『自分は納得できません!』
[その男は、どこか遠くの国の異教徒だった。
まだ新兵だったケヴィンは、両手を広げ、背に彼を庇って叫んだ]
『異教徒だということが、どうして殺していい理由になるのか、自分には全然納得出来ません!
どうして伝道を試みないのですか?! 改宗さえすれば、彼も兄弟じゃないですか! 彼はまだ正しい神を知らないだけなのです。彼を説得し、改宗させられない自分達が悪いのであって、異教徒であることは、彼の罪じゃありません!』
[やがて根負けした神聖騎士たちは、ケヴィンに3日間だけの猶予を与えた。
ジェスチャーとたどたどしい外国語とちょっぴりの殴り合いの末、彼は改宗を受け入れ、遠くの国初めての正しい神の信者となった……]
[「生涯不殺」を誓ったのはその経験から。
教義の独自解釈をするものではない、と先輩騎士たちにはこっぴどく叱られたけれど、生前のケヴィンは頑としてその主張を曲げなかった]
(-35) 2013/05/11(Sat) 02時頃