27 【crush appleU〜誰の林檎が砕けたの?】
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――夢の中――
伝えたいこと……?
[その世界が拓ける寸前、アリババ氏の
妙に親切な提案が聞こえた。]
――――っ!
[降り立った地は、記憶にある美術館の
どの展示室とも異なっていて。
柔らかな光に満ちていた。
青と白の世界。新郎と新婦。
黒翼の神父と黒留袖の立会人。
オレは普段着を恥じながら、一番後ろの席で佇む。
何故か、もう夢の世界には居ないはずの、
目覚めた面々がドレスアップして
参列している様も、ありありと。]
[白と青のチャペル。
清廉な白い花々と緑で飾られた神聖な儀式の場所で、
神父に扮したあの人の声が響く。
初めての結婚式にそわそわどきどきしつつ
銀先輩のお墨付き?を得て厳かな気持ちで見守る。
――時折、両手でフレームを作るようにしながら
カシャッと音はならないけれど、心のシャッターを切る。]
アリババさん――
『こころ先輩、ご結婚おめでとうございます。
先輩の、笑顔で幸せな最高の一枚を。』と。
[言葉は足りていないけど、残したいと思った絵。
カメラはないけれど、私も“魔法”になれたなら**]
[どこからともなく、祝福の鐘と
舞い散る花弁が、純白のドレス姿の
メグココちゃんを暖かく包み込んでいる。
オレは冥婚なんて単語は知らなかったけど。
唐突に現れたそれが、
メグココちゃんの望んだ夢の姿なのだと理解した。
現実にはもう叶いようもない、
幸せな幸せな夢。
結ばれた二人は、絵本の最後の1頁、
めでたしめでたしの絵姿そのもので。]
………………綺麗だ。
[オレはどれだけ呆けていただろう。
つい漏れた感想に、ばつが悪くて周囲を見まして、
それから寿ぐ言葉を探して、顎に手を添える。]
『今まで見た中で、
一番綺麗で幸福な
キミの姿を、オレは憶えてる。
――絶対に忘れない。
おめでとう、メグココちゃん。
それから、ありがとう。』
[果たせなかった約束の代わりの、
彼女のささやかな願いを胸に、
素直な気持ちをアリババ氏に託した。]
[俺からも一言]
『回谷先輩おめでとうございます!
見守っていますよ。とっても綺麗です。』
[この後、向かう先にも温かな光りが満ち溢れていますように。決して寂しくなりませんように。祈りを込めて言葉を届けた。**]
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[気付けば、ほぼ強制的に着替えさせられ 回谷が胸元に一輪の薔薇を挿してくれている。 なんというかまあ『されるがまま』状態ではあるが これといって不満があるわけでもない。 準備が進んでいく間はいつも通り黙していたが 田端も強制的に着替えさせられていたのには 微妙にわかりにくく笑みを抑えた口元にでもなっていただろう。
式が始まり、誓いの言葉のバリトンが響く。
『as long as you both shall live.』
その文言に が揺れる。]
(193) 2023/08/05(Sat) 23時半頃
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── I do.
[そう言って、ポケットから白い箱を出す。
細い回谷の指に彩 た 輪の装 は に く 色で ように の に嵌めら た 輪は の光のよ ルの色を し ん いた。]
(195) 2023/08/05(Sat) 23時半頃
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[意識が引 はが れ いく感 。
ヴ ールを持 上げ 笑む回谷 頬 撫で
誓い 口 け れた。]
(197) 2023/08/05(Sat) 23時半頃
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あり と 、こ
(198) 2023/08/05(Sat) 23時半頃
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[ ─────夢は、醒める。** ]
(200) 2023/08/05(Sat) 23時半頃
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[花と蔦の絵付けをしたカップには、
美しい花嫁のドレスとヴェールを偶った
繊細なホニトンレェスを透かし彫ろう。
完成品をメグココちゃんが見ることはないけど、
トサカ先輩に贈ればいいのかな、と
普段寡黙なのに正装がビシッと決まった
新郎にも視線を向ける。
目に焼きつけないといけないのに
視界がぼやけるのはきっと夢だからで。
こんな時まで真摯に優しく紡がれる
各々へ向けた想いが、鼓膜と心を震わせる。
頬を濡らす幾筋かを拭うことも忘れて
オレはありったけの祝福を篭めて
拍手を送り続けた。]
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