196 Fiducia - 3rd:fragrance -
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2013/01/05(Sat) 02時頃
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―2F廊下―
[振り向き見てくる射干玉のいろ>>2:404。 初め見た時にその眼差しを避けた訳、自分でもその時は判らなかったのだが――。
あの日の そ の目と似ている、と。 そう感じたのは、きっとただの錯覚だったのだろう。
むかし、私はその目に縛られ何も出来ず、ただ傷跡だけ付けられた。 今、私はその目を見て――――気が付けば、引き金を引いていた。]
(2) 2013/01/05(Sat) 02時半頃
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[ ぱ ぁ ん !
たった一つのその音は、何時かの祝福の砲>>2:#1よりは、細やかで乾いた音。 けれどその高い音色は、冷たい空気の中、良く通る。
弾はゆりの背、胸を穿ち。 白檀と、火薬と、鉄錆と。薔薇のうちに弾ける香。]
(3) 2013/01/05(Sat) 02時半頃
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あ、 ぁ 。
[赤衣の主の、また芙蓉の目前で。 私は初めて人を殺めた。
包帯と裸足の脚は崩れ、崩れ落ち、濃い赤が、広がりゆく。 拳銃を持った両手をかくんと下げ、私はただただ、立ち尽くしたままで居た。**]
(4) 2013/01/05(Sat) 02時半頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2013/01/05(Sat) 03時頃
座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2013/01/05(Sat) 16時頃
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[私がそれを嘘と知らぬ言も>>2:411。 場を静めようと試みたその気配も>>0。 何かを紡いだくちびるの息遣いも>>19。 真白な意識の中には、届かない響き。
“おにんぎょう”。 ただそのことばだけは、繰り返して、ぶり返して、聞こえた、気がした。]
(56) 2013/01/05(Sat) 16時半頃
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[崩れる白衣、白雪の敷物、紅の大輪咲き広がり。 黒銀の銃身、淡色の襟、淡色の頬、白い睫毛と前髪にも、紅い小花は咲き乱れ。
椿の花弁は、裸足の爪先に触れる。 まるで赤い靴履かせるように。]
(58) 2013/01/05(Sat) 16時半頃
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[名を呼ぶ声>>6が耳に触れる、意識に入る。 それは仮面脱がぬままの呼び掛け。何処か遠くからに聞こえる声は、それでも耳を突く。応える声持たぬまま。 目に映る人の顔。近づいてくる足音。 注がれる視線を肌で感じるよう、触れる空気は冷たい。
来たる人の中には、あの、沙耶>>24の姿も。 手負いの様よりも、その手に握られた刀の煌めきが目の内に焼きつく。 一歩踏み出す彼女に、私は微かに震える青をを向けて居た。]
(59) 2013/01/05(Sat) 16時半頃
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[――誰があの子を殺したの、と。 ――それは私よ、と。 そう問い答えずとも、誰が殺したかは見て知れること。 昔の古傷からの怯えは、今手を下したことからの怯えに変わっていた。
だから。間違いなく、私はこの場で――、
それなのに。 黒鳶の主の彼は、ただ此処を離れるようにだけ言った。>>9 低い声で、それだけを。]
如何、して、
[私はただただ、此処から動けぬまま。]
(60) 2013/01/05(Sat) 16時半頃
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[ふっと感じた視線のひとつ>>28。 そっと目を向ければ、あの男の姿があった。 老いた瞳の、その奥にある色を、一瞬だけ垣間見る。]
……如何、して。
[私は、無言の男に、薬売りの男へ向けたものと同じ言を零す。 声は、さっきよりさらに、震えていた。]
(61) 2013/01/05(Sat) 16時半頃
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[「殺しては、なりませぬ」、と。>>46 そうみつが響かせる、訴える声さえも、まるで、何処か――、]
あ ぁ 。 殺して、は。
[いいや違う、と。これは私を責める声だ、と。そう思い直す。 この子を殺したのは私。 ただ過去の幻を見た故にゆりを撃ったのは私。 芙蓉が告発した通り、此処に立つのは招かれざる人殺し!]
(65) 2013/01/05(Sat) 16時半頃
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( さ や 。 )
[私はくちびるだけでその名を紡ぎ。 震えたままの青色を、彼女の方へと、合わせた。 何時でも私を斬れる筈の、武士の刀持つその人へと。
未だ弾薬の込められた拳銃、握ったままの私の腕は。 けれど未だ、ただ下に降ろされたまま。]
(67) 2013/01/05(Sat) 17時頃
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[階段の方、男の叫び、転がる物音も響いてきた筈なのに、今はそれも遠く。 この場から、ゆりの傍から離れ行く者たちを追うことも無く。 けれど雷門が去り際に残した音無い言葉>>64は、確かにこの目に映っていた。]
――――、
[頷くでもなく、ただ小さく息を零すのみ。]
(70) 2013/01/05(Sat) 17時頃
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[目前に上がっていた刀が、鞘に収められる>>72。 それに瞬く暇も無く、距離を詰められる。 動かないまま血に染まっていた足は、追われ追い詰められるように、廊下の奥の方へと後ずさっていた。
咄嗟に呟いた彼女の名は、ただ空気の中に溶けるばかり。 無言の沙耶の眼差しは、間近に。 私は目を震わせながらも、それでも、真っ直ぐに向き合った。]
(76) 2013/01/05(Sat) 18時頃
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―――――はい。
[「人殺しの」。
そう。そう呼ばれて然るべきなのだ。 緊迫の中に、安堵に似たものが微か胸の内に混じる。]
(77) 2013/01/05(Sat) 18時頃
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[>>74この拳銃を、持つ訳は。]
私は。
誰かに、殺められてはなるものか、と。 ただのひとりであっても、生き延びようと。 見つけたこのぴすとるを取りました。
[弱い心を、信じられぬ心を認めれば、それは苦しいものだけれど。 それでもはっきりと告げる、答え。]
(79) 2013/01/05(Sat) 18時頃
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[けれど、ゆりを殺した訳は――、]
そして、私は。 あの、お方、に。 おゆり様、に。
[そう静かに切り出すも。 は、と荒い息が挟まる。瞳の揺れは波のように増す。]
私の、心を、
殺されそうに、なったから、です。
[ゆっくりと吐きだした理由は、まさに狂気の沙汰と見做され得るもの。 譬え人を殺める身分であったとしても、だろう。]
(81) 2013/01/05(Sat) 18時頃
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―廊下の奥、ステンドグラスの前―
[怯えも緊張も何もかも、決して消えて無い。 そんな私の腕は、銃を握って下ろしたまま、未だ動かなかった。
私は、ただじっと震える目で沙耶を見詰め――、 振りかぶられた堅い鞘尻>>80に、はっと身構えた。 ――それでもなお、この腕は、動かなかった。]
っ、 ――――― え、?
[鮮やかな硝子の欠片が舞い、血染めの頬を掠め切る。 ふわり、硝子に交じって白雪が舞う、白い髪も舞い上がる。 刺すような冷たい痛み、意識する前に、眼前の景色が、揺らぐ。]
(89) 2013/01/05(Sat) 18時半頃
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さ、
[目の前で倒れ伏すその人のすがたに。 私は思わず、腕を伸ばしていた。 握っていた拳銃が、白銀の敷物の上に、音も無く落ちる。]
如何した、如何、された、確り、―――
[手負いのその身を抱え上げようと、膝を付いて、]
(91) 2013/01/05(Sat) 19時頃
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―――――、
[その腕は結局、沙耶を抱え上げることは無く。 少しの間、膝をついて俯いて――、
程無くして、転がった銃を拾い上げ。 私は、何も言わずに、振り返らずに、廊下を駆けていく。 赤い履物のような血も、幾らか絨毯の上を駆けたところで、やがては薄れ、足跡を残すことも無くなっていく。**]
(92) 2013/01/05(Sat) 19時頃
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[この時、私の目には、他に駆け寄ってきた人の姿は映っていなかった。意識する余裕が、無かった。 だからの小鈴>>88が駆け寄ってきたことにも、直ぐには気づかなかった。 倒れた沙耶に腕を伸ばし、けれど結局抱え上げることを止めたのは、小鈴が彼女におのれの膝を貸す前のことだったろう。]
小鈴。
[落ち着いて、と手を伸ばす彼女には、その名を小さく呟くのみ。 触れられなかったことに、少しだけ、安堵する。
その後銃を手に、逃げるように駆け出す姿、落ち着いているとは言えなかったかもしれないが。 去り際、微かに紡いだ名と、震えの無い青い瞳は、小鈴の許にも届いたろうか。**]
(95) 2013/01/05(Sat) 19時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2013/01/05(Sat) 19時半頃
座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2013/01/05(Sat) 23時頃
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―2F廊下を彷徨い、―
[背に受ける小鈴>>96の声。そして、確かに聞こえた言葉。 私は足を止めそうに――けれど止めず、そのまま振り切った。
誰の背にも乗らず、掴まらず。 たったひとりで、ただ白銀の上を駆け。 気が付けば――また、あの砕けたステンドグラスの許に戻って来ていた。]
―――――、ウト、
[そこに映る、独りの影>>125。 ゆりを撃った時、集った人の中に彼女の姿は見えなかったが――。 返り血で白銀の髪を染め、銃を握った「人殺し」の私は、はたと脚を止める。]
(126) 2013/01/06(Sun) 00時半頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2013/01/06(Sun) 00時半頃
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[割れた筈の硝子窓。欠片は空気に乗り、時遡るように形を戻す>>130。 色鮮やかな硝子の前に立つ、この國の人らしからぬ顔立ちの彼女の姿が、まるで何処か、――懐かしい。
笑みと共に迎える彼女の言葉は何時かと同じ>>131。 懐かしさなど、きっと、その所為もあったろうと思う。 私は右手の銃に左手を添え、それでも逃げずに、一歩、踏み出した。]
(138) 2013/01/06(Sun) 01時頃
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[既に私は気づいて居た。異端の白銀を晒していたことに。 そして「同じ」異端のウトの、瞳が其処に向いていたことに。
そして私は覚っていた。 國の多くの人と異なる、その点でふたりは「同じ」でも。 それでも「同じ孤独」など、在りはしないのだと。]
理由なき殺人は、赦されぬと。
[笑いも何も浮かべずに、ぽつりと返し>>145。 その時、耳元に唇寄せられる程に近くに居たウトの言葉に。 青い目を、見開いた。]
(158) 2013/01/06(Sun) 01時半頃
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亀吉は、暫し、無言のまま止まり――、
2013/01/06(Sun) 01時半頃
亀吉は、青い目が震える。微かに零した声も、また震えていた。
2013/01/06(Sun) 01時半頃
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[私は目前のウトに、血と煙の香帯びた銃口を、向けた。
彼女の笑みが。囁かれた言葉が。 そのか細い声が、聞こえてしまった、から>>154。
それでも未だ震える瞳を、真っ直ぐに向き直したのは、 彼女が囁く最後の言葉が、胸を刺した、その時に。**]
(168) 2013/01/06(Sun) 02時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2013/01/06(Sun) 02時頃
座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2013/01/06(Sun) 02時頃
座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2013/01/06(Sun) 10時半頃
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―2F廊下奥、ステンドグラス前―
[誰かに、呼ばれた気がした>>196。 そう言えば何時かも、名を呼ばれたような気がして>>1:121。 けれど振り向いても、其処には誰の姿も見えなくて――、
ふっと過った思考を、私は無意識に振り払う。 そしてただ真っ直ぐにウトの方だけを見る。]
(205) 2013/01/06(Sun) 14時頃
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っ、――だまれっ!
[笑う彼女のすぐ前で、私は声を荒げていた。 こんなふたりを見届ける人の目>>177にも気づかずに、構わずに、叫んでいた。
私は更に一歩踏み出し、銃口をウトの胸元に突きつける。 引き金にはもう既に、人差し指が掛かっている。 間近に見るは、おんなの顔と。血に染まったおのれの睫毛と。 奇跡のように形戻した、光の射さないステンドグラス。**]
(206) 2013/01/06(Sun) 15時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2013/01/06(Sun) 16時半頃
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