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メモを貼った。
── 柊くんと ──
[ 気づいて貰えたらしい。
こちらに駆け寄ってくる姿に、ゆるく笑んで。
そういえば彼は私のマネキンを見たんだったな、と
その視線の先を思う。]
うん、一足お先にね。
…… あんまり見てるとセクハラだって
思われちゃっても仕方ないと思うなあ?
[ 恥ずかしいなぁ、なんて茶化しながら、
とっても元気な様子でも見せようか。
五体満足、何も問題はありませんよって。]
そ。起きたら利美からメッセージ来てたし。
黒沢ちゃん、集中治療室の方に居るよ。
どういう状況かは、……わかんないけど。
来たけどさ、私まだそっちの方行ってなくて。
多分利美とか、ひとみの方が詳しいのかも。
[ 私より先に来ていたし、と
治療室のある方をちらりと見つつ。]
……柊くんはさ。どうなった?
戻ってきたって事は、何か、……
踏ん切りか何か、ついたのかなって。
[ そうであっても、そうでなくても。
答えがあっても無くても、良いのだけれど。
話の途中に掛けられる声がもうひとつあれば
ゆるくそちらに顔を向けて。]
鳩羽くん。……おかえり。
無事な様で何より。
あ、カフェオレもありがと。
[ だいぶぬるくなっているカフェオレでも、
やたら冷たい指先には暖かく感じた]*
【人】 明仄∴暁星 クロエ[ 芽衣が自分の手を大事にしてること、私は知ってた。 (200) 2021/06/15(Tue) 19時頃 |
【人】 明仄∴暁星 クロエ
(204) 2021/06/15(Tue) 19時頃 |
【人】 明仄∴暁星 クロエ
(207) 2021/06/15(Tue) 20時頃 |
【人】 明仄∴暁星 クロエ
(209) 2021/06/15(Tue) 20時頃 |
── 現在・病院内へ ──
俺、番代のこと探してくんね。
治療室のほう戻ったかなあ……
[ ぬる〜いカフェオレを鳩羽に託し、
慎一は再び病院の中を歩いていく。
待合室に綿見と柊がいるのを見かければ、
そちらにひらりと手を振っておこう。
帰ってきたってさっき聞いたからね。
それではまた後ほどって具合に。]
[ それで──、
集中治療室の前に番代を見つけたら、
「ほら」って微妙な温度のコーラを放る。
……炭酸を雑に扱うなって? やだな今さら。]
レンとユキも来てたよ。
もう会ったかもしんないけど。
あと、ユーガと暮石と……、
…………黒沢、遅いね。
[ 帰ってきてほしいなあって願望を、
帰ってくるはずみたいな言い方に混ぜ込んで。]
[ さっき話してたとおりみたいに、
炭蔵がちっとも帰ってこないから、
慎一もいつの間にか思ってる。ユーガなら。
それから、自分でも慎一でもないと言った、
暮石のあの声色。表情。そんなのを思い出して。
ちょっと考え込んでしまったけど──、
今渡したコーラ、五分五分ってとこだから、
お代は当然受け取る気はないし、
なんなら忠告すべきか逃げるべきか、
はたまた差し出すハンカチでも探すべきか。]
[ どちらにせよ、ここは少し居づらい。
慎一は黒沢の親の顔をさっきから見れない。
どんなに辛かろう、悲しかろうと思うから。
だから、あまり長居はしないつもりで。*]
メモを貼った。
— 病院・集中治療室前 —
[
コーラありがとーって顔をしてそちらに歩いて、
放られた缶をキャッチする。]
ちょっとー。
[炭酸が宙でシェイクされたことへの抗議の声を上げつつ、
買ってから時間が経った缶の温度を確かめる。
……こんな寒い季節に「つめた〜い」のスイッチを押させて、
ずっと持っていてもらった苦労を思えば、まあ、
文句を言うより重ね重ねお礼を言うべきなのかもしれないけど。]
そっか、わかった。
[
帰ってきた人たちを出迎えていたかららしい。
乃絵ちゃん以外の帰還をもはや疑っていなかったから、
驚くこともなく、会ったら挨拶をしようか。
そうすると、まだ残っているのは誰なのか。
落第生でもわかる簡単な計算問題。]
……頑張ってるんだ、今も。
[あの校舎に残って答えと対峙している炭蔵くんと芽衣ちゃん、
そして、乃絵ちゃんも。私には想像もできないくらい、
今、頑張っている最中なんだろうなあって。]
[買ってきてくれたコーラをすぐに飲むべきか、悩んで。
シェイクされた缶をここで開けたら、どうなるかは容易に想像できるし、
自分の家や学校ならともかく、病院だしなーという遠慮は流石にある。
結局、ここで缶を開けることなくコートのポケットの中にすとんと落とした。
コーラ代と言いつつお金を取り出そうとするけど、
受け取らないという素振りをするようなら、
何度も問答はしないので、奢られておきましょうか。]
[
それでもここに戻ってきたのは、やっぱり気になるから。
乃絵ちゃんが帰って来れるか、というのはもちろん、
乃絵ちゃんのお母さんのいるほうを一瞬だけ見て、
思ったことをどうにも誰かに言っておきたい衝動に駆られる。
あの世界の主に辿り着けなかった落第生の一人なりに、
気付けるとしたら、今が最後のチャンスなのかも、って。
向井くんの近くに寄って、
他の誰にも聞こえないくらいの小さな呟きを吐き出す。]
……乃絵ちゃんのお父さん、来てないみたい。
[だからどうなんだ、という問答をしたいわけではなく、
乃絵ちゃんの家庭事情を今ここで詮索したいわけでもない。
ただ、私が感じてしまった可能性って間違ってないよね?と、
それを確認したいという気持ちを言葉に込めて。
それだけ伝わったなら、いや、伝わらなくても。
ここから去るであろう向井くんを見送るだろう。*]
── 現在・集中治療室前 ──
[ 番代がこちらに歩いてきたので、
治療室前が気まずい慎一は少し助かる。
だから、抗議の声にも少しだけ笑って、
「ごめん」って素直に謝っておこう。
コントロールは悪くなかったろ。
……そういう問題じゃない? 知ってる。
さっき会った面々について告げれば、
落第生による引き算の時間だ。
[ 「頑張ってるんだ」って言葉に、
慎一は「うん」ってうなずいた。
何も知らない人からすれば不審な会話でも、
この距離なら黒沢の母親には届かないだろう。]
……がんばってるよ。
黒沢もだし、ユーガも、暮石も。
[ あんな世界を作り上げたのだ。
まだがんばってるって、慎一は信じる。]
[ 確かに。飲むのはせめて待合室だった。
ポケットにしまわれたコーラに、
慎一は内心でほっと安堵の息を漏らす。
あまり状態のよくないコーラのお代は、
もちろん、丁重に受け取りを断って、
ふいに揺れた番代の視線を追っていた。
[ ……そこには女がひとりいる。
黒沢の母親だって慎一は疑わなかった。
娘の帰りを今か今かと待ってるんだろうと。
かわいそう。と慎一は思って、
だから番代のささやきは不意打ちだった。
びくりと一歩あとずさりしそうになって、
それでも、流し込まれた言葉の意味を咀嚼する。]
……あ、
[ ひとり≠ナ待っているんだなって。
今の今まで慎一が気がつかなかった事実。]
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