28 僕等(ぼくら)の
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エニシに1人が投票した。
ヤマトに5人が投票した。
ヤマトは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
犠牲者はいないようだ。殺戮の手は及ばなかったのだろうか?
現在の生存者は、ハロ、エニシ、ケイイチ、ヒイラギ、マユミの5名。
地上に輝く、獅子座と蟹座。
2戦目が終了して、
『アストロ』から、外へ転送された僕等は。きっと。
その後を追う様に、すぐに、
3人目に、『声』が届いてしまうなんて、思わなかった。
(#0) 2023/08/19(Sat) 00時頃
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[大和命の戦闘が終わり、地上に転送させられた>>3:355その直後の事だった。]
[────名を、呼ばれたのは。]
[康生は、胸元に手を置いた。いつもの仕草だ。そのままの姿勢で、残るパイロット一人一人の顔を見回した。天道縁、本郷真弓、乾恵一……そうして、口を開く。]
……なぁ。誰か、呼ばれた?
[恐らく……いや、確実に肯定の返事は返って来ないだろう。ドクンドクンと強く、五月蠅い程の鼓動が手の平に伝わる。常とは明らかに異なる、焦りと緊張と絶望に割り込まれた様な、違和感を覚えさせる程に脈を打ってしまっているのが、自分でも解ってしまった。]
や、俺も呼ばれてないよ。 呼ばれてはないんだけど…さ。
────次は、俺だって思っといて。
[それは、ある意味では正解で、ある意味では不正解だ。]
(0) 2023/08/19(Sat) 00時頃
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[名を呼ばれたのは、“私”なのだから。]
(1) 2023/08/19(Sat) 00時頃
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─契約者の名は─
[康生が入力した氏名は、自分の物ではなかった。]
氏名:柊木達見 ID:Hiiragi PW:twinheart ・・・・ [柊木達見。 ──康生の父である、“私”の名前だ。]
[なぜこんな事をしたのか。理由は単純だ。康生は、今も私と共に生きていると信じている。そして、私自身がレヴァンゲリオンの直撃世代でありファンなのを、康生は知っていたからだ。家に在るBlu-rayBOXも、嘗て私が購入したものだ。]
[私は、レヴァの最終作の映画を見ずして一度目の死を迎えた。康生は映画の話を知ると、態々Blu-rayを全て視聴してから映画館に赴いたのだ。共に生きる私が喜ぶかも知れない、ただそれだけの理由で。自分が興味を惹かれた訳でもない映画を、体調が回復しきっていない時期だったにも拘らず観に行った。この子は、そういう子だ。そういう子なのだ。憧れのレヴァに似たロボットを操縦出来たら、私がどんなに喜ぶだろうと。そう考えていたのだろう。]
(2) 2023/08/19(Sat) 00時頃
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[この氏名やID、PWの入力自体には、何の意味も無かった>>1:@23。だが、契約の際に板へと触れた身体──康生の中で脈打つ心臓──“私”は、命として認識されたのだろう。康生の五感を借りているだけの存在でも、意思や言葉を何一つ伝えられずとも、私は康生の胸の中でまだ生きているのだと。]
(3) 2023/08/19(Sat) 00時頃
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[通常、臓器を提供するドナーと、移植を受けるレシピエントが知り合う事は無い。手紙での連絡こそ可能だが、匿名性は互いに保たれる。]
[だが、例外が一つだけ存在する。それが、親族優先提供の意思表示だ。特定の個人を指名する事は出来ないが、移植を待つ親族が居た場合に、親族への提供を優先して欲しいという意思を事前に示す。その“親族”の範囲は、非常に狭い。親子か配偶者のみに限られており、兄弟姉妹さえ不可能だ。私の両親は早くに他界していたから、妻の明日香か息子の康生だけが対象だった。身体的な事情を考えれば、ほぼ康生に限られていたも同然だ。表明しない理由など無かった。妻も、他の親族に移植される可能性もある事を承知の上で、表明自体はしていた。息子が移植を待っている状態なのに、意思表示をしない親なんて居ない。仮に居たとしても、私達夫婦はそうではなかった。康生を支える為には生き続けなければならないが、もし万が一死ぬ様な事があるなら。そして、それでも心臓が無事であるなら、あの子にあげたいと願っていた。]
(4) 2023/08/19(Sat) 00時頃
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[その願いは、叶った。ある冬の日、康生の容態が危ういと連絡を受け、私は病院へと車を走らせていた。勿論気は逸っていたが、そういう時こそ慎重に運転する様に心掛けていた。康生の容態が悪くなるのは、初めての事ではない。あの子なら、きっと今回も乗り越えてくれると信じていた。信号は青。前の車と充分な車間距離を保ったまま交差点に進入し────其処からの記憶は無い。]
[意識を取り戻した時、瞳には病院の天井が映っていた。見知らぬ天井というフレーズが一瞬過り、それから事故を起こしてしまったのかと焦った。康生の容態も悪いのに、私まで入院なんて事になれば、明日香の心労──現実には、そんなものでは済まなかった訳だが──はどれ程のものになるのかと。まず、身体がどれだけ動くか確かめようとして、何一つ動かせない事に気付いた。まるで全ての神経が切り離されてしまったかの様に。]
(5) 2023/08/19(Sat) 00時頃
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[だが、感覚はある。感覚はあるのに、動かせない。いや、違う。私以外の意思で動いている。妻の、息子を呼ぶ声がする。視界が其方へとひとりでに動き、泣きはらした眼の明日香が映る。「母さん」と喉から出た声は、記憶に在る康生の物とは随分違って聞こえたが。それが却って事実の認識を早めた。]
[私は、康生の身体の中に居る。明日香から康生へと向けられた説明が、それを裏付けた。私はやはり事故に遭っており、その際に脳死状態に陥ったのだと。助からない私と、助かるかも知れない息子──妻は、移植に同意した。その選択を恨んではいない。寧ろ感謝している。私だって、逆の立場であればそうしただろう。明日香がそれを望んでくれると信じて。「お父さんは、康生の中で生きてるの。これからは、ずっと一緒よ」と言う明日香の言葉を聞き、康生は胸元へ手を伸ばした。手の平から、私の鼓動が伝わって来る。麻酔の切れ掛かっていた其処は酷く痛んだけれど、康生は手を離さなかった。酸素マスクの中で呟いた「父さん」という言葉は、私に──私にだけは、はっきりと伝わった。次から次へと涙が溢れた。それは紛れもなく康生の涙だったが、私も共に泣いていた。]
(6) 2023/08/19(Sat) 00時頃
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[明日香には本当に申し訳ない事をしてしまった。やり残した仕事も、心残りもある。けれど、これから康生に広い世界を見せてやる事が出来るかも知れない。何より、その成長を誰より近くで見守る事が出来る。明日香の傍に居る事も出来る。そう考えれば、これで良かったのだと思えた。]
[紛れもなくこれは、私に起きた“奇跡”だった。]
(7) 2023/08/19(Sat) 00時頃
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[あの日から約四年────声を聞いたこの日から、私達親子の最期の一週間が幕を開けた。*]
(8) 2023/08/19(Sat) 00時頃
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[ワタナベウェディングは、リゾートホテルで披露宴や挙式が行われる際に、準備を手伝うプロである。
今回は教会の確保等をお願いした。費用は格安で済んだ。牧師やカメラマンを手配したら高いが、僕ら二人だけが30分ぐらい教会を貸切、ごっこをするだけだから。 参列者は誰もいない。
そんな説明は控え室に向かいながら佐藤さんが主に話し、僕がごっこだよと補足した。
控え室はこじんまりした部屋だ。そこに用意してあるのは白のタキシードと、ウェディングドレス。]
(9) 2023/08/19(Sat) 00時半頃
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[ウェディングドレスはパニエでふっくらするプリンセスライン。ノースリーブで肩が出る。 恵一の趣味が思い切り出ている。可愛いのが好きだ。
ティアラ、ブーケなども用意されていた。]
『恵一くんのリクエストで用意したけど…うん、康生くんならきっと似合うわね。写真は本当にいいの?
じゃあゆっくり準備してね。
ご・ゆっ・く・り!』
[佐藤さんに僕は頷いた。 彼女が出ていくと二人きりだ。
思い付いてから予約や手配、貯めたお小遣いをはたいて僕はすべて内密に進めたが、彼は果たしてどう感じているのだろうか…。]*
(10) 2023/08/19(Sat) 00時半頃
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─退院直後 海辺から教会へ─
成程なー……? じゃあ俺も、その内照れんのかな。
[彼の照れに関する説明>>3:298>>3:299を聞きながら、康生は首を傾げた。彼の回答と、自分が独りの身体ではない事実とが上手く繋がらなかったからだろう。こう答える時点で、康生は彼を好きだとと思っているし、一緒に過ごすのも楽しいと思っている筈ではある。後は自覚だけか、と考えているのかも知れない。彼にとって、その“好き”がどれ程重いか、全然解っていないのだろう。だから、貝殻を受け取って彼が泣いた時も、大いに慌てた。]
えっ、ケイ!? ど、どしたんだよ。泣くなって〜! あ、ティッシュ使うか?
[涙を拭ってやる事は出来ないから、康生はポケットティッシュを差し出した。それから、彼が落ち着くまで宥めた。]
(11) 2023/08/19(Sat) 01時頃
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─退院直後 結婚式 教会─
あ、はい。初めまして、柊木康生です。 佐藤さん……ワタナベウェディング……結婚式?
[パンツスーツの女性に確認を取られ、康生は素直に名乗る。だが、何が何だか解らないと言った様子で首を傾げていた。彼が何をするつもりなのかを朧気乍ら察していた>>3:297のは私であり、康生ではないのだから。共に教会へと通されながら、彼からも正式に結婚式をしたい旨>>3:304>>3:305が伝えられた。康生はそれを聞くと胸に手を当て、少し考え込んだ。内容は解らないが、康生としては私に何事か相談していたつもりなのだろう。そして口を開く。]
二人きりってか……俺としたいってことなら、いいよ。 やろ。服も用意してあるってんなら、ちゃんと着替えてさ。 あ、ただちょっと流れとか確認したいから、待って。
[私が常に一緒に居るのだから、康生の感覚では二人きりでも何でもない。父親同伴の結婚式だ。なら、先程私に訊ねていたのは参列の意思か。断ったらどうする気だったんだ。……いや、断れる訳が無いのだが。主に身体的な意味で。康生はスマホを取り出し、一般的な結婚式の流れを検索する。その中で、ある項目に目を留めた。]
(12) 2023/08/19(Sat) 01時頃
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んっと、キスは…………どうしてもしたいなら、触れるだけのにしてもらってすぐアルコールで拭くとかすればイケるか……?
[要は感染しなければいい、という考えらしい。事情を知らない相手に対してすると失礼極まりない行為だが、事前に断りを入れればそうはならない。康生なりの妥協点が其処だった。そしてもう一つ、意外な事を口にした。]
俺、あれやりたい! 一緒に入って来るんじゃなくて、中でケイが待ってて、俺が歩いて入って来んの。 他は、ケイのしたいようにしてくれていいからさ。
[説明が下手なので、解り難かったかも知れない。要するに、康生はバージンロードを歩きたい──私と共に、彼の元まで歩みたい──のだと、そういう事だった。勿論、彼は私の存在等知る由も無いが。]
(13) 2023/08/19(Sat) 01時頃
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って、え……? これ、俺着んのこっち……? マジで言ってる? や、ケイがしたいっつーんならいいけどさぁ……。 ヘンな風になっても文句言うなよー? こんなの着たことねぇんだから。
[本当に知る由も無い筈で、康生がバージンロードを歩きたいと要望する等、予知能力でもない限り分からない筈…なのだが。彼が康生に用意していたのは、何故かウェディングドレスだった>>9>>10。しかも、康生は特に抵抗が無いのか普通に着ようとしている。私には息子しか居ない筈なのに、今から花嫁の父になるらしい。せめて順序を守って欲しい。嫁に出すとも婿に出すとも言った覚えは無い。口が無いので当然なのだが。]
[兎に角、康生は花嫁衣裳を一揃い身に付ける事となった。母親似なので当たり前なのだが、在りし日の妻の姿と重なってしまい、私は何とも言えない気持ちになった。*]
(14) 2023/08/19(Sat) 01時頃
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─大和命戦のあった日 縁士へのLINE─
[私が声を聞いた日。解散してから、康生は天道縁士へとメッセージを送った。死ぬ前に、彼とは一度話をすべきだと考えたのだろう。]
『なぁ縁士、なるべく早い内にちょい会えたりしねぇ?』 『無理なら、このままLINEでもいいんだけどさ。やっぱ顔見て話したいよな〜って』 『できれば、二人だけがいいんだけど』
[康生の指が、スマホの上を滑っていく。手短かに、それだけを送って反応を待った。*]
(15) 2023/08/19(Sat) 01時頃
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―大和君の戦闘後―
[大和君とハロを見送っての感慨に浸る間もなく、柊木君から告げられた>>0のは、事情を何も知らない私にとってはどうにも不可解だった。]
呼ばれてない…けど、呼ばれたって。 柊木君が?
[柊木君は何か色々な事を胸の内に考えていそうで>>15、きっとやりたい事があるのかなと思って、その日私からは声をかけずに解散した*]
(16) 2023/08/19(Sat) 01時半頃
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[私はもう少し生きる時間が増えたらしい。 だからといって、先か後かの違いでしかない。 どうせ死ぬとわかっていくなら後に残っていくほど辛いのだろうか。 天道君はどんな気持ちだろう。大和君がいなくなって後、部室には来ているだろうか。
乾君は… 多分私から彼に逢いに行くことはない。 というより、彼はもう今それどころじゃないだろうし。]
(17) 2023/08/19(Sat) 01時半頃
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[校舎の被害はまたも大きくて、学校はまたしばらく休講になりがちで、私は、加賀先生にはなかなか会えなかったかもしれないけれど。 ネクタイと校章をつけたままでなら、機会を見つけて会う事もしばしばあったと思う。
ただ、学生ではない私として会うのは、本当に限界になった時。 そうとだけは決めていた。 だから、学校ではあくまでも今まで通りという感じで。 学校以外の場で顔を合わせる事があればいいな、なんて思う事がないでもなかったけれどね。
見知った人達が少しずついなくなり、残った生徒も次の被害を恐れて、次々と転校…というより疎開し始めていたかもしれない。 私はと言えば、少し違う事をしていた。]
(18) 2023/08/19(Sat) 01時半頃
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―幕間―
ねえ、ハロ。もし暇なら、 相談したい事があるんだけれど。
[大和君がいなくなったら、ハロは少しは手が空いたりするのだろうか。そんな風に、時間がありそうな時を縫って尋ねてみる。]
今回は戦いの仕組みとかじゃなくて…もっと簡単な話。 たとえば、アストロの全長とか、 腕、肘から先、手のひらの長さ… そのぐらいで十分だけど、把握しておきたいの。 戦闘が終わるとすぐに消えちゃうし、 試しに動かすわけにもいかないから、 何かいい方法ないかなって。 最悪、ただ出してさえくれたら私の方で 凡その値だけでも出せるとは思うんだけど… どうかな?それともハロが把握してたりする?
[最後のは難しいと思いつつも、とにかく聞いてみた*]
(19) 2023/08/19(Sat) 01時半頃
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― 幕間>>19 ―
んっ? 大丈夫だよ。 何も……頼まれてないしね。
[少し前まで、色々な頼み事をしてきた人の事を思うと、 少し言葉が詰まってしまったけれど。]
全長は、500m位、って言ってた人が居たかな? 腕の長さも、同じ位? 多分。 でも大き過ぎて、私は、具体的な長さは分からない。
見たかったら、出してあげるよ。 でも、出したらみんな驚くよね。 軍の人には連絡しておいて、 海に出す、とかがいいのかな?
[どう思う?って、本郷さんに意見を聞いてみた。*]
(20) 2023/08/19(Sat) 02時半頃
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心の中って、普通は見えないしわからない。 俺は割と単純だし、言ってることが大体全部答えだし本当だし正解だけど。 ちょっとだけ補足しとく。
自慢にもならないけど、死に掛けた回数ならこの中の誰より多い自信があるんだ。俺。 両親から貰ったものだし、あんまりこういう言い方したくないけど……生まれ持った俺の心臓は、わかりやすく言えば欠陥品だった。 止まり掛けた回数は、記憶にあるものだけを数えても両手両足を超える。実際止まったのは片手くらい。 今はもうずっと止まってるから、“回数”って表現するのも変な話だけどな。
死に掛けた回数がバカみたいに多いから、死にたくないとは思わなかった。 ……って言うか、人が死ぬ条件が“心臓が止まること”なら、俺は四年前にもう死んでる。 そして、生きてるのは父さんだ。そう考えてた。 父さんの心臓は、父さんの身体が無くなった今も、ずっと休まずに動き続けてるから。
俺の中で。
だから、俺は絶対に死ぬわけにいかなかったんだ。 死にたくないだとか、死ぬのが怖いだとかは思えなくても。 この身体が死ぬってことは、俺に今の人生をくれた父さんを死なせてしまうということだから。
(21) 2023/08/19(Sat) 02時半頃
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俺の人生は、何もかも全部父さんから貰ったものだ。 父さんが居なければ、俺は病院から出る事無く一生を終えるはずだった。 友達の誰とも、出会うことさえなく終わってた。 だから俺は、父さんと共に生きて、父さんを少しでも喜ばせたい。 母さんはもちろん、それ以外の人を一人でも多く幸せにしたい。笑顔で居てもらいたい。 父さんが後悔しないような、父さんが誇れるような生き方をしたい。
……そう思ってたのに俺、契約>>1:24>>1:25しちゃったんだ。 俺が先頭に立って契約なんてしなければ、誰も死なずに済んだのに。 ごめん、みんな。ごめん、父さん。 どれだけ謝ったって>>1:477>>1:478、きっと足りない。
とっくに死んでた俺が、みんなのこと殺しちまった。 カガセンに言われる>>3:@10まで、俺はずっとそうやって自分のこと責めてたんだ。
(22) 2023/08/19(Sat) 02時半頃
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まあ、俺の椅子(てかベッド)もあったの確認してからは、俺も生きてたのか〜ってなったけどな。 まだうちに在る父さんの椅子を、俺が見間違えるはずない。あれ特注らしいし。 ベッドの方が一般的な物だったから、最初に聞いて>>2:348誰か名乗り出ないか待った>>2:365んだ。 でも誰も名乗り出なくて、ベッドは間違いなく俺の椅子>>2:436だった。
俺も生きてたってなると、パイロットの数が合わない>>2:#2>>2:437。 だから、父さんの椅子に今座ってるやつは契約してないってこと、俺は知ってる>>3:28。 俺が死んだら、多分バレるってこともわかってる>>3:29。 それでも、文字通り棺桶まで秘密持ってこうとしてるのは────多分、俺のエゴだ。
(23) 2023/08/19(Sat) 02時半頃
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そのこと自体は悩みの種だけど、俺と父さんが二人とも生きてるんだって知れたのは、よかったって思ってる>>3:133 ずっと父さんと生きて来たってのは、俺の妄想でも何でもなかった。 時々父さんに話し掛けてた>>1:253>>3:118のも、多分全部聞いてくれてる。
カガセンの言ってた通り>>@39、俺はいつも父さんが力を貸してくれてる気がしてて。 だから、ちょいなんかあったりしても、割とすぐ立ち直れるんだ。 多分、すごいファザコンってやつ。
しょうがないよな。父さんが全部を俺にくれたんだから。 父さんが居なかったら、ケイやみんなに会うことも、世界がこんなに綺麗だって知ることも、なかったんだから。*
(24) 2023/08/19(Sat) 02時半頃
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─大和命戦のあった日・柊木からのLINE─
💬>>15 ん。 僕もちょっと柊木に聞きたいことあったから、丁度いい。 そうだな……。内容的に会って話したい。
部活のない日の天文部とかでもいいけど、人に聞かれるリスクあるし他のとこでもいいよ。誰もいないから僕の家でも。
[大和戦の直後、>>0柊木は妙なことを言っていた。
──『呼ばれてないけど、次は俺。』
普通なら首を捻る内容だけど、僕は何となく、柊木の番が来たら、そんな言い回しをしてくるかもしれない、とある程度の予測を立てていた。]**
(25) 2023/08/19(Sat) 02時半頃
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