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【人】 泥炭採り ユンカー── 夜から朝へ ── (64) 2021/11/11(Thu) 19時半頃 |
【人】 泥炭採り ユンカー[柔らかすぎるマットに首を寝違え、それでもそれをこれは良いネタができたとでも言うように嬉しそうに報告する。 (65) 2021/11/11(Thu) 19時半頃 |
【人】 泥炭採り ユンカー[ああ、しまった。後悔した時にはもう遅い。 (66) 2021/11/11(Thu) 19時半頃 |
【人】 泥炭採り ユンカー は? (67) 2021/11/11(Thu) 19時半頃 |
―― げんじつせかい ――
[ コンコン。
ノックの音が聞こえて、あたしははっと顔を上げた ]
ふあっ!?
[ あたしの声は返事になってなかったし、
なんなら返事じゃなかったんだけど、
ドアを開けてお母さんが入ってくる ]
「寝てたの?」
[ お母さんはあきれ顔。
手にはトレイを持ってて、そのトレイには、
レンチンの焼きおにぎりが2つと
具沢山のお味噌汁が載ってる。
お母さん、よく夜食を持ってきてくれるんだよね。
あたしが真相を知った日以降、特に。
あたしが何かやらかさないか、きっと心配なんだと思う ]
[ あたしはというと、机の上に参考書とノートを広げて
寝てた。寝てた……んだ。
なーんだ、夢かあ。
夢……だった? ]
「七星?」
[ お母さんが怪訝そうな声であたしを呼んだ。
トレイを机の端に置いて、
あたしに手を伸ばしてくる ]
「首、どうしたの?痣になってる」
…………え。
[ お母さんの手があたしの首に触れた。
ポーチから手鏡を出して確かめてみれば ]
うわっ。
[ 怖いんだけど!
指で首絞められたみたいな痣ができてるんだけど!
あれはただの夢なのに!
そうでしょ?
だって、ただの夢じゃなかったら、それって ]
[ ぴこーん。
聞き慣れた音がしたのは、その時だった。
スマホのメッセージ受信音だ。
条件反射みたいにあたしは確認しちゃう。
送信者は……日食君?
こんな時間に珍しいな。
日食君といえば猫だけど、
こんな時間に猫写真を撮ったわけでもなかろうに。
そんなことを考えながら、メッセージを開けば ]
今、病院に着いた……?
[ 病院?なんで病院?
よくよく見れば、グルチャに送られた
日食君のメッセージは、それだけじゃなかった。
あたしは瞬きを忘れて、
ついでに目の前にいるお母さんのことも忘れて、
慌ててメッセージをさかのぼる ]
[ 病院って不穏な単語に、お母さんが首を傾げて、
話の途中だっていうのに口を挟まずに待ってくれてるの、
気づく余裕は今のあたしにはなくて ]
『帰ってきた。病院行く』
『今家を出る』
[ 帰ってきた?帰ってきたって、どこから?
日食君のメッセージは要領を得ない。
イラっとしそうになったけど、
他にもメールが届いてることに気づいた。
飯尾先生?と、和歌奈ちゃん?
グルチャにメッセージじゃなくて、メール。
首を傾げながらあたしはまず
和歌奈ちゃんからのメールを開いて ]
[ 血の気が一気に引いた。
和歌奈ちゃんから送られてきたメールは、
あの校舎で読んだ遺書だった ]
お母さん、
[ がくがくと体が震えて、
あたしは忘れてたお母さんのことを都合よく思い出した。
片手にスマホを持ったまま、もう片方の手で、
お母さんの腕をつかむ ]
お母さん、どうしよう。
和歌奈ちゃん、和歌奈ちゃんが、死んじゃう。
「七星。七星、落ち着きなさい」
[ 空いてる方の手で、お母さんが背中をさすってくれる。
でもあたしは落ち着けない。落ち着けるわけない。
どうしよう。止めなきゃ。行かなきゃ。でもどこに?
……病院!
そうだ、病院って、さっき読んだ! ]
……病院!日食君、着いたって……。
[ どこの病院かは書いてなかった。
っていうか日食君はどうして知ってるの?
誰から聞いて……あ。
先生からのメール!
あたしは慌てて先生からのメールを開く ]
……お母さん。
[ メールを読み終わって、あたしはお母さんに向き直った ]
友達が、病院に運ばれたの。
あたし、行きたい。
[ 先生からのメールには、
和歌奈ちゃんが望高の屋上から飛び降りて、
望月病院に運ばれたって書いてあった ]
行かなかったら、あたし多分一生後悔する。
夜食は、持ってく。
[ あたしは、なんていうか、ぐちゃぐちゃだ。
認める。あたしにはそういう部分がある。
多分あたしの言動で、お母さんはあたしの友達が
病院に運ばれた理由を察したと思う。
ぐちゃぐちゃなあたしを、自殺を図ったであろう友達に
関わらせたくないと思う。
でも、行かなきゃ。絶対行かなきゃ ]
……あのね、あたし、夢の中でひめちゃんに会ったの。
[ ひめちゃん。
その言葉に、お母さんの肩が震えたのがわかった。
だけど構わずあたしは言葉を続ける ]
ひめちゃんに死んでって言われたけど、断った。
あたしは生きたいって。
ちゃんと言って、ちゃんと決別できたよ。
だから……あたしは、大丈夫だから。
[ 実際のところ、そんな簡単な話じゃないと思う。
今でもあたしのどこかはやっぱりぐちゃぐちゃだし、
カウンセリングとか、多分そういうの、
あたしには必要なんだと思う。
だけど、今は。今だけは。
大丈夫だから行かせてほしい ]
[ お母さんは大きなため息をついた ]
「食い意地が張ってる間は大丈夫そうね。
お味噌汁はスープポットに入れていけばいいでしょ。
お父さんに車を出してもらいなさい」
[ お母さんの言葉に、あたしは目を見開いて、
それから抱き着いた ]
うん、ありがと。
……あのね、あたし、お母さんのこと、大好きだからね。
お父さんのことも。
[ コートを着て、マフラーを巻いた。
首が隠れるように、しっかり。
玄関のドアを開ければ、そこは雪景色じゃなくて、
だけど冷たい空気がほっぺたを冷やす。
お父さんは、もう車のエンジンを掛けてくれてた。
乗り込んでシートベルトを締めて、
そしてあたしはグルチャにメッセージを送る ]
『ただいま!夏見、帰還しました!
今から病院へ向かいます!』**
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【人】 泥炭採り ユンカー 今日は朝練、できそうにねーな。 (99) 2021/11/11(Thu) 22時半頃 |
―― 望月病院 ――
[ お父さんは、車を病院の正面入口の前じゃなくて、
夜間入口の近くに停めてくれた。
あたしはありがとうってお礼を言って、
トートバッグを持って車を降りる。
お財布とかハンカチとか、
ラップに包んだ焼きおにぎりとか
お味噌汁の入ったスープポットとかが入ってる。
スマホはすぐに気づけるようにコートのポケットの中だ。
帰る時は迎えに来るから連絡しなさいって言う父に、
あたしはもう一回ありがとうを言った ]
日食君。
[ 夜間入口を入ってすぐ、
自販機コーナーに日食君がいた。
思わずあたし、大きな声を出しそうになって、
慌てて口をふさぐ。
いけないいけない。ここは夜の病院だ ]
[ メッセージは届いてたんだからさ、
無事なのはわかってた。
あたしだって、あの世界で死んだけど、
こうやって生きてるんだし。
だけどやっぱり無事な姿を見ると安心するね。
おかえりって言ってくれる日食君に、
あたしはうんって頷いた ]
日食君も。無事でよかった。
日食君、マネキンになってたんだよ。
あたしと路子ちゃんで運んであげたんだから。
感謝しろよな!
[ 血まみれになって云々はさすがに言わないけど、
恩はしっかり売る!
両手に花だったんだんだから!
意識はなかっただろうけど!
そしたら、ジュース奢ればいい?なんて
自販機の方を向こうとするから慌てた ]
なんでそーなるっ!
……そーだなあ。日食君といえば猫じゃん。
和歌奈ちゃんさ、きっとすぐ退院ってわけには
いかないよね。
きっと退屈するだろうからさ、
選りすぐりの猫写真、グルチャに流してよ。
あたしも見るし。
[ 小6のあの日、飛び降りようかって言ったあたしを
ひめちゃんは止めた。
飛び降りだと、あたしの生死を
コントロールできなかったからだ。
飛び降りだと死ぬってひめちゃんは考えたんだろう。
和歌奈ちゃんは、望高の屋上から飛び降りた ]
[ ……そーゆーことは今は考えない!!
和歌奈ちゃんは、ひとりじゃない。
ひとりじゃないから、大丈夫のはず。
みんなが一緒に連れて帰ってきてくれるはず。
なにしろあそこには、
「持ってる」路子ちゃんだっているんだし ]
[ あたしはあの世界を夢だったとは思ってないし、
日食君もそうみたいだった。
こうやって話が通じるのが何よりの証拠 ]
……さて。先生来てるんだよね?
和歌奈ちゃんのご家族とか。
挨拶してくるよ。
日食君はまだしばらくここにいるの?
なら、誰か来るかもしれないし、出迎えよろしく!
[ あたしはそう言って、病院の奥へと足を進めた ]*
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【人】 泥炭採り ユンカー─── 少し前、猫耳を発見した時に ─── (100) 2021/11/11(Thu) 23時頃 |
わたし
[そう、平塚莉希が死んでも
ママは悲しまない。
天野莉希の死を、悲しむだけ。
だってそういう人なのだから。]
わたし
[ 平塚莉希は 貴女の どこにいますか? ]
[文化祭が終わって春が近づくにつれ、
どんどん憂鬱になっていった。
進学するにしたって、ママが納得するところに
しか行かせてくれない。
レッスンやオーディションだって再開する心算
だろう。
……また雁字搦めの生活に戻る?
ううん、この三年間だって、
糸は絡まったままだったよ。]
[ まるで操り人形のように ]
―― 帰還 ――
―――――っ!
[何かに弾かれるようにばちりと目が覚めた。
鼓動が早い。
呼吸が浅い。
嫌な汗だって流れている。
まるで悪夢を見た時のように。
息を落ち着かせながら沈んでいたベッドから身体を
起こした。
えぇと、私何してたんだっけ?
……そうだ。ママと電話して一方的に色々言われて、
しんどくなってベッドに身を投げたんだ。]
[窓の外はとっぷりとした闇に染まっていて、
冬の空気が星の光をより綺麗に瞬かせている。
思わず窓を開けた。
窓はすんなりと開いた。
雪は積もってはいなかった。]
……夢、だったのかな?
[夜空を見上げれば綺麗だなぁと思ったけど、
身体が冷えればママに怒られる、とやっぱり
すぐにからりと閉めた。]
[やることやらなきゃと思って時間を確認しようと
ベッドに投げ出されたままだったスマホを手に取る。
そこでいくつか通知が入っているのに気づいた。
それは日食君、それから飯尾先生、和歌奈さんの
順に表示されていて。
どうしたのかなって、一番上の日食君から目を
通した。
病院? どこか怪我したのかな?
[もしかして送信先間違えた?なんて思ったけど、
次に飯尾先生のメールを開けば、その意味はすぐに
知れることとなる。]
……夢、じゃ、なかった?
あの世界は。
ホストは、和歌奈さんだったってこと?
[あの世界で見た同じ文面
確かにここにある。
その画面を凝視していると、もう一件、通知が
入った。
……行かなきゃ。
[七星さんも帰って来た?って思ったけど、
今はそんなこと気にしてる場合じゃない。]
『平塚莉希も帰還
病院、私も向かいます!』
[私もグルチャに返信を打って、部屋を飛び出した。]
[ 手術室に、人影が見えた。
手術中の赤いランプが灯ってるのも、見えた。
あたしはゆっくりと近づいて、頭を下げる ]
こんばんは。
[ 来たのか、と声を掛けてきたのは飯尾先生。
和歌奈ちゃんのお父さんは、
わざわざありがとうございます、って
子供のあたしに敬語で挨拶して、
頭まで下げられてしまって、あたしはちょっと慌てた。
和歌奈ちゃんのご家族には文化祭の日に会った。
覚えてる。
和歌奈ちゃんのご家族は他に誰か来てたかな。
皆さんお揃いだったかもしれないし、
もう夜も遅いから、お母さんと妹ちゃんは
お留守番だったかも ]
[ 和歌奈ちゃん、来たよ。って、
あたしは手術室の扉を見つめた。
この向こうに和歌奈ちゃんがいる ]
[ しばらくそうしてたけど、
先生が、ちょっと一服してきます、って
席を外そうとするのに、
あたしはついていくことにした。
先生にはちょっと話したいことがあったから ]
あ、あたし夜食持ってきてて。
ちょっと食べてきます。
[ ご家族にそう言って、あたしは先生を追いかけた ]
[ 病院って屋内には喫煙所作れないんだって。
あたしは煙草吸わないし吸う予定もないから
どうでもいいけど。
病院の外の特定屋外喫煙場所とやらで
そう言って嘆く先生の横で、
あたしはラップをめくっておにぎりを食べた ]
先生さー、教育者の端くれってやつでしょ、
だったらさあ、集団失踪事件の話、知ってる?
誰かの頭の中にいた、みたいな話。
[ レンチンの焼きおにぎりは冷めても美味しい。
もぐもぐしながら聞いたら、
端くれ言うな、って小突かれた。
一応知識としては知ってる、とも ]
先生、あたしねー。
さっきまで、和歌奈ちゃんの世界にいた。
……って言ったら、信じてくれるー?
[ あたしがそう言ったら、先生は怪訝そうな顔をした。
大人を揶揄うもんじゃない、ですとな? ]
先生、こんな状況でそんな冗談言うほど、
あたし不謹慎なやつじゃないよー。
[ そりゃ夏見七星、お調子者ですけどね?
ハチャメチャガールズとか一部で言われてる
らしいですけどね?
言っていいことと悪いことの区別くらいは
ついてるつもりです! ]
和歌奈ちゃんの世界って、望高文化祭だった。
それでさ、あたしとか日食君は帰ってきちゃったけど、
その世界にまだ残ってる人がいるはずなの。
[ 路子ちゃんに、真梛ちゃんに、荒木君に……って
あたしは指を折って数える。
莉希ちゃんからのグルチャは
車の中で読んだ。
莉希ちゃんももうじき来る。
先生が信じてくれないなら、
莉希ちゃんからも言ってもらおう。
あたしたちは、和歌奈ちゃんの世界にいたって ]
だからさ、先生。
みんなが連れて帰ってくれるはずだからさ、
……和歌奈ちゃん、助かるよね。
[ おにぎり包んでたラップを小さく丸めて握りしめる。
俯いたあたしの頭に、先生の手がポンって乗った ]**
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メモを貼った。
あの!私ちょっと望月病院に行ってくる!
[下にいた祖父母にそんな声をかけて慌ただしく
バタバタしていれば、驚いた二人から一体
どうしたのと声がかかった。]
あ、えっと、その、
友達が、運ばれたって…!
[祖父母は昔里帰りした時は気難しくて厳しい人たち
って印象だったけれど、今は孫として普通に接して
くれている、と思う。
たどたどしく説明をすれば、二人は顔を見合わせた。]
[望月病院は自転車で行けばそんなにかからない。
コートを羽織ってマフラーを巻いて、迷いなく
飛び出そうとしていれば待ての声が響いた。
こんな夜中に外出は関心しないと。]
で、でも……!
[確かに関心できないかもしれない。
でも私だって子どもじゃない。
どことなくママに似た面影に、雰囲気に、
反論の声はそれ以上出てこない。]
「夜道は危ないから送っていく。」
――――え?
[下を向きかけたら、降ってきた声に素っ頓狂な
声が出た。
私を、心配してくれた?
それともやっぱり世間体?
なんて考えてしまうのは失礼だっただろうか。
でも断る理由はない。
だって私は病院に行きたいから。]
……お願いします!
[そうして車に乗り込んで、病院を目指した。]
[私食堂に食料があるって書き込みだけ見たわけ
じゃないよ。
ちゃんと日食君についての書き込み
見たら、マネキンもちらっと確認した。
保健室のベッドは四つで、女子は五人。
路子さんはどこでも寝れるからとベンチで寝て
しまって
遠慮して空けるのも勿体無いなぁって思ったから
使わしてもらったけど、マネキンを見てしまった
せいかなかなか眠れなくて。
だから。]
首大丈夫?
[自販機の所にその姿
開口一番にその細い首を確認した。
まぁ大丈夫じゃなかったら日食君も私もこんな
ところにいるわけないんだけど。]
本当に苦しかったな、あれ。
死ぬのって、あんなに苦しいんだね。
[日食君の身にどんな現象が起こったのかは
知らないけど、そんな言葉をぽつりと零す。
和歌奈さんも苦しかったかな、痛かったかな。
少なくともその胸の内は、苦しかったのだろう。
七星さんももうついていると教えてもらえば、
私はその姿を探したんだ。]
[ドラマとかでよくあるよね。
暗い病院に赤いランプが灯ってさ。
その前に家族が神妙な面持ちで待ってるの。
まさかリアルで体験することになるとは
思わなかったよ。
ご家族にぺこりと頭を下げた。
この扉の向こうに、和歌奈さんがいるんだ。
ランプはまだ、消える気配はない。]
七星さん、に飯尾先生。
こんばんは。
[二人がどこにいったかを教えてもらえば
そちらへと足を向ける。
[会いたかったのは飯尾先生じゃなくて七星さんだ。
脇目も振らず傍によればぎゅって抱きついた。
そんなこと今までしたことなかったけど、
しょうがないよね。
ちょっといろいろ情緒崩壊してるんだ。
だから許してね。]
……七星さんも帰って来たんだよね。
みんな、帰ってくるよね。
[二人が何を話していたのかなんて知らなかったけど、
その言葉を聞いたら先生も、信じてくれたかな。]**
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【人】 泥炭採り ユンカー なんだ、このボタン? (148) 2021/11/12(Fri) 19時頃 |
【人】 泥炭採り ユンカー そーゆーおめーはどうなのよ? そこんとこ。 (149) 2021/11/12(Fri) 19時頃 |
【人】 泥炭採り ユンカー── 文化祭の日 ── (153) 2021/11/12(Fri) 19時頃 |
【人】 泥炭採り ユンカー[もう貫き通せない。雄火の姿を。 (154) 2021/11/12(Fri) 19時頃 |
【人】 泥炭採り ユンカー[だからいっそ、隠しきれなくなる前に。 (157) 2021/11/12(Fri) 19時半頃 |
【人】 泥炭採り ユンカー[けれどもそれはいつまで続く? (160) 2021/11/12(Fri) 19時半頃 |
【人】 泥炭採り ユンカー[前夜祭のステージで暴れたあの時、オレは思った。 (167) 2021/11/12(Fri) 19時半頃 |
【人】 泥炭採り ユンカー[結局そうはならなかった。 (170) 2021/11/12(Fri) 19時半頃 |
【人】 泥炭採り ユンカー[自分を見せたくなくて。自分でいたくなくて。 (173) 2021/11/12(Fri) 20時頃 |
【人】 泥炭採り ユンカー[だから墨鳥雄火は文化祭に参加してねぇ。 (174) 2021/11/12(Fri) 20時頃 |
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[ 足音が聞こえた気がして、あたしは顔を上げた。
莉希ちゃんの姿を認めて、思わず目を見開く
莉希ちゃん!
おかえり!
[ ここは屋外であるからして、多少声が大きくても大丈夫。
なーんてこと、考える余裕なんかなかった。
反射的に口をついて出ちゃったんだよ。
ここが病院の外で良かった。
こんばんはって言う莉希ちゃんに、おかえりって返して
ぎゅって抱き返す。
今この一瞬だけは、和歌奈ちゃんを心配する気持ちより、
莉希ちゃんに会えて嬉しいっていう気持ちが
上回っちゃったかもしれない。
一瞬!一瞬ね! ]
うん、……うん。
[ 莉希ちゃんの質問に、あたしはうんうんって頷く。
七星さん「も」って莉希ちゃんは言う。
莉希ちゃんも帰ってきた。
つまりそれって……莉希ちゃんもきっと、あの世界で
死んだんだろうって思う。
痛かったよね。それとも、苦しかったかもしれない。
労いの気持ちを込めて、莉希ちゃんを抱きしめたまま、
その背中を撫でた ]
せんせー。
和歌奈ちゃんの世界で、莉希ちゃんも一緒だったんだ。
ね?莉希ちゃん。
[ 莉希ちゃんに抱き着いたまま、
あたしは先生の方に顔を向けた ]
[ 先生は、しばらく黙ってあたしたちの方を見てた。
けど、頭をぼりぼりした後、降参って感じで手を挙げる ]
「あー、わかったわかった。
……けどな」
[ 先生は、しばらく言葉を選ぶみたいに
視線をさまよわせた後、
少し声を落として、言った ]
「もし……河合が、……戻ってこなくても。
他の奴らを責めてやるなよ」
[ どきんと心臓が跳ねた ]
[ みんなが連れて帰ってくれるはずって
あたしは言った。
莉希ちゃんの言った「みんな」にも、
もちろん和歌奈ちゃんは含まれてるはずだ。
自分に言い聞かせるようにあたしはそう信じてる。
だけど、もし、和歌奈ちゃんが帰ってこなかったら? ]
……そんなの、当たり前、だし。
責めたりなんか、しないし。
でも……でも、帰ってくるよ。ね?
[ ぎゅってあたしは莉希ちゃんに抱き着く腕に力を込めた ]
[ 和歌奈ちゃんの世界にあたしたちが呼ばれた理由。
最期に一目会いたかったからじゃないか。
路子ちゃんはそう言ってたけど。
その言葉に、そうかもってあの時あたしも思ったけど。
っていうか、そういう気持ちもきっとあると思うけど。
それだけじゃなくてさ。
和歌奈ちゃんの中のどこかに、連れ戻してほしい気持ちが
あるからだったりしないかな。
だって。だってさ。
ひめちゃんの世界に、あたしは呼ばれなかった。
それって、ひめちゃんに
なんの未練もなかったからじゃない?
あたしを縛り付けるために命を捨てたひめちゃんだもん。
もし、ひめちゃんもあんな世界を作ってたなら、
そこにあたしが呼ばれないはずがない ]
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