31 私を■したあなたたちへ
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「ねぇ卯木さん。 ボクはまだ、煙崎るくあの死が信じられないんです。」
モナリザが抹茶ラテを運んで来るのを待って。残り半分になったオムレツが冷めてしまうのを申し訳なく詫びながら、重々しく口を切った。 つらつらと並べたてるのは、賑やかな道化のキャンディの裏で、ここ数ヵ月ずっと燻っていた疑念。相手もまたるくあと面識があり、事件に巻き込まれているのだから、告解には最適な人選に思えた。
「るくあが高校を卒業する前後くらいかな、 ある時から急に、パタリと姿を見なくなって。
……遺体も見ていないし、葬式に呼ばれてもない。 心臓麻痺と診断したのは、 医者なのか警察なのか知らないですけど。 それが、『殺された』なんて話になって。」
(327) 2023/11/20(Mon) 16時半頃
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「他の人の事情は分からないけど、 ボクは正直、犯人が誰でも、殺すも殺さないも、 割とどうでもよく……はないか。理由によっては 羨ましくて殺したくなるかも。
ただそれより重要なのは、 るくあがもうこの世界に居ないと、 僕自身がハッキリと確証を得ること。
――それさえ分かれば、 きっと躇わずに済むから。」
思いつめたように、両手で包んだ黒い砂糖の塊を睨めつけて。険しく寄せられた眉間を、スカイブルーの爪で解すと、卯木の返事を待った。彼が、自分の知らないるくあの某かを、語ってくれることを*期待して。*
(328) 2023/11/20(Mon) 17時頃
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――ホテルラウンジ――
思考と言動は限りなくワに戻りつつあるのに、長い睫毛を伏し目がちに憂う表情だけは、恋する乙女のそれで。卯木の言葉に真剣に耳を傾け、何度か静かに相槌を打つ。縺れ絡まった思考の糸を解く手伝いをして貰っているような。相談事に慣れた大人との会話は、ささくれ立った心を宥めてくれた。
「確かに。お義兄さんなら、 僕を納得させるだけの証拠を持ってそうです。 というかむしろ、彼に示せないなら、 他の誰にも無理でしょうね。
ボクはまだ会ってないけど、 後でメールで呼び出してみるか……。」
顎を揉みながら呟いて。真面目な会話の途中で失礼とは知りつつも、ちらと『アポロ』に視線を落とす。着信に、うへぇと思い切り顔を顰めるのを隠しもしない。
(379) 2023/11/20(Mon) 22時頃
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それから、改めて卯木の顔を正面から見据えて、目をぱちくりと丸くした。
「苦しみを解放する、手伝い……
それって、意味分かって言ってますか?」
躊躇する理由――もしかするとるくあが生きているのではないかという一縷の希望が、完全に潰えたなら。自分がどんな行動に及ぶかまで、彼は察しているのだろうか? 後顧の憂いなく、るくあの居ない世界から旅立つことができる。未練を断つことは、精神的な自殺幇助だ。
(380) 2023/11/20(Mon) 22時頃
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「冗談でなく、ボクの世界の中心はるくあなんです。 彼女が死んでいたなら、ボクが生きている意味もない。
もしも本当にるくあが望んだら、犯人探しだって始末だって ボクは喜んでやり遂げますよ。
ただ、あのホログラムは贋者だと思うから、そうしないだけで。」
常人が聞けば狂人と、或いは恋の奴隷と捕らえられるのだろうか。淡々と告げる言葉に一片も嘘はない。卯木の顔色を窺い、舌で渇いた唇を湿して続ける。
「卯木さんは、彼女の…… るくあのことをどれくらいご存知ですか?
ボクはそもそも、誰かが敵意や害意を持って、 るくあを『殺す』ことなんてできるのか、
それだって疑わしいと思っています。」
ただ、その仮説が正しいなら、るくあの死は不本意や無念でなく、彼女が受け入れたことになってしまう。だからずっと、ぐるぐると思考の迷路を彷徨い続けていた。 卯木がその推察の根拠を求めるなら、中学時代の思い出を掻い摘んで聞かせることになる。
(381) 2023/11/20(Mon) 22時頃
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――回想/るくあ教の狂信者たち――
煙崎るくあを嫌う人なんて居ない。
美人でモテる女生徒なんて、同性からやっかみの対象になったり、万人から好かれるなんて有り得ないのが世の常だけれど、煙崎るくあはきっと誰からも好意的に受け入れられていた。
ある時、るくあのクラスの女生徒が、交際中の陸上部のエースがるくあに鞍替えしてフられたと、泣き喚いて友人に慰められている場面に遭遇した。僕からすれば真っ先に責められるべきはそのエースとやらで、るくあに罪はないと思うけれど、逆恨みは理屈じゃない。(坂理某への実体験を伴ってひしひし感じる)
(382) 2023/11/20(Mon) 22時頃
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放送室を掃除していた僕は、階段の側で群れる下級生の女子たちが、次第にるくあを生意気だとか泥棒猫だとか、ハブろういじめようと計画しているのを耳にしてしまって、心臓が飛び出る程の勇気を振り絞って「きみたち、掃除をサボっちゃいけないよ!!」と数年に一度の大声を張り上げた。 途端に蜘蛛の子を散らすように女子たちは走り去って。翌日の授業中、僕は気が気でなかった。るくあが、クラスメイトの女子たちからいじめられるかも知れない。様子を見に行きたい、助けの手をのべたいけれど、他学年の教室というのは、思いのほか敷居が高い。方程式を上の空で聞き流しながら、僕は悩んだ挙句に、報道部の後輩を呼びに来た素振りで、るくあのクラスを訪れた。 一人切り離された机、ポツンと孤立しても俯かない、すらりと背筋を伸ばした姿勢がいっそ痛ましく、僕の心を突き刺した。
(383) 2023/11/20(Mon) 22時頃
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それが、二日後には一変していた。教師や大人や警察が介入した形跡はない。ただ、いじめを主導していた女生徒が掌を返したように、煙崎さんが相手なら仕方がない、むしろ自分が難癖つけるのも烏滸がましいと、まるでるくあを女神か何かのように崇め始め、いじめに加担してた他の生徒たちも次々るくあに傾倒していった。 ――多分、陸上部のエースとやらが、るくあに告白するのも時間の問題と焦った僕は、一世一代の大勝負に出るわけだが、それはまた別の話。
るくあが教師に贔屓されている、色目を使ったに違いない、と悪意ある噂をばらまいていた女生徒が、号泣しながらるくあに許しを乞うてきたり。購買部での万引きを窘められた生徒が、逆恨みで嫌がらせを繰り返していたのが、急に別人みたいに更生したり。
煙崎るくあを嫌う人、害する人、責める人なんて居ない。
当時の僕は、それがるくあの魅力で、皆がそれに気付いてしまわぬよう、ひっそり愛でていたいと愚かな独占欲を燻らせていたけれど。今思うと、異様で不気味な状況だった気もする。*
(384) 2023/11/20(Mon) 22時頃
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