31 私を■したあなたたちへ
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―― 移動中 ――
[アポロから続けざまに通知音がする。 首を傾げて確認すると、メッセージの着信だった。 いわゆる無料チャットツールのような機能らしい。] あら、自己紹介。 確かに、こちらでご挨拶すれば皆に届きますものね。 一番最初のメッセージは店長さんで、 それから「ナカムラ」さん……… ……… え?
[派手な自撮り写真に、瞳を瞬いた。 この人はるくあの推し役者さんではないだろうか? 髪の色も異なるし、サングラスなどかけているが 表情、輪郭、骨格など符合するものが多すぎる。 知られることに不都合あっての変装なら 騒ぎ立てするまいが、「“キラ様”よね…?」と 思わず呟いてしまうくらいは許されたい。]
(34) 2023/11/17(Fri) 06時頃
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[彼が招待されているのなら、ホログラムるくあの 冒頭の言葉が嘘でない裏付けにはなるけれど、 そうなら余計に思うところもある。
考え込みながら次のメッセージを開くと、 どこか幼げな女子高校生の写真が目に入った。 るくあの幼馴染だという女の子。 私の学校の生徒たちと何も変わるところのない、 ごく普通の少女に見える。 それから、菊水と名乗った女性。過去形のようだが 学校関係者であることに親近感を覚える。 写真は添付されているだろうか、されていれば どこか都会的で洗練されていて、私の抱く 中学教師のイメージと異なる彼女に驚くだろう。]
(35) 2023/11/17(Fri) 06時頃
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キャンディ……さん? 『チャンネル登録とイイネにコメント…』、 まあ、配信者さんなのね?
[添付を確認して目を瞬かせる。 カラフルでキラキラしたこだわりの写真には 絵文字に装飾、フキダシが飛び交っている。 オリジナリティ溢れる世界観に引き込まれて。
名前の文字列が一瞬ブレたようになるのは アポロの不具合なのか、仕様だろうか? クロス、という文字列に思い至るものは 無かったので、キャンディさんとして記憶する。]
(36) 2023/11/17(Fri) 06時頃
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(一斉送信)
『 皆様、初めまして。 私は密星偲風と申します。 るくあさんの通っていた高校の養護教諭です。 御用の際はいつでもお声がけください。 「みつぼし」でも「しのぶ」でも どうぞ呼びやすいように。 よろしくお願いいたします。 』
[スマホとはまた違うカード型デバイスに 四苦八苦した形跡が窺える写真一枚 *]
(*10) 2023/11/17(Fri) 06時頃
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[メッセージの送信に多少時間は要したが、 道案内をしながら伴走してくれたモナリザのお陰で 無事に目的地に辿り着いた。 スーーーっと去っていく彼女に手を振って、 扉を押せば、カラン、と木製の鈴が音を立てる。]
―― 『星の夢』……素敵な名前。
人の夢と書いて儚いと言うけれど ……星の夢はどうなのかしら。
[永劫続くものならばいい―― との想いも 刹那過ぎるが、きっとそうではないのだろう。 星の夢も人の夢と等しく一夜限りであるからこそ 一時の変身を提供する貸衣装館も それに准えて名付けたのかもしれない。]
(37) 2023/11/17(Fri) 06時頃
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[衣装館とスタジオは隣り合わせになっていて 入ってすぐの区画に煌びやかな衣装が犇いていた。 宇宙服を模したもの、スペースファンタジー風衣装、 火星人的なタコスーツにグレイに擬態できる着ぐるみ。 何だかよく分からない紐だらけの服、 これはどう着るのか想像もつかない。 しげしげと見つめ、手に取ったところで 先刻の鈴の音と共に、誰かが入ってくる気配がした。]
! びっ くりした……
と、いうか ひとの顔を見るなりその反応は失礼だわ?
[自分の他に人が来るとは思わなかった驚きもあるが、 後から来たその男性が扉をくぐるなり 顔を顰めるのが見えてしまったから。 思わず瞠目し、苦言を呈した。>>30]
(38) 2023/11/17(Fri) 06時頃
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密星偲風……です。
[暫くじとりと相手を見詰め、それから名乗る。 アポロの通信網に乗せたのはつい先刻。 見ていない可能性もある、と思って。]
あなたは……、 まだ全体にご挨拶はしていなかった? 見落としていたら、ごめんなさい。
……生徒たちに、 仮装写真を撮ってきて見せてって頼まれて。 見つからないうちに済ませようと思っていましたの。
[そこまで聞かれていなかった気もするが 言い訳のように歯切れ悪く、視線を逸らした。**]
(39) 2023/11/17(Fri) 06時頃
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―― 貸衣装館「星の夢」 ――
煙崎さんの、お兄さん。 年の離れたお兄さんがいることは、煙崎さ…… 紛らわしいわね、るくあさんから聞いています。
そう、あなたが……
[るくあが招待したという形なら 血縁者が招待を受けるのは道理だろう。 関係性が悪い場合を除いて。 ……そうだろうか、被疑者にするのであれば 関係が悪い方が好都合ではと思うのだが。
でも、るくあの口振りからは少なくとも 兄という人との関係は良好そうだった。]
(76) 2023/11/17(Fri) 15時頃
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この服は、着方が分からなくて、 どうなっているのかと思ったのですけど。
そう着るの? ……これでは、とても変な人みたいね。
[紐の着方なんて分からない。 煙崎灰羅と名乗ったその人が自信ありげに 紐を宛がって見せるから、感心して任せていた。 でも、鏡に映った自分の姿はあまりにも、だ。>>51 見かねた(?)のか、 会話からヘルプが検知されたのか 店内の奥からモナリザロボットが現れる。 『このコードは、服の一部です。 こちらのファンタジー宇宙スーツと 組み合わせて着用ください』 ]
(77) 2023/11/17(Fri) 15時頃
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……… …… 『服の一部です』 って。
[自分も着方が分からなかった癖、 ちらと反応を確認するような視線を傍らに向けた。 裏返してタグを見る。 “明後日への道標”と書かれていた。 スペースファンタジー的なジャンルの服らしい。 変わった形状だが、子供も遊べる遊園地で 露出の多すぎる服を貸し出すわけもない。]
(78) 2023/11/17(Fri) 15時頃
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大分派手ですけど、 おかしな服じゃないようですから、 これでいいかも知れないわ。 お兄さんはどれにしますの?
[マイナーなアトラクションに来るくらいだ、 彼もまた撮影目的で来たのだろうと思っている。
兄という人に会えたのなら、 るくあの件も気になるところなのだが 用件を済ませるのが先かもしれないと 気を回した心算でまずは尋ねた。*]
(79) 2023/11/17(Fri) 15時頃
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[少し気分を変えたいだとか そんな気持ちになることもあるかと思ったが。 目的が本当に撮影だったら驚いたかも知れない]
あんなお話の後ですもの。 お兄さんなら、遊んでいるような 時間はきっと、ないですわね。
[身内、血縁イコール家族とはなり得ない。 どこか遠い世界のことのように思いながら。 目の前の彼は私をのんびりしていると言うけれども 家族の死への重大な情報が齎されたばかりというには この人の口振りもどことなく違和感を覚えもするのだが。 肩に置かれた衣類の一部は、 会話の間にずり落ちてしまわないようにと そっと回収して両手で束ねる。]
(90) 2023/11/17(Fri) 20時頃
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……ごめんなさい、 先にお悔やみを言うべきでしたわ。
[当たり前のことに思い至らなかった自身を恥じた。 かといって言うべき言葉も思い浮かばないまま 問いに対しては数拍置いて口を開いた。]
ひとごろし………
実はまだ、わたしにも上手く 呑み込めていないのかもしれません。
(91) 2023/11/17(Fri) 20時頃
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るくあさんがあんなことになる前日に、 彼女、珍しく保健室でベッドを使って。 二時間くらい眠ってから、もう大丈夫って 元気に下校したのですが……
原因が、心臓マヒだなんて聞いたから。 何か、見落としたり気付けなかったことが あったのかも、って、ずっと心に気に掛かっていて。
……なのに、病気ではなくて 誰かの手にかかったのだ、と言われて。 安堵したわけじゃないんです。 却ってざわざわするんです。
心の切り替えが、出来ていないんだと思います。
(92) 2023/11/17(Fri) 20時頃
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この場に、殺人者がいるかもしれないことはね。 勿論、意識はしていますわ。 でも、今の時点で 怖い気持ちはあまり、ありませんの。
だってここに集められたのは、 るくあさんの大事な人たち、なのでしょう?
[お兄さんが呼ばれているのですもの、と そこで漸く顔を上げ、相手を見上げた。 女性と男性では当然違いも大きいし 一瞥しただけで似ているとは判じにくいが こうして見ると彼等には通じる部分があるように思う。
雰囲気は全く違うけれど、と、 懐かしむように双眸を細めて。]
(93) 2023/11/17(Fri) 20時半頃
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無差別に人を害するような人が 混ざっているとは思っていないの。
……私、これでわりと るくあさんとお話してきましたのよ? 彼女の人を見る目、 高校生であっても、信用してるんです。 本当に、彼女が誰かの手にかかったなら。 ―― その理由が知りたい。
(94) 2023/11/17(Fri) 20時半頃
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……… 疑い合って、捕まえて、 死に至らせて なんて るくあさんの望みだと、思っていませんから。
踊らされてあげる気はないの。 ……でもこれは、半分私の事情交じり。
[答えになったかしら?と、緩く首を傾けた。*]
(95) 2023/11/17(Fri) 20時半頃
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―― 貸衣装館「星の夢」 ――
……ありがとうございます。
[“理解”――への礼を告げながら。 なぜだろう、この人の言葉はどこか 当事者から遠い印象を連れて来る。 私と彼は、同じタイミングで るくあの死の真相を知った筈なのに。 予想の範疇が明確に存在しているかのような。
先刻の問いかけも同じ。 探りを入れられているということに これではいくら私でも察するのだけれど。
彼なりに犯人を追っている、という理解で 腹落ち出来るかと、暫しくるりと思考を回す]
(136) 2023/11/18(Sat) 00時頃
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――…
[意図を匂わせない物言いの中に、 途中、僅かな感情の発露を見る。>>106 たった今垣間見えた激情のいろは、 確かに先刻感じた何かと符号して見えたのに。 呟きに変わる時には、それはすっかり 鳴りを潜めてしまっていたから、 私も暫し視線をそのままに、押し黙った。]
(140) 2023/11/18(Sat) 00時頃
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るくあさんを信じてあげて? と言いたいけれど。 『家族』だからこそ、見えるものもありますわ。
[るくあが相手を信じた結果が今だと読み替えれば お兄さんの立場でそれは難しいことは分かるから。 微かに眉を下げて。]
周囲の人たちと違う目線での理解者がいるのは すこし、うらやましい。
(141) 2023/11/18(Sat) 00時頃
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…… 色々話してしまいましたけれど… 失礼ついでに、失礼を重ねてごめんなさい、
こうしてお話を聞いて、 私はね、お兄さんは “少なくとも犯人ではない”
……と、思っていますの。
[言葉を飾るのも削ぎ落とすのも意味はない。 真っ直ぐに相手を見、 自然、率直な物言いになる。]
犯人、捜すのでしょう?
目星をつけるまでは、 私も意識する心算でいます。
(143) 2023/11/18(Sat) 00時頃
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[あくまでも、私が私に対し 許容できる理屈の範囲で。
そのうちに、相手が話を アトラクションの方に移すので、 私もそれと知りながら、乗っかるようにしてみせて。
木製の鈴の音が鳴るのを、背で聞いた。*]
(144) 2023/11/18(Sat) 00時頃
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―― 貸衣装館「星の夢」 ――
[背を向けた向こう側。鈴の音が消えた。 気配が遠ざかるのを確認し、重い息をひとつ吐く。 スタッフ役のモナリザさんに手で合図し これとこれを、と、借りたいものを手渡して、]
嬢ちゃん?
[ワンテンポどころか ツーもスリーも遅れてはた、と手を止める。 るくあの兄だから、学校関係者の立場として 便宜上お兄さんと呼んだけれど。 どれだけ年下に見えているのだろう。]
(166) 2023/11/18(Sat) 03時半頃
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寧ろ年下に見えていた って 言ってさしあげたいわ……っ
[肩を震わせてギリィッ…としていたが、 ふと見ると、モナリザさんの胸のモニターに 『5 month』という字が映し出されている。 モナリザさんの年齢……月齢?だろうか。
目を丸くして、噴き出してしまった。 よしよし、とつるり平たい頭を撫でる。]
(167) 2023/11/18(Sat) 03時半頃
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[家族だから犯人ではない という考えは私の中にはなかった。 毎日世に流れるニュースを見ても、 それが成り立たないことはよく知っている。
余裕めいて嘯く口振りが、 元々そういうひとであるのか それとも、るくあの死に何らかの関わりがある者が 探りを入れるための演技であるのか 初対面の私には量りかねていて。 でも。]
( ……思い出してしまったから )
[垣間見えた彼自身の感情との符号。 楽しいアトラクションを背景に 浮かび上がるあの子の映像
―――その 影 のこと。]
(168) 2023/11/18(Sat) 03時半頃
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[犯人の線の憶測は、確証がないうちは 告げる心算はなかったのだけれど。 言葉を紡ぐうちに「それ」に気付いた。 だからなのか、つい、音にしてしまった。 “少なくとも” と含みを加えたことに 相手は気付いたかどうか。 ただ、 サングラスの奥は捉えられなくとも 刹那でも纏う気配が変わったことは感じたので。 悪いことではなかったのだろうと思う。
“少なくとも” **]
(169) 2023/11/18(Sat) 03時半頃
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[撮影は写真データ一枚送れば良いのだから ぱっと着替えてぱっと戻る、それだけだった。 そのぱっと着替える が、矢張り例の「紐」のお陰で 手古摺ってしまったけれど、それでも 然程時間はかからなかったことだろう。
着替えを終えて見て、 私は何をしているのだろう……という思いも 去来しないでもなかったのだけれど、 再現率のとてつもない3D背景に テンションがきゅっと上がったのも事実。
宇宙ステーション、母なる地球 辺境星の要塞、宇宙人と一緒、星々の大海… 背景の種類を選ぶだけでも目移りしてしまう。 その中から一枚を選び出し、ちゃんと リクエストのポーズまで取って、撮影はおしまい。]
(170) 2023/11/18(Sat) 03時半頃
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[構図はさておき今度はピンボケてはいない。 文明の利器のなせる業に胸を張る。>>53 普通の電波が入らなくなっているようだから 生徒達に送信するのは帰還してからになるか。]
…… 帰還…… できなかったら、どうしましょうね。
[元々死んだように生きていた。 充分な時間だったとはいえなくても 今を得られたのだからこれ以上は望むまい。 戻ることに特段強い執着はない。 それは確かに本心の一部だった。]
初めてだった遊園地にも こうして来ることが出来たのですし ……
(171) 2023/11/18(Sat) 03時半頃
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[ 『 先生!私ね、いつか―― 』 在りし日のるくあの言葉が胸に過ぎる。 遊園地に行ってみたいんです。 宇宙をテーマにした壮大な遊園地。 そう遠くない昔に、彼女は口にしたのだ。 彼女の分まで、楽しんで帰りたいと思っていたのに。]
ごめんね、煙崎さん。 満喫するには、まだ、早いみたいよ。
[蘇芳香の瞳を閉じて、幻の彼女に語り掛ける。 生徒たちのミッションを済ませ荷を軽くしたので 私はとりあえず園内を歩いてみることにした。 私刑で犯人を断罪することは意志に沿わないが 話して分かる情報が多いことを知ったから。**]
(172) 2023/11/18(Sat) 03時半頃
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―― 『星の夢』を後にして ――
[アポロを開き、 私の自己紹介のあと、増えたメッセージを確認した。 貸衣装館でのお話の途中、またミッションの途中で 届いていた幾つかの通知は、自己紹介の続きらしい。]
坂理?
[そのうちの一つに目を止めて、ぽつりと呟く。 覚えのある苗字。 昨年卒業した生徒のものだ。 るくあの縁の者が集められていると知った今 驚きは少なくて、“やっぱり”との思いが大きい。]
(200) 2023/11/18(Sat) 15時半頃
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[坂理くんのことは、苗字一つで姿まで思い出せる。 彼は、学内でも非常に目立つ存在だったから。 現在の在校生の間でも語り継がれているほどに。
るくあとの交際は、 るくあからというよりは主に彼女の友人たちが 度々話題にしていたために、知ってはいた、くらい。
直接の関わりは……あったと言えるかどうか。 限られた場所でしか関わりのない私のことを 相手が覚えていた>>41とは思いもよらない。]
(201) 2023/11/18(Sat) 15時半頃
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ええと……… そうねえ……
[メッセージのログを過去に巻き戻し、 招待者の文面を今一度確認し。 額に指を当てるようにして、独り言ちる。
こうしてみると、同じ年頃の男女は二人だけで 後はほとんどが大人なのだ。 私も含め、多くが初対面なのでは?と思える面々。 人選の理由を、もう直接聞くことは叶わない。 そう思うと、自然、胸が痛んだ。
たぶん、私には決め手を見つけることは出来ない。 だから、るくあを手にかける理由が少ないと感じられる 立場の相手から狭めてみようと思って。]
(204) 2023/11/18(Sat) 15時半頃
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(個別送信→菊水 三紗)
『改めまして、はじめまして。 先程全体送信でご挨拶した密星 偲風と申します。
中学時代の先生だということでしたので るくあさんのこと、お聞きしてみたくて。 お時間があったら、少しお話できませんか。』
(*34) 2023/11/18(Sat) 15時半頃
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[こういうのは、いつだって緊張してしまう。 送信を行った後、こっそりと胸を撫でおろした。
考え事をしたり、立ち止まって通知に気を取られたり ぼやぼや歩いていた所為か、また道が分からなくなった。]
あら?
[再び周囲を見回したところで ワゴンの傍にひとり、青年を見つけて。>>194]
………… あらあら
[情感の違う呟きになってしまった。]
(207) 2023/11/18(Sat) 15時半頃
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[ついさっき彼のことを思い出していたところだから タイムリーといえばタイムリーではあるのだけれど…。 十秒は悩んだ後、意を決して声を掛ける。]
坂理くん。
[お食事時なら失礼かしら、と 少し申し訳なさそうな顔をしながら。*]
(208) 2023/11/18(Sat) 15時半頃
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ええ。こんにちは。 先に全体通信で名乗っていたのもあるけれど 覚えていてくれるとは思いませんでした。 保健室で姿を見ること、殆どなかったのに。
[お世話になりました、という言葉に、 お世話をしたことありましたかしら? なんて微笑みつつ。 一見して、坂理くんに警戒の色はなかった。 在校中の彼は、目立つ外見でいろいろと 女難に見舞われたと噂に聞いてはいた。 そうした話しか知らず、もちろん彼の事情だって 知らない私は、煙崎さんとの交際で 耐性が付いたのかしら、くらいに考えていた。]
(226) 2023/11/18(Sat) 17時頃
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変わらなくてなによりです。大学はどう? …あ、お食事は、こちらに構わずゆっくりね。
聞きたいこと? なにかしら。
[何ということもない言葉をかけながら。 スペースを空けてくれるのには有難く甘えることにして スカートの裾を揃えて腰を下ろした。>>214 元とはいえ生徒と教師、適度な距離を保つのは 努めであるから忘れない。
坂理くんの食事が終わるのを待つ心算とはいえ あまり見ているのは居心地が悪いかもしれないと 視線は前へ投げていたけれど、 どうしても気になってホットドックを示し それ、美味しい?と尋ねたりもしたか。]
(227) 2023/11/18(Sat) 17時頃
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[そうして、坂理から向けられた言葉に>>215 私はひとつ、ふたつと瞬いて。]
…―――
[少しの間の後、 冗談のように彼が言葉を継いだから、 困った顔をして、首を傾げた。]
(228) 2023/11/18(Sat) 17時頃
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坂理くん。存外、直球を投げる方ですのね…… どうかしら。 余程肝の据わった犯人なら、動揺もしないのかも。 皆、きっとすこしは犯人を意識しながら 動いている最中ですから、 聞かれることを想定して、質疑応答も完璧かも。
……困りましたわね?
[微かに聞こえる稼働音は、 先刻見た大型アトラクションのものだろうか。 遠くにそれを聞きながら、少し、迷い。]
(231) 2023/11/18(Sat) 17時頃
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実は私も、あなたに、 そうしようかと思ってましたの。
「どうして煙崎さんを手にかけたの?」 …って。 本当のところをいうと、るくあさんに近しい、 という意味で、もしかしたらの候補だったのよ。 消去法で、後回しにできないうちに ここで坂理くんを見つけてしまったから そう訊ねるしかないかな、って。
犯人は、私ではありませんの。 それで………あなたは、犯人さん?
[まるで一日の終わりに、廊下を歩く 生徒にかける雑談のように、彼へ問う。*]
(232) 2023/11/18(Sat) 17時頃
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[お腹は空いていなくもなかったけれど 遊園地で食べたいと思っていた食べ物の名前を どうも失念してしまっているようで、 お気遣いに感謝しつつ、首を振っただろう。>>240]
そう。
[“犯人ではない” 坂理くんの返答に首肯して、彼を見据える。 互いに何の証拠を出せるわけでもなく ただの言葉だけの確認なのは承知で。
けれど、淡々と聞こえる謝罪の中には 嘘や虚飾は感じられなかったので。]
(250) 2023/11/18(Sat) 19時頃
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あら。私も、大差ありませんのよ? 坂理くんより上手じゃない自信もあるわ。
……というか、天が坂理くんに 『話上手』のスキルまで与えてしまったら 世の中のつり合いが取れなくなってしまわない?
[スキル不均衡です、と、 こちらも冗談めかして、二つの企みの結びに替えた。
勿論、彼が彼の天賦によって すべてが上手くいっているなんて すこしも思ってはいないのだけれど。]
(251) 2023/11/18(Sat) 19時頃
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煙崎さんがあなたにそう言ったの? なかなか、辛口なことを言うのね。
[ごめんなさい、と断り入れながら、くすくすと笑って]
高校生同士のお付き合いって、 なんて言ったらいいか…… 初々しい話を多く聞くから 勝手に貴方たちもそうなのかと思ってたけれど。 気兼ねのない仲、というのも、良いと思うの。 [呆れられた、と言いながらも 過去を懐かし気に振り返るような坂理くん。 柔らかな表情から、彼にとってその思い出は 悪いものではないのでしょうね、と思った。
少し意外な思い出語りではあったけれど、 るくあにとっても、そうであったらいいと 二人の関係性においては他人ながら、願ってしまうのだ]
(252) 2023/11/18(Sat) 19時頃
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思い出……? ……そうね、お友達や、 恋人のあなたとのような関わりではないから 保健室で、お話した記憶ばかりなのですけど。
煙崎さんったら、意外とお茶目でしたし。 興味の幅が広いのかしら、喫茶店の楽しみも この年で高校生の彼女に教えてもらったくらいで。 知ってる?卯坂庵の―――…
[などなど、坂理の言葉に応じるように るくあのことを幾つか話す。 彼とるくあとの思い出も、語ってくれるなら 時々相槌を入れながら傾聴したはず。]
(253) 2023/11/18(Sat) 19時頃
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あっ、そうでした! 坂理くんを見込んで、お願いがあるの。
遊園地経験LV1でも乗れそうな乗り物を いくつか教えてくださらない? アトラクションでもいいわ。 じぇっとこーすたーは研鑽を積まなければ いけないみたいなので、レベルアップしなくちゃ…!
[場がお開きになれば、話の終わりに。 そんな問いかけをして、ぐっと拳を握った。**]
(254) 2023/11/18(Sat) 19時頃
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妖精さん…… て。 …それ、前、煙崎さんも言っていたわ。
[文脈的に、るくあの口にしたそれと 坂理くんのそれが同じ意味かは少し首を傾げつつ]
ふふ。ごめんなさい。主語が大きかったかしら。
……不均衡や、不条理ばかりなのは分かっているの。 ……みんな、それぞれ、色々抱えていることも。 だからこそ、最後の最後には 天秤が釣り合っていると思いたいだけなのよ。 [坂理くんは、なかなか誌的な言い回しをする。 気の利いた返答をする語彙が私にはないけれど、ただ]
(275) 2023/11/18(Sat) 22時頃
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……坂理くんは、 本当は沢山考えているのに 一部しか口に出さない、と言う風に見えるわ。 考えすぎてしまうのか、気遣いなのか。熟慮型なのか。 「下手」ではないのじゃないかしら。
[他に何か言い表す単語がある気がする。 ついつい話を先刻の話題に巻き戻させて 彼の応答から受ける印象を伝えてみたりしつつ]
……どうなさったの?
[不自然に止められた言葉。>>257 先を促すよりも前に、掻き消すように首を振るので 私もそれ以上は問わなかった。>>258]
(276) 2023/11/18(Sat) 22時頃
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[妙な質問をしてしまった気がしたのだけど 坂理くんはきちんとお勧めを選んで返してくれる。>>260]
わあ、ありがとう……! コーヒーカップね。カタログや写真で、よく。 あれは、上に乗って、 動きに身を任せていれば良いの?
[形状は分かる。動きも何となく。 こちらで何かすることはあるのかしら、と 真剣な面持ちで坂理くんの説明を聞いた。 惑星パーティ、という名も脳内にメモして。]
(277) 2023/11/18(Sat) 22時半頃
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まわしますのね……… 思いっきり……
[こくりと頷く顔はさらに真剣みを帯びる。 経験を積んだらというのは、時間経過で 慣れたらってことかしら?と、推測する。 唐突にアドバイスを求めてしまったのに、 丁寧に乗り方まで教えてくれて。なんて 良い元生徒……!と感激していたのだ、
―――この時は。
そして、おまけの爽やかスマイルで応援をいただく。 なるほど、これが学内学外問わず 老若男女数多の女性を虜にした坂理スマイル ……と何かに納得しつつ。 確かにつよい。]
(278) 2023/11/18(Sat) 22時半頃
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[通り魔的なそれに、少しだけ邪気を感じたのは気のせい? でも、まぁそこは生徒たちの慧眼通り>>240 わたし、先生なので。 ]
…… どうもありがとう。 時間のある時に、頑張って乗ってきます。
[ぺこり、と手を揃えてお辞儀をして親切への礼を。 そうして、くるりと踵を返して場を辞去した。**]
(279) 2023/11/18(Sat) 22時半頃
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