[煎餅は、思ったよりもきちんと味を感じることが出来た。口の中で咀嚼し飲み込み、芙蓉に遅れて書架の前に立つ。
どうやら辺りを引いたらしい様子>>198に安堵しつつ、男もまた一冊を引いた。
描かれていたのは、美しい花々。これも、蘭学や薬学に通じるものなのだろうか。]
ああ、……毒にも、薬にも。
[彼の声は常と変わらずに男には聞こえ、納得の行くそれ>>204だった。何気ない己が問いは、薬師という彼の立場上、何度も繰り返し尋ねられてきたのだろうか?問うことはなく、それは終にわからぬけれど。
男は本を片手に机へと戻り、椀の中から煎餅を摘む。書庫番としては、失格かも知れぬ。けれど]
……煎餅。
うまいな。
[書籍を捲りながら、未だ微か咥内に残る風味の感想をこざっぱりと彼へ伝えた**]
(210) 2013/01/08(Tue) 02時頃