人狼議事


10 冷たい校舎村9

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視点:


【人】 夜笑国 メイ

[救われた主人公芽衣ちゃんは、実は真犯人なんだけど。
 わたしはそれを内緒にしている。

 志望校を音大から平凡な大学に変えて、
 文化祭にも積極的に参加しちゃってさ。
 自転車乗れなかったのはちょっと惜しかったね。
 買ってってお願いしたら、お父さんどんな顔するだろう。

 文化祭、本当に楽しかったんだよ。
 友達がいることの頼もしさも知った。
 お母さん譲りの不器用さが玉に瑕だけど、
 人にもちゃんと優しくできていると思う。

 わたしは一番を手放したはず。
 それなのに今でも早く帰るし、
 月曜日には秘密の30分がある。
 お父さんもわたしもピアノを捨てようとしない。

 わたしの自由は、危うい均衡の上で成り立っている。]

(3) 2021/06/10(Thu) 00時頃

【人】 夜笑国 メイ

— 夜:3-9教室 —

[さっきまで笑っていた>>2:559と思ったのに、
 鳩羽くんの顔はすぐに暗くなった>>2:560。]

  ……その気持ちは分からないでもないかな。

[わたしの場合、それは何も言わない死人の皮なんだけど。
 鳩羽くんの笑顔が並べられるのはちょっと申し訳ない。
 だからわたしは鳩羽くんのモヤモヤの手を、
 一緒に机に並べてもらおうとした。]

(4) 2021/06/10(Thu) 00時頃

【人】 夜笑国 メイ

[鳩羽くん>>2:562とわたしの手は、初手尻もちから
 救ってもらった時と変わらず似た大きさをしている。

 わたしは指は3本白くて、
 鳩羽くんの爪は僅かに赤黒い何かが残っていた。]

  んー?

[これまで触れたことなかったのに、
 まったくどこで聞いちゃったんだろう。
 1年前まで隠しもしてなかったから、
 知ってても何もおかしくないんだけどさ。

 さて、どうしたものかな。間延びした声で時間を稼ぐ。]

  やってたー……ね、これ。いたい?

[鳩羽くん>>2:562の話題に、わたしはへらへら笑ったまま
 鳩羽くんの爪をつつこうとした。
 返事は頭にひとつだけ。これで伝わる?]*

(5) 2021/06/10(Thu) 00時頃

【人】 夜笑国 メイ

[こっち>>2:563はちゃんと伝わったみたい。

 それからどんな道を辿ったのか。
 わたしたちは今朝の話にたどり着いた。]

  ふふ。

[わたしのやりたかったことはずっと遠くへ行って、
 残ったわたしは大抵のことがどっちでもいい。
 だから相手の安心とか喜びとか、
 そこに指針を定めることをわたしはこの1年で学んだ。

 鳩羽くんが納得したように見えて、わたしは笑った。
 わたしの目的は果たされたと思ったから。
 お母さんのこと、忘れてないのも本当だけどね。
 だって、悪者のお母さんはまだ消えてない。]

(6) 2021/06/10(Thu) 00時頃

【人】 夜笑国 メイ

[アイちゃんは違う。
 だから「在り方」が変わっちゃうのはたぶんご両親。
 わたしは鳩羽くん>>2:564の言葉から推測する。

 そこまで分かっても、わたしはその先が想像できない。
 だってわたしの家は、わたしを守る温室だったもの。
 甘ったれた頭は、自分のことより周りのことを並べる。
 みんな>>2:535の中に、わたしはいない。

 そうしてわたしが出した結論は、
 どうやら鳩羽くん>>2:566にはそぐわないらしい。]

  寂しく、ないの……?

[だからわたしは鳩羽くん>>2:567>>2:568の話を聞く。
 途中笑おうとした様子が見えていいんだよって
 言おうとしたけれど、またモヤモヤが広がるのかな。
 わたしは黙って続きを聞いた。]

(7) 2021/06/10(Thu) 00時頃

【人】 夜笑国 メイ

 
  ————。

[息を飲む。
 ねぇ、やっぱり鳩羽くんはお日様みたいに眩しいよ。
 誰かのためにちゃんと怒って、悲しんでる。
 笑顔が剥がれてもくっきりと心が在る。

 わたしは目を細めた。口元はそのままだったから、
 笑顔としてはちょっと歪だったかもしれないけど。]

  わたし、鳩羽くんのそーいうとこ、すきだよ。

[欠けたままのわたしはやっぱりどこかズレてて、
 きっとどんなに頑張っても鳩羽くんみたいにはなれない。
 それでもこんな風になりたいって思うくらいは
 許されるでしょ。わたしはへらへらのすきを添えた。]

(8) 2021/06/10(Thu) 00時頃

【人】 夜笑国 メイ


  ひとつひとつに役割があるんじゃないかな。

  学校が楽しくて、友達がいて。
  それでも代わりにはなれないから、
  鳩羽くんが求めるものは、そこにしかないのかも。

[音楽を捨てたわたしが、どこか満たされないみたいに。]

  だから、わたしたちは足掻くのかな。
  何が正解なのか分かんないし、
  何もかも思い通りに行くなんてありえなくても、

  それでも、求めるものがあるから。

[わたしはそれすら諦めてしまったけれど。
 でも、もういいの。わたしの細めた瞳は諦念が満ちる。
 今度は口角も上げて、ちゃんと笑みの形にした。]*

(9) 2021/06/10(Thu) 00時頃

【人】 夜笑国 メイ

[どんなに取り繕っても他人事の拭えないわたしだけど、
 ねぇ、今回だけは違うかもしれないよ。
 そう思ったのは鳩羽くんに精神世界の話を聞いたから。]

  ……。

[わたしは久しぶりに押し黙った。]

  ねぇ。ここが誰かの頭の中って、本当?

[再度、それだけ確認するように尋ねる。
 でもそこまで。わたしは生きた口を閉ざす。

 わたしの心みたいに薄らと、
 何かの可能性が生まれたなら、きっとこの時だ。]*

(11) 2021/06/10(Thu) 00時頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/10(Thu) 00時半頃


メモを貼った。


【人】 夜笑国 メイ

— 夜の3年9組 —

[わたしのとっさの一言は、鳩羽くんだけでなく
 綿見さん>>2:584にも好評だったみたい。
 そんな綿見さん>>2:582が先に教室を出て行って、
 それから鳩羽くんとどれくらい話しただろう。

 乃絵ちゃん>>2:509がやって来たのはいつだったかな。
 乃絵ちゃんが「ただいま」っていうなら、
 わたしは「おかえり」って返す。

 ここはわたしたちの家じゃないけれど、
 戻ってくる場所だからかな。
 特に変な感じはしなかった。]

(44) 2021/06/10(Thu) 02時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  こんなにすぐ会えるなら、
  直接聞いた方が良かったねぇ。

[黒板に情報の寄せ書きがまた増えて、
 乃絵ちゃん>>2:510がこっちを振り向く。
 待ち構えていたわたしは、乃絵ちゃんのまんまるな目を
 ばっちり捉えられたんじゃないかな。
 だからわたしはへらへら笑う。]

  わたしも夜はまだなの。
  何か食べに行く?

[わたしが視線を向けるのはクレープ>>2:254の文字だけど
 購買でお菓子を買ってみてもいいかもしれない。
 普段わたしたちが絶対やらないこと。
 たとえば夜の学校でお菓子パーティー、なんて。
 だからわたしは二つ目の候補として後者をあげた。
 それから最後にもうひとつ。]

(45) 2021/06/10(Thu) 02時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  あるいはお米……

[食堂にはさっき来た向井くん>>2:506が向かうらしい。
 わたしは「1人で平気?」って尋ねたけれど、
 それでもお米の話は聞けたかな。]

(46) 2021/06/10(Thu) 02時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[九重さんから炭蔵くんに>>1:585
 炭蔵くんから鳩羽くんに>>2:101
 そして鳩羽くんからわたしに>>2:569
 数名を介して九重さんの声がわたしに届いた。

 伝言ゲームはどこまで情報を有していただろう。
 誰かの頭の中の世界らしいってことは知った。
 「生きて帰れることが多い」らしい>>2:512とは
 九重さん→炭蔵くん→鳩羽くんから聞いたけれど、
 あの人形を見てそうだって思えるかは怪しい。

 だから九重さんを探していた様子の
 向井くん>>2:505には、ただ首を横に振って答えた。]

(47) 2021/06/10(Thu) 02時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたし、九重さんが死んだと思った時
 悲しんだりはしなかったけれど、
 無事だといいなとは思ってる。

 わたしにはどれでもいいことがたくさんあるけど、
 その上で選ぶなら、相手の望むものがいい。

 「生きてるか死んでるか分かんないけど、
 少なくとも帰れたと思うよ」なんて言葉は、
 悪路なんてものじゃないでしょう?]

(48) 2021/06/10(Thu) 02時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……は、まだ無理かな。
  乃絵ちゃん、どうする? 何がいい?

[米びつから出したお米がほかほかじゃないことくらいは、
 料理を一切しないわたしにだって分かる。

 最終的に乃絵ちゃんに提示した選択肢は三つ。
 食堂でクレープか、購買でお菓子(他でも可)か、
 食べずに寝てえらい! か、だ。

 鳩羽くんも誘ってみるけれど、
 食欲のなさそうな鳩羽くんは>>2:394
 その道中には加わらなかったんだっけ>>2:665

 乃絵ちゃん、クレープは一緒に行けなかったかな>>32
 教室に無事戻ってきたひとみちゃん>>2:624
 見えたらわたしは安心してへらりと笑って。

 どの選択でも人の少ない方についていったはず。]*

(49) 2021/06/10(Thu) 02時半頃

【人】 夜笑国 メイ

— 保健室 —

[更に時計が回ってみんなが布団に入り込む頃には、
 わたしの瞼はすっかり重くなっていた。

 わたしの夜は早い。
 何年も早く起きて、朝練をしていたからだ。
 その必要がなくなっても、この習慣はなかなか抜けない。
 おかげで朝時間を持て余すことが多くて困っちゃう。
 綿見さん>>22と同じ頃にベッドへ入って、
 「おやすみぃ」って。

 わたしはたぶん、誰よりも寝付きが良かったかも。]

(50) 2021/06/10(Thu) 02時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[夢うつつ、衣ずれの音>>2:543がする。
 暗闇に開かない目の代わりに、
 唸りに近い声を出して音の主を呼び止めた。

 それから「どうしたの」って言ったつもり。
 ちょっと滑舌悪かったかもしれないけど。

 聞き覚えのある声が聞こえたけど、
 睡魔に包まれた頭には詳細が聞こえなかった。
 それは幸運だったのかな。気配がここから離れていく。

 先入観のないわたしの耳には先の足音>>2:544が届いて、
 どこか遠くに行くのかなって、思った。]*

(51) 2021/06/10(Thu) 02時半頃

【人】 夜笑国 メイ

— 翌朝:教室に置かれた屋台の前で —

  困った、なぁ。

[制服の右のポケットのには薄青色の小さな花のぼたん。
 左のポケットには手のひらサイズのお財布。
 今日は更に胸ポケットへスマホが加わっている。]

  困った、なぁ。

[二度、繰り返した。]

(52) 2021/06/10(Thu) 03時半頃

【人】 夜笑国 メイ

— 早朝:保健室 —

[鼻先が冷たくて目覚めたわたしは
 コートとマフラー完全装備で保健室を出た。
 その時ベッドは最低でも2つは空だったはずだ。

 綿見さん>>23とひとみちゃん>>2:262
 早寝組だった綿見さんはともかく、眠るのに
 苦戦していた様子のひとみちゃん>>2:265は珍しい。

 音は任せて。集中している時を除いてね。
 昨晩聞こえたひとみちゃんの呟きに、
 わたしが提供できる灯りはなかった。

 だって、わたしのスマホ、
 最初に見た時から机に置いたままだもの>>1:31
 こっそり声をかけようとしたけれど、保健室のベッドは
 間隔が取られていて、結局眠気に負けて目を閉じた。]

(53) 2021/06/10(Thu) 03時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[昨日の今日だ。
 欠けが1人なら心配したかもしれないけれど、
 半分以上であれば、まだわたしは穏やかでいられる。

 乃絵ちゃん>>29はどうしていただろう。
 一番最後はわたしだったらいいな。
 だってこんないつため息が降るか分からない場所に、
 乃絵ちゃんを置いていくのは心配だから。

 それならわたしが1人の方がいい。
 平気だよ。大丈夫。だから、わたしでいいよ。]

(54) 2021/06/10(Thu) 03時半頃

【人】 夜笑国 メイ


[ここは、誰かの頭の中らしい。]
 

(55) 2021/06/10(Thu) 03時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[根拠は九重さんだけだかららしいと言い切るのは
 少し躊躇うけど、九重さんならって思えるのは
 彼女が独特の雰囲気を持っているからだろうか。

 ——わたしには、ため息で思い浮かぶ人がいる。]

  まさか、ね。

[わたしはベッドから降りた。
 それに異常はため息だけじゃない。
 スカートの端を持ち上げると、膝の横に
 音楽室の前で座り込んだ時についた引っ掻き傷がある。
 細く薄い、いずれ消えるだけの跡だ。

 わたしはそれを指でなぞってから身支度を始めた。
 顔を洗って……ハンカチ、ないんだった。
 わたしは保健室で清潔なタオルを1枚お借りして難を
 逃れる。もう少しで犬になるところだったわん。]

(56) 2021/06/10(Thu) 03時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[窓の外は雪模様で、廊下は確実に冷えているだろう。
 わたしはベッド脇に置いていたコートとマフラーを
 しっかり着込んでから扉をくぐった。

 だから、保健室は早い内から空になる。]

(57) 2021/06/10(Thu) 03時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[廊下に出ると、なぜか一方のカッターだけが全部
 なくなっていて>>2:645、わたしはない方を眺めた後、
 カッターの落ちている道の方を選ぶ。

 だって、教室にはこっちが近いから。
 今晩のためにスマホを持って来ておいた方がいい。
 充電が残っている間だけだけど、
 ひとみちゃんの夜を少しは守ってくれるはずだ。

 わたしはどこかから遠ざかっていく。]*

(58) 2021/06/10(Thu) 03時半頃

【人】 夜笑国 メイ

— 現在:屋台の前に戻って —

[スマホを胸ポケットに入れて、
 その教室の中が視界に入ったのはたまたまだった。

 うちは人通りのいい場所を確保できたけど、
 中には教室の中に屋台を設置するクラスもあった。
 店形式とは違う良さがあるんだろう。

 文化祭当日、お店を回れた訳じゃないから
 どこに何があるか全部覚えている訳じゃないけれど、
 質素でオカルトなデザイン>>0:565なんて、
 逆に見逃す方が難しいでしょう。]

(59) 2021/06/10(Thu) 03時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  困った、なぁ。

[三度目。
 わたしは左手をポケットに入れ、お財布を揺すった。
 小銭のもったりとした重さが指先に伝わる。]

  ……どうしよ。

[四節目にはアレンジを加え、わたしはぽつりと呟いた。]

(60) 2021/06/10(Thu) 03時半頃

【人】 夜笑国 メイ



               10円玉、足りるかな。
 

(61) 2021/06/10(Thu) 03時半頃

【人】 夜笑国 メイ

— AM8:50までの間 —

[それからわたしはひとつひとつ教室を覗いて、
 見覚えのあるケースに10円玉を1枚ずつ放り込んだ。

 中身がどれだけ入っているかなんて気にしない。
 だってわたし、そこまで覚えてないから。
 空っぽだったとしても、
 たぶんわたしは同じことをしたと思う。

 なんだかお参りみたい。
 そんなこと思ったら、さすがに神様に叱られちゃうかな。

 わたしのお財布は少しずつ軽くなっていく。]

(62) 2021/06/10(Thu) 04時頃

【人】 夜笑国 メイ

— AM8:50:渡り廊下 —

[小銭を貯め込む趣味はなかったから、
 数件回っただけでわたしの10円玉は枯渇した。

 わたしの目的を達成するには少しだけ足りなくて、
 解決策といえば両替。つまりは購買。
 レジを開けられる保証はどこにもないけど。

 わたしは残り1枚になった10円と一緒に、
 購買のある1階、そこから道を逸れて本家へ向かう。]

  ……こんなはずじゃなかったんだけど。

[柊くんへクリームパン代を返すためのお財布は
 やや小回りが効きにくくなってしまった。

 わたしはできるだけカッターを傷つけないように
 しながら、上靴の厚みを信じて前へ進む。]

(63) 2021/06/10(Thu) 04時頃

【人】 夜笑国 メイ

[自慢じゃないけど、わたし、球技の経験がほとんどない。
 突き指なんてしない方がいいもんね。

 だからわたしのコントロールが壊滅的なのは、
 わたしの経験値によるものだから。
 練習すればきっと上手くなるから。
 あるいはこの場所は、身体が竦む気がするせいだから。

 他より外に近い屋台へ放り投げたつもりの10円玉は、
 なぜか渡り廊下の柱に跳ね返って床を転がる。

 カッターの縁に当たって、当たって、
 替え刃で軌道が変わって、]

  あれ……?

[こんな小さな銀色の破片>>2、さっきまであったっけ?]

(64) 2021/06/10(Thu) 04時頃

【人】 夜笑国 メイ


[三度目のチャイムが鳴る>>#1。]
 

(65) 2021/06/10(Thu) 04時頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしはしゃがみこんで、慎重に10円玉を摘み上げた。
 指先に怪我はない。]

  ……。

[すぐに立ち上がる気にはならなかった。
 わたしの耳には、チャイムの余韻が残っている。]**

(66) 2021/06/10(Thu) 04時頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/10(Thu) 04時頃


夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/10(Thu) 04時半頃


メモを貼った。


【人】 夜笑国 メイ

— 夜:3-9教室 —

[例えばわたしのことを噂する女の子がいたとして、
 その言い方に少し棘があったとして、
 その原因を作ったのはきっとわたし>>0:525だ。
 だから、その子は何も悪くないんだよ。



          ……どこの誰だか知らないけど。]

(125) 2021/06/10(Thu) 14時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[今を過去に変えたわたしの言葉に鳩羽くんは黙って、
 わたしも鳩羽くん>>68が手を握ったことで
 爪をつつけなかった。
 ぐーになった手はそのまま鳩羽くんの頬にくっつくから、
 わたしは近づいた鳩羽くんの顔より
 影に隠れて見えなくなった鳩羽くんの指先を見てる。

 「人形」の血。鳩羽くんはそう言う。
 わたしは九重さんの死体は見たけれど、
 首がぱっくり空いた「人形」は言葉でしか知らない。

 だからわたしの中では最初から
 その二つがイコールで繋がっていた。]

  ……。

[見えない指を追いながら、鳩羽くんは違うのかなと思う。
 だってさっきまであちこち探し回ってたみたいだもんね。
 声は、ひとみちゃんと歩いた3階まで届いていた。]

(126) 2021/06/10(Thu) 14時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……あとで洗っておいでよ。

[鳩羽くんのぐーは、わたし>>5と似た匂いがしたから
 わたしは鳩羽くんのおしまいに乗った。

 雪夜の闇は深くて、
 鳩羽くんの顔の影に隠れた指先はもう見えそうにない。
 わたしは「九重さん」の血を確かめるのを諦めて、
 鳩羽くんの顔を見る。

 ……近いな。別にいいけど。
 わたしはようやく気づいて肩を跳ねさせた後、
 特に気にした様子もなく距離に馴染んでいった。]*

(127) 2021/06/10(Thu) 14時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[それから話題が流れて、寂しさのお話。
 最初の疑問は鳩羽くん>>69の語る続きに否定される。

 空模様みたいだなって思った。
 晴れ間もあれば、雲が多い日もある。
 本当の空みたいに風で吹き飛んでくれればいいけれど、
 むしろ空に浮かぶ方であれば良かったんだけど、
 そこにあるのは空じゃなくて鳩羽くんの心だ。

 下に潜った気がしたんだよ>>0:556
 きっと、鳩羽くんの寂しさは心に根づいている。

 ……のかな。全部、わたしの想像。
 人間らしいなって思う。ムラがあって、波があって。
 どうでもいいこと、少なそう。わたしは目を細めた。

 わたしも、そうありたかったなぁ。
 楽しいことばかりじゃないことを知ってても、
 やっぱりいいなぁって思う。
 どこかで口にした羨望>>0:628に似た響きを抱えた。]

(128) 2021/06/10(Thu) 14時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[分かってる。
 結局わたしは、わたし以外にはなれない。
 わたしはわたしを手放せない。

 こんなに我が強いのに、死んだつもりだったんだって。
 ちょっと、笑えちゃうね。]

(129) 2021/06/10(Thu) 14時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[だからわたし、そんな鳩羽くんが他人のために
 怒ったり悲しんだりするとこ、すきだよ。
 心が濃いところ。うん、すきだと思う。

 そう思ってわたしが口にした軽い音に、
 鳩羽くん>>70からツッコミが返ってきた。
 ちょうどいいと思ったんだけどなあ。わたしのすき。

 心に穴が空いていて、スペース自体が多くない。
 だからどうでもいいことも多いけど、
 わたしにだって大切にしたいものはある。

 たとえば、わたしのお父さんとお母さんとか、
 たとえば、わたしの少ないお友達とか、
 これは最近……というか今日、新しく増えたんだけど。
 たとえば、目の前の人間くさい男の子の心とか。

 怪我したところに瘡蓋ができるみたいに、
 わたしはの真ん中に大きな穴が空いた心には
 少しずつ一番じゃないものが増えていく。]

(130) 2021/06/10(Thu) 14時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  えぇ……じゃあ、別に……すきじゃない……。

[しぶしぶ。それはもうしぶしぶ。
 お礼を言える男だった鳩羽くん>>72からの忠告に
 わたしは納得していない感マシマシで返事をした。

 だっていいとか悪いとか、そういうのどっちでもいい。
 わたしの基準はわたしが興味があるかないかでしかない。
 優しくしたければ優しくするし、
 そのために嘘が必要なら別にいいと思う。
 わたしのものさしは正しさじゃないから。]

(131) 2021/06/10(Thu) 14時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  え……鳩羽くんが鳩羽くんであることじゃないの?

[少しだけ話を遡るんだけど、
 鳩羽くんの呟き>>71にはそんな風に答えた。
 当然、みたいに。それ以外にある?

 わたしはわたし。鳩羽くんは鳩羽くん。
 わたしたちの心に必要なものに役割があっても、
 別に自ら役割を担う必要はないんじゃないかって。
 存在自体が、意味なんじゃないかって。

 わたし、こういうところがダメなんだよね。
 分かったつもりにはなれても寄り添えない。
 共感もできない。それは音楽の役割だったから。

 だから鳩羽くん>>73が頭を撫でてくれた時、
 わたしの言葉でも意味を持てたのかなって思った。
 わたしの頭を撫でるのはお母さん>>0:1060で、
 頭を撫でてくれるのは褒めてくれる時だったから。

(132) 2021/06/10(Thu) 14時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは頭に乗った手を払うこともなく
 懐かしむように目を閉じて、
 さっきの役割の話だけど……って告げる。]

  ……少なくとも、今は何かになれてたよ。
  ありがと。

[元気出ないのに、鳩羽くん>>73はまた笑ってる。
 だからわたしが代わりに笑ってあげよう。
 これは鳩羽くんがわたしに今くれたものだ。

 へらっへらで、ぺらっぺらで、中身が薄くても、
 無理やりな人より上手に笑える気がするから。
 この瞬間、瞳の諦念は形を潜めていた。]

(133) 2021/06/10(Thu) 14時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[だから精神世界のことを教えてもらって、
 鳩羽くん>>74が空元気みたいな声を出しても
 わたしは意地悪なこと>>48、言わなかった。

 泣きそうな顔に見えたから、
 「そうだねぇ」って優しい音だけを返す。
 困ったねぇ。わたしにはどうしたら鳩羽くんが
 笑えるのか、分かんないや。

 だからわたしはまた笑った。
 へらりと笑った。]*

(134) 2021/06/10(Thu) 14時半頃

【人】 夜笑国 メイ

— 夜:3-9教室 —

[乃絵ちゃん>>100が選んだのは購買だった。
 だからわたしたちは一緒に夜の廊下を歩く。
 わたしはすらりと背の高い乃絵ちゃんの顔を見上げた。]

  実はわたしも詳しくはないんだけどねぇ。
  乃絵ちゃん、お菓子あんまり食べないの?

[お昼はいつもお弁当の乃絵ちゃん。
 購買に行くのはいつもわたしだけだった。
 でも帰りとか生徒会の仕事で残っている時とか、
 ちょっと摘んだりしないのかな。
 わたしはわたしが絶対知らない、
 放課後の乃絵ちゃんについて尋ねる。]

  ……。

[乃絵ちゃんからはどんな返事があっただろう。
 わたしはその間、乃絵ちゃんのことを見ている。]

(148) 2021/06/10(Thu) 16時頃

【人】 夜笑国 メイ

[少なくとも食欲はあるみたい>>95
 わたしは乃絵ちゃんの思惑には気づかないまま、
 頭に引っかかった可能性>>11を振り払おうとする。

 ため息が聞こえる。それだけじゃない。
 そもそもこれが聞こえてるのはわたしだけかも。
 校舎の情報は共有しても、カッターは見ても、
 わたしは誰とも聞こえる音をしていなかった。]

  雪、やまないね。

[それに、カッターと乃絵ちゃんは何も関係ない>>56
 わたしは不意に窓の外を見た。

 左手首を握る乃絵ちゃん>>97を、忘れようとした。]

(149) 2021/06/10(Thu) 16時頃

【人】 夜笑国 メイ


[焼けたくないって言った乃絵ちゃん>>0:850を、
 わたしはどれだけ信じていたんだろう。]
 

(150) 2021/06/10(Thu) 16時頃

【人】 夜笑国 メイ

[頑なに貫く長袖、左手首を掴む癖。
 ずっと一緒にいなくとも、名前を呼び合う頃には
 さすがのわたしでもそれくらいは気づけたと思う。

 でもわたしは死人のフリをしてた悪者で、
 乃絵ちゃんは名前を呼ぶから友達だけど、
 わたしの行動の選択肢は乃絵ちゃんが喜ぶかだった。

 もし”そう”だったとして、悪いことなのかな。
 辛いことではあるのかな。
 でもわたしに何ができるんだろう。できたんだろう。

 そう思ったら、何も言わないことが一番に思えた。
 一番、乃絵ちゃんにとっていいこと。

 乃絵ちゃんが望む時に話を聞いて、
 時々お母さんの真似をして頭を撫でて。
 
 わたしは友達として、
 乃絵ちゃんにいっぱい優しくしたつもりだ。]

(151) 2021/06/10(Thu) 16時頃

【人】 夜笑国 メイ

[こんなことを考える時点で疑問は生まれてるんだけど、
 じゃあ今更なんて言えばいいんだろう。
 わたしは窓から乃絵ちゃんの方に視線を戻した。

 「乃絵ちゃんがここを作ったの?」
  ——乃絵ちゃんはきっとピンと来ない。

 一緒に鳩羽くんの話を聞いたなら>>96
 乃絵ちゃんの表情は見られたかな。
 その時の乃絵ちゃん、動揺したりしてなかった気がする。
 ちょっと表情が暗かった気がするけれど。
 思い出さないよ>>97。気のせいだよ。だって、

 「乃絵ちゃん、死んじゃったの?」
  ——なんて、それこそ聞けない。]

(152) 2021/06/10(Thu) 16時頃

【人】 夜笑国 メイ

[炭蔵くんと仮定の話をした時、
 わたし>>1:529は悔しいのかなって思ってた。

 でも今、その手前みたいな場所で、
 わたしは怖くて立ち止まっている気がする。

 もし、予想が本当だったら。
 もし、乃絵ちゃんが本当に、]

  ……。

[九重さんの濃密な死が、わたしを臆病にしたんだ。
 そう、思い込むことにした。]

(153) 2021/06/10(Thu) 16時頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは言わない。乃絵ちゃんに言わない。
 何の確証もない以上、言っていいことじゃない。
 わたしは慣れない善悪で口を塞ぐ。

 乃絵ちゃんだけじゃなくて……そうだよ。
 こんなこと、誰にも言っちゃいけない。]*

(154) 2021/06/10(Thu) 16時頃

【人】 夜笑国 メイ

— 購買 —

[レジの上にはいくつかの小銭の纏まりがあって、
 昼間に柊くんと来た時とあまり変わらないように見えた。
 わたしは乃絵ちゃんをお菓子コーナーに案内する。]

  ひとみちゃんと綿見さんにお裾分けするとしても、
  1人1つくらいかなぁ。
  夜だし……無闇に食べすぎないようにはしないとね。

[乃絵ちゃんと綿見さんの間に壁があることは、
 わたし>>0:361、気づいてないことになっている。
 多いなぁ、こういうこと。
 ここに来て強く実感するようになった。

 ちょっと薄暗い棚の中を物色してふと目についた袋を
 わたしは手に取った。乃絵ちゃんに声をかける。]

(155) 2021/06/10(Thu) 16時頃

【人】 夜笑国 メイ


  こういうのは?

[丸いフォルム。記事はプレーンとチョコの二種類。
 砂糖がたっぷりまぶされて、一口サイズの個包装。
 真ん中にはぽっかり穴が空いている。

 さっき鳩羽くんと話した時に似たような形>>130
 想像したせいだろうか。
 わたしの手はとびきり甘いミニドーナツを選んだ。]

(156) 2021/06/10(Thu) 16時頃

【人】 夜笑国 メイ


  昔、ドーナツの穴覗いてみたことなかった?
  何が見えるんだろうって。
  見えるもの、同じなんだけどね。

[もし理由を聞かれたらって焦ったのかも。
 わたしは乃絵ちゃんの反応を待つ前に話を付け加える。

 わたしは袋を右目の辺りに持ち上げた。
 今は穴なんてないから、何も見えないんだけど。

 どう? ってお菓子のチョイスを尋ねたつもりで、
 わたしは乃絵ちゃんに尋ねた。]*

(157) 2021/06/10(Thu) 16時頃

【人】 夜笑国 メイ

— チャイムが鳴った後:渡り廊下 —
 ・・
[昨日、九重さんのことがあったばかりなのに、
 わたしは長々と1人で出歩いている。

 最初はスマホを取りに行くだけのつもりだったから。
 予定外のことではあるけれど、
 わたしはそれくらいじゃ乱れない。

 けれど、聞き慣れたチャイムの音には動きを止めた。
 一度目は文化祭の中に迷い込んだ。
 二度目は悲鳴の後、九重さんの人形が見つかった。

 じゃあ、三番目は?
 法則が見えずとも、
 何かあるかもしれないって思うには十分でしょう。
 濃密な死を、覚えている。

 わたしはしゃがんだまま、
 鼓膜からチャイムの音が消えるのを待った。]

(162) 2021/06/10(Thu) 16時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[名前を呼ばれたのはまだしゃがみこんでいた頃。
 視線を上げると昨夜ひとりで出ていった人>>75
 向井くん>>78の姿があった。
 向井くんが近づく度、わたしの首が上を向く。]

  落とし物、しちゃって。

[事情を簡単に説明しながら、
 わたしは不審に思われないようできるだけ自然な動作で
 10円玉を右の手のひらに収めようとした。

 きっとこれを握りしめたところで冷たいだけ。
 ひとみちゃんが渡してくれたお守りみたいに
 安心できはしないんだろうけど。
 薄青色のぼたんは、右ポケットで眠っている。]

(164) 2021/06/10(Thu) 16時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……今日、も、それなんだね。

[足元の変化は平坦じゃない。
 話題の逸らし先に迷って、
 いつもより少し間を開けて話しかけた。
 わたしは見覚えのあるラインナップ>>1:278>>15を見る。

 わたしはしゃがんだまま。
 別に腕を貸して欲しいって訳じゃない。

 ひとりでヘーキ、でしょ。
 昨日は心配もあったけど、今はそっちの方がおすすめ。

 わたしは向井くんをうんと見上げてへらへら笑った。]*

(169) 2021/06/10(Thu) 16時半頃

【人】 夜笑国 メイ

— 夜:3-9教室 —

  待たない。

  あは、……いやぁ、待つけど。
  いーよ、分かったよ。
  じゃ、すきじゃなくなくとくね。

[反射的に返しちゃって、あぁ、何か懐かしいなって。
 わたしたちの会話、きっとこんな感じだった。

 楽しいこと、いっぱいあって。
 お喋りじゃないわたしが、少し賑やかになる>>0:1058
 月が輝けるのはお日様がいるからだ。

 つい最近の話なのにね。
 わたしは今朝の誤解を解けた時よりずっとすっきりした
 気持ちで、混乱する鳩羽くんを見守っていた。]

(174) 2021/06/10(Thu) 17時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[役割とは。寂しい時。どうしようもないこと。
 わたしたちが抱えているもの。

 わたしたちは机ひとつを挟んでいろんな話をした。
 わたしと鳩羽くんの意見が噛み合うことは多くなくて、
 考えも性格も育った環境も違うことが分かる。

 欠けたわたしと多すぎた鳩羽くん>>90
 お日様とお月様。
 そういうことを知らなくても、
 わたしたちはひとつだけ、同じものを渡せた。

  ——わたしたちは、
    お互いの何かになれてる。>>166>>167

 それならいっかって、割と無関心ゆえに楽観的な
 わたしは思えちゃうんだけど、鳩羽くんはどうかな。]

(175) 2021/06/10(Thu) 17時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[九重さんの無事を願う気持ちに頷いて、
 ありがとうにはちょっとびっくりしちゃうかも。
 でも頭を撫でてくれた時みたいな気分になって、
 わたしは手の届く距離にある、
 頬杖をついた鳩羽くんの腕をぽんぽんと叩こうとした。

 最後にうまく笑えない鳩羽くんがくれた
 「大丈夫」>>168にはちゃんと笑顔を返せたと思う。]

  さて、わたしたちは購買行くね。

[そろそろいい時間。
 時計を見れば教室に戻って随分経っていた。

 踵を下ろすと内緒話にはちょっと足りないくらいの
 近さが離れて、頭が一瞬潜る。それから浮上。
 153cmに成長しました。背伸びし続けた足を揺らす。]

(176) 2021/06/10(Thu) 17時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  それじゃ、おやすみ。
  ……また明日ね。

[何を言おうかなって思ったけど、
 わたしが渡したのは根拠のない明日だった。
 わたしは3本指の先が白い右手を振る。

 相手の望む方向の言葉ってだけじゃなくて、
 そこには確かに、わたしの願いが含まれていた。

 一度だけ振り返って鳩羽くんの席の横、窓の外を見る。
 窓の外には月も太陽も見えないけど、
 何だかさっきより明るくなったように感じた。]*

(177) 2021/06/10(Thu) 17時半頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/10(Thu) 17時半頃


【人】 夜笑国 メイ

— 現在:渡り廊下 —

[わたしの首には切れ込みがないから、
 男子の中でも大きい向井くん>>188の顔を見るためには
 視線も駆使する必要があった。

 そこまで無理して上向くの、たしかに不自然かも。
 わたしの手にはマジックの途中みたいに10円玉が
 握られているけど、わたしはマジシャンじゃないから
 手の中ものを消し去ることなんてできない。
 タネも仕掛けもございません。本当にね。]

  うん、そうだねぇ。

[今日もあって良かった。明日もあるかな。
 わたしたちはいつまで、ここにいるんだろう。
 そんなことを考えてたら、会話途切れちゃった。

 向井くん>>190も違和感を持ったみたいで、
 一向に立つ気配を見せないわたしに意識が向いてる。]

(225) 2021/06/10(Thu) 20時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  大丈夫。ほら、ちゃんと見つかってる。

[わたしは緩く握った右の拳を向井くんへ見えるように
 振った。準備期間と変わらず、わたしの爪は短い。
 どこにも傷のないわたしの手はいくら揺らしたところで
 中身の音を聞かせることはできなかった。]

  まぁ、チャイムの音……を、

[聞いてたから。って言おうとした言葉は、
 向井くん>>190の視線に止まる。
 唖然>>191って顔に書いているんじゃないかな。
 それくらい、向井くんの反応は素直で、正直で、
 迷子を見ているみたいな気分になった。
 子どもみたいな目>>192が、こちらを見下ろしている。
 わたしは見つめ返して、笑うみたいに目を細めた。]

(226) 2021/06/10(Thu) 20時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  向井くん。

[わたしは両拳を膝に押しつけ立ち上がった。
 それでも向井くんの目線とはまだ差があって、
 残念ながらそれだけで壁になることはできない。

 両手に握りしめたものをそれぞれポケットに入れる。
 お財布は元の場所に。入れる暇のなかった10円玉は、
 ひとみちゃんのお守りと暫く同居してもらう。
 ポケットの中、少しだけ重くなった。]

  むかいくん。

[わたしはもう一度名前を呼んだ。
 向井くんの目が開いているなら、
 わたしはそこにわたしの手のひらを翳そうとする。]

(227) 2021/06/10(Thu) 20時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  ごめん、屋台見に来たわたしが悪かったね。
  帰ろう。ここは、危ないよ。

[なんでには答えられないけれど、
 これでどうしての答えにはなったかな。
 わたしから落とした硬貨を目的と繋げることはしない。

 向井くんは見なくていいよ。その方がラクでしょ。
 あの日も今も変わらずに、
 わたしは向井くんを真実から遠ざけようとした。]*

(228) 2021/06/10(Thu) 20時半頃

[夜のお菓子パーティー。

ああ、楽しかったな。
鞄にポッキーを忍ばせていたので、それを取りに行って加わった。
眠くなるのはすぐだったけど、それまでお菓子を摘みながらのトークに参加したっけ。

お泊まり会とか、憧れるじゃん。
閉じ込められてなんかそれどころじゃなかったけど、
あの時間はそれに近かったんだなって、思えばそうだね。]



[もう一度やろうよ。ね。
両親は外でお泊まりとか許可してくれないだろうから、
じゃあ、うちを使わせてもらえるように説得するから……。]
 


— 自室 —

[目覚めて体を起こす。
お腹のあたりを撫でるけど、特に何の怪我も無い。
やけに生々しい夢だった。

部屋の明かりが眩しい。
眠る時はいつも常夜灯の薄明かりを点けるので、
今は、そう、勉強の途中で一休憩してたんだっけ。
寝落ちってやつだ。]

 ……ふう……。

[夢の中でいろんな話をしたし、
思い出してしまったこともある。
なんだろう、あれはやっぱり現実だったのか。]



[こんな時、いつも現れるはずのぼたんの姿が、
なんだかやけに遅い気がする。]
 


[……スマホを開くと通知が届いていた。
クラスのグループチャットではなく、
個別送信という形で、利美ちゃんからメッセージが届いている。

『精神世界から帰れた皆へ』

……そして、続けて書かれたのは。]

 乃絵ちゃんが病院に?

[精神世界というワードと、あの閉ざされた校舎のことが書かれており、
乃絵ちゃんがカッターナイフで自殺を試みて病院に運ばれたこと。
それが記されていた。

さっきまでのことは全部、夢なんかじゃない。]


[乃絵ちゃんの容態は良くはなく、助かるかどうかは半々とのこと。
利美ちゃんは一足先に病院に向かい、
離れゆく魂を掬い上げるための祈りの儀式を行うんだとか。
……それは何のことかよくわからなかったけど。

それなら私も勉強してる場合じゃない。
夜も更けた時間、外は当然真っ暗だ。
両親はまだ起きてるかな。

リビングを覗くと明かりが付いている。
良かった。そこにいる父親に、懇願するように声をかける。]



 友達が危篤だから、病院に行かなきゃ。
 お願い。
 お願い、今日だけは……。

[驚いた様子の父親は、少し考えて、
わかった、と言い、奥にいた母親を呼ぶ。

夜に一人で外出するのは認めない。
だから母親が車で送って行くし、終わるまで車の中で待機してる。
それを条件に許してくれると言う。]



 うん……わかった。ありがとう!
 明日も早いのにごめんね。

[仕方ないわ、と母親が笑う。
父親は明日も仕事だから、車を出せるのは母親しかいない。

両親の取り決めた門限は絶対だけど、
でもやっぱり、この人たちは私を愛してくれている。
どんなに恵まれていることだろう。

母親が車のキーを取りに行く。
今日はその速度を追い越したりはしない。
部屋着から外出用の服に着替え、急ぎ身支度をする。**]


【人】 夜笑国 メイ

— 昨日の夜:購買まで —

[わたしと乃絵ちゃんの会話はいつも>>0:849みたいに
 ぽつぽつと。もし雪が地面に落ちる音があるのなら、
 聞こえたんじゃないかってくらい。

 さすがにお菓子は禁止されてた訳じゃないんだけど、
 混雑するお昼はご飯だけ買っちゃうことが多いし、
 放課後は友達とお喋りもせずに帰るから、
 そもそも手に取る機会がない。
 お母さんが買ってきてくれるの食べるくらいかな。

 でも、甘いのはいい。
 とびきり甘いの、すきだよ>>0:595
 わたしは乃絵ちゃん>>205の話に相槌を打ちながら、
 薄っぺらいすきとエピソードを返した。]

(246) 2021/06/10(Thu) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは放課後の乃絵ちゃん>>206を知らない。
 わたしは乃絵ちゃんが与えてくれた乃絵ちゃんしか、
 知らない。

 それで良かったはずなのに、
 落ち着かない気持ちになるのはなんでだろう。

 わたしは窓から視線を外し、乃絵ちゃん>>208を見た。]

  ……ううん、なんでもない。

[ここに来てから誤魔化すの、どんどん下手になる。
 平気だったため息が、わたしにもしもを突きつける。
 首を傾げる乃絵ちゃんにそれしか言えなかった。]

(247) 2021/06/10(Thu) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ


[わたしがわたしをここの世界の主人だと思わないのは、
 わたしがわたしだから>>2:171だ。

 わたしよりふさわしい人を、知っているからだ。]
 

(248) 2021/06/10(Thu) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  早く行こ。
  食べたことないの、探さなきゃ。

[でも、当の本人は至って普通で、
 至って普通にわたしたちの中にいて、
 わたしの想像が間違いなんじゃないかって思っちゃう。

 その方がいい。その方がいいから、
 わたしはラクな方に流れようとする。
 わたしのラクな方へ流れようとする。

 名前を呼び合うから友達なんて考えるくせに、
 わたしの中にはとっくに、
 乃絵ちゃんに対する意思が芽生えていた。

 歩みを進めると、上靴が触れて音を立てた。
 ——雪が降り続けている。]*

(251) 2021/06/10(Thu) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ

— 昨日の夜:購買 —

[食べたことないのって話してたのに、
 結局わたしが選んだのは穴の空いたドーナツだった。
 店を物色している乃絵ちゃん>>211に袋を見せると、
 どうやら初めての様子。]

  すっごい甘いから、お茶があってもいいかも。
  ほうじ茶も買う?

[わたしのお母さんも身体のことを考えて
 食事を作ってくれてたけど、乃絵ちゃんの家ほど
 厳しくはなかった。
 だからたまに買ってきてくれるお菓子は市販のもので、
 わたしはやっぱり甘いお菓子を好んでいたみたい。
 そう大きくなってから聞いたことがある。]

(254) 2021/06/10(Thu) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  わたしも怒られたー。
  でもついやりたくなって、こっそりやってたな。

[わたしのお母さんはピアノのことは鬼みたいに怖いけど、
 普段は優しいお母さんだったから。
 外ではダメだけど、家では多少見逃してもらってた。
 だからわたしの怒られたと乃絵ちゃんの怒られたは違う。

 乃絵ちゃんの呟き>>212が聞こえた。
 わたしは目の前に翳したドーナツの袋をどかして、
 乃絵ちゃんを見上げる。]

(255) 2021/06/10(Thu) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは両腕に力を込めて袋を開けた。
 まだ支払いはしてない。でも今必要だから。]

  はい。

[わたしは個包装のドーナツをひとつ摘んで
 乃絵ちゃんに差し出した。
 真面目な乃絵ちゃんは受け取ってくれないかな。
 もしその時は開けた袋を抱えたまま、
 レジに小銭を置いてくるつもり。]

  はい。

[リベンジ。
 どちらかのタイミングで渡せたらいいな。

 わたしも袋からミニドーナツをひとつ摘み上げる。
 一口で入っちゃうくらい小さな輪っか。
 透明なビニールがちょっと邪魔だけど、
 わたしはそのままドーナツの穴を覗き込んだ。]

(258) 2021/06/10(Thu) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  乃絵ちゃんがいる。

[わたしは正面にいる乃絵ちゃんの顔をじっと見つめた。
 ちゃんと、ここにいる。わたしにはそう見える。]

  乃絵ちゃんは?

[わたしはそう言って、乃絵ちゃんに促してみよう。
 乃絵ちゃんはどうするだろう。わたしは黙って見守る。]

  見えてるもの、同じだねぇ。

[炭蔵くんと視界を共有した時>>1:150と同じ話をした。
 でもきっとそういうことじゃないんだろうってことも
 ちょっとだけ、分かってきた。

 さっき別れた鳩羽くん>>222の顔が浮かぶ。
 違うとこ、いろいろあったもんね。
 鳩羽くんの真似をするように二度、深呼吸。]

(259) 2021/06/10(Thu) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……もし、見えるものが違うなら、いつか教えてね。
  わたしが知らなくて、乃絵ちゃんが知ってること。

[聞くよ>>0:1167より近い、教えてね。
 わたしはあの時みたいに頭に触れようとした。
 今回はミニドーナツ付きなので少しがさがさするかも。]

  ね。

[わたしからはそれだけ。話は終わりって伝えるように、
 乃絵ちゃんが選んだチョコレート>>214を覗き込む。]

(260) 2021/06/10(Thu) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  冬季限定味だー。
  冬季限定が終わったらどうなると思う?
  春季限定が出るんだよ。

[なんて話をしながら、乃絵ちゃんが選び終えて
 支払いをするまで待って、お菓子たちと一緒に
 保健室へ向かおうか。

 ひとみちゃんと綿見さんにもお裾分けできたらとは
 思うんだけど、わたしはなんでもいいよ。
 みんなの一番ラクな結果でいい。]*

(261) 2021/06/10(Thu) 21時半頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/10(Thu) 22時頃


【人】 夜笑国 メイ

— 現在:渡り廊下 —

[向井くん>>230の疑問はわたしの後ろの変化に吸われて、
 わたしの両手にあった秘密はポケットに逃げおおせた。
 空いた手で向井くん>>232の視界を遮ろうとする。

 向井くん>>234は昨日の朝、
 教室を飛び出した時みたいに動揺している様子はない。
 腕の中のご飯を大事に抱えたままだ。]

  いいの。なんにも買わないから。

[向井くん>>236が歩き出せば、わたしの手は邪魔になる。
 腕を下ろして、冷気から守るように両手を擦り合わせた。

 渡り廊下は大した距離じゃないけれど、
 同じ景色が続くとなんだかずっと同じところを
 歩いているような気分だった。
 目が回りそうになったわたしの口は、
 また向井くんの疑問を増やすような返事をする。]

(272) 2021/06/10(Thu) 22時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[そのまま離れるはずだった場所。
 向井くんが立ち止まって振り返るから、
 わたしは半歩遅れて向井くんの方を向いた。]

  ……?

[向井くん>>239が何を言っているのか
 一瞬分からなくて、わたしは首を傾げた。

 精神世界の話は、昨晩鳩羽くんに教えてもらったよ。
 頭の中って言われても驚かない。]

  それは……そうかもしれない。

[カッターナイフがわたしたちに飛んでくる訳でもない。
 九重さんの人形のことを除けば、
 ため息をそう捉えなければ、
 わたしたちに敵意が向いていることはなかった。
 まず、わたしは向井くんの疑問に答える。]

(273) 2021/06/10(Thu) 22時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  でも向井くんには危ないでしょ。
  ここ、想定外がいっぱいだもん。

[それからわたしの意見を述べた。
 わたしは向井くんのルールなんて知らないけど、
 向井くんがそういう人だとは思っているよ。

 わたしの顔は笑ってない。
 でも馬鹿にしたり困ってもいなかった。
 ただ当たり前みたいに、わたしは向井くんを定める。]*

(274) 2021/06/10(Thu) 22時半頃

【人】 夜笑国 メイ

— 昨日の夜:購買でワルイコト —

[二本指で摘めちゃうドーナツの穴は小さく歪で、
 透明な膜を挟んだ乃絵ちゃんの表情はよく見えない。
 たぶんちょっと動揺してる>>281
 わたしは角度を変えたり反対の目を閉じたりしながら、
 乃絵ちゃん>>282がわたしの言葉を咀嚼するのを待った。

 乃絵ちゃんが驚いた顔をした時>>279
 わたしはだよねぇって思った。納得した。
 乃絵ちゃんは、やっちゃダメって言われたらやらない。
 いつも真面目で、しっかりしてて、冷静で。

 でも、別に強い訳じゃない。

 乃絵ちゃん>>283がドーナツを目元に当てる。
 わたしはわたしがよく見えるように、
 乃絵ちゃんへ一歩近づいた。
 わたしの名前を呼ばれて、わたしはうんって頷く。
 同じだねぇ。]

(304) 2021/06/10(Thu) 23時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしたちはいつも一定の距離を保っていたから>>278
 わたしは乃絵ちゃんの不安を雨粒分しか分からないし、
 乃絵ちゃんもわたしに何が欠けているのか知らない。

 でも今、ドーナツの穴から見えるように進んだ分、
 わたしは言葉を近づけた。
 いつか、なんて、曖昧な言葉だけど。
 乃絵ちゃん>>286頷いてくれたからいいかなって思う。]

  買う前に開けてごめんなさい。

[わたしは空っぽのレジに謝っておいた。
 わたしはドーナツの穴を覗くようなワルモノだけど、
 家の外でこんなことするような躾は受けてません。
 フツーだよ、わたし。よく人と噛み合わないけど。]

(305) 2021/06/10(Thu) 23時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[乃絵ちゃんが選んだ冬季限定のチョコとほうじ茶>>279
 綿見さんとひとみちゃんの分のお茶、
 それからとびきり甘いミニドーナツ(開封済み)。
 他よりちょっと大きな小銭の山を作ると、
 わたしたちは保健室へ戻っていく。

 お菓子パーティーが実現できたかどうか、
 お茶が誰の手に渡ったかは、女の子だけの秘密だ。]

(306) 2021/06/10(Thu) 23時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[いい夜だった。
 ここがどこか、なんでここにいるのか、
 一瞬だけでも忘れちゃうくらいに。

 いい日だったと思ってる。
 怖いことはあったけど、
 わたしの大切なものは何も失われていない。

 自ら手放した、たったひとつの愛を除いて。]*

(307) 2021/06/10(Thu) 23時半頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/10(Thu) 23時半頃


【人】 夜笑国 メイ

— 現在:渡り廊下 —

[向井くん>>291に「変なの」って言われたから、
 わたしは「フツーだよ」って返した。
 フツーだよ。知られたくないこと隠すために
 誤魔化してるだけだもん。みんなもやるでしょ。

 わたしたちは短い道を歩いて、
 また建物の中に入るはずだった。

 向井くん>>292が振り返って、わたしが半歩進む。
 再開されるはずだった歩みを止めたのは、たぶん
 わたしだ。向井くん>>293が固まって、笑う。
 わたしはやっぱり笑わなかった。]

(324) 2021/06/11(Fri) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  最初に言ったのは向井くんだよ。
  決まってることやるの、ラクなんでしょ。

[わたしの向井くんに対する印象は、
 ほとんどがあの日>>0:478に作られたものだ。]

  ラクじゃなくてもいいの、すごいんでしょ。
  えらいんでしょ。

  ラクかどうか、
  向井くんには大切なことだって思ってたんだけど。

[向井くんはそう言ったこと>>0:798、覚えているかな。
 わたしも会話の詳細はもう覚えてないから
 説明はできないんだけど。
 わたしは思い出の断片を拾っては向井くんへ向けた。]

(325) 2021/06/11(Fri) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  炭蔵くん? ま、役割が違うからね。
  それにわたしも言われなきゃ気づかなかったと思う。
  わたしは人じゃなくて、向井くんを見てただけ。

  ……言わなきゃ、伝わらないんだよ。

[わたしはわたしへ言い聞かせるように零した。
 わたしも言葉を途切れさせれば、
 向井くん>>294との間に沈黙が漂う。
 そろそろ歩き出す頃合いみたいな空気が流れ出した頃、
 向井くん>>295が再び口を開いた。]

(326) 2021/06/11(Fri) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  それが、一番嫌なんじゃないの?

[思わず、どうしてが口をついて出ていた。
 向井くんは息がしづらいのだという。

 わたしがラクを求めずただひとつに打ち込んだように、
 向井くんにとっては、
 それが何より優先すべきことなんじゃないのかな。

 だからわたしは昨日の朝、失われる石橋を思ったし、
 今こうして向井くんと話してるし、10円玉を増やした。

 分かったつもりだった向井くんのことが分からなくて、
 わたしは笑うことなくまた首を傾げる。

 笑わないのは、心配しているからだよ。
 一番大切なことができないの、苦しいでしょう。
 叶えられるなら、叶えるべきだよ。
 わたしは理想を向井くんへ勝手に押しつけた。]

(327) 2021/06/11(Fri) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[向井くんが歩き出すならついていくし、
 そうでないなら立ち止まったまま。どっちでもいい。
 今、わたしの興味は向井くんに注がれている。]

  ……っ、

[すると今度はわたしの方に話題が向いて、
 面食らったみたいにわたしは息を詰めた。

 何が一番好きなのか。
 何にでもなれるなら何になりたいか。
 そういうこと言えなくなってもう1年が経つ。
 その間、わたしはほとんど息してない。
 だからわたしは死人だと思ってた。]

(328) 2021/06/11(Fri) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  もし、ここがずっと、このまま、なら。
  ……かな。

[ここが永遠なら、
 わたしが悪意のない優しさから永遠に遮断されるなら。

 そんなことはありえない。
 わたしはこの世界よりわたしを信じちゃう。
 いつか覚めるものって考えちゃう。

 このままじゃいけないって思っちゃう。
 わたしの頭の中で、世界と繋がりそうになる友達がいる。

 わたしは追い払うように頭を振った。]

(329) 2021/06/11(Fri) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  だから、ちょっと苦しい。

[昨晩は楽しかった。本当だよ。
 だからこそ言えないことが増えて苦しい。
 わたしは嫌いじゃないって言える向井くん>>295
 羨ましそうに見つめた。あの時みたいに。
 今度は「いいなぁ」とは言わなかったけど。]

(330) 2021/06/11(Fri) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ


[だから、かな。
 思い出がちょうど近いところに辿り着いたのかも。

 それとも、嘘の10円をばら撒く行為に
 神様を結びつけたせい?]
 

(331) 2021/06/11(Fri) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[向井くん>>297の声に、わたしは固まった。
 どういう意味だろう。
 何度考えても、文字通りにしか捉えられない。]

  ……違うって言ったら、信じてくれるの。

[わたしの声はひどく硬いものだったと思う。
 偉い大人たちの悪気のない優しさを身体が覚えている。
 短い爪を、手のひらに強く押しつけた。

 また、わたしじゃないことがわたしになるのかな。
 何を言っても信じてもらえないかも。

 自分は相手をこうだって決めつけるくせに、
 わたしがわたしじゃなくなることに耐えられない。
 傲慢だ。でもみんなそうなんじゃないの。

 向井くんへ向ける視線に、不安と敵意が混じる。]**

(332) 2021/06/11(Fri) 00時半頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/11(Fri) 01時頃


【人】 夜笑国 メイ

— 現在:渡り廊下 —

[わたしが口にして、向井くんが立ち止まって。
 だからわたしたちは廊下の端にも辿り着けない。

 九重さんの死体を見た時から
 わたしはもう以前のわたしのままじゃいられなくなった。

 今までならへらへら笑って誤魔化し続けて、
 向井くんのうやむや>>351もいつか消えるものとして
 廊下に置いてきぼりにしただろう。

 今回だって、そのつもりだった。]

(380) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ


[息ができないから、死んでいるんだと思ってた。
 でも結局、わたしを殺せるのはわたしだけだ。]
 

(381) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[向井くん>>352の眉尻が顔を覗かせると、
 渡り廊下の上から笑みがなくなった。

 肯定から始まった向井くんの話に、わたしは耳を傾ける。

 わたしの幼子染みたどうしてに、
 向井くん>>353>>355は丁寧に答えてくれた。
 子どもみたいと言った誰か>>0:998に見せてあげたい。]

(382) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[言わなきゃ分からないこと。知らなきゃ気づけないこと。
 わたしは向井くんのラクじゃないことに、ただ頷いた。

 やっぱりわたしにはちっとも共感できなかったけれど、
 教室を飛び出した背中を思い浮かべたし、
 文化祭の日、とある事件に固まった姿>>1:614を思った。

 言わなくてもいいよ>>356
 だってもう頭の中を巡ってる。
 それをわざわざ言ったりしないから、
 ちゃんと聞くから、その代わり。]

(383) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  こうやって向き合うの、新鮮だね。

[まっすぐ見つめる向井くんの目に慣れる時間を頂戴。

 そういえば、準備の時>>0:472も当日>>1:613
 わたしたちは隣にいることが多かったから、
 こうして真正面から顔を見る機会はあまりなかったね。

 思ったより吊り目なんだな、とか、
 本来は眉も同じくらい吊り上がっているのかな、とか。
 瞳の色も、たぶん初めて知った。

 ようやくわたしは向井くんを見た、気がする。
 わたしは傾げた首だけ戻し、向井くんの目を見つめた。]

(385) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[言葉を探すような向井くん>>358の声を聞きながら、
 わたしは目を閉じた。
 さっきの今で格好がつかないけれど、
 このまま目を見て話を聞き続けたら、
 どうしてか、泣いてしまいそうだったから。
 ごめんね。公平なジャッジ>>358はできそうにない。]

  ……そう、だね。
  それはわたしも、そう思う、かな。

[声が震えてしまいそうで、わたしは長く話せなかった。
 だからこそ向井くんの話を遮ることなく、
 次の補足>>359>>360を身に受ける。]

(387) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  あは、それは……確かにそう。

[わたしは閉じた目を開いて淡く笑ったけれど、
 別に馬鹿にしたり、ふざけたりするつもりはない。
 ただ、何にも分かってなかったなぁって、
 わたしがわたしに思っただけ。

 わたしが楽しそうって言って>>0:372
 向井くんがラクだって言った>>0:478
 わたしは勝手にそれをイコールで結んでいたけれど、
 向井くんにとって別々の、どちらも大切なものなんだ。

 「いいなぁ」って言ったわたしに、思っただけ。
 何にも分かってなかったなぁ。]

(388) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  最後だもんね。
  きっともう、同じ時間は訪れないから。

[高校三年生。わたしたちはもうすぐ卒業する。
 わたしは背景ってもの>>2:380は知らないけど、
 あの時>>0:481の言葉を繰り返した。

 楽しかったよ、本当に。それはわたしも同じ。
 そう口にしようとして、]

(389) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ


[せり上がってきた懺悔>>361>>362
 わたしの喉を貫いた。
 和らぎかけた表情が強張る。

 わたしは言葉を紡げない。]
 

(391) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[小休止のように沈黙があって、
 わたしは塞がれた喉に更に息を詰める。

 1ミリも信じていない仮定の話をした。
 それに向井くん>>357が言うように
 もうダメなくらい疲れたちゃったなら尚更、
 わたしはここに永遠を願えない。

 だからチャイムの音に思いを馳せ、校舎を見つめる。
 きっと今日もこの中で何かが起こった。
 視線を戻したわたしに降り注いだのは、
 いつかのわたし>>2:599に通ずる無力感。
 それから不安、それを隠すための敵意。

 誰に何を思われてもいいつもりだったけど、
 向井くんに信じてもらえないのは嫌だなって思った。]

(392) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ


[一番大切なものを失って、ぽっかり空いた穴。
 この1年間、わたしが死んだフリをしている間に
 気づいたら大切なものが増えていた。

 身体って、こんなに重かったっけ。]
 

(393) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[だから、向井くん>>365が笑わずに答えをくれた時、
 わたしは少し間抜けな顔をしていたと思う。
 強い感情が全部ぬけたみたいな。ぽかん、って顔。

 偉い大人たちとえらい向井くんは別人なんだけど、
 状況とかいろんなこと、違うんだけど。

 それでも、ほんの少し救われた気持ちになったんだよ。]

  ……じゃあ、信じて。
  ここはわたしの世界じゃない。

[わたしは向井くんにちゃんと言って、伝えようとする。
 言えないこと>>152は喉に詰まったままだったけど、]

  向井くんの世界でもない、と思う。

[喉を貫いたわたしの罪を引き抜く勇気は出た。]

(394) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは手のひらを上に向け、向井くんの方へ倒す。
 そのまま指を曲げたら、わたしの短い爪が顕になる。
 向井くんの爪によく似た、噛めない深爪。]

  ……ピアノ、弾いてたの。昔ね。
  だから長くすると落ち着かなくて。
  あと、ちょっと、未練があって。

[ひとつ>>0:704。一歩下がった。]

  だから、もし何にでもなれるとしたら、
  もっとピアノを弾いてたかったなぁ。

[ふたつ>>0:810。もう一歩下がった。]

(395) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[それから、右ポケットに手を入れる。
 最初に触ったのは小さな硬いもの。
 人差し指で引き寄せて、柔らかくぎゅって握った。

 引き抜いた拳に握られているものはさっきと違う。
 10円玉がいつもよりずっと重く感じられた。
 わたしは折り畳んでいた指をひとつひとつ解いて、
 今度はちゃんと向井くんの目に映るようにする。]

    ——10円、足りなかったの。
 

(396) 2021/06/11(Fri) 09時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  あの日、全部が終わって確認しようと思って。
  数えたら、10円だけどこにも見つからなかった。

  だから、わたしが、足したの。
  わたしのお財布から10円、誰にも言わずに。

[証拠晒したまま、わたしは屋台を振り返る。]

  ここが誰かの世界なら
  わたししか知らないことは含まれないと思って、
  全部に10円入れておこうと思ったの。

  何の意味もないんだけど、なんか欠けちゃう気がして。
  あの時ちゃんと揃ってたものが、ダメになる気がして。

  ……まぁ、ダメなのは元からだったけど。

[たらればがいくら浮かんでも、わたしは過去に戻れない。
 だからわたしができるのはこれくらい。]

(397) 2021/06/11(Fri) 10時頃

【人】 夜笑国 メイ


  向井くんは、何も悪くないよ。
  間違ってなかった。

  わたしだよ。わたしが、乱したの。

[みっつの秘密を打ち明けながら後ろへ足を運んだ。
 カッターが音を立てても、わたしは歩みを止めない。]

  えらいね……はわたしが言えることじゃないから、

[そう時間もかからずに踵が小階段へ当たる。
 願うなら、先に校舎前についたのはわたしだといい。]

(398) 2021/06/11(Fri) 10時頃

【人】 夜笑国 メイ


  かっこいいね、向井くん。

[もう、屋台を巡る必要はない。
 バレちゃったから。必要なかったから。
 最後の10円玉はわたしの手の中だ。]

  嘘ついてごめん。乱しちゃってごめん。
  気づかなくて、ゴメン。

  楽しいって胸を張ってて。いっぱいそうして。
  向井くんは、ちゃんとできてたよ。

[わたしはちゃんと笑えてた。
 何ひとつ嘘は言ってないもの。胸を張れる。]

(399) 2021/06/11(Fri) 10時頃

【人】 夜笑国 メイ

 
[いろんなものが崩れる前にわたしは階段に足をかけた。
 身体を反転させてると、校舎へ飲み込まれていく。]**
 

(400) 2021/06/11(Fri) 10時頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/11(Fri) 10時頃


【人】 夜笑国 メイ

— AM8:50過ぎ:渡り廊下 —

[ただ、へらへら笑って表面を撫でて、
 返事に詰まるような話を振らず、
 一定の距離を保つのがお互いのためだって、
 何よりわたしを守ることに繋がると、わたしは信じてた。

 机とかメニューボードとか、そういうものを何も挟まず、
 わたしは向井くんの知らない向井くんの顔を見る。]

  そう。ちっちゃいの、わたし。

[向井くん>>453がどんなことを思っているか、なんて
 分からないから、わたしが拳を握ることはない。
 もし言われたとしても、「なぁに、それ」と言って
 また目を細めちゃうだけだと思う。

 言われなくても伝わるものがあったとしても、ね。
 わたしは向井くんの感想に同意する。]

(581) 2021/06/11(Fri) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  向井くんは思った通り大きいよ。

[わたしが向井くんのこと、覚えているのはなんだろう。
 知った気になった部分>>0:997は別として、
 最初に思い浮かぶのはやっぱり向井くんの声だ。

 全容を覚えていないのにわたしが昔の話ができるのは、
 音ごと、どこかにしまっているからなのかもしれない。

 ボールを転がすような会話の穏やかな声、
 疑問が口から出ちゃった時のちょっと子どもっぽい声。
 文化祭の時の楽しそうな笑い声や、予算に関する悲鳴。

 顔はよく見ていなくとも、
 わたしの音には向井くんがちゃんといた。
 横からだとこっちを見るまで分からなかった表情が
 真正面だとよく見えるから、わたしは首と目でを使って
 向井くんの顔を見上げた。]

(582) 2021/06/11(Fri) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[だから何だという訳でもないんだけど。
 わたしはすぐに目を閉じてしまったから、
 向井くん>>455がどんな表情をしているのか、
 結局分からないままだった。]

  嫌いじゃない、し、
  ・・・・・・わたしはたぶんすき、なんだよ。

[両手でまぶたをぐりぐり。
 目を開けると潤んだ形跡はほとんどなくなった。

 きっとわたしと向井くんやみんなとでは、
 今見えているものが違うのかも。

 みんなが話すのはきっとここにいる誰かのことで、
 わたしが思うのはあの子が誰かでなければいいのに、だ。
 ドーナツの穴を覗いても同じ物しか見えないのにね。

 わたしは「嫌いじゃない」を教えてくれた向井くんに
 一欠片だけ、わたしの話を返した。]

(583) 2021/06/11(Fri) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  自分がやれることをやるしかないんじゃない。
  どうして欲しいかなんて、分かんないし。
  じゃあ、ものさしは自分の手元にあるんだよ。

[呟き>>456だって、わたしの耳は逃さない。
 どうすれば、にきっと正解なんてない。
 だったらわたしができるのは、
 わたしがわたしであることだけ。

 向井くんは?
 呟きである以上、話を広げることはないけれど。
 わたしはそう返すしかない。それしか持ってないから。

 わたしが淡く笑うと、
 向井くん>>457の眉が吊り気味の目に寄り添う。
 向井くんが嫌がってないことだけ、分かった。]

(584) 2021/06/11(Fri) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[それから沈黙を経て。
 罪が喉を貫いて、息を詰めた>>458後のわたしは、
 向井くんにみっつの秘密を渡す。

 自分が知っているからって唐突に始めた話も、
 向井くん>>460は黙って話を聞いていた。
 唐突なこと、理由のない信頼に驚いたかもしれないけど、
 あるいは固まって置いていったかな>>459

 どちらにせよ好都合だった。
 わたしは後ろ足で道をかき分ける。]

(585) 2021/06/11(Fri) 22時頃

【人】 夜笑国 メイ


[心臓がこれまでにない音を立てていた。]
 

(586) 2021/06/11(Fri) 22時頃

【人】 夜笑国 メイ

[10円の話をした。

 それを聞いて向井くん>>461の表情が安堵を滲ませても、
 わたしは下がる足を止めない。
 いつものゆったりしたペースの順番は破られて、
 わたしだけが言葉を連ねる。

 その間に踵が終着点に着いて、あとは向井くんも
 ご存知の通り。わたしは小階段に足をかけた。]

  ——っ!

[ちょっと似たようなこと、今朝あったよね>>0:106
 わたしの腕に向井くん>>462の手が触れて、
 助走をつけられなかったわたしの身体は簡単に傾ぐ。

 積もりたての雪は大丈夫だったけど、
 ここはさすがに危ないなぁ。]

(587) 2021/06/11(Fri) 22時頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは うわがきのそこ しんじてる。
 ちょっとだけ強く床についた右足は、じんとした痺れで
 わたしの動きを封じ込める。

 だからね、ちゃんと聞こえたよ>>463
 わたしはやっぱり大きい向井くんを見上げる。
 ぽんぽんって向井くんの手の甲を叩いたら、
 もう置いていかないこと、伝わるかな。
                  ・・
 袖から覗く向井くんの腕は、わたしと同じで
 傷ひとつない。カッターと結びつかない肌。
 可能性をひとつ抱えたわたしには、
 向井くんが主でない理由なんてそれくらいでいい。]

(588) 2021/06/11(Fri) 22時頃

【人】 夜笑国 メイ


  ・・・・・・うん、ありがとう。

[向井くんの口から出てきたのは予想外の言葉。
 わたしが握っていた手を開くと、再び10円が顔を出す。
 向井くんが言っているのはオリジナルのことだろう。

 だからわたしはもうお礼しか言えなかったから、
 かっこいいを撤回する暇はなかった。ってことにしよ。]

(589) 2021/06/11(Fri) 22時頃

【人】 夜笑国 メイ


  じゃあ、今度、駄菓子でも買いに行こっか。

[実際は11円なんだっけ。
 それくらいはこっそり誤魔化しちゃうことにして、
 ふたりしか知らない間違いを内緒で精算しちゃおっか。

 既に入れてしまった10円数枚は、ここの主にあげる。
 ここが頭の中なら、現実では手に入らないのかも
 しれないけど、その時は普通に買い物したっていい。

 わたしの予想が本当なら、その子は
 駄菓子も食べたことないんじゃないかなって思うから。]

  10円のやつなら、2つ、買えるでしょ。

[半分こしよう。そう言ってわたしはやっぱり笑っていた。
 爆音を奏でる心臓に、たまに目尻が震えるとしても。]

(590) 2021/06/11(Fri) 22時頃

【人】 夜笑国 メイ

[先頭を譲った言葉たちはどうしていただろう。
 もし言えなかったら、頭の中、預かってて。
 それが苦しくなったなら捨ててもいいよ。

 わたしは向井くんの手をゆっくりと下させようとした。]

  今度ね。

[わたしは向井くんへ言い聞かせるように繰り返す。
 今度はちゃんと階段を上がれたかな。
 視線の高さが同じかわたしの方が高くなった最上段で
 わたしは向井くんに手を振った。

 今はばいばい。またね。
 今度こそ、わたしは校舎の中に入っていく。]*

(591) 2021/06/11(Fri) 22時頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/11(Fri) 22時頃


— 病院 —

[車のエンジンが止まる。
運転席の母親が、背中を伸ばしながら欠伸をした。
いつもはそろそろ寝る時間だもの。ごめんね。]

 じゃあ、行ってきます。

[気持ちが逸る。車のドアを開け、走り出そうとして、
そんな私を母親が呼び止めた。]



「あのね。……ひとみに何かあったら、って。
 私もお父さんもずっと心配なのよ。
 あの時ね、目を離した隙に、あんな怖い思いをさせてしまったから。
 お父さんと2人で、絶対にひとみを守るって誓ったの。」

[なんだか申し訳なさそうに、
静かに心の内を語ってくれた母親の顔。
私はそれに向き合わなければならないと思っている。]



「でも、もうひとみは大人になるのにね。
 いつか慣れなきゃいけないとは思ってるのよ。
 ……ごめんなさいね。」

[ううん、違うよお母さん。
私、もっと自由になりたいと思ってたけど、
誰かに守られてるんだってことを忘れて生きてた。
自分の心の傷を忘れて生きてた。
自覚しているより自分は弱かった。

それを思い出して、ようやく向き合おうと思えたから。]



 いいよ。
 ね、お母さん。お父さんにも。
 私を子供でいさせてくれてありがとう。

[慣れなければいけないのはこちらもだ。
心配されない大人にならなきゃ。
見えない友達がいなくても強かに生きてけるように。

にこやかに笑って、暗い空気の中を病院へ駆けていく。]


[あの校舎から帰ってきてから、ぼたんの声はまだ聞こえてこない。

病院の夜間受付に辿り着いて、
集中治療室に運ばれたらしい乃絵ちゃんの場所を訪ねる。

夜の病院は静かで、通路は狭く感じる。
恐怖が少しフラッシュバックする。

基本的に健康児だったから滅多に病院のお世話にはならなかったけど、
そういえばあの誘拐事件の後、殴られた頭の傷の治療のために来たことがあるなあって、
今になってそんなことも思い出す。]


[そして集中治療室の前のベンチで、
両手を合わせながら何かの呪文のような言葉を繰り返す利美ちゃんを発見した。

近付いて彼女の名前を呼ぼうとしたら、
来るのは分かっていたわ、と言いたげな目線を返され、微笑んでくれた。

集中治療室のランプは赤く光る。
乃絵ちゃんは、まだあの校舎の中に自分を閉じ込めている。
どうしてだろう。私に知る機会はやって来ないまま。*]


【人】 夜笑国 メイ

[暮石芽衣の作り方

 一、とびきり凝り性の子どもを用意します。

 二、夢中になれる目標を授けます。
   この時、同じかそれ以上に目標を追い求める
   相手が身近にいるといいでしょう。
   両親のどちらかなんておすすめです。
   もう1人の両親は控えめな性格にしましょう。

 三、あとはのんびり待つだけです。
   偏執的な愛を注ぐ子どもがすくすく育ちます。]

(672) 2021/06/11(Fri) 23時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[暮石芽衣の誤算

 一、母が突然亡くなってしまったこと。

 二、己の偏執さを鑑みなかったこと。
   周囲の理解を全く得られなかったこと。
   理解を得る努力を一切してこなかったこと。
   周囲が力ある大人たちだったこと。

 三、このまま抗い続けたら、
   お母さんが悪者にされ続けること。
   お父さんが疲れ果てて
   死んでしまいそうだと思ったこと。]

(673) 2021/06/11(Fri) 23時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[暮石芽衣を構成するもの

 夢:わたしが世界で一番愛したわたしの音楽。

 心:真ん中にあった夢が抜け落ちて、
   周りに大切なものが少しだけ残っている。

 頭:興味があるかないか。すきかきらいか。
   どっちでもいい。どっちかしか選べない。

 皮:息ができなくなって被った死人の皮。
   他人事。黙秘。未踏。無関心。気づかないフリ。

 今:わたしは死んでない。剥がれた皮をびりびりに破いたら、
   これまで見ようとしなかったものがたくさん見えた。

 友:必要ないと思っていたもの。
   気づかない内に大切な相手が増えていた場所。

 私:わたしはわたしにしかなれない。]

(675) 2021/06/11(Fri) 23時半頃

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