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── Pilot:05 乾 恵一 ──
(-8) 2023/08/21(Mon) 01時頃
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── 乾 恵一 ──
[康生の次に呼ばれたのは、乾だった。 七尾さんから数えて4戦目、通常戦の最後となる。 この時点で引継ぎ戦は本郷さんにほぼ確定した。]
💬>>4 分かった。 学校もないしいつでもいい、合わせるよ。
[乾にそうLINEを送って。 僕の家なら確定で誰も居ないが──、乾の家族もどこかへ避難しているのかもしれないと考え、提案はしなかった。考えてみたら、僕は乾のことは何も知らない。 七尾さん戦の時に言い合いになってから、少し距離ができてお互い接触は最低限にしていたと思う。
彼は僕の対極のように見えていた。]
(5) 2023/08/21(Mon) 01時頃
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[彼は、七尾さんを全力で止めて。 珊瑚さんの葬式では泣き崩れて。
僕は常々、死んでもいい人間はたくさんいると考えていたし。 この戦闘で襲来してくる別の地球のパイロットたち──僕等のように選ばれた人々が死ぬのも、仕方が無いと思っている。 このシステムからは決して逃げられず、どうせ誰かは死ななければならないのだ。僕は敵機に搭乗している人間を殺すことに1ミリのためらいも、無い。
珊瑚さんはとても気の毒だったけど……、元より両親はおろか弟が死んだ時も泣かなかった僕は、乾を不思議な目で見ていた。 まったくの他人のためにあれほど泣ける奴がいるのか。
康生への情熱的な接し方も、まるで映画を観ているようだった。 そして僕は恋愛のことがよく分からない。 乾に聞いてみたい。あれは、どういう感情でそうなっているのか? 康生の事情を考えるとおそらく、性的な触れ合いも不可能、そもそもふたりは同性同士で。何もかも分からない。]
(6) 2023/08/21(Mon) 01時頃
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[乾の呼び出しの内容はきっと、未契約パイロットについてだと考えているが。
彼から見ると本郷さんと僕の二択。 本郷さんも僕も、もともと天文部員ではないので、怪しさで言えば同程度だと考えているが……僕はどうも戦闘中にしろ、敵機を倒すことにしろ……冷静すぎた自覚があるし。
戦いたくないと言っていた乾。 ずっと、この戦闘に疑問を持っていた乾。
大事な人を失くした乾………
彼は、康生の手紙を見てどう答えを出すのだろう……。]*
(7) 2023/08/21(Mon) 01時半頃
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──柊木康生の葬儀──
[康生の葬儀は通夜と告別式を兼ねて、自宅で行われた。 その知らせは乾から、もはや人数が半分に減ったグループLINEに届いて。七尾さんも大和もガンガンメッセージを書くタイプではなかったし、康生のいなくなったグループLINEは静かだ。僕はひとこと『分かった、行く』とだけ書いた。
この戦いで友人の葬儀に出席するのは、元の地球や珊瑚さんも含めて何度目になるだろうか。]
(42) 2023/08/21(Mon) 14時頃
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[当日。応接間に通されて、棺の中の柊木と久しぶりに対面した。 元よりこの戦闘で命を落とした人間は、苦しむこともなく、まさに灯が消えるように動かなくなるので、肉体の損傷などは皆無だ。康生も、とてもきれいな顔をしてそこにいた。 僕は黙って白い百合の花を手向ける。
康生のお母さんは、彼によく似た美しい人だった。一目で母親似と分かる。 そして、康生とともに並ぶ遺影──、彼のお父さん。 達見さんという名前もそのときに知った。 顔を拝見するのは初めてだが、康生とずっと一緒に居て、戦ってくれたお父さん………僕は不思議な気持ちで、遺影を眺めた。
乾やその場に来ていた本郷さん、加賀先生もいただろうか。康生のお母さんも含め、誰とも話し込んだりはせず、挨拶だけを交わして。 僕は康生の家を後にした。]*
(43) 2023/08/21(Mon) 14時頃
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──本郷さんとのLINE──
[どのタイミングだっただろうか。乾が選ばれた、とグループLINEに連絡してきた後の事だった。乾への返事は僕も本郷さんも、一言だけの簡素なものだった。直後か間を置いてからか、本郷さんから僕個人にメッセージが来た。
経緯は端折られているが、本郷さんは僕が未契約という前提で話をしてきた。それで合っているのだから、僕もそのまま聞かれたことにだけ答える。]
💬 メッセありがと。 会って話してもいいんだけど、早めに知りたいとあるから、聞かれてる事はここに書くよ。
僕が契約してないのは、───、 あの時点ではまだ、元の地球で契約中だったから。
[これだけでは混乱させかねない。やはり重要事項も書く必要がある……、続けてメッセージを送った。]
💬 黙っててごめん。僕は、Aやハロと同じ地球から来たんだ。 Aと同じグループのパイロットだった。 僕等の地球では敵機の数より契約者の数が多くて、1人余るのが分かってた。……そして余ったのが僕。
(44) 2023/08/21(Mon) 14時半頃
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経緯を話さないまま君たちのグループに所属するために、色々とフェイクを入れていた。契約したフリもだけど、ここに襲来する敵機の数もそう。 ……それについては本当に申し訳ない。 でも、もしこの地球でパイロットが足りなくなれば僕が契約する心づもりで来たよ。
[それから。縁牙の名前が出て来たのは少しドキッとした。 他人の文章で、弟の名前が書かれているのを目にしたのは何時ぶりだろうか………。]
💬 そういえば本郷さんは弟と同じクラスって事になっていたよね……。 ハロの能力で、高校の同級生とか天道家の祖父母とか、必要な人には数年分の記憶改竄をしているんだ。 あまり完璧じゃないから、珊瑚さんみたいに混乱してたり、本郷さんみたいにうまく思い出せなかったりしているケースもある。
(46) 2023/08/21(Mon) 14時半頃
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💬 ………本物の僕の弟、縁牙は僕等の地球にしか居なくて、 同じくパイロットだった。 4番目の戦闘で死んだよ。
[本郷さんのメッセージに、縁牙君は元気? なんて書かれていたから。 思わず、弟の顛末を話してしまったけど、 余計なことだったかな………とは送ってから気付いた。]
💬 聞かれたことには答えたはずだけど…… もし詳しく聞きたいなら会って話してもいいし、 ハロに聞いてくれても大丈夫。 あいつは今はああだけど、中身は同級生の女子だよ。
[最後に、🐹が手を振っているスタンプを添えて送信した。ハムスターなのは、何となく一番ハロっぽっから。]*
(47) 2023/08/21(Mon) 14時半頃
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──乾の家──
[康生の葬儀から数日経った頃だろうか。約束していた乾の家に来る。 彼の家は木造2階建てで、ちょうど天道家と似たような作りだった。しかし一歩入ると、うちとは違ってとても生活感のある家で。 もちろん充分片付いているのだが。僕の私物が何もなく、趣味が掃除しかない祖父母と暮らしていた天道家とはあまりにも差があった。
乾の部屋は普通の男子高校生らしい部屋で、元の地球の自室や、縁牙の部屋を思い出して、懐かしい気持ちになる。 少し、きょろきょろしてしまったかもしれない。]
>>22 お構いなくだけど、水でいいよ。
[珈琲を飲めるのか、大人だな……と少し思ったけど言わずにおく。]
(48) 2023/08/21(Mon) 15時頃
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スマブラ?やった事ないけど、いいよ。 ゲームは大好きだけど、普段は対人のFPSばっかやってて……。6vs6で戦うやつとか。
[僕は某オンラインFPSではランキング上位に入るくらいの腕があった。思わず語りそうになってしまうが、>>23"戦闘の話はしたくない" と乾が言ったのでそれ以上は控えることにした。もっとも彼の言う戦闘とはゲームの話ではなく、『あの戦闘』のことなのだろうけど……。]
今日はせっかく呼んでくれたんだし、乾がやりたいゲームやろ。 あ、初めてプレイするやつは下手でも勘弁ね。
[そう言いながら、乾の勧めるゲームに手を掛けた。 彼が得意なものであれば素直に"うまいなー"などと感心しながら、しばらく遊んで。
正直に言えば、未契約であることについてあれこれ聞かれると思っていたので、この展開は面食らったのだが、僕ももしかしたら少し疲れていたのかもしれない。ゲームの誘いは、色々なことを忘れて楽しく遊んだ。]
(49) 2023/08/21(Mon) 15時頃
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[何戦か遊んだ頃だろうか、僕は本当に何気なく質問をしてしまう。]
………そういえば柊木がしてた指輪、揃いで買ったの?
[乾と康生の結婚式のことなど知らない僕は、ただの好奇心で聞いた。 康生の話題は、乾自身が>>23"喜んで"と言っていたので振ったけれど、そのひとことが無かったら、名前をだすことも控えただろう。 乾はどの辺まで話してくれるだろうか。少しでも聞けたなら。もう少し踏み込むことは可能か?]
……乾は元々男が好きなのかな。 ……って、何を聞いてるんだろう、本当に知りたいのはそこじゃないのだけど。ごめん……好奇心。
[失礼な質問ならごめん、と付け加えた。大事なことなので二度謝る。]*
(50) 2023/08/21(Mon) 15時頃
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/* 出先で見てめちゃくちゃ噴き出しただろwww
(-18) 2023/08/21(Mon) 16時頃
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──本郷さんへのLINE──
[本郷さんに送った自分のメッセージを見返して、僕は慌てて付け足しLINEを送ろうとしていた。入力している途中で、彼女からの返事が来て。先にそちらへの反応を送る。]
💬 なんかLINEで駆け足で送っちゃって、これ信じてもらえるのか?と思ってたけど、うん、……ありがとう。
そうだね。弟も僕も、この地球にはいなかった… 近い世界だから、重なってる部分もかなりあるんだけど。 ……逆に本郷真弓さんが、僕等の地球にいるかもしれない。
[僕とAとハロが通っていた海神高校も、この地球には存在しなかった。ただ、日暈学園はほぼ同じ作りで同じ場所にあったから。何か昔、前身となるものがあって、枝分かれしたのかもしれない。]
(68) 2023/08/21(Mon) 18時半頃
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[それから、付け足しで送ろうと思っていた一文を。]
💬 あ、えっと
「もしこの地球でパイロットが足りなくなれば僕が契約する」って書いたけど、それは本心なんだけど、 ハロには内緒にしておいて…… ……怒られるから。
[最後に前回と同じ🐹を貼って、送信した。 本郷さんが、僕とのLINEの後でひっそり泣いていたなんて、予想もできないまま………]*
(69) 2023/08/21(Mon) 18時半頃
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──乾の家──
[水を頼むと乾は珈琲を飲むという。常飲してるのか、大人っぽいな……などと考えながらコップを受け取って。]
そうか。乾には兄さんがいるんだ。 弟のわりに人の世話好きだね。
[夏合宿の時に他人の荷物を持ってあげたり、甲斐甲斐しく動いていた様子も思い出してそう言ったが、そういえばドリンクスタンドしてた七尾さんも妹だと言っていたな。この判断基準は当てにならないのだとやっと分かってきた。
それから2人でスマブラを何戦かして。 初めて触るゲームだけど、これが意外と楽しかった。そもそも対戦型やバトル系のゲームは好きなので、今まで何故遊んでいなかったのか?とすら思う。]
クラウドとか選べるの凄いな!?BGMもFF7だし、必殺技もそのまま使えるじゃん!
[僕は普段落ち着いてる方の部類だと思うけど、やたら熱くなってしまう。ゲーム好きなのがバレバレだ。]
(88) 2023/08/21(Mon) 21時頃
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[スマブラ以外の他のゲームもそこそこ遊んだだろうか。 ちょっと落ち着いてきたところで、乾がぽつぽつと、康生のことを話し始める。 >>61 お互い好きだった、にはただ頷いた。 が。 次の質問は、随分と乾を動揺させるものだったらしい。]
───えっ、なんかごめん。 深い意味はなく聞いたんだけど……
[>>62 僕が聞いたことの数倍はありそうな密度の内容が帰って来て。 "縁士だって好きな相手がいるだろ""抱き締めたりキスしたいなんて思わないか?"といった内容を言われた時は、あさっての方を向いた。 とにかく乾は、たまたま好きになった柊木が同性だった、と言う事らしい………。ウェディングドレスとかは突っ込んで聞いてもいいのだろうか? 一小節くらい間を置いて、まあまあ、という手ぶりをしながら話す。]
乾がノーマル?って事はわかったよ。でも別にホモだから異常とかは思ってないよ。
[ホモじゃないと彼は言っているのに。]
(89) 2023/08/21(Mon) 21時頃
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僕はただ、乾みたいに、他人に入れ込めるのはすごいなって思ったんだ。柊木のことに限らないけど。 珊瑚さんの葬儀でも号泣してたし。 七尾さんの戦闘も本気で止めようとして──…
[七尾さんの戦闘のときは、彼と言い合いになった。 おそらく、今回の戦闘に関しては価値観が違うと考えていたので、その話をする気はなかったが。 戦闘時の七尾さんへの、乾の声の掛け方や内容が、僕には遠い世界のように思えていた。何せ、七尾さんを好きなのかと勘違いしてしまったほどなので。でも珊瑚さんの葬儀で分かった。彼は親しい相手には等しくああなのだ。]
乾は、好きな相手がたくさんいるんだろうね。 ………あ、もちろん、柊木が特別なのは分かってるけど。
[それは何の含みもないただの感想のつもりだった。 もしかしたら、羨ましいような気持ちも混じっていたかもしれないが、この時の僕に自覚は出来なくて。]*
(92) 2023/08/21(Mon) 21時頃
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/* 高校生でコーヒー飲めるのまじで大人っぽくない?w
中身はエニシみたいに祖父母に育てられたので、子供の頃から緑茶は飲んでいた
(-23) 2023/08/21(Mon) 21時半頃
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/* こうしてみるとまじで最後の引継ぎ戦のパイロット過酷すぎる……。 (考えたのは原作者だよ!)
(-27) 2023/08/21(Mon) 22時半頃
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──乾の家──
そうか、乾の兄さんが元々天文部にいたんだ。
[今いる3年生は三千院部長くらいだから、乾の兄さんはもう卒業しているのだろう。年度がズレていたら、もしかしたらそのお兄さんも。場合によっては乾と一緒に兄弟そろって契約していたかもしれないのか──。 弟と共に契約した日の事を思い出して、少し目を伏せた。
そんな話をしながらも話題は移ろって。クラウドの女装は神、には(こっちのクラウドも女装したんだな…)と頷きつつ。 童貞ではない、には、(相手が男だとやっぱりホモになる気がするけどまぁ違うんだろうな…)と黙って聞き。 次の話には、考え込んだ。]
……乾には家族が居て。友達も居て、それはコミュ力が高いからだし。たくさんのものを持っているように僕からは見えるけど。みんなが耀いてみえる……そういうもんか。 好きの種類があるのはさすがに分かるけど。 Aのことは好きだったよ。
[乾の言うAは、合宿で案内役をしてくれたAだ。元の地球で友人だった永の話ではない、が、僕にとっては同じことだったから。素直にそのまま答えた。]
(111) 2023/08/21(Mon) 23時頃
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[僕が本当に乾に聞きたかったのはやはり、 七尾さんを止めた時の心情だったのだと思う。
好きの濃度が違うのは分かる。でもだからこそ尚更、 一番大事な人を守るためだったら 他の犠牲が出るのは仕方ないのでは。 ───無論、自分も含めて。 僕はそう考えているけれど、 乾のような人、七尾さんが死に向かうのを止める彼のほうがきっと 人間らしく、優しい。 乾は。本人が言うような糞雑魚ナメクジ──すごい表現だね──ではない。情深く、相手に寄り添える人なのだ。
大事なものが壊れているのは多分、僕のほうだ。]
(112) 2023/08/21(Mon) 23時頃
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[でもそんな話はせずに。 また雑談に戻って、僕等はずっとゲームをして過ごした。天文部の誰ともこんな風に遊んだことは無かったけど、まさか乾と最後にこんな時間が過ごせるとは。
結局、例の戦闘に関するような話は何もせず、僕は夕方近くまで乾の部屋で遊んでいた。]
───今日はありがと。またね。
[またね。乾がいつ出撃するのかは分からない。 だけど、もしまだ猶予があるなら、また遊べたらいいと僕は思って。何度か遊ぶことが出来たら、もっと仲良くなって深い話も──。そうして、手を振って分かれた。]*
(114) 2023/08/21(Mon) 23時頃
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──帰り道──
[乾の家からの帰り道。駅に向かって歩いていると、いきなり肩のあたりにハロが現れて。 ふわふわしながら、何かを僕の目の前に転移させてきた。思わず手を出して、両手でキャッチする。]
……旅行のお土産? 本郷さんと……白兎神社? そっか。ありがと。
[いつの間に本郷さんと旅行なんて行ったんだろう。受け取った袋を開けると、石が5つ入っていた。すべてに赤文字で"縁"と書いてある。 5つの縁。僕は、この地球で会った、5人のパイロットのことを思い出していた。]
(119) 2023/08/22(Tue) 00時頃
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[縁士君の石を縁士君へのお土産にするの意味分からない……と嘆くハロを慰めるように頭部をぽんぽんと触って。]
いや、ありがと。 何々……良縁・子宝・繁盛・飛躍・健康の縁。
[中に入っていた紙を読む。今の僕にご利益がありそうなのは健康…飛躍…?まあいい。お土産は気持ちだと思うから、深く考えないことにした。
それから引継ぎ戦の話には。]
うん。正直、おまえは行くって言うと思ってたんだ。 ──勿論僕も行くよ。
[ハロの性格を考えると、引継ぎ戦に決まった人を独りで送り込むなんてことは出来ないんじゃないかな。と僕は予想していた。 ──永が引継ぎ戦と決まった時も、ノータイムでハロ役を受け持ってしまったのだから……… ………勿論、永だったからというのはあるだろうけど。
身近な人間が、引継ぎ戦を受け持ったからこそ。その孤独を、僕とハロは痛い程感じていたと思う。]
(120) 2023/08/22(Tue) 00時頃
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本郷さんが望むことは何でも手伝おう。 ……といっても、出来ることは少ないかもしれないけど……。
[ことによると、次のハロ役………、 そこで思考は一旦停止した。
もしもの時は僕が何でもやる。そしてハロだけは無事に地球に返す。
そう決めて、5つの石が入った袋をポケットに入れ、ハロと一緒に夕暮れの町を歩いた。]*
(121) 2023/08/22(Tue) 00時頃
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──転送・コックピット──
[その時間、僕は自室で布団を敷いて、その上でうつ伏せに横になって、ハロから貰った5つの石を布団の上に散らばせた状態でぼんやりしていた。 何もない家にいると気が滅入るので、少し前までは天文部の部室で本棚を漁っている事が多かったのだが。僕はもうその頃には、部室にある本を全て読み終えてしまっていたのだ。 お陰で、ここに来た頃よりも随分と星に詳しくなってしまった。
ぼんやりと、考えごとをして。 うとうと、プレアデス星団の夢を見ていた。 ──そんな時だったか。 呼び出されたのは。]
(136) 2023/08/22(Tue) 00時半頃
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[僕は学校に行くわけでもないのに白シャツと学生ズボンで。乾はエプロン姿の私服でそこにいた。 モニタに映る敵機は、これまた斬新な姿。麦藁帽子の下に、日除けみたいな黒いカーテンを纏っている。 それにしても、何故、今回の敵はホームばかりなのだろう。
エプロンを脱いだ乾は、彼の椅子であるyogiboに坐ることなく、僕や本郷さんのいる方向に向かって話し始めた。]
───……乾……?
[乾の話は聞いている。が。 彼は、ナイフを取り出して、僕等に向けて来た。
───僕は、彼の真意が分からなくて、動けずにいる。]*
(137) 2023/08/22(Tue) 00時半頃
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[乾は何を言ってるんだ?
何の話をしている??
───敵機が来ている、こんな時に──、]
………乾、何、を
[踏み出しはしない、ただ、何が言いたいのか確認しようと。
───判断を間違うな。
康生が戦えなくなった瞬間、どうした?──アストロの剝き出しの核を見て、真実に気付いた彼の動きが止まった時。
僕も乾も、彼が躊躇している理由そのものに触れてしまっていた。判断力の落ちた人を動かすのは、具体的な指示なのだ。本郷さんのような。そう、説得ではだめなのだ。今はとにかく、具体的な事を、彼が次にやるべきことを……]
───乾、とにかく、座っ、って
(155) 2023/08/22(Tue) 01時半頃
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[───次の瞬間。 真っ赤な血が。花火のように噴き出して。
アストロ、もといコウ大好きラブラブ号のコックピットを染めて行く。]
………!!!!
────乾ッ!!!!!!
[僕は首から血を巻き散らす乾に駆け寄った。
──駄目だ。確認するまでもない。 ────彼はもう、助からない。]
(156) 2023/08/22(Tue) 01時半頃
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