[すんすんとお行儀悪く鼻を鳴らしながら、ポーチュラカの視線は教室内をさまよって、そして冷蔵庫付近で止まった。志偉と流斗がじゃれている。しかし問題は、チョコレートの香りがそちら方面からすることだ。
南方の足音が迫っていることなどまったく気にせず、ポーチュラカは欲望に忠実にそちらに歩み寄る。果たして、流戸の手によって、冷蔵庫からトリュフチョコレートが姿を現した!>>180]
わあ、こんなところにチョコレートなんてあったのね! 知らなかったわ!
[誰のものかなんてポーチュラカは気にしない。流斗が食べようと差し出してきたものを断る理由なんて思いつかない。
志偉はどうしただろう? ためらっているようなら、ほら志偉ちゃんも! とにこやかに勧めただろう。]
ひんやりしてて、甘くて美味しいわ!
[冷蔵庫で程よく冷やされたトリュフチョコレートは口内で甘くとろけた。
いつもはもっと高級チョコレートを食べているのではって? それはそれ、これはこれだ。
庶民の味を甘く見てはいけない。B級グルメだって美味しいのだから。
朝から思いがけないお菓子が食べられたことに気を良くして、ポーチュラカはゴキゲンで自分の席に向かうのだった。**]
(181) 2017/05/19(Fri) 15時半頃