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それで僕は選ばれたのか? いや、ならば珊瑚や康生が選ばれるのには断じて納得いかん!
『大和は、生きる理由がわからないの? でもさ、だからと死ぬ理由もなくないか? 少なくとも僕は押し付けられた運命やら死なんて納得いかないし、ごめんなんだが。ふざけんな、て感じ。』
まだ僕は強気を保っている。 だって、珊瑚も大和も康生もまだ生きていたから。
この時は。*
(86) 2023/11/15(Wed) 12時半頃
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ーー僕の部屋ーー
白魚のように細くたおやかな指先が頬に触れる。
彼が僕の涙を拭ったのだ。
もし彼が普通の身体であれば、この行為に何も危険はない。 だが僕は知っている。僕の体液は何でも彼には毒だとーー。
僕の毒に染まり、彼は死に至る。
「だって、僕は今とても幸せなんだ。君と居られて幸せなんだものーー……」
泣いた理由は、あまりに幸せだから。
心からそんな風に言える日が来るなんて。 ーー迫り来る死という終わりこそが、僕らが求める幸福の形だった……。
(120) 2023/11/16(Thu) 00時頃
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彼が僕の涙を指で拭ったように、僕は彼の精液を舌で丁寧に舐めた。 バッチイなんて想いはまるでない。むしろこんな御馳走を口で受け止めなかった事を後悔した。
僕は彼の全てが愛しくて焦がれているのだから。
多分彼が全力で拒否しそうな黄金水だろうと、彼の一部だと思えばうっとり飲み干してしまうかも。
やらないけどな!! コウが嫌がるだろうから。 安心して!(誰に言ってるんだ?僕は。)
(121) 2023/11/16(Thu) 00時頃
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彼が僕の肉体を褒めてくれた時は照れて俯いた。康生は本当に褒め上手で困る。 そこに、健康体である僕への憧れがあるのは勿論把握していたが、僕はありがとう、と返した。
準備が整い、僕はいよいよ彼との初夜を迎える。
ごっこではあったが、彼も僕もあの誓いを心の底から大切にしている。それは、死を迎えようと何も損なわれるものではなかった。
美しい花嫁は僕という花婿の為に淫らな花を今散らすーー。
(122) 2023/11/16(Thu) 00時頃
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痛みに彼が悲鳴を上げた。僕はもう、先程までのようにそれに興奮はしない。 ーー痛みは、傷は二人の絆にはならなかっから。 彼は僕への罪悪感から全てを受け止めたし、僕はそんな風に”僕が与える苦痛に堪え忍ぶ彼”に支配欲をそそられてしまったがーーそんな事をしなくとも彼は僕から離れなかったし、彼は僕のものだったんだ……。
彼は脚の激痛に顔を歪めた。
嗚呼。苦しまずに、一息に殺してあげたいとも思う。 愛しいからこそ僕は今、彼を殺したくて堪らない。 でも同じぐらい、彼とセックスしたいとも思うのだ。そしてそれは彼の願いでもあるーー
“挿れて”なんて。背筋がぞくぞくすると艶目いた誘い文句を彼が口にする。 当然意識したわけではないのだろうが、僕は彼の魅惑にくらりと来た。
僕の剛直が彼の小さな後孔をメリメリと裂く。 彼の悲鳴が部屋を震わせる。
「ごめん、ごめんよ、コウ。 だけど君のナカ……いいッ」
(123) 2023/11/16(Thu) 00時頃
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そう、その狭さはまるで処女を犯すようで。彼は男だが初めてなのは変わりないから、破瓜と体験したと考えてもいいのかもしれない。
一瞬彼の頭から力が抜け、がくんと揺れたような気がした。 意識を失った?
「コウ……?」
僕は彼の腰をしっかり両手で抱き、割った脚の間に体重を掛けている。今や僕の膨張しきったイチモツは根元まで彼に飲み込まれている。
ーー二人の願いが叶った。 僕と彼は繋がったのだ。
しかし、彼の意識は戻らないのか?どうしよう。 そのまま犯し続けたらまるで死姦のようになるのでは。 僕は彼の命を奪うためにこうしているが、それは寂しい……
(124) 2023/11/16(Thu) 00時頃
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「コウ?」
ぱちりと彼の長い睫毛が瞬く。開いた瞳と目線があった。 僕は動かないまま、彼の中にいる。
「えッ……?」
痛いとか苦しいとか彼は言うと予想していた。それでも僕は最後まで彼を抱かねばならない。そう覚悟していたのに、なんと彼が語るのは真逆の内容。
幸せだ、気持ちいいと、譫言みたいに繰り返す。 舌足らずな感じがまるで寝言みたいで可愛い。
「……そう、これがセックスだよ。愛し合う二人が心と身体を繋げるのがセックスだから。
僕も気持ちいい……君のナカ、きゅうきゅう僕を締め付けて来て堪らないよ。絞り取られそうだよ?君に。」
(125) 2023/11/16(Thu) 00時頃
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えも言えぬ快楽とはこういうのを指すのか。去年の愛のないセックスだって気持ちよくなかったわけではない。しかし、このじわじわと込み上げてくるなんとも言えない気持ち。
幸せ、そう、彼が言うようにこれは幸せだ。
「凄く、幸せだ……君を愛してる。 動いてもいい?君の奥を突いてあげる。」
僕を全身で受け入れてくれる彼も、僕を愛してくれている。 嫌いだとか触るななんて気持ちは一ミリもないだろう。
彼がどうして大ケガを負いながらも快楽に溺れているのか、難しい知識が僕にはないからわからない。しかし、二人で分かち合えるなら、これ程嬉しい事なんてない。
(126) 2023/11/16(Thu) 00時頃
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「いっぱい感じて……やらしい声だして、聴かせて……」
ゆっくり僕は腰を使い始める。のしかかる角度を深くし、より身体を密着させて。
突き上げるように、抉るように。 彼の内部を熱い肉の塊で激しく蹂躙する。
「ふ、……嗚呼ッ、……いいッ……千切れそうッ……!」
強い締め付けはわざとなのか? 雨竜先輩はもっと緩かったから、僕は戸惑う。
でも、まだだ。彼の性器も再び兆しを見せているのを僕は見逃さない。 指輪を嵌めている左手でそれを握り込んだ。
「ははッ……さっき出したばかりなのにもうこんなにして……やらしいなあ、コウ。」
(127) 2023/11/16(Thu) 00時頃
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律動は休まない。出来たら男の快楽スポットと呼ばれる前立腺を探し当てたいところだ。
彼の陰茎を指で玩びながら僕は、押し寄せる快感の波に身を委ねる。
出来たら一緒に達したい。そんな僕の願いは叶うか。*
(128) 2023/11/16(Thu) 00時頃
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ーー恥ずかしい記憶ーー
子供の頃の僕は内向的で引っ込み思案、言いたいことを中々言えない子供だった。
優しい兄が傍にいて『どうした恵一?何が欲しい?何が嫌なんだ?』なんて問い掛けてくれたからなんとかボソボソ答える形でなっていたものの、他人の輪の中ではそれが出来ず。
幼稚園に通うようになると、僕はしばしば失禁を経験するようになる。
別に膀胱の病気というわけではない。『トイレに行きたい』この一言が恥ずかしく言えないのだ。
(140) 2023/11/16(Thu) 10時頃
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結果、ギリギリまで我慢してトイレに駆け込む。 なら間に合うか?といえば。
トイレに脚を踏み入れた瞬間なのだ、僕が漏らすのは。 恐らく、小便器を前にするとほっとし気が緩むせい……。
下着やズボンまで染みる生暖かい感触と不快感に何度泣いたか。
園では替えの下着を借りることが出来るが、何度もそうするわけにいかず、僕はいよいよ母に事情を話さねばならなくなった。
あの時の耐え難い苦痛は忘れられない。
みんな、誰も園で失禁なんかしてないのに、僕だけが出来なくて……
(141) 2023/11/16(Thu) 10時頃
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みんなはどうやっておしっこしてるんだろう。僕と何か違いがあるんだろうか。
ーーおしっこをする所を見せて貰えたら。 おしっこの出る場所を見せて貰えたら。
僕との違いがわかるのかな……。
(142) 2023/11/16(Thu) 10時頃
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小学校高学年になれば、流石に僕の失禁癖も治まってはいた。 しかしーー
僕の、他人のおしっこに対する興味は奥底に眠ったままだったのである。
(143) 2023/11/16(Thu) 10時頃
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ーー僕の部屋ーー
挿入に伴う激痛は僕も想像は及ぶ。しかしまさか彼が気を失うまでなるとは思わず僕は激しく動転した。
「コウッ……!」
彼の名を呼んで揺さぶる。行為を中断した方が良いのか、頬を叩いたりした方が良いのかーー
躊躇っていた時だ。彼の緩く勃つ性器がふるり、と震えたのは。
先端の割れ目に存在する小さな鈴口に水滴が滲んだかと思うとーー
チョロッ
(144) 2023/11/16(Thu) 10時頃
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放物線を描き放出される。独特のアンモニア臭が僕の鼻腔まで漂う。
最初は少しの量だった。が、何度かに分かれてピュルピュルと噴き出る軌道に目を見張る。
お漏らし?!
意識を失えば下肢の制御など人は当然出来ない。 緩んだ尿道から溢れたのはおしっこだった。
それは彼の腹やら腰回りをびしゃびしゃにする。 繋がっている僕にも垂れて付着した。
普通なら汚い、と感じるのだろうか。 だが僕は、時を経て期せずして他人の排尿を拝むという僥倖を得ーー歓喜に震えてしまった。
僕がおしっこをするのと何も変わらない。 ここに安堵が1つ。そして……
(145) 2023/11/16(Thu) 10時頃
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お漏らしする彼は、なんて可愛いんだろう……!
お漏らし、という響きが幼児を思わせるからか? そう言えば僕が冷徹に接するのを諦め思慕を募らせたのも、彼が子供みたいにだだをこねた時だ。
そう、僕は可愛らしい彼にきゅんなのである。
彼の肌の上を流れる液体は異臭を放っている。が、僕は全く躊躇せずそれに手を伸ばした。
指先に付着させて舐めてみる。 精液みたいに苦みはない。水とは言えないが薄いスポーツドリンクのような薬っぽさがあるか。臭いが強烈で味はあまりわからないのかも。
しかし彼のモノと考えたら、可能なら一滴残らず喉に流したいほどには愛しかった。
(146) 2023/11/16(Thu) 10時頃
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彼のおしっこは尊い。
僕は変態だ。 だからなんだ。 変態にだって人権はある、変態万歳!
もう死ぬんだからいいだろう! ほっといてくれ!
そも、男同士のまぐわいも死に至る過程としてのセックスもなにもかも普通ではない。
ーー僕は彼をただ、深く愛しているに過ぎなかった。
(147) 2023/11/16(Thu) 10時頃
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痛みはどうなったのか。理屈は不明だが彼はまるで麻薬患者みたいにふわふわした状態になっている。
言葉は舌足らずでまたそれが幼児じみでそそる。 僕はショタコンなんだろうか。 やはり、早く死んだ方がいいな僕……。
誰も受け入れた事がない彼の身体は僕だけを受け入れた。 それだけでも歓びに溢れるわけだが、ふわふわな彼は言うのだ、可愛らしい唇で。
僕にも気持ちよくなって欲しいと。 それは僕が彼の身体を余すところなく貪り射精に至ることを意味するわけだが、僕を愛しているなら当たり前の心理だろう。
僕だって二人で気持ちよくなりたいと願い、彼の男性自身を愛撫したのだし。
勢いをつけて力強く腰を打ち付ける。肉が跳ねるほどの勢い。
僕の分身は彼の体内深くまで埋め込まれた。抉るように内部でグリグリと動かす。
僕が上から圧迫した結果彼の細身は柔軟にしなり、腰は美しく反るだろう。
(148) 2023/11/16(Thu) 10時頃
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そして、静かな室内に響いたのは彼の艶やかな声。 裏返りまるで女みたいに啼いて、息を荒げて乱れる。
花弁が散るように開いて。 僕の一つ一つに感じる様を伝えてくる。
僕はグラインドを描きナカを掻き回すようにしつつ、彼に応える。
「めちゃくちゃやらしいよ、声裏返って高いし。 可愛すぎて僕おかしくなりそう。……コウ、大好き。」
こんなに夢中に喘ぎながらも彼は僕にどう見えているかが気になる様子。可愛いなあ。 でも、そんな理性をふっ飛ばしてやりたいとも思った。
さっきお漏らしをした彼の性器は、今度は先走りをぬるぬる漏らしている。 若い肉体は性欲に溢れ、刺激に脈々と応えるのだ。
そんな自分に彼は戸惑っていたが、僕からすればそんな所も辛抱たまらん。
(149) 2023/11/16(Thu) 10時頃
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「いいの?触れるのが?それともナカかなーー……ここは?」
硬く満ち満ちた怒張で探り当てた部分は瘤のようであった。 強く押し当て反応を窺う。
彼は最早快楽の虜のようだ。 跳ねる声、迸る汗、熱くなる肌。 僕も激しいピストンに腰が震え、射精を我慢するのがきつくなる。
「コウ、イッていいよ。一緒にーー……あ、好きだ、好きッ!愛してるよ、コウッーー出すよ、君の中に出すッ」
ラストスパートに全身全霊を込める。僕の動きに感じてくれる彼に全てを与えたい。 僕を残す意味なんかない、出し尽くすんだ!
男の脈動は生命そのもの。 死を覚悟したからこそ、それを全部放てる。
爆発のような絶頂。 上り詰めた先、僕は彼の体内に熱い液を吐き出す。
(150) 2023/11/16(Thu) 10時頃
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狭い内部に僕の精が満ちてーー熱い。
漲る全身から力が抜ける。僕はそのまま前倒れになった。つまり開脚した彼に寄り掛かる姿勢。
彼は途中から僕の背にしっかりと手を回してくれていた。 いつもは自身の胸元に置いていた手を放し、全力にて応えてくれていた。
その胸板に、腕に倒れ込んで抱擁を求める。 激しい動きのせいで二人とも呼吸はまだ荒い。
「はぁ、はぁ……コウ、好きだ……うん、凄く良かったよ。
君は僕のものだ、僕だけの……。僕も、君のものだからね。」
萎んだ性器は自然に抜け落ちたであろう。 僕は暫し彼に体重を預けたまま微睡む。
もう思い残す事は、ない。
(151) 2023/11/16(Thu) 10時頃
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ーーそれから。僕は彼を姫抱きにしてバスルームに向かった。 汚れた彼を清める為である。 恋人同士キャッキャウフフというよりは、気持ちとしては亡くなった人のお清めが近しい。
彼はまだ生きている。しかし、僕が注いだ毒により病状が悪化し、やがて息絶えてしまうだろう。
優しく優しく彼の身体を洗った。身綺麗にしたらバスタオルで包み、二人で応接間のソファーへ。ベッドはめちゃくちゃだからね。
「君が息を引き取るまで、見ているよ。傍にいる、離れない。何時間だろうと寝ないで見てる。」
彼以外のものはもう、何もいらない。彼にしてもそうだろう。
「コウ。君が亡くなった後、僕はパイロットに召喚されるだろう。
僕は……君以外なんかどうでもいいと考えたりもしたが、君の家族や君の友達、君が大切にするものの為に闘うつもりだよ。それは君の為だ。
だから、心配しないでね。僕と君が命果てても地球は、みんなの生活は続いていくよ……。」
(152) 2023/11/16(Thu) 10時半頃
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ソファーに並んで座る僕らは肩を寄せているだろう。もうすぐ彼は死ぬのだし、僕も負うことになるが気持ちは何処までも穏やかだった。
でも、結果的に僕は彼を看取る事が叶わないのである。 何故ならーー。
「ん、何だろう……サイレン?」
外がやけに騒がしい。 立ち上がり窓から覗くとそこにはーーパトカーと救急車が見える。
彼を貫いた時の悲鳴は近隣まで届いた。それを不審に思ったご近所さんが通報したのだ。
(153) 2023/11/16(Thu) 10時半頃
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それから先は悪夢でしかない。 何か強盗やらが侵入しているという通報に乗り込んできた警察は、加害者である僕と、明確な被害者である彼を発見する。
全身に暴行の痕があり、発熱している彼はすぐさま保護されて救急車に運ばれる。
「コウッ……!やめろ、彼を返せッ僕は彼が死ぬまで見守るんだ、離せ、離せーッ」
暴れて警官を何人か殴り、僕は床にうち伏せ取り押さえられた。
担架に載せられたコウの姿が遠ざかる、見えなくなる。
「コウーッ!!」
絶叫しながら手を伸ばす僕は、端から見たらどう見ても狂人だったろう。
こうして僕らは離れ離れになった。 そして数日間が経過する。
僕らが次に相対するのは、あの忌まわしいコックピットにてーー……。*
(154) 2023/11/16(Thu) 10時半頃
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ーーif・大和とーー
大和から得た情報によると、珊瑚の父親は多忙で不在らしい。 確か医者のはずだ。 どんぐり亭にて逢ったことかあるので、その姿は覚えている。
確かに人命救助は大切だし医者の仕事でもある。が、娘を放り出しているのはどうなんだろう?
大和もパイロットになる件に不服を抱いているらしいのが文面から読み取れる。 当たり前だ、巨大ロボットに乗れなんていきなり言われてハイと答える方がおかしいから。
(157) 2023/11/16(Thu) 14時半頃
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僕が驚いたのは、彼が僕の事を真摯に励ましてくれたことだった。 僕はショタコンのけがある下半身が暴走した性欲魔人だから本当にクズなんだが、それでも彼の言葉には元気づけられ、こう返した。
『ありがとう大和。 君がそう言ってくれると、僕なんかにも少しは価値があるのかな、と思えた。
彼に気持ちを伝えてみるよ。』
うっかり”彼”と性別を書いてしまったが僕は気付いていない。
そして僕は彼の家庭の事情を知った。 読んだ時には絶句してしまい、全てを捨てて逃げようとしていたと語る彼に深く心を傷める。
『そんな事情があったんだ……僕は何もしらなくて、ごめん。』
(158) 2023/11/16(Thu) 14時半頃
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謝ることじゃないと思いつつも、事情をしらないで色々無神経な事を言ったかもと僕は反省する。
しかし更に驚くことがあった。彼がハッキリと珊瑚のために闘うと書いていたから。
それはまるでーー。 いや、もしそうならば、僕に後悔しないようアドバイスをくれた彼だ、きっと自身それを実践するだろう。
『誰かの為に……は、地球のためなんて言うより余程リアリティがある。
君に闘う理由があるのならそれでいいとは思う。 僕はやはりそれでも、なんとかパイロットを降りる方法を見つけたいと思うけどね。
一緒にいるなら、どうか珊瑚を護ってあげて欲しい。
頼んだよ、大和。』
こうして僕は、短い彼とのやり取りを終えたーー**
(159) 2023/11/16(Thu) 14時半頃
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ーーif・大和と(その後)ーー
大和が探している生きる理由、証は、僕にとっても考えるべき事であった。
『衝動で子供を……か。僕はーー』
『コウが僕の子供を身籠り産んでくれるなら、絶対大切に育てるだけどな!!』
何を書いているのか既に意味がわからない。恐らく大和も大いに混乱しただろうが、僕は大和に勇気を得て、感謝を込めてやり取りを終えた。
(171) 2023/11/16(Thu) 18時頃
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その後、僕は入院中の通話が可能となった康生に電話し告白する。
そして僕らは海辺でデートし、ホテルの教会で疑似結婚式を挙げた。
最初のパイロットとなった千映戦はショックだったが、仲良くなった大和、前から何度も励ましてくれる珊瑚、何より恋人である康生が傍にいたので、なんとか前向きな思考を保つことが出来た。
ただ、僕らがパイロットを逃れる方法だけはどうしても上手く行かず、ついに僕ら四人にも、椅子に座らねばならない時が来てしまうのであるーー。**
(172) 2023/11/16(Thu) 18時頃
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