[続けた軽口に呆れたのかどうでもいいのか、興味を無くしたようにまた作業に戻ったディーンから視線を外してまた自分も葉の選定を続ける振りをして思考し始めた。
ヘクターからの要請。
何も無く自分を呼ぶとは考えにくい、となると恐らく裏に関わることで何か手伝いが必要なのだろう。
彼が出ていった時にはまだ王を継ぐ気が無かったから軽く手伝ってもいいとは言ったが、今はまがりなりにも王の一人だ。
己の興味だけで勝手な行動を起こすのはさすがに気が引ける。
けれど、彼の性格を考えればこちらに何のメリットも無い話は持ちかけてはこないだろうとも思う。
それに。]
(おっさんが俺呼ぶなんて、よっぽど手が欲しいんだろうしねぇ。)
[そう、心の中で軽く笑って。
さも思いついたように顔を上げてディーンに声をかけた。]
なぁ、ディーン。
茶葉の状態も悪くないし、そろそろ新規客層探しに出ても良いと思わねぇ?
畑で量産出来んだから、来年辺りから仕入れてもらえねぇか個人店とかに当たってくるわ。
あ、俺がいない間はドナルドに話通しとくからなんかあったらあいつに言って。
(29) nadia 2011/02/12(Sat) 15時頃