただの書庫番だということがばれてしまったら。
それでも、構わない。光を追い求めることを決して諦めはしない。 だからこそ男は、笑う。共に生きると決めた人の手を取るために。共にまたあの音を聴くために**]
(302) oranje 2013/01/18(Fri) 01時頃
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町娘 小鈴は、メモを貼った。
六花 2013/01/18(Fri) 01時頃
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―薄暮から、宵に。―
[旅籠へと向かう道を3人で共に歩きます。>>276 足元が白銀の絨毯でも、硬いタイルでもありませんでしたが、並び歩く事が出来る事を懐かしいものでございました。]
文を?
[亀吉殿が捨てることが出来ても、全てを断ち切る訳にはいかぬのでしょう。 届けられる文はきちんと読んで貰えるのでしょうかと、心寂しくなります。]
(303) k_karura 2013/01/18(Fri) 01時頃
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――街道――
[まさか、頷きが返るとは思っていなかったので。 こくりと、首肯が見えれば失礼にも随分驚いたのを、隠せなかったろう。 ただ、しかしそれは、あたたかいものを胸に呼び起こした。]
せや、な。けど、ただの向上心とも違うわ。 うちに言葉を教えてくれたんは、いつだったか付き合いのあった、お客さんでなぁ。 向こうの方なんに、うちに良くしてくれて。ほんの少ぅしばかり、教わったんよ。 向こうの本読むんにも、知らな読めん。仕事に関わる言葉しか知らんから、全く普段は使えんけどな。
[饒舌になってしまうのは、沙耶が己に興味を向けてくれていることのうれしさか。 いや、おそらくきっと、何処かにある気恥ずかしさを隠すため。]
(304) mmsk 2013/01/18(Fri) 01時頃
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一言一句、て。 本当たまらん。見事だなんて言うたら、世の中の詠み人さんたちにこっぴどく叱られるわ。
[寒気がするとでも言うように、わざとらしく震えてみせて。 考えを払うように頭を下げて、振る。
そうして、その俯いたまま。]
良いわけあるか。どれだけ心配させるん、言うてるんよ。
[隣同士でようやく聞こえるほどまで声を落として、告げた。]
(305) mmsk 2013/01/18(Fri) 01時頃
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[はぁ、と息吐き。しかし今は会えた身、傷は診られようと、気を取り直す。 そうして言葉を継ぎ>>-611、沙耶の病状に高々と治療法を宣言すれば、戸惑うような声。]
簡単、言うたな。
[に、と口端上げて、笑みを向ければ。 最終的に、俯く相手が入れ替わる。 余計うるさくなった、等と、その響きの何と快い。]
そ、うちのせいうちのせい。
[からからと気分よく笑えば、もしか朱のさす頬も見られたか。]
(306) mmsk 2013/01/18(Fri) 01時頃
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――茶屋――
ほら、ちょぉ座り。腕見せや。
[傷は、それほどじくじくと膿むようではなかったが、茶屋の主が軽く悲鳴を上げるほどあかあかと。 見なや、と人払いしてから、傷をあたたかい茶で拭き、軟膏と刻み葉をあてて布で覆い結ぶ。]
(307) mmsk 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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……また、熱っぽくなられてもあかんからな。 一晩でもええ、ゆっくり休み。 何なら、うちまで来てくれても構わんし。 もともと広さだけはあるんよ、今さら二人三人増えても隙間が埋まる分寒さも落ち着く、てな。
[あの、向こうで。触れた時に感じた、あたたかさ。 その時の温度が熱情なのではないことを知っていて、ずっと気がかりだったから。 今は一人だけで暮らす家も、此処からはそう遠くもない。 暫く歩きゆけば、体力の尽きる頃合いまでにはなんとか着けるだろうと、告げて。]
(308) mmsk 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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亀吉。私は――
[お嬢様と亀吉殿の父御は異なる方でございました。 『愛してはくれない』と思った事もありませんでした。]
――恵まれていたのだな。
[家族に、同志に。沙耶様を囲む方々に。
二番目の兄は不忠不孝者ではありましたが、妹御のお嬢様を一番可愛がっていらっしゃったのです。]
(309) k_karura 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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[ひらと白の布が揺れました。>>277]
良いではないか。 支えがなけえば、初めは立つ事も出来ぬ。
きっと、主の姉御も喜んでおろう。 可愛い弟の為になれたと。きっとな。
[苦い笑みに返すには、頬が強ばっておいででしょうが、お嬢様なりににこりと笑みを向けたのでした。*]
(310) k_karura 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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女中 おみつは、メモを貼った。
ぶんちゃん 2013/01/18(Fri) 01時半頃
“君も、一人ぼっち?”
“―寒いね。 君の、行きたいところ、へ行こうか。”
“名前は、なんていうの?”
…―――ボクの、名前は。
(#18) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
雪空の下の銀世界。
ほんの少し悴んだ指。
仄かに届く薔薇の香。
初めて話すボク達の声。
時計が時を告げて。
見上げたんだ。
(#19) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
……――――時は正しく逆巻く。
(#20) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
雪の館から抜け出した。
星屑の列車で駆けた夏。
辿り着いたのは、湖だった。
寒い、寒い、凍えるほどの冷たい雨。
(#21) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
暗転。
響く足音。
誰か。
助けて。
どうして。
寂しい。
苦しい。
哀しい。
声は。
血に。
(#22) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
差し出されたんだ
(#23) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
「さみしくないよ」
「くるしくないよ」
「かなしくないよ」
(#24) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
そう云って、手を引いてくれた ダレカ 。
雪の日にボクと出逢ってくれた。
雨の日にはビニール傘をさしてくれて。
雨から、
雪から、
館から、
孤独から、
男の声から、
ボクを救ってくれた。
焼きたてのパンを出してくれた。
(#25) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
信じていいよと、云ってくれたから。
(#26) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
「逝こう。」
ボクは、あの人を信じたんだ。
(#27) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
ボクが生きた事を、誰も知らない。
ボクと同じ寂しさをもった人たちも。
ボクと同じ苦しみを味わう人たちも。
ボクと同じ哀しみを抱えた人たちも。
ボクがどうして館から逃げたのか。
ボクがどうして列車に乗ったのか。
ボクがどうして湖についたのか。
ボクがどうして寂しかったのか。
ボクがどうして苦しかったのか。
ボクがどうして哀しかったのか。
ボクがどうして君達を呼んだのか。
ボクがどうして君達を選んだのか。
誰も、誰も、知らない。
(#28) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
だってボクは
…―――もう どこにも、いないのだから。
(#29) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
さようなら。
ボクの選んだ “ともだち” 。
楽しかったよ。
愉しかったよ。
もう二度と、ボクに選ばれることのないように。
(#30) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
「君が生まれた世界。」
「寂しいと、苦しいと、哀しいと、思っている世界。」
「…―――だけど、君が“生きていくべき”世界。」
「もう君達は。」
「大丈夫だよね?」
(#31) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
“―――生きて。”
黒の少年は ダレカの手をとり 微笑み、泣いた**
(#32) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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―旅籠―
[入口でブーツを脱ぎ、足を洗って貰います。 やはり男と女で足というのは変わるのでしょう。宿の者は少年の格好をしたお嬢様を不思議そうに見やり、そうして3人を見て、したり顔を浮かべます。
路銀の節約とばかりに取る頼む部屋は1つだけ。]
なあに、私が護衛役。それで表沙汰は充分であろし、先に言うたのは主であろう?
『居なくならないで』>>95と。
[小さく笑って見せるのです。確かに聞いたぞとばかりに。]
(311) k_karura 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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[使用人たちの囁きは、僅かな閑に休む男の耳にも飛び込んでくる。翌日、蔵から出され、数日後には元の部屋に戻された。そうして今、空いた時間には奥座敷を自由に動けるまでになった]
…よいしょ、と
[中庭から、表座敷へと通じる隙間も見つけた。薔薇ではないが、同じく雪に映える椿があった中庭にも、もはや白はなく。あの日と同じ紺鼠の色無地だけでも、寒さは感じなくなっていた]
…薔薇、いつか 植えたいな
[今ならば、漢字で書くこともできる。 読み書きに不自由がなくなれば、次はさらに、西洋の言葉を、と先日から教育係に声をかけている。 良い先生を探しておきましょう、と。悪くない返事をもらえた。その言葉が叶うのは、さてあと何度月が昇った後だろうか]
(312) 茄子 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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― 黄昏時の教会 ―
[坊主の去った場所で、己はひとり色硝子の窓を見上げる。
燃え上がるがごとき赤は段々と其の色を潜め、ひっそりとした教会には夜の帳が訪れる。 今はただこの美しい色を眺めていることとしよう。完全に闇が落ち、己の目には映らなくなる其の時まで。]
(313) wiosna 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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[完全に闇が落ち切る前、扉が勢いよく開く音がした。]
……んァっ?
[振り返れば、薄ら闇の中に誰かの手を引く坊主の影法師。 さては先程の坊主、有難くも宣教師を連れてきてくれたのか。闇の中に聞ゆる切れた息に、己はくつりと一つ笑い]
嗚呼、坊主。 斯くや遅き時間に態々走って連れてきてくれるとは………
[然し。 坊主に手を引かれて扉の陰から姿を現した人影に、声は途中で途切れる]
(314) wiosna 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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[昨夜、いやここ何月も見続けている夢があった。 広い、広い雪原に独り。 ただ独り。 世界が全て、しろに飲み込まれていった後の、世界。 たとえ独りでも、生きなくては、と前を向いた己は――]
『旦那様、旦那様! なにやら学士いう者が来ておりますけんど…』
[白昼夢から醒めれば、身を隠そうと手近な襖を開く。ああ、新しい先生だろうか。初めての人と、上手く話せるだろうか。ゆっくりと閉じ、息を潜め様子を窺う]
『へえ、名は――』
(315) 茄子 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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[薄闇の中ぼんやりと浮かび上がるすがた。
他の全てがぼやける視界で、唯一其の姿のみが鮮やかに花開く。
俄かに信じられぬ思い。
されど間違いようも無き、此の予感は―――]
(316) wiosna 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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っ……… ――― みっちゃ、ん?
[斯の夜から幾度のことか。 届くこと無く消えた其の名を、己は呼ぶ。]
(317) wiosna 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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【館内、靴下の中】
この度は疑い愛村 3rdこと【Fiducia - 3rd:fragrance - 】へのご参加ありがとうございました。
パーティーは楽しんで頂けましたか?
お客様へいろいろなご迷惑をおかけしておりましたらこの場での謝罪と。
皆様がこのパーティーで何か微かにでも 感じ取れてくれていたなら幸いです。
素敵な宴であったならと、思っております。
旅路は一旦の終止符を。
暫くの間、お別れです。
名残惜しくはありますが雪もいつかは溶けるもの。
悪夢もいつかは覚めるもの。
ご参加、ありがとうございました。
(#33) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
|
[襖を開く音が屋敷中に響く。そのまま磨きぬかれた床を、ほとんど滑るようにして駆ける、駆ける、駆ける――!]
…は、 …けほ、
[玄関が見えた。 ずっと触れてみたいと思っていた結い髪は、ない。顔は、何故だろうか。ぼやけてよく見えなかった。そう、春に見える霞んで、でもあたたかい色をした光――それが]
(318) 茄子 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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[手に持つ西洋鞄に入っているのは、『お母さん』へのお土産の、薔薇の紅茶と薔薇の模様の茶器も入っている。]
[旅芸人の一座に拾われて、旅をしている途中。 風が運んできたのは、懐かしい香り。 初めて言葉を交わしたあの時>>1:389>>1:413を、思い出したんだ。]
(319) 六花 2013/01/18(Fri) 01時半頃
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…―――ああ、お客様。
クリスマスプレゼントは貴方自身の靴下のなかに。
貴方のその手に掴んだものは
決して離す事のなきように。
そしてもう二度と“この館”には訪れませぬよう。
それでは 貴方の人生に 雪華の祝福あらんことを。
『fragrance』…閉館です。
涙は白の吐息に消して。
(#34) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
|
― fragrance ―
[遠い異国の地。 薔薇の香りは、いつもあの洋館での事を思い出させる。
ステージにあがる私がいつも髪に飾っていたのは、薔薇の髪飾り。 だからアタシは、海の向こうで、こう呼ばれていた。
――……『rose』と。**]
(320) 六花 2013/01/18(Fri) 01時半頃
|
|
[次の瞬間、己は駆け出していた。] ―――― っ、
[木椅子の合間を駆けて駆けて其の先へ。 人影に向け腕を伸ばす。]
(321) wiosna 2013/01/18(Fri) 01時半頃
|
誰も知らない 湖のロッジ。
誰も知らない 銀河の列車。
誰も知らない 黒の館。
誰も知らない 少年の路。
誰も知らない ダレカの想い。
誰も知らない 悲しい始まり。
誰も知らない 幸せな終わり。
(#35) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
|
[其れは果たして、 寂しく、苦しく、哀しき此の旅路の終わりか否か。
僅かの不安と希望抱え真っ直ぐに。 伸ばした此の手が届いたならば、坊主ごと強く捕まえよう。
其の熱以て、きっと己は此れは夢幻では無いと確かめてみせるのだ。]
(322) wiosna 2013/01/18(Fri) 01時半頃
|
町娘 小鈴は、メモを貼った。
六花 2013/01/18(Fri) 01時半頃
雪が降る。
花のような粉雪が、降り積もって。
それは音もなく、音もなく。
「君も、哀しいの?」
広げられる透明な傘。
手招かれる、粉雪の空。
黒の少年が果敢無く笑う。
その扉の向こう。
(#36) 2013/01/18(Fri) 01時半頃
|
一緒に、 ……生きてくれる?
[ゆっくりと、手を伸ばした。 今度こそ、手を離さない。 信じる人を、守り抜く**]
(323) 茄子 2013/01/18(Fri) 01時半頃
|
「哀しくないよ。 さぁ、逝こう。」
少年の傍に現れるダレカ。
彼はそっと、その手をとる。
(#37) 2013/01/18(Fri) 02時頃
少年の願いは―――――………
「…―――ねぇ、その言葉を信じてもいいの?」
(#38) 2013/01/18(Fri) 02時頃
*Thanks My Friends*
【Fiducia - 1st -】
Yolanda Kaleido --- anbito
Pricilla Lotto --- suchlich
Ted Burdom --- かやせ
Stephen Gould --- lalan
Bennett Cooper --- Littlecrown
Margaux Berthier --- あっしゅ
Tony --- よつば
Iris Lansbury --- doubt
Holly Cradle --- 葵
Moopa Mopis --- kokoara
Ian Allport --- 茄子
Cecil --- birdman
(#39) 2013/01/18(Fri) 02時頃
【Fiducia - 2nd:twilight -】
Tabitha Moon --- 茄子
Robin Altman --- k-karura
Rook B.R.mate --- anbito
Yannick Acquart --- lalan
Hector Stanford --- よつば
Veronica Calza --- camellia
Charles Tedzuka --- nostal-GB
Pelagie Caudill --- Akatsuki-sm
Altair (Mary) --- はまたん
Anthony Vect --- kokoara
Donald Albiol --- mitsurou
Cecil Noches --- 千珠
Pirka --- かやせ
Layla Aldridge --- miu
Dean Blackwood --- shake
(#40) 2013/01/18(Fri) 02時頃
|
―茶屋のある街道―
[うらやましい、とはもう言わない。 うらやましい、とはもう言わない。]
――――…
[けれど。 あんなこと>>214を確りと聞かされてしまった、それでもって良い笑顔を見せられてしまった手前だ。]
ほら、行きましょう。
[私は今一度繰り返すように、ふたりに告げる。 妙に足取り遅く見えるかの男と>>215。 急いた脚の、何処か火照ってさえも見えるその人>>289に。]
(324) sakanoka 2013/01/18(Fri) 02時頃
|
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―何時かの暮れを、宵を、想う。―
[抱き締めた沙耶の温もりに。 抱き返し、撫でてくれた沙耶からの温もりに。>>292 その熱さに、うれしさに。暫し、私はそのまま浸っていた。
何も言わず、髪を撫でてくれる手が、こんなに愛おしい――、 久しく覚えていなかったよろこびに、彼女の肩を濡らし続けていた。
やがて陽落ちても、その温もりは未だ暫く身に残り。夜風がそれも冷まそうとする中。 私は沙耶>>303に、うんと一つ頷いた。]
安否、という程度の文ですが。
[故にちゃんと読まれるものではない、と含ませて。 それから打ち明け――それをじっと見詰める沙耶>>-774に。 一度閉じていた瞳を合わせて、それから、はにかんだ。]
(325) sakanoka 2013/01/18(Fri) 02時頃
|
【Fiducia - 3rd:fragrance -】
樋口 慶三郎 --- wiosna
宵渡 朧 --- oranje
相馬 みつ --- ぶんちゃん
風伯 雷門 --- anbito
菱川 世渡介 --- hippolyte
久慈 明之進 --- 茄子
天宮 亀吉 --- sakanoka
ゆり --- hana
しの --- lalan
木南 沙耶(木原 平太) --- k_karura
芙蓉 --- mmsk
ウト --- suchlich
小雀 小鈴 --- 六花
(#41) 2013/01/18(Fri) 02時頃
落胤 明之進は、メモを貼った。
茄子 2013/01/18(Fri) 02時頃
|
[続く言>>309には、ぱちりと瞬きつつも――。 小さく頷き返したのは、自分よりは幸せな家に居ただろうこと、 そのことに純粋に、良かった、と思ったからだった。
もう一度瞬いたのは、かたい笑みで告げられたことに>>310。]
ああ、何時かは、私自身の脚で、立てるようになる。 それまでは、お姉様にも、 ――沙耶、にも頼ってしまうけれど。
[何処かぎこちなく見えた笑みも、彼女なりの笑みなのだろう、と思えたから。 苦笑いは、今度はちゃんとした微笑に変わる。 それから再び、目を閉じた。今度は、たづのことを想って――**]
( ……ありがとう、お姉様 )
(326) sakanoka 2013/01/18(Fri) 02時頃
|
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[侍女が困ったような顔で奥へと引き返していった。小さく、主人を呼ぶ声がする。 根回しもなく来るべきではなかったか、それでも切り抜ける術はいくらでもある。手元の書籍は一流の訳本故に、それを抱える手は何よりも力が篭る。
―― 駆ける音。
疑われただろうか? 曲者だと、人を呼ぶ足音か?
―― 急ぐように、近づく音。
切れ長を一度、浅く閉じる。 心の中で小さく念じる。]
(327) oranje 2013/01/18(Fri) 02時頃
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|
[やがて、足音は途切れ、ゆっくりと双眸は開かれた。
軒先に注ぐ麗らかな春の光に照らされたのは、侍女でも、主人でも、護衛らしき者でもない。]
……明之、進
[それは、己が求めていた――明かり。]
(328) oranje 2013/01/18(Fri) 02時頃
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「すべてのみんなに。
ボクと遊んでくれた“ともだち”に。
たくさんのごめんねと。
たくさんのありがとう。」
(#42) 2013/01/18(Fri) 02時頃
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[此方に手が伸びる、その刹那。両手の荷物が地へと放たれた。 何よりも大切な人が、そこにいる。 共に生きると決めた、会いたかった、その人が。]
――ああ、……永久に。
[ようやく手にした温度は暖かい。 哀しき『おるごおる』の音色はもう、聴こえない**]
(329) oranje 2013/01/18(Fri) 02時頃
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|
―― いつか、風吹く港町で ――
っ、……。
[赤き血が一筋流れる。 書庫番という職業上、日常茶飯事である紙による切り傷。痛みにはもう慣れてしまった。けれど、治らぬことには頁も上手く捲れない。
良いとされる薬を今まで何度となく求めてきたが、一番効果があったのは――あの、薄黄みの軟膏>>1:154だった。]
……風が、入るな。
[血の流れたその指先が、僅かな風を感じ取る。 港に近いこの蔵は、幾分隙間風が吹く。潮風で書籍を劣化させてはならぬとその度に修復すれど、一向にその風が止むことはない。 しかし、今日は少し違った。風の吹く方向を見遣れば、換気のための小窓が少しだけ開いている。誰かが閉め忘れたのだろうか、苦い顔をしてその傍へ寄った。]
(330) oranje 2013/01/18(Fri) 02時頃
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「君は誰かを信じる事が出来た?
誰かを愛する事が出来た?
誰かと未来を共にすることが出来た?
ね。
難しくなんて、なかったんだ。
誰かを、ダレカを、信じることは。」
(#43) 2013/01/18(Fri) 02時頃
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[よく晴れた青き空。 活気良い港町のざわめきが、隙間から流れ込んでくる。ほんの少し、ほんの少しだけその喧騒を高い位置にある小窓から見下ろした。
それはきっと、あの軟膏を思い出したから。この港街にも良い薬を売る薬師が来ていると、風の噂で聞いたから。 それがあの華やかで、それでいて闊達な青年とは限らない。それでも少しだけ、期待をしている己がいるから。]
……、……
[ひらり、と蝶が舞う。 潮風に揺られ、ふわりと、男の視界を横切って――]
(331) oranje 2013/01/18(Fri) 02時頃
|
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…………、……ふ
[その蝶と同じように。人の波の合間に漂う一人の姿がある。切れ長は数度瞬いて、何度も何度もその背を見る。 本を探す姿、語った声。全て確認できる距離でもないのに、どうして、その姿は重なり]
(332) oranje 2013/01/18(Fri) 02時頃
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|
―色街で禿達に囲まれながら―
[愛しいあの方へ。届け物を頼みたい。 然様な頼みごとをさる武士の方から頼まれたのは、つい一刻前のこと。
色街に無事入り込み、店を探している最中でございました。
お侍さんお侍さんと、お嬢様を子供達が囲みます。 腰の刀をキラキラとした目で見ております。
困り顔を浮かべ、ふと顔を外に向けますと、輪から離れて怯えたような目を向ける禿が一人おりました。]
(333) k_karura 2013/01/18(Fri) 02時頃
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「ボクの信じる君達の“未来”に
数多幾千の幸あらんことを。」
(#44) 2013/01/18(Fri) 02時頃
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『お侍さん。 人を斬ったこと、あるの?』
(334) k_karura 2013/01/18(Fri) 02時頃
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[それはいつぞやの久慈殿の問いかけと同じでございました。 目に浮かぶ色までも。同じ。]
……良いかい? この刀は人を斬るものではないんだよ。
鬼や鵺といったものを対峙する為の、刀だ。
(335) k_karura 2013/01/18(Fri) 02時頃
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―旅籠―
[三人で留まることになったその部屋で。 宵の窓をふと眺めていた私は、沙耶>>311に振り向いた。]
ええ。先に―――って、 え、
[あの時は、届いているか否かも判らなかった叫び。 それを確かに、彼女は、此処で繰り返した。]
さや、
[すぐ近くで告げられたことも>>-783、きっと、そう。]
(336) sakanoka 2013/01/18(Fri) 02時頃
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さぁ、小さなお嬢さん達。さっさとお戻りよ。
心に迷いがあると、すぐに哀しい哀しいと鵺の泣き声が聞こえてしまうよ。
どんなに辛いことがあっても淋しいことがあっても哀しいことがあっても―――生きて。 心の軸をまっすぐに持ち、生きるんだ。良いね?
[きゃあと禿は散り散りに。さて、久慈殿の鵺は消えたでしょうか?**]
(337) k_karura 2013/01/18(Fri) 02時頃
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「それが、ボクの ねがい 。」
(#45) 2013/01/18(Fri) 02時頃
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