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『銀です 検査結果待ちだけど
ケガは足の捻挫ぐらいで概ね元気✨
皆の具合はどうでしょうか』
[グループLINEへ送信。
頭を怪我したという福原は気になったが、
併せて元気とも書かれていたため、差し当たって
言及を避けた。
ついさっきまで、夢の中で遣り取りした
皆のメッセージは残っていない。
骨谷から届いたメッセージ以前の履歴の日時は
美術館に着く前のもの。
判りきっていたことなのに、物寂しい心地になる。]
『統一したモチーフで考えていないなら
私は蔓(葡萄か藤)とカギを組み合わせた
デザインがいいな』
[こちらは骨谷への個人メッセージで送った。]
[ぽふんとベッドに仰向けになって目を瞑る。
もう十分に夢を見たのだ。
眠気はすぐに訪れる気配を見せない。]
…………。
[――――回谷か大藤か田端。
ひとりずつの顔が浮かんでは消える。
胸の辺りが重くなるのが分かって、
考えることをやめた。**]
![]() | 【人】 季節巡回 こころ
(103) 2023/08/02(Wed) 23時頃 |
![]() | 【人】 季節巡回 こころ[あらかたテーブルのセットが終われば (104) 2023/08/02(Wed) 23時頃 |
アリババ氏の宣告通り、
目覚めてるみたいでよかった。
いや刻一刻と、寝覚め悪い事態には
なってってるけどなあ。
[一度、目眩いを堪えるように
額を押さえて目を瞑る。
耳鳴りのように、また幼子の声が響く。]
――っごめ、うん。
まだちょっと、油断すると意識が
引っ張られるみたいな感じするな。
[もし、その声の主を視認したなら、
タバたん先輩の隠し子かと疑ったかも知れない、が
必死に子守りするニトちゃんとメグココちゃん含め、
未だ見ぬ夢の切れ端。]
脳細胞とか恐いこと言うなあ。
オレの方も、うん。
シロマちゃんみたいに、
更に自罰を加えたりはしてない。
この災害ってもう
ニュースになってるのかな?
身内(とアカリん)からの安否確認がすごくて……。
[そういえば、夢の中ではお揃いの赤手形があったけど、
現実のシロマちゃんは打撲も鼻血もないはずで。
あったことと、なかったこと、まだ相当混乱しているオレだった。*]
―― 病院・2階休憩スペース ――
そうですね。
……きっともう少ししたら
アリババさんの最後の宣告があるでしょうし。
って、大丈夫ですかっ?!
[ 額を押さえる目を瞑る姿に、
俺は思わず大きな声をあげながら、 ]
そうなんですね。
あまり無理しないで寝てしまうのも手なのでしょうが、
あの夢の世界に行くのも怖くはありますし、ね。
[ あの夢の世界の見え方も>>3:*2
人それぞれといったところなのか。
きっと、優しくて繊細な先輩は、誰かの死の宣告を
今か今かと待ち受けるのも辛いのではないかと。 ]
え、恐いっすかね?
頭叩いたら馬鹿になるってノリだったんすけど。
……まあ、冗談にしてはブラックでしたかね。
すみません。
いや、自罰とは思ってませんでしたけど、
その様子だと、壁とか展示物とかに
ぶつかったわけじゃなさそうですね。良かったです。
ニュースは、なってる可能性がありますね。
俺も友達から連絡たくさん来てましたし。
でも、俺、ニュース見るの怖くて、
連絡し返したりもできてないんですけど。
[ 安否確認が多いということに同意しつつも、
俺はうまく友達に返信できるか以上に、
無意識のうちに誰が亡くなったのか知るのを
先延ばししたかったんだなと自覚した。 ]*
ノっくんも、まだあっち側が見えるんだな。
[現実で、起きた後で同じ夢の続きを見るのは
至難の業だが、未だオレたちの夢は
アリババ氏の介入を許している。
きっと、最期の決する時まで――。
怖くはある、とノっ君の言に、オレは重々しく頷いた。]
……タカナル先輩は生き残った側の責任を説いていた。
ノっ君は、自分でも構わない的なこと言ってたけど、
恨まれる覚悟、できた?
[潰れた林檎の命運は決している。
「何故自分が」と他者を恨む人物かどうかは分からないけど。
本人がどう思おうと、残る9人は何かしら背負うことになる。]
オレ1人じゃあ、重責に潰されそうだけど。
9分の1ずつ、皆で背負おう――な。
オレも億劫で返信してないや。
いい感じの文言思いついたらコピペさせて。
[何とも誠意のない提案を一つ。
正直、犠牲の方が気掛かりでたまらなくて、
無事だった自分とその周囲へ配慮する余裕なぞない。]
アリババ氏も言ってたけど、
目を醒ませないのが誰なのか、
現時点では神様以外知りようがないみたいだし。
理不尽は承知で、オレらに今できることってないよな。
[そしてふと、LINE通知と文面に目元を和らげる。]
シロマちゃんも、無事お目覚めだってさ。
[来るまで待つも、ノっ君という味方を伴い
病室訪問イベントにチャレンジするもOKだ。**]
メモを貼った。
―― 病院・2階休憩スペース ――
そうですね。俺も見えますし、
おそらくは銀先輩や柊くんも、きっと。
恨まれる覚悟、ですか。
[ その問いに俺は肯定も否定もしない。
だって、そんなものとっくの昔にできていた。
俺が生きて、健全な結果にならなかったことを
世界に対して呆れながら、
それでも、それにより死者からどう思われようとも、
それは仕方ないことだって、
あのときからずっと思っていたのだから。
そうですね。仮に恨まれたって、
俺たちの責任は1/9です。
骨谷先輩だけの責任にはさせないですよ。
はは、善処します。
[ 誠意のない提案には、乾いた笑いを返した。
今はいい文言なんて思い浮かばないし、
きっと、亡くなった人が誰なのか分かれば、
さらに思い浮かばないだろうことは
容易に想像できて、 ]
たしかに、結論が分からない限りは、
俺たちに出来ることってないですよねえ。
西門教授や銀先輩、柊くんに心のケアが必要かとか、
もうすぐ目覚める高祈先輩と仁科ちゃんを
どう迎えるかとかを考えるかくらい、ですかね。
[ それから、先輩につられるように、
俺も銀先輩のメッセージを見て、
そうですね。
もしここまで来れそうなら、銀先輩の顔も見たいですが。
[ おそらく銀先輩の足の捻挫というのは
本当だとは思うけど、
今は一人でいたいために、
休憩スペースまで移動できない言い訳として
捻挫と言った可能性もあるし、
銀先輩の病室へ訪問するのは
止めておいた方が無難かなと思いつつ。 ]**
メモを貼った。
![]() | 【人】 季節巡回 こころ
(132) 2023/08/03(Thu) 10時頃 |
―― 夢の中 ――
[ 夢の世界の場面は、
いつの間にかカフェへと切り替わる。
幼い田端先輩と回谷先輩、仁科ちゃんが
食事をしている風景を眺めつつも、
田端先輩の話を聞く限り、
これは幼児退行というよりも、
悪夢といった方がしっくりくるのかもしれない。 ]
誰も産んでくれなんて頼んでないのにね。
[ 育児って子供の衣食住だけを
満たせばいいわけじゃないはずなんだけどなあ。
なんて思いつつも。
俺はそもそも田端先輩の両親が、
育児する気もなかったのではないかなんて
そんな思考にも至らなかったから。
メモを貼った。
メモを貼った。
[挫いて腫れた足は今更のように痛みを訴えてくるのだが、
眠りにも就けず、足以外は元気ともなると手持無沙汰ではある。
放っておくと沈む思考。
なら、何かで気を紛らわせた方がいい。
スマホは逆効果に思えて、枕元に置き去りにして
病室を出た。
休憩スペースには福原と骨谷がいるのだろう。
確認だけはしようと、階段ではなくエレベーターで
階下へと降りる。]
――二階:休憩スペース
あら、痛そう……、
でも二人とも無事でよかったわ。
[福原の頭に巻かれた包帯と骨谷の頬に残る手形を
認めて呟いた。
西門には会えなかったと骨谷のメッセージにあった。
柊も同様だろうか、今はただ待つしかないのだが。]
病院って退屈ね。
鑑賞できるものもないし。
[ところどころ配置してある絵画に、
銀の目を引くものはなかった。
美術館に行った後だ、特にそう感じる。]
[スペース内に設置されている自動販売機で
飲みものを購入する。
空腹を覚えていたが、病院の食事時間まで間があった。
生者の世界では夢の中のようには自由に、
食材を手に入れることができない。
少しでも足しに、と選んだ炭酸飲料で
喉を潤す。**]
メモを貼った。
――病院2F/休憩スペース――
オレだったらどうか、なんて『もしも』を
考えることすら不謹慎なんだろうけど。
恨まないって、他の誰より
自分の死を受け容れちゃうのって
……駄目だ。上手く言えないけど、
そんなの切なくて遣り切れない。
[オレは誰に対しても、そんな深くまで事情に踏み入ってないし
その内実も知らず無責任かも知れないけれど、]
タカナル先輩なんて、遺言めいてオレに
生還者の責を託しながら、なんか――、
[死にたそうに感じて。オレはあの時
どんな表情を返していいか分からなかった。
自分の死後を語る九十代の依頼主と同じ貌をする二十代。]
できること、か。
そうだ、ノっ君今度オレに料理教えてよ。
味噌汁も最高に上手かったけど、
肉じゃがは食べ損ねて、
それだけが気掛かりだったんだ。
[オレは気の重い話題をわざと逸らかすように、
無理矢理な笑みをのせて、腹の虫と共に訴える。]
……噂をすれば、シロマちゃんだ。
[かけられた声
LINEで知らされていた、お互いの怪我の具合を確かめる。]
そういえばオレもバタバタしてて、
結局ちゃんと鑑賞らしいこと、できてないな。
シロマちゃんに言われた絵もまだ覧てないし、
もう一度美術館に行――、
[災害の規模は知らされていないけれど、
さすがに暫くは閉館、悪くて閉鎖に
なりそうな状況。オレはうぬぬ、と首を捻る。]
眠れば、展示物も見れるのかな。
それどころじゃない、けど。
……さすがに3日後レポート提出はないよな?
[頭を掻いて、オレも自販機へ足を向ける。
普段買わない莓オレのパックを手にしたのは、
ブラザーズ生還祝いの意味も込めつつ。**]
[
銀が訪れる前までの話題は知る由もないが、
一瞬だけ覗いた表情は深刻なものに見えた。]
暫くダンスを踊るのは無理ね。
[足元へ向けられた視線に冗談めかして答える。
骨谷の顔にのぼるものが、ぎこちなくとも
笑みの形をしていたから。]
――――それが、
絵はなくなってしまったみたいなの。
あ、でも目録には載っているから……。
[
この世からも、銀の中からも失われてしまった。
夢の中で福原は目にした筈だ。]
レポート、は、さすがに
西門教授も勘弁してくれるでしょう。
[きっとそれどころではないだろう。
悲劇的な彼がどれほど悲愴な顔をしているか
面会できないことに感謝すべきかもしれない。
甘い飲み物を選ぶ意図は解せずに、
進捗を確認するかのようスケッチブックを覗き込む。**]
![]() | 【人】 季節巡回 こころ
(159) 2023/08/03(Thu) 19時半頃 |
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