10 冷たい校舎村9
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[戻ろうかなって思ったけど、 ふと暮石の声が耳に届いた。>>548 どことなく困ったような横顔を見て首を傾げる。]
……なんか気になるとこ、ある?
[一見すればあの日と同じ完璧な屋台。 でも、俺が気付いてないだけかもしれないから。 色とりどりのテープが貼られた屋台と 暮石を交互に見て、そう声をかけた。**]
(560) 2021/06/07(Mon) 21時頃
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― 回想・文化祭逃亡事件 ―
[たまたまそこに居た黒沢に チラシを押し付ければ、 彼女の困惑顔が見えた。>>404
嫌がることはしない、がモットーだった筈なのに この時ばかりは周りに気を遣う余裕が無くて ごめんねって謝ることも言い訳も碌にできず ダッシュでその場から逃げ出した。
本当に腹下してるとかそんなんだったら クソダサイけど笑い話ですんだんだけどな。 その時の俺はクソダサイ上にどうしようもなく情けなくて、 酷い焦燥感に駆られていた。]
(591) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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[逃げるって言ったって、 どこもかしこも文化祭で賑わっていて、 碌に行く当てがあるわけじゃなかった。
縋る様に音楽室に足を向けたのは無意識だった。 春からずっと、定期的に顔を見せる場所。 センチメンタルになっていた時、 あの音に少し落ち着いたのを思い出したから。
…けどあの時みたいに静かな音楽室に ピアノの音が聞こえるなんてことはなくて 吹奏楽部が出し物をやっているそこは 普通に賑やかな人混みだった。]
(593) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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[ああ、うん、そりゃそうだよね。
頭では理解したけど 感情が上手くついてきてくれない。 騒がしい校舎の中でひとり、 迷子になってしまったみたいだった。
あ、あれクレープ屋の人じゃない?SNSで見た。 へー、実物見るとやっぱかっこいいね。 俺を指さして誰かが囁く。
せっかく黒沢が頑張って作ってくれたクリップを 思わずむしり取って乱暴にポケットに入れ、 その場からまた走り出した。]
(594) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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[
柊くんなんて大っ嫌い。 もう話しかけないで。顔も見たくないよ。
…声がこだまする]
(595) 2021/06/07(Mon) 22時頃
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[行くあてのない俺は、来た道をそのまま逆走する。
三段飛ばしで階段を降りれば、 ちょうど調理室に向かう綿見とかち会ったか。>>429
相変わらず混乱真っただ中の俺は そろそろ走るのにも疲れてきていて 多分あっさりと捕まっただろうし 怒られれば大人しく強制連行されるつもりだ。
その間も俯いて、心なしか縮こまる様にしながら。*]
(599) 2021/06/07(Mon) 22時半頃
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― 現在・屋台前 ―
[炭蔵から伝えられた内容にも然程目新しい情報はない。 強いて言うならどこからも外に出られないってことが補強されたくらいだ。>>573
ポケットからカッターを取り出されれば>>574 ええ、とやや眉を下げて見せる。]
委員長それ持ち歩いてんの…… 護身が必要になるような場面あんま想像したくねーなあ………
[この不思議空間で今後何かしら化け物なりなんなり出てくるとして、物理攻撃が通用すんのかな? 人間は今の所俺達以外いないみたいだし、]
いーや。 もしなんかあったら自分で拾うし。
[そう首を横に振って申し出は辞退した。 どっちかと言うと番代に向けて言ってるような気もしたし。 なんか、なんてないことを祈るばかりだが。]
(606) 2021/06/07(Mon) 22時半頃
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[暮石曰く、文化祭の出し物はそのままらしい。>>579 こういう所の食べ物って食べて大丈夫なんかな、 豚に変えられたりしない?大丈夫? もう少し切羽詰まったら話も変わるかもしれないけど 今の所口にする度胸は無い。
何かあったのかなと話しかけられれば 微妙に歯切れの返答が返ってきた。>>580 暮石のひとさし指の先を追い、屋台の中をじっと見る]
うん、あるねえ。
[よくある感じのプラスチックケースに 鮮やかなテープが貼ってある。 それがどうかしたんだろうか。 不思議そうな顔で再び暮石を見れば彼女が話しだす]
(624) 2021/06/07(Mon) 23時頃
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……止まったままの校舎。 その発想は俺、なかったかも。
[俺はどっちかって言うと 「巻き戻ってきた」みたいな印象を抱いてたから 止まったまま、って表現はなんだかちょっと目鱗だった。
確かに、あのメールが実際に遺書で この空間があの日の再現であるのだとすれば その子の中での時間は止まってる、 と言ってもいいのかもしれない。
――いや、ちょっと待ってよ。 そのまま考えを膨らませていくと いや〜な感じの想像に行きあたってしまう。]
(627) 2021/06/07(Mon) 23時頃
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あんまりこんなん言いたくないけど、
……さっきのメールの子が 死んだ時間で止まってる、………とか。
[そう、それが一番自然じゃない?]
次にある可能性としては その子が死ぬ少し前で止まってる。
まだこの世に未練があって、 やり直せるならやり直したいから…… ………なんて、考えすぎかなあ。
[自分で言ってても大概ファンタジックな気がしなくもない]
(630) 2021/06/07(Mon) 23時頃
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[思いつくまま口に出しては見たけれど、 全てが全て憶測にすぎない。
分かるのは ここが文化祭を模した無人の空間であること。 何故かここから出られないこと。 メールを送ってきた誰かがいること。それだけ。
ふう、と息を吐いて、んーん、と首を横に振り。]
………や、別に謝んなくていーんだけどさ。 でも、それと屋台のレジがなんか関係ある感じ?
[お金周りに関わっていない俺は 10円玉事件のことをついぞ知ることは無かった。
暮石がレジを気にしているのと今の話が どうつながるのか、生憎俺にはよく分からない。 不思議そうな眼差しを彼女に向けたが、 へらっとした笑いが返って来るだけだった。]
(647) 2021/06/07(Mon) 23時頃
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[俺は、良くも悪くも人の感情に割と聡い。
でも暮石が何を考えているのかって 実際よく分かんなかったりする。
当たり障りのない笑みを浮かべて 当たり障りのない会話を交わすだけ。 踏み込んでも来ないし、 踏み込ませる素振りも見せない。
もしかしたら他の子には違うのかもしれないけど 一定の距離を保ったまま静かにそこにいる、 そんな女の子だと思っている。]
(648) 2021/06/07(Mon) 23時半頃
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[だから強引に話を逸らされてしまったのなら それ以上深堀する術を持っていない。>>582 本当に大したことではないのかもしれない。 ただほんの少し、違和感が残っただけ。]
…んー、俺ここまでまっすぐ降りてきたから、 あんまりちゃんと調べてないんだよね。 1階見てない所から回ってみる?
[調べられることは調べないと、という点には同意し。 見廻りするようなら一先ずは同行するつもりだ。]
うん、懐かしい。 色々あったけど、いい思い出だったよね。
[小さく呟く暮石に同調した。 誰もいない屋台はなんだかがらんとして、 妙な寂しさを醸し出していた。**]
(660) 2021/06/07(Mon) 23時半頃
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