18 星間回遊オテル・デカダン
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― 大食堂 ―
[突然流れた聞き慣れない音声に、おやと顔を上げる。]
港でなにかあったようですね。 しかし、この船で外のニュースとは、珍しい。
[よく聞き取れなかったのか首を傾げて、グラスを口元へ。 いいペースだが、酔ったような様子はない。]
(5) 2022/05/03(Tue) 10時半頃
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[冷ややかな声が響く。]
どなたですか、痕跡など残したのは。 ……まあ、我々以外に迂闊者がいた可能性もありますか。
[アシモフ記念宇宙港は大きな港だ。 目的地の捕食者がすれ違う可能性はなくもない。]
(*0) 2022/05/03(Tue) 10時半頃
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[グラスを傾けて、笑う。]
そういうあなたは……デザイナーの方でしたか。 以前下見には来ましたが、 変わっている場所もあるようで。 色々とお詳しいのでしょう?
[この船について。と、先に侵入していたらしい同胞へ。]
(*2) 2022/05/03(Tue) 11時半頃
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― 大食堂 ―
[ロバートの様子が変わったこと>>7に、 ぱち、と目を瞠り]
危険生物……そう言っていましたか。
[流石に不安を覚えたのか、僅かに眉を寄せる。 しかし、放送は聞こえなくなってしまったため、これ以上何かを知ることはできそうにない。]
『オテル・デカダン』以外の名前もあったようですし……まだこの船に侵入されたかどうかはわかりませんよ。
[きっと大丈夫ですよ、とロバートを宥めつつ。]
けれど、ロバート。 あなたは正真正銘、紳士なのですね。 あなたのような方がいらっしゃること、 とても頼もしく思います。
[咄嗟に傍にいるものを守ろうとする姿は、遠い昔の物語にあらわれる騎士のようだ。]
(8) 2022/05/03(Tue) 11時半頃
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― 大食堂 ―
[PJに話を振られて>>9、思い出すように視線を斜め上に。]
ええ、確かにわたくしが乗船した港です。 特に変わったことはなかったと思いますが……
ああ……出発前に旅の無事をお祈りしていたので、 その間は少々の放送や騒ぎがあっても気付かなかったかもしれません。 集中していると周りが見えなくなる質でして。
[自信なさげに眉を下げた。]
他に乗船された方々に、 お話を聞いてみてもいいかもしれませんね。
[そう言って、空にしたグラスを回収ロボットに返した。]
(10) 2022/05/03(Tue) 12時頃
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[続いて響く声>>*3は、この船では聞き覚えのないものだ。]
ええ、表では教祖なんぞをやっております。
[色々と都合がいいのでね、と笑う。]
あなたは……きっと会ったことはないですね? まあ、声でだいたいの居場所はわかりますから、 問題はないでしょう。 こちらこそ、頼りにしていますよ。
(*6) 2022/05/03(Tue) 12時頃
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― 大食堂 ―
[近づいてきた男>>11に目を向ける。 気安い調子からして、二人の知り合いであるらしい。]
ええ、初めまして。 《銀光教団》、のアルクビエレと申します。
[椅子から立ち、長身を曲げて会釈をしつつ。 《銀光教団》と、教団の名前をやや、わずかに、 強調した。]
(14) 2022/05/03(Tue) 12時半頃
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アルクビエレは、PJの紹介に預かり、ちょっと嬉しそう。*
2022/05/03(Tue) 12時半頃
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ああ、やはり。 見覚えのない店ができていると思ったのですよ。
[提案>>*4には、喉の奥で笑うような音が返る。 ほどなく、物理的にも近くにやってきたエフを見れば]
さすが、仕事が速いですね。 これで堂々、お近づきというわけだ。
(*7) 2022/05/03(Tue) 12時半頃
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― 大食堂 ―
[飛び散るフケ>>15を見て、 浮浪者みたいだな。と思った。 勿論《銀光教団》の教祖は浮浪者だろうと気にはしないが。 しかしこの船の内装デザイナーと聞けば>>20、まあ、と感嘆の息を漏らす。]
この船の内装はあなたが手掛けたのですか? それは素晴らしい! 具体的には、どの辺りか教えていただいても?
実はわたくし、とても気に入っている場所がありまして、 もしそちらを担当なさっているなら是非、 今度我々の本部の内装を……
[と、すすすとエフに近寄る。 長身と、見下ろすと簾のように垂れ下がる髪も相まって、なんともいえない圧があった。]
(29) 2022/05/03(Tue) 14時頃
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[と、PJに声をかけられて>>27振り返る。]
わたくしですか?
[きょとんと目を瞬いて。自分の体を見下ろす。]
体が痒いなどは、特にありませんが……
[エフを見た。 ノミとかシラミとかいう、今聞いた単語が頭をよぎる。]
いえ、PJのことですから。心配してくださっているのはわかります。 けれど、調べると言っても……ああ、出入星管理で働いていたことがある、と仰っていましたか。 その時のご経験でしょうか?
[見知らぬ、という、謝罪の前の言葉に、わずかに眉が下がった。どこか寂しげに。*]
(31) 2022/05/03(Tue) 14時頃
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……出入星管理。我々の天敵ですね。 このPJという女。 少し、注意した方がいいかもしれません。
[呟く声は、僅かに硬い。]
(*11) 2022/05/03(Tue) 14時頃
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― 大食堂 ―
なるほど。PJにそういった知見があるならば、 とても頼もしいことです。
[彼女の地元の話を聞いて、感心したように頷く。]
採血ですか。 他に確認をして欲しい方がいなければ、 ありがたく受けさせていただきましょう。
[アルクビエレは、別に注射針がこわいとかはない。 それから僅かに眉を寄せ、考え込むように視線を横へ。]
しかし、先程話されていた、 ハエやノミのようなサイズだったとしたら…… 船の何処かに潜んでいたとしても、 気付くのは難しいでしょうね。 元々乗っていた方も安心はできないかもしれません。
(44) 2022/05/03(Tue) 18時半頃
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[秘訣、と言われると曇り顔がまた、僅かに曇る。]
確かにわたくしはそういった立場におりますが、 だからこそ、あなたのように気さくに話してくださる方の存在はうれしいものです。
ですから、そう、 遠慮など不要なのですよ、PJ。
[仲良くなることと、崇められることは、別の価値だ。 PJの言葉>>33にほっとしたのか、翳っていた表情は普段の微笑みに戻った。]
(45) 2022/05/03(Tue) 18時半頃
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[それからまたエフに向き直る。]
ああ、これは失礼を。 普段は信者が髪を持ってくれるので、 つい忘れてしまって。
[背筋をしゃんと伸ばして一歩下がると、あなたの顔にかかって――手で押し戻されていた髪もするすると流れてどいた。]
よろしいのですか? それでは、お言葉に甘えて…… こちらに送っていただけますか?
[提案>>39にはしゃあしゃあと乗っていく教祖だった。]
(46) 2022/05/03(Tue) 18時半頃
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ええ、そうですね。
[即座に排除すべき脅威ではない>>*13、には同意する。]
わたくしは先程魔法商人と名乗る男に会いましたが、 そちらはまだ、なんとも言えませんね。 お互い、もう少し情報収集をした方がよいでしょう。
[連絡先を渡しながら、声ならぬ声でそう囁いた。]
(*14) 2022/05/03(Tue) 18時半頃
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― 大食堂 ―
まさか。PJの手際を疑ったりしませんよ。
ええ、わたくしも他の乗客に会った折に聞いてみます。 この放送で不安を覚えている方も多いでしょうし。 できれば、より不安の強い方を 先に診て差し上げるべきでしょう。
[同じ宇宙港から乗った中には、まだ子供と見えるような客もいたはずだ。見た目通りの年齢とは、勿論限らないが。]
(57) 2022/05/03(Tue) 22時半頃
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[首を傾げるあなた>>53に、目を瞬く。]
本当に察しの良い方だ。 確かに仰る通りですが、 あなたはこの船でしか会えない方ですし。 わたくしも、ここに信者を伴うことはありませんから。
[笑うあなたにつられて、くす、と笑みを零し、]
……友達。
[薄青い目を僅かに見開く。]
友人と、そう呼んでもよいのなら。 PJ。あなたはわたくしにとって、 初めての友人です。
[次いで浮かべた微笑みは、常よりも幾分か深い笑みだった。]
(58) 2022/05/03(Tue) 22時半頃
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[>>55 微笑んだまま、僅かに顎を引く。]
確かに皆色々としてくれますけれど、 一通りのことは自分でできますとも。
[売買契約書にサインくらいはできますとも。乗船チケットの手配と宇宙港までの送迎はしてもらいましたけれど。]
はい。お手数をおかけしますが、 よろしくお願いしますね。
[楽しみです、と微笑む。 受信拒否設定とやらには、笑顔のまま首を傾げるばかりだったが。 自分でやったことがない。 余計に触ったりもしていない。 つまり、問題なく届くはずだ。]
(59) 2022/05/03(Tue) 23時頃
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[白いものを散らかしながら去っていくエフを見送って。]
――さて。 それではそろそろわたくしもお暇しますね。 端末を部屋に置いてきてしまったもので。 PJ、ロバート。また後程。
[二人に会釈をして、するすると大食堂を後にした。]
(60) 2022/05/03(Tue) 23時頃
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― 個室 ―
[アルクビエレの客室は、白い部屋だった。 窓側はかつて地球でロマネスク様式と呼ばれたものに似たアーチが並び、中央に白いレースをたっぷりと使った天蓋ベッドが鎮座している。 装飾は多いが、徹底して白いため、派手さはない。
そのベッドの上、置きっぱなしになっていた端末を手にとり、衣服の襞へ入れて。 ふと、壁を見る。 花瓶に入った花の絵が飾られている。 ここに元々かかっていた絵は、部屋を用意したスタッフが気を利かせたつもりだったのかもしれないが。まったく気に入らなかったので別のものに替えさせた。
荒波に揺られる大きな船と、 押し寄せる水に流される人やけもの達が描かれていた。
取り外した後のことは知らないが、別の部屋かどこかに飾られているのだろう。]
(67) 2022/05/03(Tue) 23時半頃
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[《銀光教団》は、十年ほど前に設立された宗教団体である。
――祈りましょう。掲げましょう。 ――果てはまだ遠くとも、道はまだ永くとも。 ――救いの光が遍く宇宙を照らすまで。 ――小さな光が泡となり、我らの銀河を包むまで。 ――巨きな泡が時空を超えて、我らを救いの地へ運ぶまで。
これが、"銀河救済"を掲げる彼らの祈りの言葉。 信者の中にこの聖句をすべて真に受けているものがどれだけいるのかは、定かではないが。]
(68) 2022/05/03(Tue) 23時半頃
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[実のところ、《銀光教団》が信者を増やしている理由は、教義そのものではない。
教祖が"目をつけた"信者>>0:80の富が、貧しい信者達に衣食住の提供という形で還元されているためだ。 アルクビエレがこうして『オテル・デカダン』に乗り、いくらか買い物をした分だって、前回のように乗客を連れ返ることができればお釣りが来る。 そうやってこの組織は回っている。
《銀光教団》はいくつかの星――勿論、PJの出身星のような出入国の厳しい場所にはないが――に支部を置いているが、それらはほぼ全て、家を持たぬ信者の住居である。
どんな者でも、救いを求めるならば受け入れる。 そう広まっているからこそ、門戸を叩く者は後を絶たない。]
(69) 2022/05/03(Tue) 23時半頃
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[――現在、《銀光教団》の信者として活動している者達。 その半数以上は、教祖アルクビエレから分かれた子株に喰われ、乗っ取られた者の成れの果て。
"星喰いアメーバ"と呼ばれる捕食者達である。]
(*16) 2022/05/03(Tue) 23時半頃
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[悲しみや絶望の淵にある者が、 例えば突然人が変わったようになったとして。 不自然だと思う者が、どれだけいるだろう。
長く塞ぎ込んでいた者が、 信仰を得て前向きになったとして。 中身が入れ替わっているなどと思うものが、どれだけいるだろう。
そうして、その家族や友人までもが、 やがて信者になったとしても。 親しい者の間で思想が広がることは、 そう不自然なことではない。
《銀光教団》というアメーバのコロニーは、 そうやってじわじわと同胞を殖やしてきた。]
(*17) 2022/05/03(Tue) 23時半頃
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― 廊下 ―
――さて、少し歩きましょうか。
[特に目的地を定めぬまま、アルクビエレは廊下に出た。 エフからデータが届けば、彼の手掛けた内装を見に行ったりもするだろうけれど。
時折手すりの彫刻や天井に描かれた絵――フレスコ画というものの再現だと、通りすがった案内ロボットが教えてくれた――などに足を止めながら、うろうろ。]
(70) 2022/05/03(Tue) 23時半頃
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― 廊下 ―
[船内放送>>#6>>#7に、ゆったりとした足取りが止まる。]
薬剤の散布……
[こてり、と首を傾げる。]
急なお話ですが、 ひとまず、一安心……ということでよろしいのでしょうか。
[乗船登録済の宇宙人種には無害、ということならば、乗客にもスタッフにも影響はないのだろう。 ついでにノミとかシラミも駆除できるのだろうか、などと考えながら、再び歩き出した。*]
(87) 2022/05/04(Wed) 12時頃
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おや、お知り合いですか? 『PaLooook』…… いずれは手を伸ばさねばと思っていたのですが、 なかなかガードの固いところで。
[教祖という立場でいくつかの駆虫業者に接触したことはあったが、流石に天敵のひとつとあっては慎重にならざるを得ず、内部へ信者を送り込むには至っていない。]
ここで葬れるならば、一石二鳥かもしれませんね。
(*19) 2022/05/04(Wed) 12時頃
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それがよいでしょうね。 他の乗客と手を組まれても面倒です。 ……ああ、夜にならねば動けないのがもどかしい。
[人気のない廊下で天井を見上げる、青い目が一瞬肉色の膜で覆われて、戻る。待ち切れぬというように。]
エフならば、彼の客室もご存知でしょう。 道案内はお願いしますね。
[依頼人ということなら、と決めつけた。]
(*21) 2022/05/04(Wed) 13時頃
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ありがとうございます。 ふふふ、やはり勝手を知っている者がいるとやりやすい。
[我々の庭も同然、と喉の奥で笑う。]
危険因子を消した後は…… 邪魔になりそうな乗客から片付けてしまいましょう。 ロバートとかいう、あの獣も噛みつかれそうで嫌なのですよね。 まあ、それはまたいずれ……
(*24) 2022/05/04(Wed) 16時半頃
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― 廊下 ―
[巨大な横顔……のように見える大きな石像が立ち並ぶ通路に差し掛かり、像のひとつを見物していたところに、端末に通知が届く。先程大食堂で会ったデザイナーからのもの>>96だ。]
ほう、あのカジノも彼の仕事なのですね。 後でまた見に行ってみましょう。 それから……おや。
[マップに印のある、エフが内装を手掛けた箇所を確認して。通路の先にある大きな扉に目を向ける。]
こちらの劇場もですか。 何か催し物は……この時間はないようですね。
[内装を見るなら寧ろちょうどいいかもしれない。 アルクビエレはそのまま、横顔像達の間を抜けて劇場の中に入っていった。]
(101) 2022/05/04(Wed) 21時頃
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