10 冷たい校舎村9
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[脱皮したばかりの表皮は柔らかい。 これは、そういうお話。]
(5) 2021/06/12(Sat) 00時頃
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— 朝、渡り廊下を離れてから —
[わたしはあの後、何をしていたんだっけ。 たぶんどこかをふらふらと彷徨い歩いていた気がする。 たとえば、探索してない3階も見にいったような。
運のいいことに、人とすれ違うこともなかったっけ。 少なくとも、わたしが認識する範囲では。
そんな風にぼーっと歩いていたから、 足元が無意識に歩きやすい道を選ぶのは、 そう不思議なことでもなかったはず。]
(6) 2021/06/12(Sat) 00時頃
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[時刻はお昼過ぎとかそれくらい。 スマホで確認したから間違いないと思う。 思うって曖昧なのは、 日付>>3:#1がわたしの思う数字とひとつ違ったから。 電波が届かないとこうなるのかなと思ったけど、 そもそも現実と違うここではどっちでもいいことだった。
このスマホは夜のひとみちゃんに役立ててもらうもの。 すぐに電源を落として、 わたしは目の前の扉に貼られた紙>>3:417を見た。]
・・・・・・。
[『注意! 番代さんに似たマネキンがあります』
わたしは黙ってドアノブへ手をかける。]
(7) 2021/06/12(Sat) 00時頃
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— 昼、教材倉庫 —
[重い扉を開くと、僅かな埃っぽさが鼻をくすぐった。 図書館までとはいかないけれど、 紙の匂いやチョークの粉っぽい香りがする。
重い扉が閉まって外の光がなくなってしまう前に、 わたしは壁に設置されたスイッチを押した。]
・・・・・・。
[わたしが目にしたのは赤く広がる血だまりと、 ところどころ赤の滲んだ掛け布団>>3:416。 一部>>3:421、僅かに血が擦れた場所もあった。 血だまりだけでなく、棚まで血の飛び散った跡があり、 何かが破裂したような感覚を覚えた。]
(8) 2021/06/12(Sat) 00時頃
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これ・・・・・・。
[奥の掛け布団が目立つけど、 その脇には小さな足跡があった>>2:646。 乃絵ちゃんも綿見さんもひとみちゃんも違うはず。 もちろんわたしのものでもない。
わたしは上履きと靴下を脱いで入り口近くに寄せた。 裸足になった足を跡と並べれば歴然だ。]
子どもの、足跡。
[わたしはその足跡を追いかけることはせず、 その傍ら、震える指で掛け布団を持ち上げた。]
(9) 2021/06/12(Sat) 00時頃
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[わたしの腕では一回で布団を全部捲ることはできない。 最初に見えたのは紺色>>2:647。 指に巻いていたはずのハンカチを強く握り締めたのか、 昨晩見た時より皺が目立つように感じられた。]
ひとみちゃん。
[これは、ひとみちゃんだ。 割れた腹も球体のついた腕も見えたから人形なのは 分かっているけど、これは、ひとみちゃんだ。
鳩羽くんの爪も結局つつくまでは至らなかった。 だから血や刃がわたしの手に触れたことは一度もない。
でもわたしはそんなことを気にするのも忘れて、 腹からの血が飛び散った輪郭に手を伸ばし、触れた。]
(10) 2021/06/12(Sat) 00時頃
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ひとみちゃん。
[呼んでも当然返事はない。 わたしは指についた赤を眺める。 それからコートが汚れるのも構わずに隣へ腰掛けた。]
先に帰っただけだよね。 また一緒に帰るって言ったもんね。
・・・・・・わたし、ね。 本当にワルモノになっちゃった。
[もう少ししたら、硬くなった皮がわたしを守るから。 心臓がばくばく音を立てる。 今だけ堪えきれない罪悪感を膝に抱え、 わたしはそこに顔を埋めた。
眠ったのかもしれない。 わたしはそこで長い時間を過ごすことになる。]
(11) 2021/06/12(Sat) 00時頃
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— 夜、チャイムが鳴る直前 —
[わたしはひとみちゃんの掛け布団を戻し、 教材倉庫を出る。窓の外はすっかり暗い。
コートにはべったり血がついてしまったから、 脱いで腕にかけた。制服だけだとさすがに少し寒い。 わたしは肩を震わせる。
足の裏も真っ赤だったから、誤魔化しの靴下を履いた。 ありがとう購買の靴下。おかげで上靴は守られたよ。 そんな上靴も裏にカッターの小さな刃が刺さっていて、 怪我をしないよう細心の注意を払って抜いておいた。]
(12) 2021/06/12(Sat) 00時頃
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こっちだった、かな・・・・・・?
[わたしが探しているのはシャワー室だ。 主に部活生が利用するそこは、わたしには縁遠い。 何度か訪れた渡り廊下を過ぎて体育館へ。 ここにも屋台は並んでいたかな。 それならそこそこ雰囲気のある場所になっているかも。]
お腹空いた。
[わたしは1人なのをいいことに独り言を続ける。 朝も昼も何なら夜も食べ損ねそう。 せめてこの後何か食べておこうと決めて、 わたしはシャワー室の入り口を潜ろうとする。]
(13) 2021/06/12(Sat) 00時頃
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[もうすぐ、夜の8:50が訪れる。]*
(14) 2021/06/12(Sat) 00時頃
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夜笑国 メイは、メモを貼った。
2021/06/12(Sat) 00時頃
夜笑国 メイは、メモを貼った。
2021/06/12(Sat) 00時半頃
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/* いつから三点リーダーおかしくなってました……? 冷や汗 冷や汗がすごい。えっ……こっち……ですよ……!
(-8) 2021/06/12(Sat) 00時半頃
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/* まだログの流れを把握しきれていないのですが、先にお二人の落ちロール噛み締めてもいいですか? いいよ!
(-10) 2021/06/12(Sat) 00時半頃
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/* 向井くんは魚になるんだろうとは水族館の話から思っていたのでいいなあ。 血じゃなくて水なのも、泣いた顔隠せるのも素敵。
>>3:650>>3:656これ好きです。 向井くんらしいエピソードが自然と挿入されててすき。
>>3:660にこにこしちゃいました。いいことあるかなあ。
実際、生きているだけで苦しさを感じるのって疲れちゃうんだろうなあ。 本来考えなくていいことも全部考えながら行動しなきゃいけないんですよね。 癖になったら平気なのかもしれないけど、大家族ならなおさらイレギュラー多いよなあ。
向井くんの息がずっとラクになることは難しいかもしれないけど、たまに息の吸いやすい場所に顔を上げられるといいですね。エラも肺もありますように。
(-11) 2021/06/12(Sat) 00時半頃
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/* お日様鳩羽くん、笑えない時に休める感覚が掴めるといいなあとは思いつつ、それが本人の望む形なのかは分からない。 太陽は夜になったら反対側で朝とお昼してますからね。 休め……休め……ノリのいい会話にとても癒されている……ありがとう……!
(-12) 2021/06/12(Sat) 00時半頃
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/* お互いが刺しあったみたいな茉奈ちゃんのシーンは映像が浮かぶ感じが綺麗だなあ。 向井くんももちろんそうだったのですが、茉奈ちゃんは一枚絵みたいな構図がより際立っているというか。
双子かなって思ってたのですがきょうだいだったかー。 芽衣は今日、クレープ焼くって決めてるんです。 茉奈ちゃんのも食べたかった……!
(-13) 2021/06/12(Sat) 00時半頃
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/* 鳩羽くんと柊くんは誰とお話したいでしょうか。 様子を見つつ、まずは全体把握へ潜る。
(-14) 2021/06/12(Sat) 00時半頃
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/* >>29〜の鳩羽くんの流れ、すごいすきです。 鳩羽くんは表に出す感情の流れが綺麗で見やすい。
向井くんの立ち位置次第で茉奈ちゃん先発見もできるのですが、 そこを確かめて書いた方がいいかな。
(-15) 2021/06/12(Sat) 01時頃
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— 現在:シャワー室 —
[わたしは朝スマホを取りに行って以来、教室へ戻って いなかったから、黒板に書かれた内容を知らない。 だから当然約束の時間になっても、 わたしの姿>>24は席にない。]
……はぁ。
[排水溝に桃色に濁った水が流れていく。 シャワーを頭から浴びていると、 耳を水の壁で塞がれたみたいにならない? お母さんは聞こえが悪くなりそうって嫌がったけど、 わたしは結構この瞬間が嫌いじゃなかった。
四度目のチャイム>>#2、わたしは水音の中にいた。]*
(38) 2021/06/12(Sat) 01時頃
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— 2F廊下 —
[コートと靴下はお役御免。 ポイ捨てする訳にもいかないから、わたしはコートの できるだけ血の少ないところを表に丸く包んだ。
置き場所といったらやっぱり教室後ろの自分の棚。 わたしは保健室から拝借したタオルで髪を拭いながら 裸足に上靴の軽装で階段を昇る。]
——。
[そこ>>3:667はすごく隅っこだったから、わたし、 鳩羽くん>>28がいなききゃ気づけなかったかも。 わたしは立ち尽くしている様子の背中に近づく。
誰がいるかは分からなかったけど、 何が起きているかくらい、さすがにもう分かってるよ。]
(39) 2021/06/12(Sat) 01時頃
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[わたしよりよっぽどずぶ濡れで、 膝も腕も小さく畳んだ姿はどう見えるだろう。 赤ん坊かな。怯えているのかな。でもやっぱり、]
寒そう、だよ。
[わたしの髪ですら、冷気に当てられて冷え切っている。 全身ならなおさら。凍ってしまいそう。 わたしは鳩羽くん>>37を見上げ……見上げて。]
タオル、持ってこよう。
[小さな声で鳩羽くんに告げた。
数は多い方がいいね。 全身と、顔いっぱいを包めるくらい。]
(40) 2021/06/12(Sat) 01時頃
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[太陽は地球を回って休む暇がないけれど、 例えばとある文化祭で止まった校舎に限るなら、 月が出ている間は顔を出さなくてもいいんだから。
残念ながら、 雪に覆われた空じゃ、どちらも見えないだろうけど。
わたしは血を洗い流した手で、 鳩羽くんの背に触れようとした。]**
(41) 2021/06/12(Sat) 01時頃
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夜笑国 メイは、メモを貼った。
2021/06/12(Sat) 01時半頃
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/* 危ない。茉奈ちゃん教室じゃなくて調理室でした。 ご飯作りに行った時に見つけられたらいいなあ。 でも他の人たちが向かうでしょうか。わくわく。
・黒板で樫樹くんのことを知る ・ひとみちゃんを見たからやっぱり人形はその人(本人そのものではない)だと思っている
忘れちゃいけないメモ
・ガラスの靴レシピ作りたい こっちはやれたらいいなメモ
(-16) 2021/06/12(Sat) 01時半頃
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— 現在:3-9に近い廊下の片隅で —
[わたしが罪を告白した時、 真正面から見た向井くん>>3:457の眉は元に戻って、 どこか安心したような顔>>3:461をしていた。
今だけで言うなら、 わたしは向井くんをほんの少しだけラクにできたのかも。
でもその原因はわたしだ。 向井くんの喉に小石を詰めたのは、わたしだ。
これまでなら大して気にもしなかった……というか、 知る機会すらなかったんじゃないかな。 実際、今日まで疑いもしなかった。
わたしはあの日を、ちゃんと守れたと思ってた。]
(116) 2021/06/12(Sat) 14時頃
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[言われたから気づけて、言ったから伝わる。 だからこれはわたしが望んでやったことで、 罪悪感だってわたしが勝手に抱えちゃっただけ。
わたしの残った心のスペースは少なくて、 他人の入る場所はあんまり残ってないと思ってた。
でも、わたしが思うよりずっと、 わたしはみんなのこと、すきだったのかなぁ。
文化祭、楽しかったもんね。 わたしは廊下に貼られた写真たち>>4を見る。]
(117) 2021/06/12(Sat) 14時頃
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[わたしが自分で映ったのは集合写真の一枚だけ。 だからわたしが知らないものがない限り、 わたしの姿はそこにしかない。
みんながこっちを見ていた。 変顔も混じっていたけれどやっぱり笑顔が多くて、 顔がいっぱい並んでこっちを見ていても、 あんまり怖いと思わなかったのはそのせいかも。
楽しかったもんねぇ。 わたしは鳩羽くん>>78へ視線を戻す。]
(118) 2021/06/12(Sat) 14時頃
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[濡れてない鳩羽くん>>79が泣いてるのはすぐ分かった。 わたしは背中に触れる。
あたたかかった。「生きている」温度がした。 深く息を吸った膨らみが、わたしの手のひらを押す。
眼鏡をかけた鳩羽くん>>80がこっちを見ても、 そこに「いつも笑ってる鳩羽くん」>>2:568はいない。 またもやっとしてる>>2:560かな。
そんな余裕もない気がするけど、 わたしは背中側から鳩羽くんの心臓を撫でる。]
(119) 2021/06/12(Sat) 14時頃
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[鳩羽くんはタオルを持ってくることに反対しなかった。
九重さんの人形が見つかっても、 九重さんを探し続けていた鳩羽くん。 「人形」の血>>3:68って言ってた鳩羽くん。 でも黒板には、『殺されてる』>>3:79って書かれてた。
お互いの知らない非日常めいた朝>>3:630や 日常めいた昼>>3:623があって、 また明日>>3:177がやって来たね。
わたしたちの考え、経験したことや見える世界>>87は やっぱりいろいろ違うんだろうけど。 向井くんはもうここにいないってこと>>85は、 同じように分かってるんじゃないかなって思ってた。]
うん。
[だから返事は一言だけでいい。]
(120) 2021/06/12(Sat) 14時頃
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……どっちもだよ。
[向井くんも、鳩羽くんも。それからわたしも。 どっちでもいいとか何かひとつだけじゃなくて 珍しく全部を選んでみたんだけど、 向井くん>>3:360みたいにかっこよく見えたかな。 わたしはあの言葉>>3:399、撤回してない>>3:589よ。]
(121) 2021/06/12(Sat) 14時頃
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[ひとみちゃんの隣で零した心情>>11は あの時より少しわたしの身体に馴染んで、 わたしを最低限笑顔にしてくれたと思う。
だから気づかなくてもいいんだよ>>81。 このお月様、我が強いからさ。 お日様が休んでいる日でも、 1人の足元を照らすくらいはできるかもしれない。
一番好きなもの以外、どっちでもいいと思ってたから。 わたしはこんな気持ち知らない。 どうしたらいいか分からない。 だからわたしは、笑っている。]
(122) 2021/06/12(Sat) 14時頃
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[鳩羽くん>>82はわたしの手荷物に気づいたみたいで、 わたしは使えなくなっちゃったってだけ伝えた。 畳んだところで血が少し見えているかもしれないけど、 そう目立つものでもない。 貼り紙があった以上、他のみんなも ひとみちゃんのことは知っていると思ったから、 わざわざ思い出させる必要はないかなって。
壁の向こうに進んだような小さな足跡を思い出していた。 友達、あんなに小さかったんだなって。 わたしはポケットに手を入れて、小さなぼたんに触れる。
同居していたもうひとつを指で探したけれど、 「今度」駄菓子を買うための10円玉はお財布の中だ。 見つからないものを、深爪の指で掻いた。]
(123) 2021/06/12(Sat) 14時頃
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