196 Fiducia - 3rd:fragrance -
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薬売り 芙蓉は、メモを貼った。
2013/01/01(Tue) 02時半頃
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[何処へ向かうやら。 かなり慌てた様子だったので、引き止めるいとまもない。]
……。
[小鈴が廊下へと飛び出す寸前に聞こえた微かな男の声を思い出し、千早の袖に隠れた白い手を、強く握り込んだ。]
(21) 2013/01/01(Tue) 02時半頃
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― エントランス ―
[その声>>0:#12は、館内から聞こえたのか、外から聞こえたのか。 外からなら、このままこの館に隠れていた方が良いのかもしれないが。 見つかったら、逃げられない気もするし。]
[館の外へ出ようと、入口の扉を開けようとして。]
開かない……!
[涙の滲む瞳。煩い心臓。 踵を返そうとして、ばさ、と、物音がすれば、大きくびくり肩を震わせて。 けれどもそこには、自分をこの館へと招いた黒の少年の姿があった。>>0:#17]
(22) 2013/01/01(Tue) 02時半頃
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巫女 ゆりは、メモを貼った。
2013/01/01(Tue) 02時半頃
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[重い匂いを断ち切るような―――赤い、匂い]
…血
[そう、これは血の匂いだ。 温まって感覚が戻ってきている。今ならば、あの刀を下げた少年からも、同じ匂いがするだろうか。
ぽつり、零した後。 それ以上は口を開こうとせず、巫女装束の女が動かないならば、半ば押しのけるようにして居間を出ようと]
(23) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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[夢のようなすべてが過ぎ去った後、 残るのは狂おしい程に広がる異国の華の香だけ。**]
(24) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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扉、開かなくなってるみたいなんだけど、開けてくれる? ゴメン、アタシ、もう帰らなきゃ。
[煩い心臓を努めてなだめながら、そう言うけれど。 返ってくる返事は無く。]
アタシのため? どういう意味……。
[そう問うても、やはり返事はなく、少年が姿を消せば。 何かのカラクリだろう、とは頭の隅で。]
哀しくない……。
[続く言葉の意味は、分からなかった。]
(25) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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[階段を上がる足音>>1が聞こえ、樋口殿の出で立ちにさっと目を配ります。 招待客のお一人でしょう。 お嬢様は動きません。後ろを通るからと動く必要がないからです。
間近で響く鐘の音に緊張が走ります。 咄嗟に右手は柄を握り、鍔を浮かせた左腕には傷の痛みが小さく走ったのです。]
(26) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2013/01/01(Tue) 03時頃
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[紺鼠の色無地を纏った、少し背の高い青年から返事が在ったのは、走り去った小鈴の背が、廊下の角を曲がり見えなくなった頃であったろうか。 やや間が空いた間に彼が見たもの聞いた声は、ゆりには未だ見えては居なかったが、何も問いはせず]
どうも。
[一言礼を云い、小首を傾げて青年の表情を見遣った。
呆気に取られたように、唇を開けた顔。 咄嗟の小鈴の逃走に驚いたものと見えるが、真相は知らず。]
(27) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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[響いた鐘の音、聞きなれぬ針の音。 現れた黒の少年。 匂い、匂い、匂い。
何処までが夢想で、何処までが本当か。 分からぬまま、表情を隠そうと、俯き加減に男は動き、視線の先は―――]
(28) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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―まだその音の鳴り響かない、大時計の前―
[実際にブーツを履く女子は、雪道にも適している、と今体験してきたような話し口で語る>>3。 以前に聞かされていたこの舶来の品の利点、他にも幾つかあった気はしたが、直に履く機会もなければ忘れてしまったままだった。 だから、この彼女の勧めは、信じていた。]
はい、是非に。
………、
[――履物がなければ、雪道は無事に歩けませぬ。 実際に血の滲む裸足で此処まで巡りついた者が居た等と思わぬまま、私はほんの少しだけ疑問を抱いてもいた。 純粋に動きやすさの点で裸足の方が良い、などの解釈もここでは思い浮かばなかったのだ。]
(29) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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小鈴、
[何を、と。踏み出した足は小鈴の後ろ、声を交わすにはやや遠い距離で止まり はたり、と。名を読んだ口元を手で押えた。 応えが返る前に、と踵を返し、次の間へと、奥へと*向かう*]
(30) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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[そして、より確かな言葉で女子は言う>>20。 異人のように、と。 そのまま、彼女の方から距離を詰められる。
「気を悪くされるな」、とも彼女は告げていたけれど。 しかし、その手が伸びてくることが無くとも、私はまた少しだけ身構えた。 勘違いを赦されたことへの安堵より、この目を覗き込まれつつあることへの緊張が勝る。
――結局、少しの間、私の瞳は女子の視線と合わさっていた。 その時微かに耳に触れたのは、娘の息遣い、囁くかのようにも聞こえる声。 青い眼が大きく瞬き、僅かな間息が止まる。]
――――、
[私は、ほぅ、と息を吐いた。微かに、声が零れた。 少しだけ、目許が緩んでも居た。]
(31) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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[何処か陰のある青年の脇を通り過ぎ中へと入ろうとしたゆりの耳が、ぽつりと零された呟きを拾う。]
……血?
[僅かな血の香を嗅ぎ取る程の鋭敏な嗅覚はゆりにはない。
只、手拭いの下の疵はまだ痛み──熱を発して居たから、己の血が香ったかと、視線を踵へと落とした。]
(32) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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――居間近く――
[血の痕を辿り、着いたのはまた暖かな大部屋だ。 戸に手をかけようとした所で、屋敷中聞こえるのではなかろうかという音で鐘が鳴る。 ゴォン、ゴォーーーンと余韻を引いて、けたたましく鳴るその音に、何か唯ならなさを感じて視線を彷徨わす。]
――おっと。
[その隙に、まろぶように走り出る姿、もうひとり、ほっそりした男の姿。 二人と真逆に、手をかけるまでもなく開いた戸の奥を伺い見る。 白装束は見覚えもあった。先に雷門翁と連れ立って歩いていたのも、確かこの白装束。 エントランスの方向から何か声がするものの、反響してうまく聞き取れず。 ならば、と戸の奥へ踏み入った。]
(33) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/01/01(Tue) 03時頃
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哀しくない? 死んだら、哀しくならない、とか?
[涙が一粒零れて、頬を伝った。**]
(34) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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[時計は未だ見ていない。 なれば時戻るも知らぬが――針の音が、やたらに耳につく。]
もし、お嬢さん。 貴方様も呼ばれなさった方で?
(35) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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[鈴蘭の女子の前に居て、ふと耳に届いた男の声>>1。 通り過ぎ行くらしいその男に、瞬いて。 ふと振り向こうと、して――、]
っ!
[突然に響き渡る音色は、すぐ傍に在る大時計から。 私は思わず耳を塞いだ。左手の内の異邦の文が絹と擦れる。 掻き消えそうな程に混じる誰かの声。 花の香りの中で確かに伝う、温かな匂い。 そして畳まれた傘、紅の眼――そう、黒いわらべのすがた。]
(36) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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>>0#10
えらい大きい音でんな
>>0#12
…音だけやない。 なんや人の声も聞こえますで
[>>0#14 0#15 うわー。ほんまやめてほしいわ。 怖い怖い。なにこの音。なにが起きてるん。 おなごの前で格好悪いこともでけへんし。 まずは唖の娘の方を見て安心させな。]
お嬢はん安心しい。わたしがおります。 おみつはんも安心してください。 何かが起きたらわたしが何とかします。
…それとおみつはん、それお茶でいいと思います
(37) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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>>0#16 >>17#
…なんや小僧か。どこ行ってたんや。 ここお前の家か? ああ、ちゃうねん。ちゃうねん。喉渇いてもてな。お茶をな。貰おう思てな
>>1
「気に入ってくれたかな? 君の為に用意したパーティ、君のために用意した人たち」
ぱーちー? ああそうやったな。 やっぱりお前はここの子かいな。 みなはん読んだのはお前なんか。 聞きたいことは尽きひんのやけどな。 なんせ色々ありすぎて。
なあおみつはん。お嬢はん
(38) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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[今度は姿が見えなくなる迄見送りはせず、居間の中へ。 長い髪を高く結い上げた、背の高い男>>0:140に挨拶をするより先に、ゆりの足は止まった。
射干玉は、部屋の中央辺りをじいと見詰めて居る。]
(39) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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[所在を問う声>>1:#12は、雪道で浪人が発した言葉と重なります。 じりと左足を下げます。 建物の内では西洋を真似ずに履き物など脱げば良いと>>29思っておられましたが、時計の針が逆巻くなど怪異が起これば撤回したくなるものです。]
少年!
[芳ばしい香りに眉を寄せ、少年の紡ぐ言葉に息をのみます。]
(40) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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[落ち着けわし。何が起きてるんや。 この童どこから来たんや。
――幽霊――
ないない。そんなのあらへん。 見たない。見たない。見なあかんのに。 小僧の方を見ることでけへん。]
(41) 2013/01/01(Tue) 03時頃
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[異人じみた装いの中、私の見たことのある異人のうち、何処にも見覚えのない、紅い灯の瞳。 黒いわらべの告げた言葉は、何故にはかない声に聞こえる。 かれがうかべた柔らかな笑みは、何故に、――哀しい。]
まっ て 、
[私はわらべに、手を伸ばしていた――、 舞う雪、風花のよう、無くしたすがたを掴むことは叶わない。 私は右手を力なく下ろし。 ただ、暫し呆然と、天井を見上げていた。**]
(42) 2013/01/01(Tue) 03時半頃
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亀吉は、館で下駄を脱ぐこと思いつくのは、何時のことになるのやら。**
2013/01/01(Tue) 03時半頃
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「これで君も哀しくないね。」
なにが哀しいや!
>>#6 ……あれ、どこいった。どこいきよった
[あり得へん。おかしい。]
おーい小僧
[おかしいおかしい。]
隠れてないで。どこいったんや
[冗談やめてえや。]
大丈夫です。おみつはん。お嬢はん。 わしが居てはりますさかい
[ほんま堪忍してください。神様、仏様。]
(43) 2013/01/01(Tue) 03時半頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2013/01/01(Tue) 03時半頃
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[背後で聞こえた声>>30に、勢い良く振り返る。 そこに居たのは、追っ手ではなく。 口元を手で押さえる様子、踵を返すのを見て。]
久慈さん……!
[とととっと駆け寄り、がしぃっと、着物の袖を掴んでしまう。 頭の中は、何一つ整理できていないけれど、一人で居るとパニックを起こしそうで。 とてもとても、怖くて。**]
(44) 2013/01/01(Tue) 03時半頃
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わたしの ため……? [>>35背から掛けられた声に、直ぐには気付かぬ様子。 僅かに開いた朱唇が、掠れた声を発した。]
(45) 2013/01/01(Tue) 03時半頃
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町娘 小鈴は、メモを貼った。
2013/01/01(Tue) 03時半頃
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やはり、茶葉でよいのですね。 急須の代わりになりそうな物も見つけました。 後は湯が沸くのを待つだ…
[言いかけて、あの少年の姿が視界に入った>>#0。
扉は――、
……開けっ放しだったかもしれない。 そこから入ってきたのだろうか。
何かいい匂いのものを抱えて、その少年は立っていた。]
(46) 2013/01/01(Tue) 03時半頃
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貴方、は…
[言葉を紡ごうとして、菱川の言葉が先に少年へと投げかけられる>>38 「なぁ」、と振られて、]
えぇ、貴方様は… どうして私をここへ招いて下さったのですか?
[疑問を投げかける。
けれど、返ってくるものは何もなかった。]
(47) 2013/01/01(Tue) 03時半頃
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[声はかけたが、反応はなく。 一点見つめる視線の先に、探し求めていた童を見れば、動かぬ少女にも得心いった。]
ああ、なんだ、こんなところに。 帰り道を後で――
[聞いても、と続けるより先に、童が口を開く。 君の為に用意したパーティ、君のために用意した人たち。 すぐにはその言葉の意味するところに気付けずに、瞬く。]
うちのために、何をしようって。 うちはこんなぱぁてぃなんぞ、開いてもらえる謂れもないし、してほしいなんて言うたことも。
[笑ったままの童に、困惑行き着くところまで行って言葉を重ねる。 しかし返答はなく、笑みの形が崩れることもない。]
『これで君も哀しくないね』
[それを残して、また黒は煙と消えた。]
(48) 2013/01/01(Tue) 03時半頃
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[一つに束ねた濡羽色の長い髪が、ふるりと揺れた。]
…………ない。
[小さな、掠れ声。]
(49) 2013/01/01(Tue) 03時半頃
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[己の声にハッとして、背後に現れた気配を振り返る。 しかし直ぐにまた、少年が消えて仕舞うのではと、視線は戻る。
案の定、既に其処に くろ は居らず、戸惑い揺れる射干玉は、艶やかな着物姿の人物へと向いた。]
(50) 2013/01/01(Tue) 04時頃
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