37 忙しい人のための手紙村(望郷編) RSS
(2024/11/03(Sun) 07時頃 に更新。 )
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
4日目
エピローグ
/ 最新
1
2
3
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
送信機は作動しない。救助には何日もかかる。それが結論だった。
実りのない努力を尽くした末に、誰もが厳しい状況を理解し、きみは自らの使命に目覚めた。しかし、未知の生命体“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
さあ、人間なら敵である人狼を退治しよう。人狼なら……狡猾に振る舞って人間たちを確実に仕留めていくのだ。
どうやらこの中には、村人が6人、王子様が1人、智狼が1人いるようだ。
|
皆さまお集まりありがとうございます。えー、ごほん。 この催し物、しっかりと楽しんでくださいませ。
…何があっても、文句は言いませんよう、ご了承くださいませ。
(0) 2024/10/25(Fri) 07時頃
|
|
───どこかの宇宙空間
[カタリナへの返信メールを打ち込んで 最後に、手書きで署名をする。
昨今、自分の字で何かを書くなんて この署名くらいのものかもしれない。 書き終えたメールは光に包まれて封がなされる。 パルックの方を見ずに声をかけた。]
これ、カタリナに送信しておいて。
[メールの内容はとても簡素なものだ。]
(1) 2024/10/25(Fri) 07時半頃
|
|
──In life, it is important to keep your eyes open, but once you get married, you should have the courage to keep them shut. (人生では目をしっかり見開いておくことが大切。 でも結婚したら閉じる勇気も大事だよ)
Congratulations,Catharina(──おめでとう)
[きっとカタリナは笑うだろう。 それより兄さんもそろそろ相手を見つけたら?ってね。]*
(2) 2024/10/25(Fri) 07時半頃
|
|
──流刑の星にて──
[代り映えのない日々だからこそ、些細な変化に囚人たちは敏感だ。
たとえばパンの質が少しでも良くなれば皆飛び上がって歓喜したし、逆にシャワーの際に使える石鹸の泡立ちが悪くなるだけでイライラした。
そんな環境に女性、しかも二十代の若い監督官という存在が飛び込んできたらどうなるのか。 好奇の視線は当たり前、当然性的て下品なからかいの言葉も日常茶飯事。 だが腐ってもニーナは自ら進んでこの職を選び、こんな場所にやってきたのである。 そういった性別的差別にも負ける事はなく、小さな鼻をふんと鳴らしてそっぽを向いていた。酷いものであれば独房送りにしてやればいいし…。
そういった囚人たちの中、ウォルフは本当に大人しく模範囚といえる態度である。 ニーナは仕事の合間にウォルフを観察し、カリュクスとのやり取りを盗み見ては「ネコ元帥って?」とか「カリュクスは幾つなんだろう」など考えていたわけだ。 カリュクスがホログラムを送る話が手紙に綴られていたが、果たしてこれから届く電子メールに添付されるのは、楚々とした女性の愛らしい立ち姿なのか、それとも元帥と名付けられたいかつい猫のぬいぐるみなのか…]
(3) 2024/10/25(Fri) 10時頃
|
|
[いっそウォルフに直接話しかけて、カリュクスをどう思っているのか問いただしたい。 ウォルフの罪についてはデータがあるのでニーナは閲覧が出来る。 しかしそこにあるの起こった事実の羅列だけで、彼の気持ちについては何もわからなかった。 用もないのに囚人と話す事は禁じられているのでそれも出来ない。
そんなある日、事件が起こる。]
『ニンジン!このニンジン、でかすぎるだろ!』
[食事中、ある囚人が声を荒げる。どうやらスープに入っていたニンジンの具に文句があるらしい。スプーンを床に投げ捨てて暴れ出す。周囲にいた囚人が止めに入るが、その剣幕と勢いは凄まじく。]
『俺はニンジンが大嫌いなんだよ!青臭いし硬いし差し歯に引っ掛かるし。スープにするならもっと細かくして煮込みやがれ!こんなもの食えるか!』
(4) 2024/10/25(Fri) 10時頃
|
|
[地球は今、増えすぎた人口がパンク状態であり、当然その結果食料不足という問題が起きている。囚人に贅沢をさせる余裕などは存在しないので、粗悪な食材がこの星には送られてくる。それでなんとか食べられる料理を作っている料理長には感謝しなければならないぐらいなのだが、たまにこんな我儘を言う囚人がいるのだ。]
『おい女!お前、女ならもっとうまいもん作れるだろ!』
[騒いでいた囚人は後ろから羽交い絞めにされながらも、監視をしていたニーナに食ってかかる。ニーナは最初無視していたが、その物言いに何処か記憶をまざくられる感覚があった。そうだ──
婚約者であった男はニーナに仕事を辞め、家庭に入る事を希望していた。彼はグルメで、特に家事の中でもニーナに料理をしてもらう事を望んでいて。
ニーナは家事が嫌いではない。しかし、罪を犯した者たちを監視するという仕事にやりがいを感じて選んだのだから、それを辞めるのは嫌だった。 婚約者の浮気があって、別れて良かったのかもしれない。]
(5) 2024/10/25(Fri) 10時頃
|
|
[男って本当に馬鹿だ。
別に料理なんて、女性がやらなくちゃいけない理由は何処にもない。 そも、それがあるなら何故世のシェフは男性ばかりなのか教えてくれ。 外で働く、地位が関係する場合だけ男性で、家庭での料理は女性なんておかしいだろうに…]
(6) 2024/10/25(Fri) 10時頃
|
|
『聴いてるのかよッ女ッお高くとまりやがって…!』
[相手にされなかったからか囚人は更にヒートアップしていく。そろそろ男性刑務官が取り押さえようと動いた瞬間であった。 囚人が拘束を振り切って前に飛び出す。拳を握り怒りに満ちた目でニーナに向かって突進した。その軌道は真っ直ぐ白い頬を目指している。
刑務官としての訓練をニーナだって受けているから、体術の心得はある。しかしこうして暴力を受けそうになるのは初めてだった。婚約者は屑ではあったが、少なくとも女性暴力をふるったりはしなかったので。
反射的に身が竦む。避ければいい、やり返せばいいなんて頭に浮かんでも硬直した身体は動かなかった。
だが、ニーナの眼前に迫った拳は立ちはだかる巨体に阻まれる。 広い背中。それは──]
(7) 2024/10/25(Fri) 10時頃
|
|
[男性刑務官より一歩早く駆け付けたのは、ウォルフであった。さっきまで食堂の端で我関せずとばかり食事をしていたはずである。一体いつの間にここまで走ってきたのか。暴走囚人の拳を片手の掌で悠々と受け止め、彼は言った。]
いい歳して好き嫌いするな。 人参ぐらい食え。
[掴んだ拳をぐるりと捻る。人体の構造上囚人の身体も一緒にねじれ、背を向けざるを得ない。ウォルフの手さばきはプロのものであった。男性刑務官も、ニーナも唖然とする中さっさと囚人を床に伏せさせて動きを封じてしまった。]
『……ウォルフ。あ、りがとう』
(8) 2024/10/25(Fri) 10時頃
|
|
[掠れた声でニーナが礼を言うと、囚人を抑えたまま床に片膝をついていたウォルフが顔を上げる。礼を言われる事ではないとばかり、ムスッとした顔をしている。
男性刑務官が漸く動き、囚人は無事そのまま独房へと連れていかれた。まだわあわあと騒いでいたがもうただの騒音でしかない。もうそれに興味を示す者はなく、騒ぎが収まるとまたバラバラと散り食事に戻っていく。
こんな騒動も変化のない毎日にとってはただのスパイスでしかない。 ニーナは久しぶりに自分がどんな危険な場所に来たかを思い出して汗を拭った。 何も言わず離れていくウォルフ。もう用はないとばかりの態度だ…。
カリュクスもこんな風に、何も語らず去っていく男の背を見送ったのだろうか。]**
(9) 2024/10/25(Fri) 10時頃
|
|
── とある屋敷
[中庭の昼掃除を早めに終えて、屋敷の端にある侍女たちの詰め所に足を運ぶ。今の屋敷で男の使用人はラルフと料理長のピエールだけだ。いきなり入っては驚かせるだろうと、静かに扉に近付いてノックを叩こうとすると、中から女性陣の声が聞こえた。
「ラルフのお陰で今年もローズロードは見事ね。ねえ知ってる?あの人、クラリッサお嬢様とずっと文通しているのよ」
[この声は家政婦長のドロシーだろうか、邪気の無い声で言い募る。俺のことを噂しているのか。 入りづらいな……と逡巡し始めたところ、別の誰かが続けた。]
「子供の頃から一緒ですものね……幼馴染と言うには身分が違うけれど」 「あら、身分のことを言うなら今は変わらないのではない?だって…」 「ちょっと、やめましょうよ」
[どうも侍女全員で噂話しているようだった。その声を背中に、ラルフはそっと侍女たちの部屋を離れた。]
やれやれ…… 女性ってやつは本当、他人の話題が好きだな……。
(10) 2024/10/25(Fri) 12時頃
|
|
[ラルフは足の向くままに庭に出て、気がつくとローズロードの先にある小さな噴水前に来ていた。水場を囲むように薔薇が咲き、それを主役として、スモーク・ツリーやサルビアがしとやかに寄り添っている。 ベンチに腰掛けて、侍女たちに届ける予定だった予定表を眺め、ふうと溜息をついた。]
身分か……
変わらないわけがないだろうに。*
(11) 2024/10/25(Fri) 12時頃
|
|
Dear Clarissa,
おかわりりませんか。 写真機のこと、ありがとうございます。
お嬢様も写真機も喜ぶ、と言われると、使っても大丈夫な気がしてきますね。写真機に心があるわけでもない筈なのに… 相変わらず人の心を動かすのがお上手です。
habitableに行く機会があればいいのですが。 長期休みを取らなければなりませんね。
お嬢様も、機会があれば屋敷に寄ってもらえると… 庭やローズロードの様子も見てもらえるのですけど。
現旦那様は無口な方ですが、奥様はとても気さくですし、 私が文通していることを知って、 「クラリッサさんはお元気に過ごしていますか?」と 気にされていました。 ですからきっと歓迎されると思います。
(-0) 2024/10/25(Fri) 12時頃
|
|
habitableは今は皆さん不在なのですね。 楊花さんがいるなら安心ですが、女性ふたりの間は気をつけてお過ごしください。
(追伸部分を見て、 なんと返事するか大分考えたのちに追記した1枚。)
呼び捨ては、なんというか、手紙のかしこまった文体と合わせて使うと塩梅が難しくて……。 堅苦しいようでしたら申し訳ないです。
お会いしたらきっと、昔の調子で話す事も可能だと思うのですが… たらればになってしまいますね。すみません。
ではせめて、クラリッサ様とお呼びします。
Best wishes, Ralph Jones
(-1) 2024/10/25(Fri) 12時頃
|
|
[まだ子供の頃、他の誰かが呼ぶのを真似て クラリッサの愛称である、"フィーナ"と呼んだことも あった気がする。 最後にそう呼んだのがいつだったか思い出せないけど。]
お嬢様、クラリッサ様、フィーナ……
[名の呼び方は心の距離と比例するだろうか。 思わず声にしてから、侍女たちにでも聞かれやしなかったか、辺りを見回し、誰も居ないことに胸を撫で下ろす。 分るのは、 身分がどうあろうと、初めて会った時から、彼女に対して抱いている思いが変わることはないのだろう、という事だけだった。]*
(12) 2024/10/25(Fri) 12時頃
|
|
確かここら辺だったな……。
[船は三年前事故の起きた宙域に差し掛かる。 軌道を外れた彗星と小惑星の衝突で生じた巨大な石片が 俺たちの乗る宇宙船にぶつかったのだ。 デブリの多い一帯で事故以来無人哨戒船が 巡回していた。
モニタ越しに宙を眺めてみるも これといった感慨は浮かんでこない。
『航行は順調だ。案じることはないさ。』 俺を気遣ってか、先輩クルーがぽん、と肩を叩く。]
(13) 2024/10/25(Fri) 15時頃
|
|
……俺は大丈夫なんですけどね。
[事故の後、変わったのは自身ではなく周囲だ。 俺はそう感じている。
気遣わし気な、距離を測りかねているような、 最近の兄さんは好き。以前より懐くようになった弟に 逆に視線を逸らすことが増えた親の決めた婚約者。 彼の方はどうだっただろう。 事故の生き残りと これまで 連絡を取ることをせずにいた。]**
(14) 2024/10/25(Fri) 15時頃
|
|
----------------------------------
やあ。 先ほど、事故の遭った付近を抜けたところだ。 航行は順調だよ。 同じ病院だったのか。 それは知らなかったな。
そうそう、俺は怪我こそなかったものの 目覚めるまで随分時間がかかったらしい。 そのせいか、あれから周りが気を遣うようになってね、 それ以前から気を遣っていた? まあそうかもしれないね。 君の方はどうだろう。
(-2) 2024/10/25(Fri) 15時頃
|
|
それと君の報告書を拝見させてもらったよ。 どれも興味深いものだった。 確かに時間のかかりそうなデータ量と纏め方だ とても見やすかったし、想像力を搔き立てられる。 個人的にはもう少し画像が多いと より判りやすい気がするね。
相変わらず手厳しいな。 いや、黙っておいてくれたってことは 君なりの気遣いだったんだろうけどさ。
そうだね、研修時代と比べると 業務量は段違いに増えたよ。 しかし任される内容も児戯めいたものじゃなくて 楽しいね。
(-3) 2024/10/25(Fri) 15時頃
|
|
ニビルに着いたらまた連絡する。
宇宙に出ることは俺の夢だったんだが こう長く離れていると 地球の美味いコーヒーが恋しくなるよ。
それじゃあ業務に戻るとしよう。 ----------------------------------
(-4) 2024/10/25(Fri) 15時頃
|
|
──流刑の星にて──
[検閲に引っ掛かるようなもの。
ウォルフが危惧したのは、カリュクスがうっかり送ったものが犯罪の手助けをするものと誤認されないか、という事であった。
如何わしい画像などは考えてもいない。 カリュクスの画像はそれに該当するとも思っていないが。
ウォルフが最後にカリュクスと逢ったのは裁判にて刑が決まり、地球を離れるとなった際であった。最後に逢瀬の時間を持てたのは奇跡に近い。カリュクスの父親がそんなことを許すはずもなかったから。
その時の彼女はまだ、幼い少女であった。
…何歳から何歳を少女と呼ぶのか。 どの程度の容姿であれば、女性と称すればいいか。 ウォルフは知らないけれど、少なくともウォルフにとって彼女は「子供」だったから。
今でもそのイメージは変わっていない。]
(15) 2024/10/25(Fri) 15時半頃
|
|
[ちなみにウォルフが最初の電子メールにて「ネコ元帥」の事を訊ねたのは、手紙がカリュクス本人からであるか確かめる意図もあった。 同様、猫のぬいぐるみの話をする男などウォルフ以外いないのも伝わると信じて。 師匠から幼いウォルフへ、ウォルフからカリュクスへと受け継がれたネコ元帥の事など、なりすましならわかるはずがないから。
そして、ウォルフはまたカリュクスからのメールを受け取った。 添付されているホログラム映像を先に見たのはその内容が気になったからである。]
…ぷっ。なんだこれは。
[ネコのぬいぐるみがひょこひょこ動いている。どうやらカリュクスが人形芝居をしているようで、白い指先がちらちらと見え隠れしていた。 台詞はウォルフが「ちゃんと食え」と言った事への返答なのだろうか。 トマトが克服出来たのは何よりであるか…]
(16) 2024/10/25(Fri) 15時半頃
|
|
[食堂で暴れた男もニンジンが嫌いだと叫んでいた。 子供の頃の飢えた経験から好き嫌いなどないウォルフとしては、随分贅沢我儘だなと感じる。が、囚人には感じない可愛げをカリュクスに見出してしまうのはどうしてか…。
この星に来てウォルフは初めて笑ったかもしれない。 ほんの小さな笑みが仏頂面を少しだけ柔らかく綻ばせる。
だが、残念ながらその笑みはメールを読んだ後には消えて至る。 そこには彼女に迫る危機が綴られていたからだ。]
クソッ…
[宙へ腕を延ばす。届かない、あまりにも遠い距離、隔たり。ウォルフに彼女を助ける術はない。
地球に還りたいという気持ちが前からなかったわけではない。懐かしい故郷、緑の大地に馳せる思いは当たり前にあった。しかし今ほど強くなったことはなかったろう。
帰りたい。カリュクスの元に駆け付けたい。 彼女を…救いたい。
しかし、その指先に掴めるものはなにもないのであった。]**
(17) 2024/10/25(Fri) 15時半頃
|
|
>>> TO:Calyx Hermetica
別れ際にお前が言っていた事を忘れたわけではないが、 俺は答えたはずだ。 その気持ちには応えられないと。
お前と俺はそんな関係ではないだろう。 護衛と令嬢。ただ…それだけだったはずだ。
食べているのなら、健康でいるのなら。 元気でいるのならそれでいい。
好き嫌いも治ったなら何よりだ。 トマトを食べたくないと言って暴れたお前の事は今でも忘れないがな。
あんなに小さかったお前が大人になり仕事をこなしていると聞くと、 なんとも言えない気持ちになる。 父親の言いなりになるのではなく、意思を持って生きるお前は立派だと思うぞ。
(-5) 2024/10/25(Fri) 15時半頃
|
|
だが、反抗とは何をするつもりなんだ? 誰もいないのか、信頼出来る者は。 お前に何かあったら、俺はなんのためにここに来たのかわからなくなる。
生きるのを諦めているわけではない。 俺は、俺がここに来ることがあの時の俺に精一杯出来る事だっただけだ。
カリュクス。 意に添わぬものは断じて受け入れるな。 あの男のようなろくでなしにお前の人生を穢させるな。
頼むから強く生きてくれ。 俺の手はどうあってもお前に届かないのだから。
>>> FROM:Wolf・Holstein
(-6) 2024/10/25(Fri) 15時半頃
|
|
[ calyxは古いことばで萼、或いは蕾をあらわす。
幼い頃、その名の由来を教えてくれたのは父だった。
愛好家には、既に華々しく満開に咲き誇る盛りより 直前の膨らんだ蕾の状態が、最も高値で取引される。 固く結ばれた瑞々しい蕾が、薫りながら綻んでゆく過程を 手元で愛で観賞するものなのだと。
――どんな香りで、どんな色で、どんな形なのか。 想像を掻き立てられ、所有したいと欲し、 惜しげもなく大金を積み上げる。
カリュクスは、そんな父が丹精こめて育て上げた、 無垢で完璧な商品だった。……はずだった。 ]
(18) 2024/10/25(Fri) 17時頃
|
|
[ その日、少女の気分は最悪だった。 普段から表情の変化に乏しい方だが、 今は能面のように強張ってしまっている。 ]
……久しぶりに、食事に誘われたと思ったら、 あんなの、って……。
[ 父と親交の深いどこぞの名士の ごくごく内輪向けのレセプション。 とだけ聞き齧って送り込まれた先で、 待っていたのは三十前後のいかにも有能そうな 星間運輸商社の跡取り息子だった。 ]
まるで、時代錯誤なお見合いじゃない。 ……そう、こんどはあの人に わたくしを売りこもうとしているのね。
(19) 2024/10/25(Fri) 17時頃
|
|
[ エリート街道を順当に歩んできた遍歴や、 現在のポジションや輝かしい業績を 仰々しく一方的に捲し立てる男に興味はない。 柔和な笑顔を取り繕ってはいるものの、 その目はちっとも笑っていなくて、鋭く澱んでいる。 思考を読ませず、対象を値踏みするその視線に 少女は眼前の男が父と同種の人物だと判断した。
財界には掃いて捨てるほどのさばっているタイプだ。 正直、似た背格好の者を並べられたら 見分けられる自信が全くない。 ]
(20) 2024/10/25(Fri) 17時頃
|
|
[ ――増して、顔も覚えられない男に嫁ぐなんて。 少女は小さな拳を握りしめる。 ]
……急がないと。 次 は誰も 守ってくれないわ。
あの時の二の舞にさせまいと、 お父様も必死ね……。
[ 愛想笑いにもなりはしない、 口角を苦労して引き上げながら、 少女は何とかその退屈な時間をやり過ごした。 ]
(21) 2024/10/25(Fri) 17時頃
|
|
[ メールには、少々発破を掛けてやろうと 熟慮せずに勢いで書いてしまったことが、 まさか数日の内に現実となるとは。
もう自分のお守役の任を解かれた他人を 心配させようと煽った罰が当たったのだろうか。 ]
わたくしに、できることは……
相手の弱味を握る、落ち度を探る、 此方の瑕疵を訴える、相手に幻滅される……
うぅん、むしろお父様の方をどうにかしないと、 すぐに次の候補者に挿げ替えられるだけだわ。
(22) 2024/10/25(Fri) 17時頃
|
|
[ 《彼》 からの返信は文字だけで、 映像の一つも送られてこなかったから、 遠く未開の星の様子は何も分からない。
ただ、重い苦役は課せられずとも。 衣食住に困らず、衛生的で裕福な生活が 保障されていたとしても。
――"自由"がない。
その点に於いて、この白い居室も 遥か彼方の流刑地も、等しく牢獄なのだった。 ]
(23) 2024/10/25(Fri) 17時頃
|
|
[ 自分が 《彼》 を助けたいのか。 《彼》 に自分を助けて欲しいのか。
分からないまま、少女は堂々巡りの 思考の迷路にはまり込んでいく。 見えない鎖で雁字搦の両腕で、 縋るようにネコ元帥を抱きしめながら。 ]**
(24) 2024/10/25(Fri) 17時頃
|
|
[ ニビル星を目的地とした探索が 本格稼働してから二ヵ月程のことだったか。 補給星に立ち寄りながらノウハウを蓄積し 新人+αたちも、宇宙の旅や日々の業務にも 多少は慣れてきた様子に見えた。 一方、多くの同僚の表情に疲れが見える。 採用までどんなに優秀であろうと 新人の教育はそれなりに大変であること、 同僚たちの様子からも知ることが出来た。
共用デスクで粛々とデータを取りまとめる俺の横を マニュアル片手に半泣きでおろおろする新人と 憤懣やるかたない様子の同僚が 足音荒く通り抜けること数知れず。]
(25) 2024/10/25(Fri) 21時頃
|
|
[ 軽食の時間、 ドスンと音を立てて目の前に座る男に、 おつかれ、と声を向けた。 全身の毛を逆立てて歩いていた先刻の同僚だ。 ]
どーした。 また深くなってるよ、ここ。 そんなに大変ならチェンジする?
[ 食事を前にしても虫の居所が悪そうな彼に、 ここ、と、自身の眉の間を指し示して。 すっかり眉間の皺が取れなくなっている彼に 互いの頭痛の種のチェンジを打診してみたが それは丁重に辞された。 ]
(26) 2024/10/25(Fri) 21時半頃
|
|
[ 手がかかっても、分かりやすくて可愛げがあって 遣り甲斐も起きそうなものだし。 なにより、同僚の蟀谷の血管が危うい。 彼の生命の為にも、アリかと思ったのだが。 あれだけブチ切れて日々MTGで文句を垂れながらも 何だかんだと関係性は築けているらしい。 俺のところとは違って。 ]
(27) 2024/10/25(Fri) 21時半頃
|
|
[ 俺は同部屋の男との関係性については 他の者の前でもだんまりを貫いていたが 恐らくは見て察するものはあったことだろう。>>0:109
同室になった男は、 そうしたことを気にするタチには到底見えなかったが ある日突然業務以外で寄って来たことがあった。 「これ」などと言うから、仕事の手を止めてみれば 何かを手にしていて。 >>0;111]
? …
[ 最新式のホログラム再生機器だ。 それも、データ保存形式も変換は新旧一通りを携え 重力や衝撃にも当時の技術最大まで耐え得る プロフェッショナル向けの機種。 仕事だけでなく幅広く役立つことは間違いなかった。 ]
(28) 2024/10/25(Fri) 21時半頃
|
|
[ しかし何故。 今後を憂慮した上司や同僚に何か言われたのか。 それとも単なる気まぐれか。
一万光年譲って、 本当に関係性を改善しようとして このようなことを思いついたのだとしても。 いくつか取り寄せた品のうちひとつを 思いつきで寄越そうとしている ……らしきことが 相手の言葉から透けて見えてしまい。
困惑と疑問は焔に変わる。]
(29) 2024/10/25(Fri) 21時半頃
|
|
………貰う道理はないな。 「世話になっている」 と言うけど 本心からそう思っているか? 物や金銭で機嫌取りが出来ると思ったのなら 安く見られたものだ。
[ そも、俺は、贈るならともかく、 物を貰う ということに抵抗感がある。 意味もなくというならば猶の事。 施しの心算なら、 ―――、 ]
(30) 2024/10/25(Fri) 21時半頃
|
|
[ 頑として突き返してやろうと思ったが 相手の顔を見れば、俺の眉根は深く深く寄る。 此方が喜んで…否、ありがたがって? 受け取ると信じて疑わぬ表情。 >>0:111
何がどうなればそうなるのか。 理解が出来ない。 その時の俺は、何か言おうとして、口を開いて …結局、 理解を諦めた。
そうして、受け取るとも受け取らぬとも言わぬ儘 ホログラム再生機器は部屋の共用書棚に置かれ 以降、一度も触れなかった。あの事故の日まで。 ]
(31) 2024/10/25(Fri) 21時半頃
|
|
----
[ 脳が処理できる上限を超えた身体負荷に 意識がブラックアウトする直前、無我夢中で 転がり落ちた“それ”のスイッチを押した。
あいつの寄越した機器は、 ある種その役割を果たしたと言える。
容量いっぱいまで事故の状況を録画し続け、 貴重な記録型遺留物として回収されたのだから。 **]
(32) 2024/10/25(Fri) 21時半頃
|
|
/* あっ、アンカー失敗しちゃった
それにしても すごくヘイト稼ぎたそうだったから怒っておきましたからね? 現在軸で好感度均す前に過去ヘイトが蓄積されて行くね…ww 大丈夫?
中の人はによによしてる
(-7) 2024/10/25(Fri) 21時半頃
|
|
/*
ナルミくんかわいすぎるし 有能すぎん?
あと向こうの船とうちの船 規律だいぶ違いそう 旅船と戦艦ぐらい雰囲気ちがう
(-8) 2024/10/25(Fri) 22時頃
|
|
>>> TO: Wolf Holstein
確かに今でもトマトは苦手だけれど、 好き嫌いを表情に出さずに食べるのが 得意だと慢心していたの。 現に、使用人にも誰にも気付かれたことはなかったのに、 どうしてあなたには見抜かれたのかしら?
暴れたなんて、人聞きの悪いことを言わないで。 トマトを食べたくなかったのではなくて、 嫌いだとバレたことに動揺しただけなのだから!
[ 自分でもとっくの昔に忘れていた指摘に、 幼少期を回想しながらムキになって書き殴ると、 平素のお堅い文面よりも大分砕けてしまった。 まるで駄々をこねる子供のようだ。 ]
(-9) 2024/10/25(Fri) 22時半頃
|
|
……コホン。改めて そういうところが、あなたの罪深いところなのです。 ただの護衛、と言うけれど。それ以上に わたくしのことをよく見ているし。 知らない内に色んな危険から庇ってくれいるし。 ちょっとぶっきら棒だけれど 少ないことばの端々に、優しさを感じるし。
……それもこれも全部、父の命令だからだと あなたは釈明するのだろうけれど。
わたくしは あなたのことを 「ただの」護衛だなんて 一度も思ったことはありません。
(-10) 2024/10/25(Fri) 22時半頃
|
|
[ 観察眼の鋭さは、職業柄だろうか。 護衛官としての 《彼》 は、あくまで 職務の範囲内ではあったが、 少女の最も近くで、その一挙手一投足を 見守ってくれる存在だった。
周囲が見過ごす少女の機微に敏感で、 寡黙ながら日々の災難から少女を遠ざけ、 時にはささやかな優しさもうかがわせる。
初対面で怯えていたのが嘘のように、 少女が 《彼》 に懐き依存するのに 時間はかからなかった。 ]
(-11) 2024/10/25(Fri) 22時半頃
|
|
[ 子供は時に、真実を見出すことがある。
少女を取り巻く大人は一様に、 父に金で雇われ、その権威を畏れ、 或いは心酔しているかのどちらかだったが、 《彼》 にはその気配を感じなかったから。
《彼》 の前でだけ、年齢相応の素の自分で居られたし、 その庇護下は世界中のどこより安全な 唯一の居場所になったのだ。 ]
(-12) 2024/10/25(Fri) 22時半頃
|
|
わたくしが法律を学ぼうと思ったのは、 内々に処理隠蔽されてしまったあの日の真実と あなたへの処罰が不当であったことを 証明したいと思ったからです。
そうすれば、あなたは 地球に帰って来られるかも知れない。 わたくしは会いたくてたまらないけれど、 あなたが絶対に、金輪際、 会いたくないと言うなら、我慢します。たぶん。
今も両親の身辺などを探っているのだけれど、 どうしてもあの日のことを思い出そうとすると 酷い頭痛と眩暈に嘖まれてしまうの。
(-13) 2024/10/25(Fri) 22時半頃
|
|
先日、とうとう次の婚約候補だろう人と 引き合わされました。 もう残された時間はあまり長くありません。 こうして、あなたにメールが届いたのは、 奇跡的な最後の希望だと思うのです。
わたくしのためを思ってくれるなら、 どうか、お願い。
本当のことを 教えて欲しいの。
>>> FROM: Calyx Hermetica >>> 添付LoneCat.hlg
(-14) 2024/10/25(Fri) 22時半頃
|
|
[添えられたのは一枚のホログラムフォト。 白い壁面から楕円形にくり抜かれた窓の景色を眺める、 一人と一匹の後ろ姿のシルエットが並んでいる]
(-15) 2024/10/25(Fri) 22時半頃
|
|
[数世紀前に比べたら飛躍的に宇宙食事情は 良くなったとはいえ、 嗜好品などはまだまだ改良の余地が 残されていると思う。
苦味とカフェインが摂取できるだけの 黒い飲み物を飲み干して、メールを────送信。]
もうこんな時間か。
[ブリーフィングの時間が迫っていた。 これから、着船後の各員の動きについて 最終確認と説明がある予定だ。
集合は任意で実際通信の参加で事足りるが、 気分転換がてら会議室まで出向くことにする。]
(33) 2024/10/25(Fri) 23時半頃
|
|
[ホログラムで大きく映し出される映像を使って 惑星への着陸について注意点や、 各クルーのタスク・動き方など説明がなされる。 大体の流れは把握済だが、 細かい箇所を俺と同じく初めてニビルに 降りるクルーが質問している。
俺もひとつふたつ質問を飛ばした。 鮮明に像を結ぶホログラムを見ていると、 やはり蘇る記憶がある。
>>28>>30 彼の訝し気な表情が 静かな怒気を孕んだものに変わっていったこと。]
…………やっぱり、怒らせたんだろうな。
(34) 2024/10/25(Fri) 23時半頃
|
|
[贈り物を喜ぶ人間とそうでない者がいる。 俺の体験談でいうと1:30ぐらいの比率で。 喧嘩中の相手でも喜ばれることはあったし 友好的な関係でも困惑されたことがあったから 関係性はイーコールではないらしい。]
あれ? だって君は俺の教育係でも あるんだろう? 世話になってることに違いはないさ。
[本心? 社交辞令として喜んで見せればいいものを。 そっちのほうが物事はスムースに行く筈だ。]
(35) 2024/10/25(Fri) 23時半頃
|
|
[とはいえ、 俺だって目の前の相手には嫌疑を向けたり (ちなみに杏仁豆腐事件の犯人は 部屋にやってきた動物型ロボットが 袋ごと咥えて持っていったようだ) 話を遮って反発するような態度を取ることもあった。 プラスになることなどありはしないだろうに。]
[>>31 対話を諦めた表情。 俺が見たかったのはそんなものだったろうか。
そういえば、 部屋のオブジェと化した贈り物は どうなったんだっけ。]**
(36) 2024/10/25(Fri) 23時半頃
|
|
早く降りたいものだね。 どこであっても、足の裏が地に くっついている方が落ち着くみたいだ。 クルーになるまでは、あんなに飛び出したがってたのに。
[ 幾許かの日数が経過した。 起伏の大きい赤銅の大地から一転、 次の目的地はなだらかな星らしい。 地球人類の移住候補地になり得るか、 調査の先駆けとして探査機を送り込む。 暫くの間着陸は見送り、宇宙空間での作業が主だ。 会議の中で、他愛ない雑談が飛び交う。 ―― 降りるにしても、 もっとこう、緑の広がる星とかさ〜… ―― あらぁ?そろそろ地球に戻りたくなっちゃった? ]
(37) 2024/10/25(Fri) 23時半頃
|
|
あ、それはこっちでいい。 分析、回してくれるかな。
[ 年若い後輩がハイと頷いて、 テキパキと淀みなく処理を進める。 三年前に同乗した新人とは違う青年だが 昨年の探索では半べそをかいていた者が 既に重要戦力となっていて、時の流れを実感する。 ]
(38) 2024/10/25(Fri) 23時半頃
|
|
[ 端末が時折、メールの通知を報せる。 火急のメッセージはそれと分かるように設定している。 早急に対応する必要はない筈だが…… 思いがけぬメッセージを受け取ってから 以前よりも注意を向けることが多くなった。 不本意ながら、…と、嘗ての己ならば思うだろうか。
新たに届いたメールに、暫し手を止めた。 これは、個室に戻ってから返信することになろうか。 ]
(39) 2024/10/25(Fri) 23時半頃
|
|
----------------------------------
それはなにより。 今回は念願のニビル星に辿り着けそうだな。 成果を持ち帰れるよう祈っている。
あぁ、知らなかったのか。 一応、担当だったわけだから、 一応、そちらにも顔を出していて。 身内らしき人にも一言だけ挨拶している。一応。 機関のお偉いさんも来ていたことは そのお身内から聞いているかな。 事故の件で説明に来ていたんだろう。
俺の方も、目覚めたタイミングは そっちと大きくは変わらないけれど 周りの反応……… どうだろう。 事故のことについて聞く奴も中には居るけど 周りが大きく変わったとは感じていない。 そう感じるのは、大切にされているからじゃないのか。
(-16) 2024/10/25(Fri) 23時半頃
|
|
アドバイスアリガトウ。 画像ね、心に留めておこう。
……… 楽しい? …そうか。
大事な見習い研修期間を 児戯呼ばわりとは聞き捨てならないが 今が楽しいというなら、
なんだろうな。 上手くは言えないけど よかった と言えばいいんだろうかな。
(-17) 2024/10/26(Sat) 00時頃
|
|
ニビルに珍しいものがあったら報告上げてくれるか。 此方は次の着陸まで、何日もお空の上らしい。 新しい発見には暫くお目にかかれなそうだから。
追伸 地球の珈琲が格別なのは同意する。 最近開発されたイルヴァ星の土も豆栽培向きで なかなからしいと聞くけれどね。 時期がよければ航路上で手に入るんじゃないかな。
----------------------------------
(-18) 2024/10/26(Sat) 00時頃
|
|
[ 報告書の件は、一瞬、 こいつはどの立場で物を……と思いかけたりもしたが。 今や新人でも研修生でもなく 第一線で活躍するいちクルーなれば 『同僚』と見做すべきとして、ぐっと堪え言葉を連ねた。
……目覚める前後の話。俺の方はどうか。 やはり、この問いかけにはより慎重に言葉を選ぶ。 選んだ心算だが……
話を替えた方が良かっただろうか。 病室の冷蔵庫に大量のあんみつを 詰め込んでおいてやったことなどに ―― いや、やはりこれは黙っておくべきだろう。 杏仁豆腐で冤罪を受けた仕返し、 もとい、単なる意趣返しでしかない。 見舞いの意図? 0.1%ほどならあったかも知れないな?
送信を押す。]
(40) 2024/10/26(Sat) 00時頃
|
|
[ 自身のメールを読み直してみる。 きみ、お前、そちら … 相手の呼称が右往左往している。 どれもしっくり来るようでしっくり来ない。 俺は俺の儘で居られているはず。 それでも、事実を認識すればするほど 三年前の儘 在れぬ己にも気付く。 …… 同情に近いものなのだろう。
「また」とあいつは言う。 そうだな、 せめて メールくらい、付き合うとするか。 ** ]
(41) 2024/10/26(Sat) 00時頃
|
|
──その"罪"は誰のものなのか──
[部屋に飛び込んだ時にはもう手遅れだった。
硝煙と血の匂いがまず鼻につく。次に、ベッド脇の床に仰臥する男との対面。 真っ白なシルクのシャツには焼け焦げた穴が空いており、周囲はドス黒い血に染まっている。 確認するまでもなく一目で絶命しているのがわかった。
だがウォルフが探しているのは死んだ男ではない。 素早く視線を巡らせ室内を確認する。 ベッドの上に座っているネコ元帥と目が合うが、今は無視する。 時間がない。他の者が来る前に探さなくては、彼女を。]
(42) 2024/10/26(Sat) 00時頃
|
|
…お嬢さんッ
(43) 2024/10/26(Sat) 00時頃
|
|
[声に返事はなかったが、程なくして男の遺体とは反対側のベッド脇、隅にちぢこまって座り込んでいる少女をウォルフは発見する。 顔面は紙のように蒼白、ガタガタと全身を震わせていた。目の焦点は合っていない。 そして、その小さな手にはしっかりと銃が握られている。]
…お嬢、さん。
[すぐに駆け寄り肩に手を添える。それでも彼女はウォルフを見ようともしない。何があったのかはすぐに察することが出来た。彼女の衣服は僅かに乱れていたからだ。]
……。
[彼女の無事を喜ぶ暇はない。もう一度声を掛けて反応がないのを確認すると、ウォルフは大きく息を吸い、肩を落とした。
彼女はすぐに病院に連れて行かねばならないだろう。精神的に大きなショックを受け、おそらく心神耗弱状態に陥っている。
だが状況をこのままにすれば。 彼女は。]
(44) 2024/10/26(Sat) 00時頃
|
|
お嬢さん。 …銃を渡して下さい。
(45) 2024/10/26(Sat) 00時頃
|
|
[やはり、震える彼女の唇から明確な返答なかった。ならばもうやるべきことは決まっている。 ウォルフは彼女の手を包み込むようにし、力を入れる。それは接着剤でもついているのかという位張り付いて硬く握りしめられていたが、男の腕力にかかればホロと解ける。
小さな銃を手にしたウォルフはそれを壁に向かって構えた。 銃声が轟く。弾は壁に穴を空ける。おそらく貫通はしなかったであろう。
これで、この銃から発砲された弾は二発。一つは死んでいる男の胸に、もう一つは壁に。 銃を打つと人の手には硝煙反応というものが残ってしまう。それは彼女とウォルフの手、それぞれについている事だろう。
どちらが何処を撃ったのか?警察はどう判断するか。 しかしその結果は用意に予測出来た。警察と言うのは圧力に弱い。 彼女の父親の地位を考えれば目に見えている。]
(46) 2024/10/26(Sat) 00時半頃
|
|
[ダンダン!と扉を激しく叩く音がする。部屋に入った時にウォルフは冷静に扉をロックしていた。とはいえ、彼女を一刻も早く運び出したい。
ロックを開く間際、もう一度彼女を見る。 先程の位置から全く動いていないようだ。 要するに、ウォルフの隠ぺい工作を目撃したのはネコ元帥だけとなるだろう。
開いた扉の向こうにいたのはボディガード仲間である。 遺体を見てひ、と喉から声を上げた彼にウォルフは淡々とした声で告げる。]
(47) 2024/10/26(Sat) 00時半頃
|
|
俺が殺した。
[その一言に躊躇いは全く滲んでいなかった。]**
(48) 2024/10/26(Sat) 00時半頃
|
|
― Habitable/キッチン ―
[ジリヤさんが帰宅する日、日課を終えると、キッチンへ。 食事の用意は、楊花さんが手伝ってくれると言うので、二人並んで調理を進める。]
[私がホワイトソースを作る横で、楊花さんは材料を切りながら。]
『たまにクラリッサ宛に手紙が届くけど、 文通とかしてるのっ?』 『今は電子メールが普通だけど、そういうの、良いねっ』
ふふ。ありがとうございます。 元実家に、今も住み込みで勤めてくれている人なんですけど。 私が幼い頃から、身の回りの事をしてくれたり、遊んでくれて。
幼馴染……というか、妹の様なかんじなのか、 それともまだ、手のかかる『お嬢様』のままなのかしら。 心配して、相手をしてくれているのかも。
[たまねぎをバターで炒めながら、小さく眉を下げて笑むと、楊花さんも同じ様に眉を下げて笑み。]
(49) 2024/10/26(Sat) 00時半頃
|
|
『私も、この前参加したテラフォーミング計画で、 偶然、幼馴染に再会したよっ。 機械いじりが得意な人でね、昔……』
[そんな風に、楊花さんと話をしながら楽しくお料理をしていると、あっという間に時間は過ぎて。全て用意ができた頃。]
『……ただいま』
きゃっ! 『ふぇっ!!?』
[賑やかな足音を立てて帰宅した楊花さんとは真逆に、 音も無く背後から声をかけられると、楊花さんと二人驚いて、びくりと肩を震わせた。]
[振り向くと、そこにはジリヤさんの姿。 ジリヤさんは生物学の研究者で、ここ暫くは、研究に纏わる調査に出ていた。 楊花さんとは対照的に、話し方にあまり抑揚が無く、表情の変化も控え目で、口数も少ないタイプだ。]
(50) 2024/10/26(Sat) 01時頃
|
|
ジリヤさん! お帰りなさい。 ご無事で良かったです。 ……ゾーイさんも。
[ジリヤさんの足元に視線を移すと、そこには、彼女と同じ白い毛並みにオッドアイを持つ、同居猫。 ふふっと目を細めて笑んで、屈み込むと、猫のゾーイさんの頭を撫でて。]
『……ありがと。 クラリッサと、楊花も、無事で良かった』
[そう言いながら、宇宙に行っていた、かつ、慌てるとよく転ぶ楊花さんの、頭から足先まで視線を動かすと、『鉄仮面』と形容されるジリヤさんの顔は、にこりと破顔して、こくりと頷いて。 次の瞬間には、元の表情に戻っていた。]
ご飯できてますけど、すぐに食べられますか? 帰ったばかりですし、もう少し後の方が良いですか?
『……すぐで大丈夫、だよ?』
[そうして、テーブルの上に並ぶのは、ライスを添えた白いビーフストロガノフ、ボルシチ、サラダ。 それを目にすると、ジリヤさんはぱちりと瞬いて。ありがとと言った後、ふにゃっと笑みを零した。]
(51) 2024/10/26(Sat) 01時頃
|
|
……あっ! 食べる前に、写真を撮っても良いですか? 良かったら、みなさんも一緒に入っていただけると。
[二人と一猫の了承を得ると、お料理の前に写真機を置いて、お料理の後ろに三人と、抱えられた一猫で並んで写真を撮った。]
[それから食事をして、後片付けを終えると、 グラシンカップに入れて焼いたシャルロートカと、ロシアンティーと、ゾーイさんにも猫用のおやつを用意して。 三人と一猫で、楽しい時間を過ごした。]
[そうして夜が更ける頃、自室に戻ると。]
……この前手紙を送ったばかりで、返信も無いのに。 あまり頻繁に送っても、迷惑かも……。 [暫く悩む間の後、ペンを取った。]
(52) 2024/10/26(Sat) 01時頃
|
|
[書くのは、便箋ではなく、先程撮った写真をハガキにプリントしたもの。
そこには、今日作ったロシア料理と、 真顔のジリヤさん、ジリヤさんに抱えられた猫のゾーイさん、笑んだ顔の私、楽しそうな満面の笑顔の楊花さんが写っていて。 その裏に、簡単な文章を添える。]
Dear Ralph,
ロシア料理、美味しく作れました。 次は、フランス料理に挑戦する予定です。
下宿も、ジリヤさんとゾーイさんが帰ってきて、 もっと賑やかになりましたよ。 ラルフも毎日、楽しく過ごしているかしら。
Have a nice day,
Clarissa・S・Everett
(-19) 2024/10/26(Sat) 01時半頃
|
|
この位の内容なら、負担にならないかしら……。
[小さく首を傾げ、再び、暫し悩む間の後。 ハガキを封筒に入れて、シーリングスタンプで封をした。**]
(53) 2024/10/26(Sat) 01時半頃
|
|
/* ごめん……。男性の使用人はラルフだけって聞いていたのに、うっかりピエールさんを出してしまって。 ピエールさん(女性)でも良かったのだけど、設定を変えさせちゃった……。
(-20) 2024/10/26(Sat) 01時半頃
|
|
/* いつウォルフさんの事情が来るかな〜って見てました。 >>45>>48 そうだよね、って頷きつつ…… 辛いやつ〜〜〜〜
(-21) 2024/10/26(Sat) 04時頃
|
|
/* Q.本当に見舞いの意図はあったんですか?
A.98(0..100)x1%くらいはあったよ。
(-22) 2024/10/26(Sat) 04時頃
|
|
/* ちょ
存外多いな??? 普通に仕返ししに行ったつもりが。
(-23) 2024/10/26(Sat) 04時頃
|
1
2
3
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
4日目
エピローグ
/ 最新
トップページに戻る