―休みの日のSPくん―
[彼の名は、ラルフという。27歳。彼女いない暦2年。
いつも黒スーツを着ているせいで、どうにもカラフルな服が落ち着かない彼は、オフの日もモノトーンを身にまとう。
そして数冊の本を持って、三ツ星堂へと向かうのだ。]
こ、こんにちは。
買い取り、お願いします。
[彼は読書が趣味だった。読書量は多い方なので、売る本はたくさんあった。しかしいつも数冊しか持ってはいかない。なぜならば、本を売るのはここを訪れる口実だからだ。口実が尽きてしまうのは、困る。]
は、はい。そうなんです。
[事務的なやり取り以外の声をかけられる>>228と、天にも昇るような気持ちになる。かくかくと首を縦に振る姿はがちがちに緊張していることが丸わかりだが、本人にその自覚は全くなかった。
「本も好きですが、貴女のことも好きなんです」
彼がそんなことを言える日は、まだまだ遠そうだった。
もしかしたら、永遠に来ないかもしれない。]
(237) 2017/05/19(Fri) 21時半頃