― 西方の教会 ―
[学校への挨拶を済ませた後、己は世話になったあの宣教師のもとに顔を出すべく教会へと向かう。
到着した頃は既に夕刻。
色硝子を通して赤き日の差すに、己は一時ただ目を奪われた。]
……おや、宣教師は居ねェのか。
相も変わらず襤褸っちい教会だなァ… ―― ん?
[ようやく宣教師の不在に気づき周囲を見渡せば、蹲りなにやら書き物をしている坊主が一人。どうやら此の坊主は坊主で、難しい問題に没頭するあまり己の姿に気づいておらぬらしい。
其れを覗きこみ、ひょいと紙を取り上げる]
なになに……。
"Blessed are those who believe without seeing me."
「見ずして信ずる者は幸なり。」 ……さね。
[驚く童子を見下ろして、己はにっとひとつ笑ってみせた。]
(255) wiosna 2013/01/17(Thu) 06時頃