――――――……!
[南方に手首を掴まれて、お嬢様は塩のビンをぽろりと取り落とした。
一夜を共にした(してない)とはいえ、お付き合いを始めたばかり(始まってない)なのだ。手と手が触れただけでもときめきが止まらないお年頃である。]
(あっ、でも、手が触れちゃったらゾンビが伝染る……?)
[ふとそんなことがお嬢様の脳裏をよぎった。触れられたらではなく噛まれたらだったかもしれない。よく覚えていない。
しかし、ゾンビがなんだ! 愛する人がゾンビなのだ!(違う)
それなら、一緒にゾンビになるまでだ!
ゾンビなんか、二人の愛の障害にはならないのだ……!]
……そうですね。ごめんなさい。
[聖母のように微笑んでポーチュラカは現実を受け入れた。
それがゾンビの流儀なら、ポーチュラカだって真っ赤な料理を食べてみせる……!]
(81) takicchi 2017/05/29(Mon) 22時半頃