14 冷たい校舎村10
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意味、かぁ。
あったかな。うん、きっとあったよね。
私たちがあそこにいただけでも。
[だから七星さんも、自分を責めたら駄目だよ。
私にそう言ったんだから。
ぎゅうって腕に力を込めて、真っ直ぐに伝えた。
―――帰ってこなかったらその時は、
和歌奈さんの選択だと受け止めよう。]
……帰ってきてくれて、回復したらさ。
快気祝いと打ち上げしよ。
だって文化祭また楽しんじゃったもんね。
なら打ち上げまでしなくちゃ。
それともクリスマスパーティーがいいかな。
場所は…石頭君ち借りちゃお、決定。
[それでも切な悲しいBADENDよりも
私HAPPYENDが好きだから。
そんな先を今から夢見て、信じるんだ。]**
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……それでも知りたいの? 知ってどうするの? こんな国語の勉強の参考にもならないこと。
それよりやることがあるんじゃない?
[……ちょうど、エレベーターの到着する音が聞こえたような。>>51>>63 猫耳店員さんだった君か、 パンケーキを作った君か、 パンケーキを食べてくれた君か。>>57 振り返って確認はしない。話は終わりじゃない]
(78) 2021/11/13(Sat) 20時半頃
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……もう壊れ始めてるんだよ。ここは。
[ため息をついた。 優しい声もかなぐり捨てた。 私は優しくないから謎だけぶん投げた。この言葉の意味を解きなさいって*]
(79) 2021/11/13(Sat) 20時半頃
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[私にはその時君が、>>88>>89 どんな表情を浮かべているのか、想像できそうな気がした。 悪い笑みは絶対浮かべないだろうって]
(105) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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[知ってるよ。>>90
風の音にともすればかき消されそうな、 車椅子のモーター音を聞きながら心の中だけで呟いた。 なんなら方法だって知ってる。 今立ってるところからまっすぐ歩いて、 フェンスの破れてるところを手で押し広げて、 普段は行けない向こう側へ立つ。 それから虚空へと踏み出す。
絶対に教えられないやり方だ。 パンケーキを綺麗な円にするやり方とはわけが違う。
パンケーキの方は興味があるなら古香ちゃんに教えてもらうといい。>>95]
(106) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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[和歌奈は不知火真梛の知らないことを知っていて、 ならばその逆もあるのだと、 どうして気付かなかったんだろう。
彼女がこの目で見てきた世界。 車椅子とエレベーター、ふたつの機械の力を借りて、 歩いた、文化祭。>>92>>93]
そっか、文化祭楽しんでくれたんだ。 よかった。 どういたしまして。
[ひとつ知らなかったことを知れて、 君に見えないところで少しだけ穏やかな笑みを取り戻す。
でもね、優しい君の口から降る、 「優しい」って言葉だけは、>>94 認めるわけにはいかない]
(107) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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優しくないよ。……私は。 私は、誰かの大事なものを壊しても、 泣くことすらできやしないんだから。
君が美しく優しいって言ってくれたこの世界も、 結局もうもたないって分かってるのに。 全然心が痛まない。
そんな自分が嫌になるよ。
だからね、何かを壊すのは、 もうこれで最後にしようと思う。
(108) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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[それから少しだけ声を張り上げる]
そういうことだよ古香ちゃん。 帰るわけにはいかないんだ、私は。 そうしないと、これが最後にならないんだから。
[顔は見てないけど声で分かった。>>104 そうとう切羽詰まってるって。 どうしたものか。今からでも、なんて言われても、]
もう遅いんだよ。 ……たとえ一応は丸く収まったとしても、 一度やっちゃったことは取り返せない。
(111) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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[聞こえてきた声はもうひとつ。>>110 荒木くんの声だ。 まさか着ぐるみを着ているとはこの目で確認してないから、 声が……何か違った感じがするのは、 風のせいかもしれないと思い込んでいる。 墨鳥くんらしき声はない。 ここにいないってことは、かえったのかも。 石頭くんと彼でふたり、って考えれば数は合う。
かえりたくない理由があるなら聞くという。 そうだね、話せばきっとわかってくれるに違いない。 そしてまた、過去を思い返せば、 ココロの奥に隙間風が吹く]
(112) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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知ってるよね。特に荒木くんは。 私の妹のこと。
[猫の着ぐるみと女の子の微笑ましい光景はたくさん見たし、 八歳であることや、似てない理由に起因する、家の事情はちょっとだけ話した。>>3:236 父の再婚相手の連れ子なのだと。
でもそんなこと和歌奈には関係なかった。 「いいお姉ちゃんになりたいんだ」と言って、 ただ笑っていた。朗らかに]
(113) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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……私はあの子に、ひどいことをしちゃったんだ。*
(114) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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─── 病院 ───
やっぱ居た。
来ると思ってた。
[息を切らせて病院へとたどり着けば
先に戻っていた3人も、いつの間にやら幣太郎も、集まっていた。
最初から分かっていた。ここへ来ることは。]
[退院がいつできるかわからないから、
クリスマス越しちゃったら忘年会。
それとも年越しパーティー?
年を越そうものなら新年会もついでにさ。
受験?一日ぐらい忘れたっていいでしょ。
そんな夢にしばらく思いを馳せた後、]
私、ちょっと様子見てくるね。
[もしかしたら手術終わってるかもしれないし。
そう言って少し名残惜しそうに身体を離したら、
何かを思いだしたようにその口をまた開く。]
……そういえば、さ。
私元気で明るいクラスのムードメーカーな
七星さんは悩みとかなさそうでいいなって
思ったことあるんだ。
でも、違うよね。
生きている限り、ないわけないもんね。
だったら一人で抱えないで欲しいって思うよ。
そりゃ、誰にも言えないことだってあると
思うけどさ。
その、七星さんも大切な友達 だからさ!
[あの遺書に共感や親近感という言葉を口にした
七星さん。
荒木君だって。
真梛さんや他のみんなも。
私が言えたことじゃないのはわかってる。
けど、言わずにはいられなかったんだ。
誰かが欠けでもしたら、私は哀しいから。]
―― 待合スペース ――
[ご家族は変わらずに待っていた。
少し離れた場所で、心配させぬよう
祖父母に連絡を入れる。]
……そういえば、
あれはBADENDだったなぁ。
[いつか見た演劇部の古い台本。
精神世界のホストたる主人公は、
揺れながらも絶望から逃れられず、
確固たる意志の元その世界に残った。
けれど誰もいなくなった世界で、
一人笑いながら泣いていて――… ]
[HAPPYENDが好きな私は、その終わりが悲しくて、
別の話に耽ったんだ。]
……帰ってきなよ
[あれからグルチャには何の反応もない。
だから石頭君や墨鳥君が帰ってきてるとは
微塵も思わず、ただ赤が消えるのを、待っていた。]**
くそっ待つしかできねぇか。
[それは全部分かっていたことだった。
けれども、居ても立ってもいられなかった。
理由なんて要らない。そうだろう?]
もしかしたらアイツは、戻ってくる気が無いのかも知れねぇ。
そんな事、望んじゃいないのかも知れねぇ。
[まちあいしつの重い空気に耐えられず、そんな事をポツリと口にする。ここまで来て明るく振る舞うのは、流石に無理だ。
それでも]
知るかよ。
[もう迷う必要なんてないから。]
オレはアイツに戻ってきて欲しいんだ。ただの我儘さ。でもアイツじゃなきゃダメなんだ。
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[まだ、秋だった。 冬の足音を遠くに聞きつつある時節。
私は考えた。 妹の大切にしている猫のぬいぐるみについて。 平塚ちゃん協力のもと、服は新しくなったけど、 本体のくたびれ加減はどうしようもない。
だから修理しようと決めたんだ。 妹がぬいぐるみをお留守番させて外に出ている間にこっそりと。 裁縫の腕は38点でも、私はだれにも頼らずひとりでやろうとした]
(122) 2021/11/14(Sun) 00時頃
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[思えば何もかも間が悪かった。 ぬいぐるみの、リボンのついた方の片耳を引っ張ったら、 思いがけず布が裂けて片耳のパーツがごっそり取れてしまったことも。 たまたま帰ってきたばかりの妹がそれを見てしまったことも。
気まずい沈黙はすぐに破られた。 妹は荒れた。大粒の涙を流して、 私がぬいぐるみを壊したのだと叫んだ。 違うんだと私は叫びたかった。 なのに口は動かないし頭も回らなかった。 ちゃんとやるための方法は導き出せないくせに、 妹に一番刺さる言葉だけはすぐに浮かんできた]
(123) 2021/11/14(Sun) 00時頃
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呼ばれたんだ。
[それはあの世界へ呼ばれたという意味だけじゃない。
今集まっているクラスメイトはみんな、この病院へ呼ばれたようなものだから。]
ここまで来て、今更後に引けるかよ!
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[泣き声のトーンが上がる。 たまらず首を横に振って私は告げた]
しょうがないじゃん、もう結構古いんだから! 新しいものを買ってもらえばいいじゃん!
[これが一番刺さる言葉。 あの子にとってこのぬいぐるみは唯一なんだって、 よーくわかってたのに。
私の言葉に妹は動きを止めて、 それから、駆け出した。 外だった。茜色が射していた]
(124) 2021/11/14(Sun) 00時頃
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[喧嘩に気付いたレイナさん――つまりは現在の母と慌てて探し回った。 あの子は意外と俊足だったようで、 大通り近くまで来ていて、飛び出したところを車に轢かれかけてた。
ちょっと擦りむいたくらいの傷にまた泣くあの子と、 ほっとして思わずあの子を抱きしめるレイナさんと、 ふたりを呆然と見やる私。 ココロに隙間が空いてびゅうびゅうと風が漏れていた。 感情の表し方がわからなかった。
わかるのは、そう。 どう考えても私が悪者だってこと。 私は取り返しのつかないことをしかけた。 あんなにいいお姉ちゃんでいようと思っていたのに、 失敗してしまった。
それにやっぱり――どっか壊れてるじゃないか、私のココロ]
(125) 2021/11/14(Sun) 00時頃
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[だけど父もレイナさんも私を責めなかった。 ふたりとも大人で、妹の気持ちも汲みつつ。 大人的には私の言ったことは間違いでもないんだって。
その後誤解は解けて、ぬいぐるみもレイナさんの手で修理されて、 それから洗われて綺麗になった。 めでたしめでたし――とは私には到底思えなかった。
あのぬいぐるみを見るたびに、一度の過ちをしたことを怖れ、 カレンダーがめくられ冬へと向かうにつれ、 私の中に焦りがこみあげた。 いつか取り返しのつかない過ちを犯す前に、 消えなくちゃならないってさ]
(126) 2021/11/14(Sun) 00時頃
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[――そうして私は死のうと決めた。 妹の誕生日が来る前に*]
(127) 2021/11/14(Sun) 00時頃
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[私が生きてるといずれ誰かがとっても困るかもしれないから。 そうなる前に死んだ方がいい。
これくらい言わないと分かりにくかったかな]
(128) 2021/11/14(Sun) 01時頃
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[――――そう思っちゃうくらいには、 見解の相違がある。>>116 あるいは平行線。 とにかく不知火真梛が何を言おうと、 和歌奈は己が認識している事実を曲げることはない。
彼女も彼女で固い意思を持っているようで。 和歌奈の家族のことを知らないのは仕方ないとして、 いったい河合和歌奈の何を知っているというんだ。>>117]
それは違う。 傷つかないよ、私は。
[確かめたことは勿論ないけどさ。 もし、自分のせいで誰かが死んだ時、 あるいは目の前で誰かが死ぬのを止められなかった時に、 悲しむことができるのか。 確信をもってそうと言えないから、何年も自分が怖かった。 それが妹の件でようやく、やばいなって思うに至ったわけ]
(129) 2021/11/14(Sun) 01時頃
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[ため息をつきたいのはこっちの方だ。>>118 これ以上壊れたやつに付き合う義理はないと、 どうすればわかってもらえるんだろう。
その時だ。 不知火真梛がさらに動いたのは。
車椅子は和歌奈の立つ位置を過ぎてもなお進む。 ようやく止まった時和歌奈には彼女の背中がよく見えた。 見た目以上に遠い。 そうして彼女は「和歌奈」と名前を呼ぶ。 音の響きだけがいつも通りだった。 それ以外のすべては、和歌奈の知らない君だった]
(130) 2021/11/14(Sun) 01時頃
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