[言い訳では無い、と。まるで揺らぎの無いこたえ>>118に、私は微かな息を呑んだ。
手の震えは心の震えでは無く、掛けた力に依る震え――だとは、この時判らなかった、けれど。
彼がみつに掛けた言葉自体>>31>>32は、降る冷たさの中、はっきりと聞き取れていない。
判ったのはそのすがただけ。
だから、何が生まれるというのか、私には何も判らなかった。
ただ言葉にするのは、その先に告げられたことにだけ。]
解ってる、
無為に殺めるなど、あってはならぬ、と、
[『理由』と『言い訳』、私はふたつを何処かでひとつに捉えていたのかもしれない。
けれどこの男の口が語る両者には違いがあると判る。
その違いを巧く覚るより前に、告げられる。私だって殺められることを。
――そんな宣告さえ、彼は如何してこんなに、]
(146) 2013/01/09(Wed) 22時頃