14 冷たい校舎村10
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[そうして迎えた文化祭当日。 案の定というべきか、妹がいっとう気に入ったのは、 猫耳メイド……ではなく、猫の着ぐるみの方だった。
注文を出すのも忘れてキラキラした眼差しを向けて、 即刻もふもふしに飛びついて行ってしまった。 まあわかるよ。もふもふしたくなる気持ちは。 和歌奈だって着ぐるみを見かければ、 分別を忘れずにもふりにいきたくなる時もある。
とはいえ和歌奈は、妹に飛びつかれてるでっかい方の猫の着ぐるみの中身が、 妖精さんでもプロの人でもなく、 愛想は良くないが腕っぷし的に頼れるクラスメイトの荒木春満であることを知っていた。>>1:286 知っているのでなんだか笑えてくる。 着ぐるみを着ることになった経緯を聞いた時も笑ったのにまだ足りないという]
(288) 2021/11/10(Wed) 13時半頃
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うちの妹がすまないねえ。 どうやらめちゃくちゃ気に入られたみたいで。
……そうだ写真撮ろう! 写真!
[そうしてまずは妹と着ぐるみのツーショットを撮るべくカメラを向け、 次にそれを他の人に渡して、和歌奈も合わせた三人で写真を撮った。 おお荒木くん、君の頑張りは忘れない――と、 撮れた写真を見てしばらく思っていた和歌奈であった]
(289) 2021/11/10(Wed) 14時頃
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[同じフレームにおさまった姉妹は、 歳の差を抜きにしてもあんまり似ていない。 それでも二人は姉妹という縁で繋がっている。
その繋がりをちゃんと守りたかった。 どれだけ遠くに離れていても、 よくよく光って見える星でありたかった。妹にとっての。
弱気になることはあったけれど、ずっとそう思ってきた]
(290) 2021/11/10(Wed) 14時頃
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[文化祭は楽しかった。家族も楽しんでた。 間違った方向に進まないように頑張れると、 この時はまだ思っていた**]
(291) 2021/11/10(Wed) 14時頃
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なーに言っちゃってんの。ったりめーよ。 これからも頼ってくんな。
[にかりと笑って親指を立てる。 そうだ、いつもの感じはこれ。いい調子。]
マジ? 期待しちゃう? たっぷり腹減らせてからいくわ。
[それはきっと誤魔化し。自分でも分かっていた。 けれども、嘘も突き通せば。それは真実なのかも知れない。]
(292) 2021/11/10(Wed) 18時頃
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おいおいそりゃあフラグってやつだっての。
[悪い顔をして幣太郎を小突く。 ならオレも特大のを立ててやろうか。]
ばちおか! フットサル行く? 釣りでもいいぜ!
[でも感謝されて嬉しかった。まんざらでもない。 そんな事言われたら・・・・・・]
(293) 2021/11/10(Wed) 18時頃
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[休みたい。けれど、休むのが怖い。 バスケでもよくあること。焦って、必要以上の練習をこなして、んでもって怪我して台無しになる。
休めって言って欲しいのに、頑張れとも言って欲しい。 そんなわがまま。]
(294) 2021/11/10(Wed) 18時半頃
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[そんな事全部すっ飛ばして、今からの結果は関係ないみたいに。
誘って貰えることで、ほっとした。
人は、馬鹿のほうがいい。 そんな時もあるさ。]
(295) 2021/11/10(Wed) 18時半頃
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[最後まで残ったヤツが掃除するってのが屋内部活の掟。 いつも最後まで残っているオレ、だだっぴろい体育館を1人で拭いて帰っていた。 だから慣れた手つき。廊下を拭きながら、再び誰かが通りかかるまで。
再び訪れたこの文化祭でできることを、考えていた。*]
(296) 2021/11/10(Wed) 18時半頃
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[ 最初は少し勘違いしたんだ。 随分と詳しいし。 まるで自分の事のように語るから。 もしかして君は、彼女のファンだったのかと。
だが直ぐにそうではないと、 言わんとする事に気付けば。
なるほど。 自分の事のように、ではなくて ───。 同時に自身の察しの悪さを知る。 だって髪の色が違えば、別の人だと思うだろう!? ]
(297) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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莉希。 私は君の言うドラマを視聴していない。 だから何も傷付いていない。 うん。何ら問題ないと思うんだ。
[ 複雑な理由に対する感想としては、 少々単純過ぎたかもしれない。
思考を巡らせている間に。 開けと命じられたエレベータは、 その通りに扉を開いた。
だが。車椅子を進める事はしないまま。 彼女と似ている、彼女そのものの。 二つの瞳を真っ直ぐに見つめて。 ]
(298) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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それに ───
[ 動かない事を不審に思った莉希が 何か紡ぐ前に。 自身の言の葉で、その疑問を封じる。 ]
何も出来ない役立たずのくせに あんたなんかいても迷惑だ みんなそう思ってる
そのみんな≠ヘ、何処にもいないだろう?
(299) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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だって口にした少女は勿論のこと。 台詞を考えた脚本家だって 否定されるために書いたのだろうし。
誰の意思も込められない台詞に、 私は傷つく必要性を感じない。
そして、詰られた少女は気の毒だが あんなことを言うなんて酷いと、 彼女に憤りをぶつけた人間のうちたった一人でも、
自身よりも不自由な人間に対して感じた気持ち。 誰かを助ける事に使ってくれたらいいと思う。
[ だから私には傷付く理由はないのだと。 当然のように口にして。]
(300) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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だが ───
[ 淀みなく言葉を並べていたが。 そこで一息区切ったら。 眉を下げ、微笑みの形を浮かべていた唇に、 若干苦いものを混じらせる。 ]
君からすれば災難だったな。 演技が巧みすぎて。 本心からのものだと誤解されてしまったのだろう。
うん。君の舞台は見事だったからな。
(301) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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複雑な事情。 聞かせてくれ感謝する。
苦しい中、よく頑張った。 莉希はとてもすごい女の子だ。
[ 1が2になっても、繋いだ手はそのままに。 ぎゅっと、一度だけ強く握った後。 行こうか。 にこにこと浮かべた笑みは少しはしゃいだもの。
脱出ゲームもそうだが。 回りたい所はまだたくさんあるのだと。
いつまでも降りぬ姿に業を煮やして閉じかけた扉。 くぐろうとすれば、危険だと怒られてしまったか。 ]
(302) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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[ 何も出来ない役立たずのくせに あんたなんかいても迷惑だ みんなそう思ってる
そう。そんな事を思っているみんな≠ヘ、 何処にもいない。 ]
(303) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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─── 思っているのは、私≠セ。
(304) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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[ 抱えるのに、少しだけ失敗して。 落ちてしまった胸の内。
君の手を引いて先行すれば、 言葉は前に進んだから。
後ろから続く君まで届いたかは、わからない。 ]**
(305) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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―― 回想・一寸先は……の話 ――
[“ひとりになりたい” その言葉を選んだのには意味があった。>>207 でも、和歌奈が心に抱えている荷物、 いわば本心的なところはさ、誰かに預けたくなかったから、そっと隠した。
「はやく人のいないどっか遠くへ行きたい」なんて、 あからさまに何かに悩んでるみたいじゃん。 みたい、じゃなくてそうか。 それに人と関わらないで生きるなんて、最初っから不可能なことなんだから。 その思いを口にしてもしょうがないじゃん]
(306) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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なんか思いつくといいね。 ……私もアドバイスはするかもだけど。 でも、結局夏見ちゃんの人生は夏見ちゃんだけのものじゃん?
だから、夏見ちゃんが心から納得できるように。 私や先生ができるのはその手伝いくらい。
[まあ頑張れって感じでひらひらと手を振った。>>208 軽い気持ちだった。 もしも次に進路のことを話す機会があるなら、 彼女の好きなことが何か、訊ねてみようか]
(307) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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[……そういえばなんだって、 「やり直したい?」なんて訊き方をしたんだろう。 「遠くへ行きたい」を噛み砕いて別の言葉にした私のように、 そこには意味があったのかな。
これは、でも……考えすぎかもなあ。 そういうことにしておいた。 でないと、あとあと突きすぎるような気がして。
突きすぎてあとで取り返しのつかないことになる。 それを、密やかに極端におそれていた]
(308) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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[私にだけ依存するって形でココロを壊す。
そんな発想、思いつく機会さえなかった。 唯一、特別な存在になる――かもしれなかった中学校時代の“親友”は、 結局この手で突き放したし。
けっこう葛藤した末に、 手ひどくフッちゃったわけだ。
って戯言はさておき。]
(309) 2021/11/10(Wed) 20時頃
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[……あ。 「人のいない遠く」それって「死の世界」も似たようなものかもね。
でも自分で死ぬ気はさらさらなかった。 だって、それこそ、自分のおかしさに膝を屈したみたいじゃん。
普通を目指して生きることが時折苦しくなっても、 忌々しくも人生はまだ先長く、 余生を送るなんて気分にはまだ早く、
私はちゃんとやれてるはずだから大丈夫って。 その時はまだ思ってたんだ*]
(310) 2021/11/10(Wed) 20時半頃
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[ママはいわゆる未婚の母だった。 どこの誰ともしれない人と子供を作って、 勘当同然で家を出たんだって。
母曰く、父親は有名な俳優だとか言っていた。 だから私にも、役者としての才能があるんだと。 それが真実かどうか私には確かめる術はなかった けれど。 だから写真には、私とママしかいない。>>1:72 父親や兄弟はもちろん、親戚も友達も希薄だった 小さな私が頼る人は、ママしかいなかったんだ。]
(311) 2021/11/10(Wed) 20時半頃
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―― 回想:衣装制作の舞台裏 ――
[和歌奈さんのありふれた家族の話を聞けば、 いいなぁと思う自分もどこかにいただろうか。 ちょ〜〜〜っとのそのちょっとは、和歌奈さんの 態度次第ではあれこれと追加され、ちょっとどころ ではなかったかもしれないのは置いといて。 雑談を挟みながら手を動かしていれば、 ぬいぐるみの服の話になって>>287]
ぬいぐるみ用かぁ 作ったことないけどいける、かな? 文化祭終わった後になるかもしれないけど。 メイドの良さをわかってもらわないとね!
[もし材料が余らなくても、ぬいぐるみ分くらい 演劇部から端切れを拝借してもいいだろうと、 密かにそんな目論見を抱きながら首肯する。]
(312) 2021/11/10(Wed) 20時半頃
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[首後ろを引っ掴んできた日食君にだって、 「君の耳は特別に虎にしてあげるから!」 とそんな交換条件を出して手伝ってもらっていた から遠慮しなくても大丈夫だと伝えて。]
あ〜〜〜! 日食君!そこ一緒に縫っちゃダメ!
[ダメ出しが飛ぶことも多かったが、そんな彼でも 開放しないのは虎の手でも借りたいぐらい だったから。 だから和歌奈さんも日食君も手伝ってくれたの、 本当に助かったんだ。]
(313) 2021/11/10(Wed) 20時半頃
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[妹さんは、猫の着ぐるみの方が気に入ったみたい。 それはそれで私の功績なので、うんうんって満足 しながらその微笑ましい光景を眺めていた。
荒木君も幼女に好かれてさぞご満悦だろう。 そうに違いない。
その時例のぬいぐるみを持っていたなら、ちょっと 拝借させてもらって、型紙を作ったんだ。 その後きっちりと納品させていただきました。 合わなかったらお直しも対応させていただきます。]*
(314) 2021/11/10(Wed) 20時半頃
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七星拳 ナツミは、メモを貼った。
2021/11/10(Wed) 20時半頃
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―― 現在・2Fエレベーター前 ――
うわっ動いた。
[なんにもボタンを押してないのに、 「1」が光ってたのが「2」になって、 中からクラスメイトの姿が出てきたのを見た。 何を話しているか……までは大して聞き取れず。>>305]
だいじょうぶ? 何にもおかしいところはない? このエレベーター。 中に入るとあやしい声が聞こえるとか。
[ちょっと慌てた様子で手を振って、 それから幾許は言葉を交わしただろうか。 2Fも文化祭の時と同じで、天文部のプラネタリウムも見られるって話はしたはずだ。 彼女たちと入れ替わるようにして、エレベーターを使って1Fへと降りる]
(315) 2021/11/10(Wed) 20時半頃
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―― 1F廊下 ――
[ここにも彩色された卵が点々として落ちていた。 カラフルな装飾に紛れていると、 まるであの日の一部分であるような錯覚すら抱くけど、そうではない。
結局本物じゃあない。 でも本物に限りなく近くて、だから胸がざわつくのだ]
(316) 2021/11/10(Wed) 21時頃
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お……っと、墨鳥くんじゃん。
……掃除中? 何拭いてるの? トマトジュース……にしては生臭い気もするけど。
[廊下をひとり掃除している墨鳥雄火。>>296 どうやらの赤色の“何か”が零れたのを拭き取っているようで。 マネキンのことも日食虎次郎がどこにもいないことも知らないから、 落ち着いた調子で訊いている。 ちょっとおかしいなって思うのは、文化祭の香りには混じらないその残り香だけ]
(317) 2021/11/10(Wed) 21時頃
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