[暫く、ゆりの動きをそのままにしてしまっただろうか。
筋肉の落ちた痩せこけた身体は、それでも成人男子の力を残してはいた様子。
彼女を支え、けれどしかし支えられるように労われながら。]
ゆりさん、先に手当てをしてしまいましょう。
医術の心得は全くにありませんが、せめて足を洗った方がよろしい。
[男の腕をつかむ指先が、冷たいことも憂いのひとつ。
寒さはどうにもよろしくないことしか運ばぬと
まあ、其れは男の勝手な基準では在るのだけれど。]
その様子では、歩くのも憚られますかな。
湯と手拭いを探して参りましょう。
貴方は暖かな部屋にでも…なに、愛らしい足跡の掃除くらい、難ないことですよ。
[気休めにと、赤を残す足へ自分の手拭いを巻きつけた。
そして促したのは幸いにか、暖炉の在る居間の方だろう。]
(315) 2012/12/31(Mon) 23時半頃