10 冷たい校舎村9
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― 少し前の話 ―
[おかずクレープを一個失敬して食べながら 鳩羽と炭蔵から九重伝手の精神世界の話を聞いても 俺は微妙にピンと来ないまんまだった。
ピンと来ないって言うか、で??みたいな。
誰かが作りだした夢っぽい世界なのかなー ってことは何となく予想がついてたし その誰かはあのメールを 送ってきた奴なんだろうなってことも 容易に繋がりはするのだけれど、そこから先。]
(108) 2021/06/10(Thu) 12時頃
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[つまり、俺達はこれからどうなるのかなってことと メールの主は何がしたかったのかなってこと。 俺達はただ巻き込まれちゃっただけなのか。 それとも明確な意思を持って巻き込んだのか。
後者なんだったとしたら、九重人形 ―――結局本人が見つからなかったのが何とも不穏だ――― は、メールの主があんな形にした可能性が高いし 俺達もいずれは似たような末路を辿るのかもしれない。]
(109) 2021/06/10(Thu) 12時頃
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[………うーん。]
(110) 2021/06/10(Thu) 12時頃
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[なんなら自覚ないだけで 俺がここ作りだした可能性とかワンチャンある? みたいなことも考えたんだけど、すぐに打ち消した。
多分俺は、止まる世界に文化祭を選ばないし 3-9のみんなにあんなメールを送ったりもしない。
俺は自殺する勇気とかないんだけど、 もしも死にたいって思ったとしても、 1人ひっそり死んでいくんじゃないかなあ。
ああ、そう、だから逆にこのメールの送り主は 俺も含めて9組の連中のこと 信じてるんだなって思うんだよね。]
(111) 2021/06/10(Thu) 12時頃
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[ああそう言えば、 昨日黒沢と話してる時にも ちらっと同じことを思ったな。
「クラスの皆は俺のこと悪く思ったりしない」
それってクラスのみんなのことが好きで 善人だと信じてないと言えないでしょ。
……いや、まあ、だからなんだって話なんだけどさ。]
(112) 2021/06/10(Thu) 12時頃
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[マットに寝転んでそんなことをつらつら考えていた俺は いつの間にか眠りについていたみたい。
不良学生の俺は、自分ちのベッド以外で寝るのにも割と慣れているので、固いマットでも問題なく熟睡することができた。 こういうとこけっこー図太いんだよなって我ながら思う。
何て言うか、状況にもちょっと慣れてきて、 自分に出来ることもそんなにないなって分かって 開き直って来たって言うのかなあ。 いや不穏は不穏なんだけどね!
だからチャイムの音が学校に鳴り響くまで俺は寝てた。 目を擦って頭を振り、時計を確かめれば朝の8時50分。 もう休憩室に残ってる奴もあんまりいなかったかもしれない。 のそのそ体を起こし、食料を求めて歩き出す。]
(113) 2021/06/10(Thu) 12時頃
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……あれー???
[休憩室を出た俺は、直ぐに違和感に気付いた。 さっきまで焼きそばとかフランクフルトとか 色とりどりだった屋台が全部同じ装飾の一色… 具体的には我らのコワカワ屋台に塗り替わっている。
コピー&ペーストでもしました?みたいな光景は 何て言うか九重人形とはまた別の不気味さがあった。 念の為確かめるために踏み出せば かきん、って小さな音が鳴って 落ちていた替え刃が割れた。
…気のせいかな。 カッターの数も、寝る前より増えてるような。]
(114) 2021/06/10(Thu) 12時半頃
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/* えっとー 綿見と黒沢が倉庫前 炭蔵とレンが階段前でマネキン発見 暮石と向井が屋台前でお話し中…かな? あぶれてるな??どうしような??
(-16) 2021/06/10(Thu) 12時半頃
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/* うーーーん多角………多角もなーーー ちょっとだけ触れて離脱するか………
(-18) 2021/06/10(Thu) 12時半頃
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/* 休憩室は何階なんだ??特に決まってない??
(-19) 2021/06/10(Thu) 12時半頃
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[また二人、校内から姿が消えたこと 今の俺は知らぬまま。 ひとまずは腹を満たすべく 食堂を目指そうとしている。**]
(115) 2021/06/10(Thu) 13時頃
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― 文化祭・綿見 ―
[端折りすぎたせいでだいぶ簡素になってしまった。>>116 だってこんなん絶対聞いてて楽しい話じゃないでしょ。
それでも綿見はちゃんと耳を傾けて 事情もよく分からないだろうに こちらの目線に立って言葉を返してくれる>>117]
…………うん。
[辛いね、という相槌には こくんと静かに首を縦に振った。 綿見が遮らないからもう少しだけ、 甘えて口を開いてしまう。]
(170) 2021/06/10(Thu) 17時頃
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前に綿見ちゃんから家族の話聞いたじゃん。 俺も家族とあんま仲良くなくてさ。 仲良くないって言うか、壁があるって言うか。 あんまり居場所がないって言うか。
[地味で、平凡で、目立たない両親と弟。 並べば一目瞭然だ。俺だけが異物だってこと。 養子だってことはこの場では省いたけれど]
だからか知んないけど、 外に居場所求めるようになってさ。 俺ってば自分で言うのもなんだけどモテるじゃん? だから割と告白とかもされてきたんだけど、
そんな時……確か中三だったかなあ。 同じクラスになったんだよね。
(171) 2021/06/10(Thu) 17時頃
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[こう言っちゃなんだけど、 ものすごく美人だったとか 人目を惹いたとか、そんなわけじゃない。
ただ自分をしっかり持っていて、 凛としていて、芯があって、眩しくて、 初めてこの子に好かれたいって思ったんだけど。
そこで一度言葉を切って、息を吐く。]
(172) 2021/06/10(Thu) 17時半頃
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もう顔も見たくないって言われちゃった。 好かれるってむずかしーね。
[自嘲気味に吐き捨てて苦笑する。
時々独り言を言っている綿見。 黒沢とあんまりうまくやれてない綿見。 でも、こうして今寄り添ってくれる綿見。
いつか、こわい子かもなんて思ったのを恥じた。 全然そんなことないなって。]
……綿見ちゃんは、そういうことあった? 失恋したり…そうじゃなくても、 仲良かった人と喧嘩したりとかさ。
[何気なく問い返して、ゆるゆるとクリームの角を立てる。*]
(173) 2021/06/10(Thu) 17時半頃
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― ―
[愛想よく振る舞っていれば、嫌われずに済むらしい。
処世術の一環としてそれを学んだ俺は 顔色を窺って媚びることばかり上手くなっていった。 小学生の頃から一部の大人は可愛がってくれたし それも中高学年に入ればマセた女の子たちが 自分のことをちやほやしてくれた。
ありがと。俺も好きだよ。可愛いね。 好かれるのがただ嬉しくて 無邪気にそう返していた子供の頃は まだそれでも特に困ることは無かった。]
(178) 2021/06/10(Thu) 18時頃
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[中学生になって、話は少しだけ複雑になった。 大人の真似事をし出した俺たちは 付き合うとか付き合わないとか、 そんな話だって出てくる。 よく意味なんて分かってない癖にね。
ああ、一応俺の名誉の為に言っておくけど 別に二股してたつもりはないんだよ。これはほんと。 ただ「付き合おう」って言われて「いいよ」って言った後も 他の女の子とも変わらず遊びにいったり仲良くしてただけ。
これ男女の深刻な差だと思うんだけどさあ、 中学生男子にとって「付き合う」って精々 「エロいことしても許される」くらいの認識しかなくない?
つまり俺は「しない限りは問題ないじゃん」って思ってた。 あの子ともあの子ともただの友達。 何も悪いことしてないじゃんって。]
(179) 2021/06/10(Thu) 18時頃
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[当然、そんなん通るわけないんだよねえ。 一時は本当に付き合って別れて 付き合って別れてを繰り返してた。
俺も何で怒られたり泣かれたりすんのか いまいちピンと来てないながらに これあんま良くないな?って学習して それからは付き合ってる子の機嫌を損ねないように 振る舞うことを覚えた。
でも、そんなの結局長続きしなくて、 にこにこしながらなーんか 上手くいかないなあなんて思ってた。
…………そんなころだったかな。 あの子に会ったのは。]
(180) 2021/06/10(Thu) 18時頃
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[しっかりしてて、友達想いで、 決してつんけんしてるわけじゃないんだけど 自分の思ってることはちゃんと言える子だった。
気付いたら好きになってたんだ。 もしかしたら、あの子に好きになって貰えたら 俺も自分のこと好きになれる気がする。 そんな風に思ってたのかな、わかんないや。
何かと話しかけたり、一緒に帰ろうって誘ったり 困ってそうだったら手伝ったり、 俺としてはただただ仲良くなりたかっただけだった。
………いつからだったかなあ、 俺が話しかけるたびにその子が 困ったような顔をするようになったのは 何気なくやんわりと避けるようになったのは。 でも俺は何が悪いのか分かんないから、必死になって――]
(181) 2021/06/10(Thu) 18時頃
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[ある日のこと。
教室でぽつんと立ってるあの子に いつものように話しかけた。
くるりと振り向いた瞳は真っ赤に腫れていて、 ぐしゃぐしゃになった顔に俺は面食らった。
「XXXって子、覚えてる?」
聞いたことのないような低くて静かな声。 焦るじゃん。その子に苛められたのかなって。 嫌なことされたのかなって。俺――――]
(182) 2021/06/10(Thu) 18時頃
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"余計なことしないで!!!!!"
(183) 2021/06/10(Thu) 18時半頃
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[ ねえ、どうして私に構うの? 私のこともからかってるの? XXX、まだ柊君のこと好きなんだよ。 きみが私に声をかけるから、 XXXに誤解されて、私……… 柊君は覚えてもないんだね。 傷付けられた子の気持ちなんてわかんないんだ。 柊君なんて――― ]
(184) 2021/06/10(Thu) 18時半頃
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[ …………… ]
(185) 2021/06/10(Thu) 18時半頃
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[……………うん、そうだね。 要するにこれも突き詰めれば自業自得。 やっぱり俺は悪い子みたいだ。]
(186) 2021/06/10(Thu) 18時半頃
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[世界には二種類の人間がいた。 俺のことを好きな人と、そうじゃない人。
でも、嫌われない方法ばかり覚えた俺は 「好かれたい人」に出会った時 どうすればいいのか全然分からない。
「好かれたい人」には こんな俺なんかよりももっと好きな人がいて、 俺はどう足掻いたってそこには入れないみたいだ。
ずっとずっと子供の頃から今も 薄っぺらい笑顔を浮かべてひとり、 空虚に空回り続けている。**]
(187) 2021/06/10(Thu) 18時半頃
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― 廊下 ―
[休憩室を出てまっすぐ食堂に向かおうかと思ったが 少し思う所あって寄り道していた。
何をと言うと一晩で増えに増えた9組の屋台である。 本当に全部同じなんだろうか、どっか微妙に違っててそこにヒントが隠れていないだろうかと思ったが、綺麗にそのままが再現されていた。 そのへんから一個拝借して食べてみたが ご丁寧に置いてあるクレープ類も同じみたいだ。
ここに来たときはヤバイかもって思ってたけど アウトならここにある食糧食べた時点で多分アウトだし もうなんか今更かなって。
別に腹下したり気分悪くなったりすることもなく ごくごく普通の甘くて美味しいクレープだった。 あ、ゴーストクレープの方をいただきました。 昨日の今日で目玉食べる神経の太さは流石に無い。]
(276) 2021/06/10(Thu) 22時半頃
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これ、一晩寝たらリセットされたりするんかな?
[だとしたら少なくとも飢え死にする心配はなさそうだ。 いや、ずっとクレープ生活だったら流石に飽きそうだけど。 それともまた別の屋台に移り変わってたりして。
なんて、どうでもいいことを考えながら歩いていると バキッ、と音がしてまたカッターを踏んづけていた。 やっぱり気のせいじゃないよね、明らかに増えてるよね。 後ろから聞こえる溜息の音とシンクロしながら拾い上げて、 何となしにまじまじと見つめた。]
(277) 2021/06/10(Thu) 22時半頃
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[遺書とカッター。 何て言うかとても安易な感じの連想が出来てしまう。 もし自殺したのなら死因は………なんて。]
でも、カッターで死ぬの大変そうだよねー。 こう……?こうか…??
[人間って案外図太くて、 刃物で刺しても薬飲んでも簡単には死ねないんだよ。 むしろ死に損ねた時がしんどいんだよね。 by夜の仕事のお姉さん。
刃をしまった状態で手首にあてて、軽く引いてみる。 俺やったことないから分かんないけど、 これで死ぬには相当根性がいるんじゃないのかな。
俺が自殺とか今まで考えたことなかったの、 そういう知識の方が先に入って来ちゃったからもあるけど。あとフツーにこわいし。]
(288) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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………ここで死んだらどうなるんだろ。
[ぽつ、とそんな疑問を漏らす。 脳裏に昨日の九重人形が浮かんだ。
たとえば死体は消えて、あの人形が残る。 有り得ない話じゃないよなって。 問題はその場合、死んだ後の本人はどこに行くのかってことで………
チキチキチキ、とカッターの刃を悪戯に出し入れしながら らしくもなく物思いにふけってしまう。]
(289) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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あいて。
[ぼーっとしてたせいで手が滑った。 勢いあまって手をざくっと切ってしまう。 痛みは普通にあるんだよねー。めんどくさい。 そんな風に思いながらカッターをその場に投げ捨てて、 また歩き出した。*]
(290) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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