人狼議事


31 私を■したあなたたちへ

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視点: 人

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【人】 銀河ギャル キャンディ

「僕の『好き』は愛じゃない。

そんな清らかで純粋なものではなくて、
もっとドロドロして、醜い感情もいっぱい渦巻いて、苦しくて、
相手の都合そっちのけで、自分勝手に押し付けて、
"見守って"いるだけで幸せなんて、そんなの嘘で、

――彼女の幸せも、周囲の幸せも、願えない。

愛情でなく欲情だ。
愛着でなく執着だ。

僕がキミしか見えないみたいに、
キミにも僕だけ見て欲しかった。」

 るくあの気持ちなんて、本心なんて、これっぽっちも省みることなく、ただぶつけるだけ。だって知ってしまったら、臆病で脆い自分が切り裂かれてしまう。
 チューブの道をモナリザと並走しながら、僕は夜空に彼の人の姿を描いて、肌色の指を折った。

(5) りしあ 2023/11/23(Thu) 01時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「僕はるくあが好きだよ。」

 1回。

「サラサラの髪が好きだ。

なんかいい香りもするし。」

 2回。

「高すぎない、落ち着いた声が好きだ。
先輩って呼ばれるだけでキュン死する。
  ……本当は、いつか名前で呼んで欲しかった。」

 3回。

「食べる時、ちょっと多く頬張り過ぎだと思う。
頬が膨れた時の丸みが、好きだ。」

 4回。

(6) りしあ 2023/11/23(Thu) 01時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「髪を掻き上げる時の小指の角度は
いっそ芸術的だと思う。好きだ。」

 5回。

「キミが宇宙と星が好きだと言ったから、
図書室で小難しい宇宙理論の本を読み漁ったよ。
最初はチンプンカンプンだったけど、
途中から面白くなってきて……、
数学と物理の成績が伸びた。ありがとう。好きだ。」

 後142621回。
 声が枯れるまで好きだと叫んだら。
 灰羅には『証明はできない、想い続けるしかない』なんて言われたけれど。るくあの居ない無彩色の世界で、後何日何か月何年経てば? 具体的な数を示されれば、己の命数を刻むのも一興かと思う。途中でカウントを忘れそうだから、傍らのモナリザに記録しておいて貰おう。

(7) りしあ 2023/11/23(Thu) 01時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「好きだ、好きだ、好きだ――、すk」

 電信柱の影に身を潜めながら、心の中で唱え続けていたそれを吐き出して。モナリザの胸部ディスプレイに表示されたデジタル数字がカウントを重ねていく。

「うん、勿論キミのことも好きだよ、モナリザ。
キミの設計、というかデザインって、

るくあの趣味かな?」**

(8) りしあ 2023/11/23(Thu) 01時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

――園内休憩スペース――

「あーなーただーけー 見つーめーてるぅー♪」

 ハイテンションなキャンディ用裏声でなく、地声で懐メロを口遊んでいたら、不意に声をかけられた(>>32)。

 『宇宙遊泳』でのVRゴーグルでの星間ツアーは、3DCGの作り込みもプロ顔負けレベルで、つい乗り物酔いになるまで4周も乗ってしまったり。案内のデフォルメキャラが可愛くて、キーホルダーが出るまで園内ガチャガチャ巡りをしたり。惑星パーリィタイムで、水星に乗ってぐるぐる、ぐるぐるしてたらやっぱり酔って、モナリザに介抱されたり。
 独り――否、エアるくあとアトラクション巡りをする内、モナリザに刻まれた『好き』カウントは176回を数えていた。

(58) りしあ 2023/11/24(Fri) 02時頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「…………よく見つけたな。」

 この広い園内、夜色に紛れそうな無彩色のモブ男性。希薄にツレ合う学友たちでも、見過ごしてしまいそうな印象も存在感もない、初対面の人物を彼は見出したのだ。
 こんな風に遊びに誘われたことも、思い出せないほどの遠い記憶にしかない。ツキリ、と心臓が軋む。
 観覧車に乗りながら考えていた二つの賭け。脳内で生死の天秤を揺らしながら、休憩していたベンチから立ち上がる。少しまだ地面がふらつく感じがしたが、弱った素振りは意地でも見せない。

 女子も、――るくあも、一発でノックアウトだろう爽やかな笑顔を、惜しげもなく自分にまで向けてきて、やっぱり腹の虫が収まらない。VRでもいいから顔面に拳を叩き込みたい欲求に駆られるが、そこは罰ゲームで拝めるだろう、『激マズドリンク飲んだ時の歪んだ不細工顔』で手打ちにしてやろう。
 ちなみに、先程独りで遊んだスペースデブリ堕としゲームは、ハイスコアの画面に『SAKARI Score68』と表示されていたので、腕試しにトライしたところ『Score78(0..100)x1』だった。

(59) りしあ 2023/11/24(Fri) 02時頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「そうだな、僕はゲーム系は
半分仕事で得意だから。

体動かす系にしようか。」

 何故、自分の利を捨ててまで彼に正当な勝負を持ちかけているのだろう。シューティングゲームの側の筐体は、対面して地球を模した円盤を打ち合い相手ゴールに入れる、『ギャラクシーホッケー』なるゲームだ。

「1セット5分、間に休憩挟んで3セットやろう。行くぞ!!」

 派手な電飾が瞬くマレットを意気揚々と構え、審判モナリザが見守る中、闘いの火蓋は切って落とされた――。**

(60) りしあ 2023/11/24(Fri) 02時頃

キャンディは、1セット目 1 点

りしあ 2023/11/24(Fri) 02時頃


キャンディは、2セット目 4 点

りしあ 2023/11/24(Fri) 02時頃


キャンディは、3セット目 1 点

りしあ 2023/11/24(Fri) 02時頃


【人】 銀河ギャル キャンディ

――ギャラクシーホッケー――

 思ったより乗り物酔いが醒めていなかったのか、足元がフラついて地球パックが思った方向に打ち出せない。坂理のガードがなかなか崩せず、放つシュートは決定打に欠ける。

「そのキレイな顔をフッ飛ばしてやる!」

 渾身のショットもまた、相手のマレットに弾かれ宙を舞い、ノーカウントで仕切り直しとなるのだった。じりじり膠着状態に思える、試合の行方は――?

(61) りしあ 2023/11/24(Fri) 02時頃

キャンディは、中身予想頑張ってるゆなまぎさんは可愛いof可愛い**

りしあ 2023/11/24(Fri) 13時頃


【人】 銀河ギャル キャンディ

 思うように動かない身体を持て余しながら、2セット目の休憩中に大きく屈伸したところで、アポロに着信。初回の自己紹介と同じく、音声データを聞いていくと、運動と勝負に高揚していた頭の一部に、ヒヤリと冷水を浴びせられたよう。

 熟慮するよう数秒瞑目してから、緩慢に指を動かした。

(67) りしあ 2023/11/24(Fri) 16時半頃

銀河ギャル キャンディは、メモを貼った。

りしあ 2023/11/24(Fri) 16時半頃


【人】 銀河ギャル キャンディ

 キャンディと黒須ワが同一人物だと結びつかない、そんな「人違い」の反応は正常だ。むしろ自身の確かなメイクの腕に自惚れながら、「運命?」と彼の不穏な単語に渋面になる。

「もしかしてキャンディの顔がタイプだったりするのか!?
るくあというものがありながらっ!!!?」

 半分冗談、半分は本気で凄んで見せるも、深入りする話題ではないと判断して、ついと視線を逸らす。相手はモブ顔と対極の顔面国宝様だ。妙技で塗りたくった擬い物の顔に、そこまで惹かれるとも思えない。

(124) りしあ 2023/11/25(Sat) 02時頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「救難信号……リミット……、
   そうか、急いだ方が良さそうだな。」

 全アトラクション制覇の目標を掲げた以上、達成前に強制中断は避けたい。
 その一環としてのギャラクシーホッケーだったが、正直言って相手を舐めプしていた。有難いアドバイス(>>81)が耳に入っても、つい憎しみ全乗っけの地球は、回転のかけすぎでゴールでなく壁や正面の防護にぶつかってばかり。苛々と歯噛みするも、またしても相手のシュートが此方のゴールに突き刺さったファンファーレが鳴り響いた。

「――――っくしょう、神様は不公平だ!!」

 敗北を悟り、天を仰いで膝をつく。真っ白な灰の如く燃え尽きた闘争心。スッピンの顔を汗の珠が転がり落ちる。
 坂理は汗を拭う所作すら、一端のアスリートみたいな爽快さを伴うのに。敗残兵の自分は肩で息をしながら、渇いた喉を潤すのは水でなく、容赦ない追撃の『ギャラクシードリンク』。中央カフェでしか提供されないそれを、モナリザが粛々と運んで来た。刑執行待ったなし。

(125) りしあ 2023/11/25(Sat) 02時頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「くそっ、思ったより酷い臭いだな……!?」

 ドロドロとした辛うじて液状のダークマター。醗酵というより腐敗したプルーン的な悪臭。ロケット・ランチとは別の意味で、人間の飲物ではない。もしかするとこれを呷れば、るくあのところに逝けるのでは、と思わせるだけの劇物である。
 味音痴な自覚はあるから、例え自分が飲むことになってもほぼノーダメージ、相手は悶え苦しみ息絶える。そんな筋書きだったはずだが、ギャラクシードリンクは想像以上にヤバそうだ。

 余裕の勝者をチラ見する。最早るくあの笑顔とカブることもない、悪魔だ、悪魔がここに居る……!!
 息を止めて、南無三と心で念じると、グラスを思い切り傾けた。

(126) りしあ 2023/11/25(Sat) 02時頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「〜〜〜〜〜〜〜〜っっっぶはっ!!!?!?


ダダダメだダメだコレはダメだ!!!!!
お前に負けて飲むと思うと、
激烈にマズくて猛烈に苦々しい!!!!」

 うげええぇ、とお聞かせできない異音と共に、胃から迫り上がる酷い臭いが鼻に抜けていく。一瞬、涅槃でるくあがオイデオイデと手を振っていた気がする。

「み、……水、を。みずぅ……。」

 霞む視界の中、白い機体へと弱々しく手を伸ばして。パタリと地へ伏す黒須ワ19歳、最期のことばがそれであった――。**

(127) りしあ 2023/11/25(Sat) 02時頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

 彼の言は正しい。るくあに出会う前は、学友と下世話な話に花を咲かせても、乾いた笑いの奥で心はずっと凪いでいた。五感も鈍り、無味乾燥とした世界を死んだように生きていたあの日々。るくあを失って、またあの灰色の生活に戻るかと思いきや、嫉妬や激情の発端はるくあでも、今は間違いなく目の前の宿敵にあらゆる負の感情をぶつけている。プラスマイナスの違いはあれど、平然とした顔で流されるのまで、るくあと同じような。

 るくあが、そしてるくあの隣に並び立つ存在が、殺したいほど憎らしくて羨ましくて眩しくて、自分は"その他大勢"の傍観者に過ぎないのだと、痛感させられる。

(164) りしあ 2023/11/25(Sat) 16時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

 ギャラクシードリンクによって瀕死の淵で喘ぐ身では、彼の敗北宣言もネタ晴らしも、意味為さぬ音が右から左の耳穴に通り抜けていくだけ。増して、どんな表情をしていたかなんて、確かめようもなかった。

 謙遜しているのか、憐れんでいるのか。連絡も取れず会えなかった夏休みを挟んですら、半年に満たない交流を、手を数度繋いだだけの拙い関係を、付き合っていた元彼だと主張するしかない自分に対して、彼は幾つものお揃いをあれだけ見せびらかしておいて、交際ではないとあっさり否認する。

(165) りしあ 2023/11/25(Sat) 16時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

 切れそうな命の糸を繋ぐため、口腔を漱ぐ水を含み、飲み下そうとして咳込む。涙目で滲む視界に、立派で分厚い装丁の冊子状のもの(>>151)。仰々しい書体を判読する前に、一方的に不足分を請求される。
 付け睫毛を外した切れ長の双眸が、スローモーションのように開閉する合間に。焦点を結べぬほど近く、坂理の明るい髪色が飛び込んできた。

「ん゛っ――……っ!?」

 悲鳴が喉奥でくぐもる。何が起きたのか理解が追い付かぬ内に、窒息の危機に晒されていた。鼻呼吸なんて忘れている。
 水で幾分薄まった苦みに、別のナニかの味が重なった。生暖かくて濡れた感触。るくあとなら、幾度も夢見たそれは――、

(166) りしあ 2023/11/25(Sat) 16時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「……ちょっ……待っ……おま、 っ……な、ナニ、が、

…………!!??????」

 ちくりと棘のような痛みを残して去り行く一点の熱に、はくはくと空気を噛むこと数秒。わなわなと生娘のように肩を震わせて、余裕の舌舐めずりすら凄絶な色香を放つ美貌の宿敵を涙目で睨みつけた。
 当然、反射で唇をゴシゴシ拭おうとしたが、直前ではたと硬直。

「え、も、もしかして、るくあと間接キスなのでは……!?」

 それ以前に自分にとってはファーストキスなのだが。急にドキマギ赤面し始めるモブ男に、飄々と立ち去る彼が回答をくれたかは、風のみぞ知るところ。**

(167) りしあ 2023/11/25(Sat) 16時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

――深夜/メリーゴーランド『銀河の海賊』前――

「どーすんのコレぇ……。
坂理め、しれっと厄介事押し付けやがって。」

 ダークマター・キッスの衝撃から、幾つのアトラクションに揺られただろう。最初に『宇宙遊泳』4周で飛ばし過ぎたせいか、そろそろ三半規管の限界が訪れていた。宇宙海賊が船酔いとは、残念な結果だ。
 ベンチで休憩withモナリザ。ブーツ運びをさせてしまった月星マークの機体を、心で勝手に『ヒデヨシ』と呼んでいる。手には先程の坂理の置き土産。よくよく読めば銀島の権利書で、自分の手にも終えないが、棄てるわけにもいかず途方に暮れている。そもそも、どこで入手したのだろう。灰羅あたりから盗み出したのだろうか?

「配信者稼業は廃業する予定だったけど、
コレで不動産王になれるわけでもないしなァ。」

 まともに遊園地経営に乗り出してみれば、存外軌道に乗るかも知れないが、やっぱりるくあは静かに眠らせてあげたい。
 どこかにちゃんと慰霊碑を建てて、銀河ギャルキャンディとモナリザ'sがお出迎えするギャラクシーランドを賑わせる未来も、あったかも知れないけれど。

(207) りしあ 2023/11/26(Sun) 00時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「こんな嵩張るモノ持ってちゃ、
観覧車よじ上るのも一苦労だよね……うぅん。」

 モナリザのディスプレイに表示されたデジタル時計は、既に日付が変わっていることを伝えている。救援はいつ頃来るのだろう。それまでに決めなければ。自分の居場所を。

「るくあ、好きだよ、好きだ――。」

 星空を見上げながら心で慟哭する。カウントは728回を刻んでいた。**

(208) りしあ 2023/11/26(Sun) 00時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

――深夜/中央カフェ――

 最後の晩餐がギャラクシードリンクなのはさすがに御免被りたい。深夜まで遊び歩く中、さすがに空腹を覚えてカフェの隅っこで一息。
 子供が喜びそうな見た目の拘りメニューがずらりと並ぶ。彩り豊かなオムライス・プラネット(>>2:17)を注文してみたけれど、三色のオムライスの味の違いが分からない、残念な結果になってしまった。

「不味さだけ分かるのって、
苦行以外のナニモノでもない……。」

 口元を汚す無味のチーズソースを舐め取って。存外柔らかかった他人のくちびるの感触なぞを思い出す。混乱は未だ晴れず、黒髪をガシガシ掻いてから、テーブルに突っ伏した。

「仮眠とる。誰か来るか、3時間経ったら起こして。」

 モナリザに見守られながら、起きたら関節の痛み必至な姿勢で、夢のない眠りへ落ちていく。**

(254) りしあ 2023/11/26(Sun) 14時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

――中央カフェ――

「ん……? 
ふぁーあ……ねむいな……寝てていい?」

 ピピピッ、――ピピピッ、 微かなアラーム音。

 目を擦りながら大きく両手を天に突き上げる。無理な体勢で寝たから、予想通り全身がゴキゴキ軋みをあげていた。半覚醒の頭で、アラーム発信源のモナリザを見て、おふぁよぅ、と欠伸を一つ。
 窓から見える空は薄らと明るい。そこで漸く、寝入る前にはなかった、机上の封筒(>>275)に気が付いた。預かりものをしかと届けたと、胸を張る代わりディスプレイを明滅させるモナリザに、うん、と目を眇め頷く。

「誰か来たら起こして、って言ったのに。
寝言で変なこと言ってなかったかな……あ、卯木さんか。」

 ころん、と落ちてくる硬貨。便箋を読んでも、それが何なのか理解するのに数分を要した。頭を抱えて呻く。

(334) りしあ 2023/11/27(Mon) 10時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「これ、マジで言ってる……?
あんな短期間行ってただけで、客の顔を、
僕のことを覚えてるなんて……。

マスターってそんな記憶力あるの?
あの時は変装だってしてたのに。
もしや卯木さん、本業は探偵かナニか??」

 封筒ごとパーカーのポケットに捻じ込む。しがらみが、また増えてしまった。誰の記憶にも残らない、取るに足りない存在に自らを貶めたいのに。

「世界にはお人好しが多過ぎる……。」

 朝食代わりに、太陽に見立てたブラッドオレンジが飾られたスムージーを飲み干して。モナリザを従えて、「次はどこ行こうか。」とエアるくあに問いかける。マップに表示される、未体験のアトラクションは、後8つ。**

(335) りしあ 2023/11/27(Mon) 10時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

――三日目――

 カフェの片隅のカプセルトイを、景気付けに5回ほど回してみた。最後に、シークレットがくる予感はビンビンしていたけれど、結果はやたらと毛足の長い太陽。う〜ん残念無念。

「キミは僕の太陽だ――なんて思ってたけど。
るくあのイメージはやっぱり星かな。
でも、空に輝くあの小さな光も、
実際は恒星なんだから太陽も同じ、かも。」

 ボールチェーンの先、眼前で赤い毛玉を揺らしながら、口角を歪めて苦笑する。

(346) りしあ 2023/11/27(Mon) 13時頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

 まず足の向いた先は、『星の夢』と掲げられた貸衣裳館。キャンディの衣装に勝るとも劣らない、そこはかとなく宇宙的なコスプレ衣装がずらりと並んでいる。試しに手に取ったのは、耳にタグのついた白鼠の着ぐるみだった。人間サイズだと、かなり巨大な鼠になってしまう。

「実験動物的なヤツかな。早々に投棄されそう……。
この遊園地のマスコット的存在なら、
モナリザで十分だよね。
るくあは、こっちなんてどう?」

 一見すると、手術に臨む医者のような白衣とマスク。だがセットに、顕微鏡のレンズが複数くっついたようなゴツいゴーグルが付属している。さながら、怪しい人体実験でもしてそうな科学者のコスプレ。

(347) りしあ 2023/11/27(Mon) 13時頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「女医さんやナースもいいけど、
もうちょっと宇宙風味足さないと
園内で浮いちゃうかなァ。

こっちの、金属の全身覆うみたいのも、
神秘的で恰好いいね。
どうせなら、僕が衣装に似合うメイクとか
してあげたのに……いくらでも……。」

 一通り、あれこれと見回ったけれど、そもそもキャンディの姿がコスプレのようなものだ。今は中学生の頃の気持ちで、るくあとのデートを妄想しているのだから、担当のモナリザに頭を下げて、モブスタイルのまま建物を*出て行く。*

(348) りしあ 2023/11/27(Mon) 13時頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

 プラネタリウムで星を鑑賞したり、遊覧船に揺られたり。
 のんびりと満喫していたら、結局は全部乗りきらないままに、その時はやってくる。

 救援の船が到着する頃。地味な青年の姿は桟橋になく、尚回り続ける観覧車の下に。

「きっとあの天辺が、この島で一番宇宙(そら)に近いね。

――楽しかったよ、るくあ。
きっと、キミが一緒に遊びたいと思っていたみんなも、
楽しんでいたと思う。

でも、もうじきに、夢は醒めるんだ。

キミの居ない、灰色の現実に、かえる時間だから。」

 眩い陽射しに手を翳しながら、一心に円周上の最高地点を、様々な絵の描かれたゴンドラが過ぎていくのを眺めて。覚悟を決めたように、固唾を*飲んだ。*

(349) りしあ 2023/11/27(Mon) 13時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

――観覧車――

 遺書にも満たない短い文を、『アポロ』に打ち込んで送信して。デバイズを外すと、最後まで付き合ってくれたモナリザの首にかけた。ついでのように、権利書一式も押し付ける。

「桟橋に行って。何なら救援の船に乗せて貰うといい。」

 ポンポン、と優しく頭を撫でてやると、モナリザは聞いたことのないピルピルした電子音を発した。そのままじっと、岩のようにその場を動かない。島から出られないよう、プログラムに組み込まれているのだろうか。
 離れ難さに2つほどゴンドラを見送ったけれど、意を決して空に溶ける青い地球色のゴンドラに向かう。開いた扉の隙間に手と足をかけ、ゴンドラ本体の上に飛び乗った。

(390) りしあ 2023/11/27(Mon) 22時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

「――行ってったら。」

 どんどん小さく遠ざかっていく、此方を見上げるモナリザの姿。緩慢に見える回転速度も、風を切るゴンドラの天井に座れば、結構早いのだと体感する。太陽に灼かれたゴンドラの表面は熱く、お尻が焦げそうだ。
 バイバイ、と手を振っても、追い払う仕種をしても、眼下のモナリザは去ってくれなかった。困った子だ、と呆れた失笑。緊急停止でもされたら、自力でゴンドラを攀じ登るらなければ、未だ高度が足りない。

「…………夢みたいなひとときだったね。」

 風に煽られる短い髪を抑えながら、隔てるものなしに足元に展開するギャラクシー・ランドの全景を収め、うっとりと呟いた。*

(391) りしあ 2023/11/27(Mon) 22時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ

 時折風に揺れ、軸の繋ぎ目でガタンと傾ぎ、曲面に座った身体はバランスを崩しそうになる。その度に冷やりとしながら、爪を立ててしがみ付いて、体勢を立て直して。本能的に四肢は震えてくるけれど、胸中は次第に解放感と清々しさが充ちてくる。味覚と同じように、恐怖心すら次第に麻痺してしまうのだ。


 死への畏れを凌駕するそれは、ただの脳内麻薬の作用に過ぎない。愛と錯覚するには、狂い過ぎている。


 予行演習は終えていた。窓から落とした向日葵のコームのように、自分もまた誰にも見つからず、掃除ロボットの手だけ少し煩わせてしまうだけ。
 弧の軌道が天に差し掛かる。上昇は緩まったから、作業のようにゆっくりと確認しながら。一本一本指をゴンドラから剥がし、腰を上げ、不安定な足場に二本の足で、まるで初めて立ち上がった赤子のように。

(404) りしあ 2023/11/28(Tue) 00時半頃

【人】 銀河ギャル キャンディ



 世界が あお で埋め尽くされる。

 るくあの居ない世界の色。

 あおが沁みて眼球を覆う水分が、粒になって散っていく。

  

(405) りしあ 2023/11/28(Tue) 00時半頃

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