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二人してずぶ濡れで見つめあって、でも楽しくて笑っちゃう。
抱きしめる形でお尻に手があるのもちょっと恥ずかしいけど、両腕で首筋にしがみつくだけにした。
両脚はぷらぷら水中に揺蕩う感じ。
まあ、命くんの裸の胸に体を寄せてるのはこう、正面からだと結構恥ずかしい…。
命くんのしっかりとした硬い体に自分の体をくっつける感じになるんだもの。
自然と胸はムニっと押しつぶされる。
押し付ける形になるから緩んだりはしないけど、こう…顔も近いし気になっちゃう。
でも、てーんてーんと水底を蹴って、沈んでは浮いて、浮いては流されてを繰り返してるとぱあっと笑顔の花が咲く。
「あっ、これ気持ちいい〜。
天の河泳いだらこんな感じなのかなー?」
水の中だけど空中散歩してるような浮遊感。
きゅっとしがみついたまま景色と浮遊感を楽しんで、そのまま4周してからプールから上がる。
すっかり体は冷えていて、プールから上がると重力を感じるのも宇宙遊泳した後みたいだよね!
無重力を感じたような…だから簡易宇宙旅行?
「えへへへ、今の楽しかったね!
またやる?」
それとも、別のところに行くのかな。
お夕飯も温泉も楽しみだから、やっぱり旅行来てよかったと思う。
命くんのほっこり笑顔もみれてるしね!**
─天体観測会の計画─
おっ、マジか七尾! 助かる〜!
んじゃ、ポスターは七尾の担当だな!
[瑠璃川が差し出したおっきな紙
お願いも何も、声掛けるに決まってんじゃん!
ケイも一緒に、だな。了解!
となると、まずはケイと連絡取らねーと。
[一応、ケイのLINEにメッセージ送ってみるけど、この段階で既読は付かなかった。こんだけ連絡取れねーなら、やっぱアメリカか?]
一年の方、頼んじまって大丈夫か?
声掛けづらいとかあったら、全然言ってくれよな!
[兎に角、七尾の提案は快諾。もしあれだったら、三年にも声掛けてみるかな。三千院部長は真面目で責任感あるけど、人に声掛けまくって誘うってタイプじゃなさそう。こういうのは俺や、ああ見えて人たらしなケイのが向いてるだろうし。*]
─五回めの襲撃─
「み、命くん…。」
声が震えて掠れてしまう。
何でそんな言いがかりをつけられなくちゃいけないのか。なんでなのか、頭が回らない。
ただ命くんがきてくれてほっとして、男の手の力が弱まると私は命くんの背に隠れた。
身体が震えてしまう。ただでさえ緊急事態で危ういのに、そんな所に敵意めいた確認をされたら尚更だ。
私だって、街がこんな風になって悲しいのに。辛いのに。
確かに私は日暈学園高校の生徒だ。
でもその事が、どうして関係者って話になるの?
確かに学校の間近に何度も現れてる。私たちの街が壊れていく。それが日暈学園高校の生徒のせい?そんなバカな!
私はカタカタと震えていた。
私はすっかり青ざめてしまっていて、周囲に気づいたのは命くんが抱き上げてくれた時だった。
それだけ私は突きつけられた悪意に怯えていたし、まさかの事態に頭が回らなくて硬直してしまっていた。
そんな私を見るにみかねたのかもしれない。
「あっごめん、大丈夫、大丈夫だから…。」
そんな風にから元気を見せたけど、どうしても声にハリが出ない。
避難所に入ると、みていたんだろう患者さんたちが慰めてくれた。
いつもよくしてくれてる子たちになんて事!とか。
瑠璃川先生の娘さんって知らないのかしら?とか。
日暈学園高校なんて壊れたんだ、被害者じゃないか!とか。
「あ、あはは、大丈夫ですから。
うん、でも、少し二人きりにさせてください…。」
ここで二人にと言えたのは良かったと思う。
ぎゅ、と命くんが抱きしめてくれたし、それだけで私はほっと体の緊張が解けていくから。
これが、病院じゃなかったら。
命くんがそばに居なかったら。
避難所から追い出されていたかもしれない。そんな嫌な想像が頭を過ぎる。
これが他の子だったら?
大丈夫? やだ、こんなの考えたくない!
「命くん…。」
命くんの手を引いて、あまり人目のつかないエリアに向かう。
避難所だもの、そんなスペース殆どないんだけどね。
子供達と居たエリアじゃなくて、運び込まれていた避難物資の箱の影に座り込む。
命くんにも手を引いて座ってもらって、その膝の間に向かい合いで滑り込んだ。
そのまま両手を伸ばしてしがみついて唇を重ねる。
ただ、触れ合わせるだけだけど、長い時間をかけて。
「…もうちょっとだけ、キスさせて…。」
一度離してそう告げて、また唇を重ねていく。
感謝の気持ちと、畏れを消したい気持ちがあって。
止めなければ何度も何度も、キスを繰り返していたはず。**
メモを貼った。
――旅行の日――
[
カナダって言うと赤毛のアンとかの舞台になったところとかやっぱりメープルシロップだったりとかが有名だろうか。
オーロラも見れるらしいし新婚旅行でなくても行ってみたい場所だった。
イギリスも候補に入れよう。霧の街ロンドンやエディンバラ、ストーンヘンジ辺りだろうか。
珊瑚のお母さんの出身都市には赴いてみたいのはそう。
盛大に擽り、盛大に笑って転覆した後
残念ながら
両腕で首筋にしがみついてくれてるだけでも十分で押し付けてくれるおっぱいの感触がとても心地好かった]
それなら僕らは織姫と彦星かな。
残念ながら一年に一回しか会えないと
寂しくて彦星は涙を流してしまうから、時短彦星だけれどね。
[顔も近いから時折、ちゅっ、と頬にキスしてふわふわと――四周回ったのは珊瑚がすごく喜んでくれたからだね。
またやる? って聞かれたら、うん! としか答えなかったのでてーんてーんって。
二人で少し早い宇宙旅行へ、天の川を流されてゆったりと過ごしてからプールサイドにあがる頃には御夕飯に近い時間になっていた]
それじゃあ今日はここまでー。
着替えてお部屋に戻ろっか。
外で待ってるね。
[腕を組みながら更衣室前まで珊瑚を送って自分もまた男子更衣室へと入る。
男子の着替えは一瞬だ!
身体を拭いて! 脱いで! 拭いて! 服を着て! 終わり!
タオルが貸し切りのがあるのもありがたい。
使い終わったタオルを回収ボックスに入れて着替え袋に水着を入れて外に出て珊瑚がでてくるのをぼんやりと待っていよう]
[ぼんやり待ってる間に考えることはあんまりない。
何も考えずにぼんやりすることも大切だと思う。
珊瑚が出てくるとまた腕を組んでお部屋に戻ろう。
途中で土産物コーナーを少し覗いて、部屋に到着したら水着を洗って干しておいてから露店風呂も洗って栓をしてお湯を張りはじめよう。
ところで水着は干すものだと思っているけれど珊瑚も水着は干すのだろうか。
ほら、下着とは違うけれどやっぱり、ねとまごまごしていた]
[夕食は海の幸山の幸の盛り合わせだった。
お刺身に天麩羅にお鍋に茶碗蒸しにと――え、すごく多くない?
ご飯はご飯で山菜炊き込みご飯でお味噌汁まであるよ!
という料理を御膳で運んでもらって畳の上に座って食べるわけだが大和はそそくさと珊瑚の横に座り直していく。
最初の位置が対面だったのでいつものポジションにチェンジした]
すごいね! すごいよ! いただきまーす!
ん−……まずはこれかな、珊瑚さん、はい、あーん。
[お刺身からでよかったかな。
タイを一切れ取ると醤油につけて、わさびはいるならちょんと乗せてくるんであーんと箸を持っていく。
今日はずっといちゃいちゃするつもりしかない*]
─瑠璃川と部室で─
うちも、日本離れるとしたらドイツって話自体はあるくらいだしな〜。
行ったことねーけど、祖母ちゃん住んでるから。
語学留学も楽しそうだけど、俺の場合体力面がネックなんだよなー。
[祖母ちゃんがハーフで、母さんがクォーターってやつらしい。だから母さんは在宅で翻訳家やってる。つまり俺には1/8くらいドイツの血が入ってんだけど、ここまで来たらほぼ日本人だろって思ってるし、別に言い回ったりはしてない。聞かれりゃ答えるけど。俺の身体がこんなじゃなけりゃ、もうちょい行き来もあったかもな。]
[うちも親戚付き合い少ない方だけど、父さんが早くに両親亡くしてるからってだけで、ドイツの祖母ちゃんとは定期的にビデオ通話してるくらいには円満だ。珊瑚んとこは、なんか複雑そうだなーって思う。あんま踏み込む話題でもねーけどさ。]
うわー、すっかり恋する乙女の顔になってんじゃん!
大好きを返してくれる、なぁ……。
耳が痛てぇ〜。んー、返してるつもりはあんだけど。
確かに、瑠璃川と命がやってるみたいなんはしてねーかも。
ああいうの、やっぱ必要なんかな〜。
[常に手ぇ繋いでるとか、ラブラブLINEとか、そういうの。まさか、裏で俺の性欲に付いて話題になってるとは予想もしてない。 ……や、全くねーわけじゃねーんだけどさ。散々心臓で死に掛けてて、今も一応治ったとは言え心臓が自前のままの俺は、ドキドキすることがちょっと怖かったりする。怖いことよか楽しいことのが好きだから、そういう場面を避けがちってのはある。カッコ悪いから、珊瑚にだって言ってねーけど。]
[そんな訳で今んとこ、できた彼女たちと友愛の延長線上から抜けたことはない。あと、普通に「瑠璃川の手作り菓子うまい」は言ってる。特別に貰ってるわけじゃなくて、部の全員に配ってんだし。それがマズいことだとすら気付いてねー感じ。*]
――五回目の襲撃――
[
大好きな声をこんなにも委縮させるなんてやはり肉体言語で語るべきだったかもしれないが無暗に暴力を振るうのはよくないことだから最低限に留めた。
手首だって相当痛いはずだし社会的にも抹殺されるような状況だ。
避難を急がないといけない瞬間にバカな言いがかりをつけてきて生命の危機に曝したのだから当たり前だろう。
震える珊瑚が痛々しい。
これまでも傷ついているのにまた傷つけられた。
どうして珊瑚が何度も何度もこんな目に合わないといけないのだろうかと憤りしか覚えない。
ぷんすこしているのは周囲にもわかるだろう。
毎日お手伝いに汗水流している姿を見ている人は心配してくれるし慰めてくれる。
向かい合って座るから顔も近いし口づけも普段よりしやすい。
背中に手を回して強く抱きしめると
だぁめ、もっとしよう。
僕はもう今日は珊瑚さん可愛がりタイムに入りました。
[唇が触れ合う度に温もりを与えていく。
抱きしめると身体が温まるがキスをすれば心が温まっていく。
でも、ここでは触れ合わせるだけのキスまでだ。
それでも戦いが終わるまではずっとそうしていよう。
これ以上珊瑚が傷つかないようにしたいのに、
人の害意というものはどうしても網をすり抜けてくる。
肉体の生命が無事でも心が死ぬ時もあるのだ。
大和はぼろぼろと涙を零しながら、珊瑚の唇を啄み続けていた**]
─五度目の襲撃─
[五度目にコーラが出現したのは、今までで一番“俺から離れた所”だった。一度目の襲撃の際、俺は天文部の合宿でコーラの出現地点に居た。諸々の出来事が無かったってことは、二回目の襲撃の際も俺は入院なんかしてなくて、普通に学校に居たはずだ。命の忠告が無かったから、三回目の襲撃の時も学校に居た。そして四回目の襲撃の時、コーラの出現位置は俺ん家の真上だった。]
[だからネットの考察
[そんなだから、俺ら一家は避難所には行かなかった。ご近所がほとんど引っ越してってる傾き掛けたうちに居る方が、少なくとも俺の身は安全だろうって。避難所に居る人たちに襲われでもしたら大変だって。そういう判断だった。]
[俺たち一家が引っ越さなかった理由も、三割くらいはそれだった。俺が友達と離れたくねーってのもあったけど、もし引っ越して、今度も俺の真上にコーラが出現したら、マジで目も当てらんなくなる。俺自身ですら、本当に自分とコーラが関係ねーのかわからなくなるレベルだったしな。]
[……まあ、だから。うちが十分被害を受けてもおかしくねー距離に出現したにも関わらず、俺はちょっとだけほっとしたんだ。今度は、俺の真上じゃなかったってことに。]
[もし潰されて、家族全員一緒に死ねるなら。それはそれで誹謗中傷から逃れられていいのかもしんねーなって。そんなこと考えながら、割れた窓越しにコーラを見てた。*]
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
─五回めの襲撃─
もしかしたら学校名+天文部までは挙げられてしまってるんだろうか。
そんなの酷い。たまたまそこに居合わせただけ。コーラが現れただけ。ただそれだけなのに。
もし本当に天文部が、合宿の参加者が、学校の生徒が関与してるなら教えてほしい。
だってあんまりにも街は壊れて被害を受けている。
その周囲にいる私達だって。
ネットのこと、お父さんは知ってるのかもしれない。
だから成る可く此方での奉仕活動をするように言われていたのかも。
私も命くんも受け入れてもらえる場所があるように。
無関係だとみんなに知ってもらうために。
事実私たちは無関係だ。もしかしたら柊木くんパパを通じて避難を呼びかけたこともあったかもしれないけど、その辺りの判断は彼らに委ねたんだろう。
でもその場合、ここに居なくて良かったかも知れないよね。
「ん、ふ…っ、なか、ないで…?」
だからこくんと頷いてちゅ、ちゅ、とキスを繰り返していたけど、命くんのほほに伝う綺麗な雫に気付いてこつりと額を合わせた。
両手で命くんの頬を包んで、やっと微笑んで見せる。そんな私の目にも涙が滲んで。
「今日、唐揚げつくる。
初めてのお弁当に入ってたの、好きでしょ?
甘い卵焼きも作ろ…。
レアチーズケーキ冷やしてあるから
デザートにそれ、食べて…。」
膝立ちになってぎゅう、と命くんの頭を胸に抱え込む。
よしよしと頭を撫でた。
自分の方が参ってると思うけど、私だって命くんが泣くの見るの嫌なんだよ。
お互い笑って過ごしていたい。
「…ん。」
でも、避難所ではこれ以上甘えることは流石に憚るから。
また普通にギュッと抱きついてから命くんの首筋に唇を寄せる。
ちゅうっ、と強めに吸い付いて鬱血痕を残そうとした。いわゆるキスマーク。私はここにいるよ、命くんは私の。色んな意味を込めたキスマーク。
「…私にもつけて?」
つん、と自分の首筋も指さしてお願いする。
ね、それくらいならきっと見逃してくれるよね。
みんな静かなロボットたちに怯えてるけど、私たちのことは見てないから。*
―― 天体観測会:役割分担2 ――
! じゃあ、ご都合大丈夫でしたらですが、
天体観測会の午後に作るのはどうですか?
夜は会をやって、その時に軽食みたいに
配るのも素敵だなって思うんですっ。
[クッキーを作ろう!て提案へ勢いよく食い付いて、
こちらからも提案を返してみました。
もし本郷先輩の話題が出たなら悩んで。
まだ開催まで時間もありますから
今度誘ってみましょう!と提案もしたと思います。
楽しみな計画が増えていくことに
嬉しそうに頬を緩ませて。]
あたしのうち…は、外泊大丈夫だと思います。
合宿も許してくれてましたし、
安全に気を付けて
他人様に迷惑かけなければってくらいで。
[もしかしたら、今のご時世だからもっと
色々言われて最悪反対されるかもしれない…
ですが、きっと。おかあさんなら。
思い出作りだって言ったら許してくれるはず!]
テントも良さそう!…ですけど、
男子女子で近いと会話とか聞こえちゃう、かも?
先輩に沢山ご迷惑かけちゃいますが、
おうちお邪魔させてもらってもいいでしょうか…?
先輩の秘密の話とかお聞きしたいですっ!
あれば、ですけど…!
[夜に女子、男子で集まるなら
それぞれにそんな話題が飛び交う気がして。
折角なら話が漏れない環境で盛り上がりたいって
ワガママにも思ってしまって、つい、
そうお願いしてしまうのでした。
ありがとうございます、柊木先輩!
乾先輩、そういえばお見掛けしませんね。
…ご無事だと良いんですが…。
[長期的に連絡が取れないのであれば
ご時世的に被災を心配してしまう。
遠くに行かれているのなら、お土産話が
聞きたいなあなんてぼんやり思って。]
大丈夫です! ・
他の一年部員に…も、お願いするので、
ちゃんと集められると思いますっ!
[全任せしようとしたのは秘密です…!]
[先輩達が色んな役割や提案、提供を
申し出てくれて、それぞれの役割か決まりました。
瑠璃川先輩はスープや飲み物、お菓子の提供
大和先輩は望遠鏡の運搬とテントの組み立て
お二人の共同作業(!)で
マンションへの許可取り、ご住居設備の貸し出し
柊木先輩は顧問や加賀先生への確認、部費計算
乾先輩と一緒に二年生への声掛け
あたしはポスター作りと一年への声掛け
[こうしてあたしの突然の申し出は、
天体観測以外のイベントも充実していて
とてもとても楽しみな計画へと昇華されていた。]
――― 皆さん、ありがとうございます…っ!
皆さんやっぱり優しくって、あったかくって
あたし……大好きです
……今までで一番、力入れて
ポスター描き上げますね…!
[あたしの疎開先はここから…うんと遠くて。
もしかしたらそのままそっちで
定住するかもしれなくて。
だから、だからこそ。
この最後の思い出になるかもしれない
ビッグイベントに、全力を注ごうと。**]
メモを貼った。
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