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[ 一度は死を受け入れた立場としては、
各々好きなように思えばいいのではないか
と感じる俺は、やっぱり人間味のない
ドライな人間なんだなあって思ってしまう。
生還者の責なんて、
高祈先輩も重いもの託したんだなあって
俺は少し苦笑が零れたけど、 ]
料理っすかー。もちろんいいっすよ!
味噌汁は俺普段は市販の顆粒だし使ってるんで、
もしかしたら味が違うかもしれないっすけど。
肉じゃがも普段から電気圧力鍋で作ってますけど、
普通の鍋で作れないこともないので。
ぷっ、腹減ってんなら、
売店で何かお菓子とか買ってきましょうか?
[ 腹の虫の音が聞こえて、
思わず噴き出したタイミングで、 ]
あ、銀先輩!
捻挫って聞いて心配しましたけど、
歩けるようで良かったっす。
[ 休憩スペースにやって来た銀先輩に
手を振りながら、 ]
たしかにやることなくて退屈っすよねえ。
[ 少しでも前向きな気持ちでいたなら、
何か楽しいことできないかなって
想像したりもできたんだろうけど、
さすがに、身近な誰かが亡くなっている現状で
楽しみたいっていう気分にもなれなくて。 ]
[ そっか。あの絵なくなってしまったのか。
だからか、と現実世界に戻る直前の
銀先輩の様子に俺は合点がいって、 ]
あ、いいなー。
俺も買おうっと。
[ 自販機で飲み物を買う先輩たちに倣って、
カフェオレのパック飲料を買うことにした。 ]
さすがに、こんなことになったら
レポートどころじゃないでしょうしねえ。
[ レポートの話に相槌を打ちつつ、
俺はパックにストローを挿してカフェオレを口に含む。
口内にほんのりとした甘さと苦さが広がった。 ]*
メモを貼った。
![]() | 【人】 季節巡回 こころ[仁科がスケッチブックを広げて描き始めれば (163) 2023/08/03(Thu) 20時半頃 |
![]() | 【人】 季節巡回 こころ
(164) 2023/08/03(Thu) 20時半頃 |
──少し前:覚醒──
[目を開けると見知らぬ白い天井が見えた。
って、漫画やアニメでよく見るけどさ、自らそれを体験するとは思わなかった。
カーテンに仕切られた空間は狭くて、目に映るものが殆ど白いから、色彩が消え失せた世界に放り込まれたような錯覚を起こす]
……いっ……って…
[どうしよう。どれだけ寝ていたのかな。
起きたら俺、まず何をすればいい?あっ]
これか
[枕元のブザーボタンを押すと、天井からすぐに声が聞こえてくる。
俺の目覚めを知った看護師がすぐに部屋に来た]
あばら…にヒビ、ですか…
あ、でも、安静にしてたらすぐに治るんですね…よかった
[やたらと息苦しさを感じるのは、患部を覆うようにバンテージでガチガチに固定されているからだ。鎮痛剤が効いているのか、今のところ痛みは感じない]
……えっ?
[カテーテル外しますか?って聞かれた。
カテーテルって何だろう?って思って管が繋がれている部分を見たら……]
えっ、ああ、外しますっ
あっ、今?……あっ
[眠っている間に勝手に用を足してくれていた仕組みを外してくれるコトになって慌てる。
戸惑う俺なんかを無視して、看護師は手際よく装置を撤去してしまった。
さすがプロの仕事。]
[そして、肋骨ヒビだが動けないわけではなさそう。
病室とトイレの移動くらいは出来そうだよね。
体に繋がっていたチューブを外すと、看護師は一旦部屋を出て行った]
……ふぅ
[サイドボードの上に置かれた自分のリュックに気付く。
ある程度汚れは払われているものの、自分の背中にあったものの傷み具合を見る限り、相当な事故に巻き込まれたのだろうと想像する。
体をゆっくりと起こしてベッドに座ると、リュックを取って中身を確認する。
スマホの充電はまだある。
画面を見ると、たくさんの通知が来てた。田舎の『両親』からの不在着信や、友人たちからの安否を問うLINEメッセージ、それに、]
あっ
[同じバスで美術館に向かい、おそらく同じ事故に遭ったであろう先輩たちのメッセージに気付いた。骨谷先輩、福原先輩、銀先輩。『夢』の中で生還を告げられた名前と一致している]
『おつかれさまです、柊です。
今、起きたところです。
取り急ぎ、起床?のご報告まで』
[グループLINEにメッセージを送った後、スマホの充電残量を確認しつつ、俺は両親に電話をかけた。**]
メモを貼った。
![]() | 【人】 季節巡回 こころ
(170) 2023/08/03(Thu) 21時頃 |
―― 病院・2階休憩スペース ――
[ 柊くんのメッセージが届いたことに気付いて、
俺はホッとしたようにため息を吐いた。 ]
おはよう。柊くん。
[ そう言葉にして、
もし、柊くんのメッセージに気付いたのが、
骨谷先輩がイチゴオレを買った後だとしたら、
差し入れにつぶつぶイチゴかアーモンドクラッシュの
ポッキーでも買えたらなあ、
なんて俺は思ったかもしれない。 ]*
福原くん、頭の傷って大丈夫なの?
[
目の前の福原も表面上は元気そうに見えたが、
念のため訊ねた。
紙パックのカフェオレを買う様子には、
二人とも甘いものが好きなのね、という感想だ。]
あ、柊くんも目覚めたのね。
[
スマホを病室に置いてきたため、
柊のメッセージを銀は確認できなかった。
アリババの言葉があったから、無事なのだろうとは
思うのだが、本人からの言葉があるまでは
やはり気にはなるものだから。*]
メモを貼った。
だんす…………。
[あまりに縁のない単語
意味が咀嚼できないまま鸚鵡返しする。]
え、踊るの、シロマちゃんが?
[とりあえず、思いつく限りの様々な踊りを
脳内でシロマちゃんに踊らせてみた。
クラブミュージックから、盆踊りから、
ジャズ、ブレイクダンス、バレエ、社交ダンス。
絵になるのは後者2つかなあ。]
参考までに、どんなの……?
[好奇心はオレを殺すか。
華奢な踝あたりに注いだ視線、
痛ましそうな表情のつもりが、ちょっと引き攣った。]
シロマちゃんお気に入りの絵も、
目覚めるらしいニトちゃんの絵も、
……もう夢の中じゃないと見れないのか。
けどオレもう、夢見るのが怖い、むしろ
次の宣告が永遠になければいい、なんて。
[抑えられない震えは、貧乏揺すりみたいになる。
スケッチブックは、タバたん先輩の頁から
進んでいない。シロマちゃんのリクエストは
LINEで承知していたけれど。
溜息は苦くて苦くて、五臓六腑が捻られるよう。]
―― 病院・2階休憩スペース ――
全然平気っすよー!
お医者さんも特に問題ないって言ってましたから。
[ 銀先輩の問い掛けには、明るく答えつつも、
もし、銀先輩のカフェオレに対する感想を知れたら、
でも健康的な病院食を食べてると
ジャンキーなものとか甘いものとか欲しくなりません?
って、俺は返したかもしれないけど。 ]
あ、そうなんっす。柊くんからメッセージが来てて。
怪我の具合とかは書かれてないっすけど、
無事に目が覚めたようで良かったっすよねえ。
[ と言いながらも、
着実に時間が経過しているのを実感して、
アリババさんの最後の宣告ももう少しなのかなと
俺はどこか落ち着かない気持ちになる。 ]*
そうだな、本人の思いはどちらにしろ、
オレたちが死んでほしくなかった、って
思う心は自由だ。
ノっくんもなかなかイイコト言うじゃないか。
[絡まった思考の糸を解くのに苦労しながら、
オレは自分の頭をガシガシと掻き毟る。]
……いやもう、家の台所入ったことないし、
食器以外興味向けたことなかったから
ケーリューダシも電気アツリョクナベも
形状すら分からない呪文みたいだ。
[うわっ……オレの生活力、低すぎ……?
両手で口元を覆って瞠目する例のポーズ。]
あ、教義に反するかもだけど、
小腹用にはオレの好物があった。
[黒のザックから、黒い雷神ファミリーパックのを取り出す。
確かシロマちゃんには、夢の前にあげた気がする……?
それなりに腹に溜るチョコバーは、ちょいと
溶けかかっていたけど、求められればお裾分け。
尚、いちごオレと一緒に食べるのは、微妙。
オレ的ベストマッチはブラックコーヒーかミルクティー。*]
![]() | 【人】 季節巡回 こころ
(182) 2023/08/03(Thu) 22時半頃 |
![]() | 【人】 季節巡回 こころ[独り言じみてそんなことを零した後、 (183) 2023/08/03(Thu) 22時半頃 |
メモを貼った。
サル サ……?
[
一笑に付されることなく、問いの形で返される。
答えつつもサルサって何だっけ?
と首を傾げる程度には踊りとは無縁の身だ。
仁科が絵を描くことは知っていても
夢の中で描く絵について銀は認識していない。]
仁科さんは戻ってくるのだから、
夢から覚めた彼女の、
新しい絵を観ることができるわ。
……きっとね。
[戻ってきた彼女の心境は分からないから、
希望込みの言葉を紡いで。
進捗の芳しくない様子のスケッチブックから
目を上げた。]
[次の宣告。
そう、次のアリババの告げる名で、
運命を知ることになる。
既に決定済みの事項だとして、
それを知ることは酷く恐ろしい。
だから、彼の弱音も震える気持ちも理解できた。]
…………。
[慰めるのは不得手なのだ。
銀は幼くなった後の田端と周りの様子を見ていなかったが、
きっと彼らのようにうまくあやすことはできなっただろう。]
その時が来たら、
思い切り悲しみましょう。
泣きたかったら胸を貸すわよ。
[すぐそばに迫っているであろう宣告の時。
分からない。銀も取り乱して泣きわめくのかもしれない。]
雷神は頂くわ。
私の素昆布とアーモンドフィッシュは
病室に置いてきちゃったから、借りにしておいて。
[
―― 病院・2階休憩スペース ――
あははー、イイことも言える俺、見直したっすかー?
[ 頭を搔きむしる骨谷先輩に心配はしながらも、
軽い口調で返したら、
少しは気楽に考えてくれるかなと思いつつ。 ]
まあ、家事やらなくていい環境なら、
台所に入らないのも仕方ないとは思うっすけど。
顆粒だしは、鰹節とか煮干しを粉末にしたものに
調味料で味付けがされてるんっすよー。
俺はあの夢の中では一から出汁を取ったんですが、
やっぱり顆粒だしを使うのが楽でいいんすよねえ。
電気圧力鍋は、形は大きめの炊飯器って感じすかねえ。
まあ、実際に米も炊けるんすけど。
俺の家にあるんで、機会があれば見せますね。
[ どうやら俺の“かりゅーだし”の言い方は、
口がうまく回っていなかったらしい。
おお、いいっすねー。
俺の持ってたクッキーは、
どうやらぐちゃぐちゃになっちゃったみたいなので、
また別のものでお返ししますね。
[ 黒い雷神のチョコバーをお裾分けに1ついただきつつ
カフェオレと一緒にもぐもぐと。 ]*
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