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── 現在:海のそば ──
ああ、なるほど。そういう意味でしたか。
[ もう誰も死ぬことはない、という話に>>1 合点がいったという風に頷いた。
かくいう卯木は、 自分が殺されるかどうかについては無頓着で、 招待主が確定していない今も、 自分が死ぬ可能性があるのかないのかも 特に気にしてなどいない。 ]
(15) JITA 2023/11/23(Thu) 12時半頃
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私が、ですか?
[ 殺したい人がいるかと問われ、>>2 卯木は目を丸くする。
実際のところ、どうだろうかと考えてみるけれど、 そもそも殺意を抱けるほど、 他人に執着したこともなければ、>>1:178
自分が人間社会から弾き出されることも 許容できないのだ。>>0:217>>0:218
その考えは、自身が煙崎るくあに対して 引導を渡した可能性に思い至ったところで>>3:281 変わることはない。 ]
(16) JITA 2023/11/23(Thu) 12時半頃
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[ そう、結局変わらないのだ。 どんな悲劇が起ころうと、 どんなに罪悪感に押しつぶされようと。
幼い頃から自身に根付いた価値観は、 それが正しいと思っているうちは、 きっと移り変わることなんてない。
だから── ]
(17) JITA 2023/11/23(Thu) 12時半頃
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[ ──もう、いいのかもしれない。
いつまでも罪悪感を抱いていたところで、>>1:182 起こった結果は変わらない。
だったら、自身の罪を背負いながらも 前を向くしかないじゃないか。 だって、卯木の人生はまだ ここで終わったりなどしないのだから。 ]
(18) JITA 2023/11/23(Thu) 12時半頃
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私は誰のことも殺しませんよ。 まだ、人間として生きていたいですから。
[ 坂理に伝わらないと分かりつつも、>>0:217 実にすっきりとしたような朗らかな笑みで、 卯木は断言した。 ]
月見ハンバーグプレート気になりますか? では、来られるのが9月中であったならば、 ほうじ茶と兎型大福と共にお出ししましょう。
(19) JITA 2023/11/23(Thu) 12時半頃
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おや、それはお忙しいところを お引止めしたようで申し訳ございません。
[ 相手は友達、かは分からないけれど、>>3 何となく黒須だろうか、と思ったのは、 アポロでミサンガを受け渡したらしい文面を 見たからで。 ]
……どうぞお楽しみを。
[ 嫌な予感はするものの、>>3:283 結局その懸念を口に出すことはなく、 ]
(20) JITA 2023/11/23(Thu) 12時半頃
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耳、ですか?
[ 「こういうのですか?」と 頭の上に丸めた両手を乗っけては、 どこかのネズミのキャラクターを模したような格好で 小さく首を傾げたけれど、 ]
はい、行ってらっしゃい。
[ 坂理に手を振り返しながら、 卯木はもう少しだけ、 この場所から海を眺めていようか。 ]**
(21) JITA 2023/11/23(Thu) 12時半頃
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宇宙原理衆 ウツギは、メモを貼った。
JITA 2023/11/23(Thu) 19時半頃
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── 中央カフェ厨房 ──
[ しばらく海を眺めていた卯木であったが、>>21 この島が墓標であるならば、>>3:*26 煙崎るくあに最後の挨拶をしたいなと 卯木は思った。
それは罪悪感から出た気持ちというわけではなく、>>2:213>>16>>17>>18 ただ、話したいことがあるから、 という純粋な気持ちだった。
テーマパーク内で、モナリザたちが奏でる 月光第三楽章のけたたましい音楽の中で>>3:30 少々不思議な気持ちになりながらも、 卯木は中央カフェへと向けて足を進める。 ]
(52) JITA 2023/11/24(Fri) 00時頃
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[ 中央カフェの厨房にて、 サポートロボットに断りを入れると、 納得したのかは分からないが、 卯木が調理するスペースを空けてくれた。
お供え用に大福を作ろうかと思い、 冷蔵庫の中を見てみるが、 餡子になりそうなものは見つからなかった。 ]
クリーム大福にしようかな。
[ それから、卯木は白玉粉、上白糖、水、片栗粉、 生クリーム、グラニュー糖、氷、苺、ブルーベリーを 用意すると、 ボウルに白玉粉と水を入れて混ぜた後、 穴のあいた平たい生地をいくつか作ると、 生地を熱湯に入れて茹でる。 ]
(53) JITA 2023/11/24(Fri) 00時頃
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[ ふつふつと茹で上がる熱気にあてられて、 生地が浮き上がってくると、 別の鍋に生地を移して、弱火にかけると 木べらで練りながら混ぜて、 上白糖を加えてさらに混ぜ、を繰り返し、 片栗粉をまぶしたバットに生地を流し込んで、 生地の上からさらに片栗粉をまぶして 求肥が完成する。
次は生クリームを氷水に当てながら泡立てて、 ツノが立ったら、生クリームを絞り袋に入れ、 苺を包み込むようにして生クリームを こんもりと丸く絞ると、冷蔵庫で冷やし固める。
求肥で冷やし固めた生クリームを包み込み、 最後に1/4にカットした苺とブルーベリーで 兎の耳と目を作ってクリーム大福が完成した。 ]
(54) JITA 2023/11/24(Fri) 00時頃
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── 現在:ジェットコースター『宇宙遊泳』前 ──
[ この島自体が墓標ならば、 別にどの場所で弔っても良かったのだけれど、 ジェットコースターの前に来たのは、 ホログラムの映像を見たのが、 ジェットコースターに乗った後だったからか、 何となくこの場所に彼女がいる気がしたから。
先ほど作ったばかりのクリーム大福を皿に乗せて、 この場所までやって来た卯木は、 大福の皿を地面に置くと、そっと手を合わせた。 ]
兎坂庵の大福じゃないけれど、 ここだと用意できないみたいだから 許してくれると嬉しいな。
(55) JITA 2023/11/24(Fri) 00時頃
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[ 兎坂庵で作る大福は、中身はこし餡で、 兎の耳と目は甘納豆でできている。
せめて求肥だけは普段通りに作ろうと思ったが、 きっと煙崎るくあが好んでいた大福とは だいぶ違うものとなっただろう。 ]
あの日話したことを、>>0:217 僕は撤回するつもりはないけれど、 でも、従弟のことで君が相談に乗ってくれたことは 本当に感謝しているから。
(56) JITA 2023/11/24(Fri) 00時頃
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[ 彼女に自分の言葉が届くといいなと 心から願いながら。>>0:217 卯木は瞳を閉じて、謝意の言葉を呟いた。 ]**
(57) JITA 2023/11/24(Fri) 00時頃
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── 現在:天の川ロード前休憩所 ──
[ 煙崎るくあへのお供えが終わった後、 クリーム大福の皿を持って 園内をぶらぶらした卯木は、
最終的にたどり着いた休憩所のベンチに座り、 アポロを操作していたら、 新たな音声メッセージが届いていることに気づいた。>>*0>>*1 ]
……そっか。
[ 煙崎灰羅が犯人でなかったのなら、 ほぼほぼ招待主だろうと思っていた卯木は、 特に驚くこともなく、ぽつりと言葉を零す。 ]
(68) JITA 2023/11/24(Fri) 16時半頃
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[ 遅くとも明後日には救援が来るらしいが、 それまでに招待主と犯人の間で、 何かしらの決着がつくのだろうか。
いや、卯木が煙崎灰羅のメッセージに 気づいたのは、 届いてからしばらく時間が経った後だったから、 もう既に決着がついた後なのかもしれないが。 ]
(69) JITA 2023/11/24(Fri) 16時半頃
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[ 改めて、中村から届いたメッセージを眺める。>>3:*19>>3:*20>>3:*21 「”招待者”に確実に届ける」ための一斉送信。
招待主が犯人に何をするつもりなのかは、 あのホログラムが話した言葉を覚えていたら、 きっと容易に想像はつくはずで。
中村が毒薬を所持していた理由や、 死を受け入れる理由、 煙崎灰羅が煙崎るくあの復讐をしようとした理由。 仮に全てが理解ができるものであったとしても、 卯木にはきっと受け入れられそうにない。
だけど── ]
(70) JITA 2023/11/24(Fri) 16時半頃
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あまり後味の悪い結末は、 僕は好きじゃないんだよね。
[ 物語のハッピーエンドのように>>3:224 現実はそう上手くはいかないけれど。 やらなかったことで後悔するということは したくはなかったから。
今後どうなるかは分からないし、>>3:279>>3:280 すでに決着がついた後かもしれない。
それでも、アポロを操作する卯木の指は 止まることはなかった。 ]
(71) JITA 2023/11/24(Fri) 16時半頃
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さてと、どうなるかな。
[ まあ卯木にできることなんて、たかが知れてるし、 どうなろうと文句を言うつもりもないけれど。
二人にメッセージを送った後、 卯木は一つクリーム大福を含む。
柔らかい求肥が綻んだ場所から、 コクのある生クリームがあふれ出すが、 苺とブルーベリーの爽やかな香りと 甘さ、かすかな酸味が影響してか、 くど過ぎず、なかなか食べやすい。
慣れない場所で作ったにしては上出来かな、 と自画自賛しつつ、 卯木はもう少しこの場所で休んでいようか。 ]**
(72) JITA 2023/11/24(Fri) 16時半頃
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宇宙原理衆 ウツギは、メモを貼った。
JITA 2023/11/24(Fri) 16時半頃
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── 天の川ロード前休憩所 ──
行き先、かあ。
[ 届いた煙崎灰羅のメッセージを読みながら、>>*9 彼の目的は犯人を殺すことだったのだから、 そこから先にどうしたいかについては、 今すぐには分からないだろうなとは思いつつも。
もし彼が煙崎るくあの兄ではなかったということを 卯木が知れば、さらに悩むことになりそうだが、 そんなことになりそうな可能性については、 この時点では想像もしておらず、 ]
(106) JITA 2023/11/24(Fri) 23時半頃
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まあ、死にたいとか言わない限りは、 文句言うつもりも殴るつもりもないんだけどね。
[ 今回この島に呼び出されて、 全く被害がないわけではないが、 当初考えていたほどは 理不尽な状況には陥らなさそうだし、>>0:121
そもそも罠だと気づきつつも>>0:22 この島に来た卯木にも否はあるから、 その点に怒りはない。 ]
さてと、そろそろホテルに戻ろうかな。
[ もう一つクリーム大福を食べつつ、 卯木はベンチから立ち上がると ホテルへと足を動かした。 ]**
(107) JITA 2023/11/24(Fri) 23時半頃
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宇宙原理衆 ウツギは、メモを貼った。
JITA 2023/11/24(Fri) 23時半頃
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── 現在:ホテルロビー ──
[ ホテルのロビーに到着した後、 ソファーに座り込みながら、 本日3個目のクリーム大福を食べていたところ、>>54 中途半端な文面のメッセージが届き、>>*11 辺りをきょろきょろと見渡していたら、 煙崎灰羅から声を掛けられた。>>158 ]
うん、まだ起きていられそう。
[ ふにゃりと目を細めながら、 卯木も彼に向かって手を振る。
普段は喫茶店の朝の準備が早いこともあり、 卯木は早寝早起きをモットーとしているが、 いつまでゆっくりと話せるか分からないからと、 多少の夜更かしならする覚悟はあった。 ]
(159) JITA 2023/11/25(Sat) 15時頃
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[ それから、煙崎灰羅が側に来たなら、 もし彼がクリーム大福に興味がありそうなら 「食べる?」なんて言いながら まだ残っている大福を勧めただろうが、
いずれにせよ、 向かいの席に座ることを勧めつつ、 ]
中村さんと話して、何か変わることはあった?
[ 漠然とでもいいから 行き先は決まっただろうか、>>*9 と思いながら彼に尋ねてみる。 ]*
(160) JITA 2023/11/25(Sat) 15時頃
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── ホテルロビー ──
ホテルのメニューは分からないけれど、 少なくとも中央カフェには 和菓子のメニューはなさそうだったかな。
おかげで作るのに苦労した。
[ 話の流れ的に、メニューとは>>162 おそらく兎坂庵ではなく、 ホテルのメニューのことだろうと思いつつ。
それから、彼がコーヒーを啜って話し始めるまで 卯木は黙って見つめつつ、 ]
(171) JITA 2023/11/25(Sat) 17時半頃
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るくあさんが人を操ることができたっぽいことは なんとなく想像はできたけれど…… そっか。血の繋がり、なかったんだ。
[ 続く言葉に、卯木は目を見開いた。>>163 話の流れとしては、 元々血が繋がってないことを知っていたのではなく、 あのノートを見た時と同様に、>>2:214>>2:215 この島に来て初めて知ったのだろうと推測する。
彼は煙崎るくあの復讐のために、 ここまで大掛かりなことをしたというのに、 その根幹が揺らいでしまっては 行き先を見失っても不思議ではないなと、>>*9 卯木は眉根を寄せる。 ]
(172) JITA 2023/11/25(Sat) 17時半頃
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そうだね。僕自身には関係ない話だ。 でも、僕が気になっていることには関係あるよ。
僕が聞きたいのは、 『君がこれからどうしたいと思っているのか』 ということだから、 君自身には関係あることも できれば知っておきたいかな。
まあ、話したくないことなら 無理に聞こうはと思わないけれど。
(173) JITA 2023/11/25(Sat) 17時半頃
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[ 断罪したいでも、受け入れたいでも、 撥ねのけたいでもなく、>>163 卯木はただ現実が上手くいくために>>71 自分に何ができるかを考えたかっただけで。
仮にそれが、煙崎灰羅にとって 都合のいい展開であったとしても、 それはそれで構わないと卯木は思う。 ]**
(174) JITA 2023/11/25(Sat) 17時半頃
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── ホテルロビー ──
なるほど。 るくあさんが人体実験した研究所には 灰羅さんも所属していたのかな。
当面は研究所のことを調べるって感じかな? たしかに、そういう実験を潰したいというのは きっとるくあさんも望んでいると思うし、 いいんじゃないかなって僕も思う。 まあ、あまりに過激なことをすると言われたら ちょっと賛成はしかねるけれど。
[ 特に隠し立てもなさそうに話される内容に、>>179 卯木は納得したようにふむりと頷いた後、 ]
(184) JITA 2023/11/25(Sat) 21時半頃
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身の振り方、かあ。
僕個人としては、今回に限っては 警察とかから何かしら聴取を受けても 適当に誤魔化してもいいかとは 思ってはいるんだけれどねえ。
[ 卯木の中では、 心が離れてしまうような案件ではなかった為、>>0:218 自身に火の粉が掛からない限りは、 請われれば協力しようとは思っているが。 ]
まあ、死ぬつもりだとか言わないのなら、 そこは君の判断に従うつもりだよ。
[ 彼の目線につられるように、>>180 卯木も夜の暗闇を眺めながら、 ]
(185) JITA 2023/11/25(Sat) 21時半頃
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こんなに真っ暗に見えてもさ、 いつか夜は明けるんだよね。
[ ぽつり、と一言呟いた後、 すでに夜明けの気分になっていた卯木は、>>17>>18 ほんの少し自分語りをしたくなり、 ]
僕にはね、一回り年の離れた従弟がいたんだけど、 4年と少し前に事故で亡くなってね。 僕は兄気取りで接していたんだけれど、 きっと彼から見て僕はいいお兄ちゃんじゃなかった。
従弟が亡くなってから、どうして僕は 従弟を支えられるような人間になれなかったのかなって ずっと後悔していたのだけれど。
(186) JITA 2023/11/25(Sat) 21時半頃
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この島に来て、君も含めて色んな人と接するうちに もう少し前向きに生きていけるような そんな気持ちになったんだ。
だからといって、お礼を言うのは違うと思うから 言わないけれど。
でも、僕はこの島に招待されて、 いいこともあったよって、君には知っていてほしいんだ。
[ 少しでも彼の心が軽くなればいいと思って、 ふわりと微笑みながら、卯木は語りかけてみた。 ]*
(187) JITA 2023/11/25(Sat) 21時半頃
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── ホテルロビー ──
そっか。それなら良かった。 死にたいなんて言われたら、 僕はきっと君のこと殴ってただろうから。
[ 「死ぬつもりはない。」>>191 そう明言されると、心から安堵して、 軽く冗談めかしながらも、 卯木は小さくため息を零す。
それから、自身の過去の話をした後、 短い頷きが返ってくると、>>192 卯木もまたこくりと頷いて、 ]
(203) JITA 2023/11/26(Sun) 00時半頃
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やっぱり出来がいい兄がいると 反発しちゃうのかなあ。 僕ひとりっ子だったからか、 そういう感覚よく分からなかったんだよね。
[ まあ、そういう意味だと、 兄としては出来は良くなかったのかな、と 自虐の笑みを浮かべようとして、 続く言葉に卯木の顔は目を丸くした きょとんとしたものに変わる。>>194 ]
デカくて有意義……?
[ ただ、鸚鵡返しに繰り返す。 正直、あまりピンとはきていない。 けれど、もう必要以上に 自己を卑下することはしないと決めたから──>>18 ]
(204) JITA 2023/11/26(Sun) 00時半頃
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あの子もそう思ってくれてたなら嬉しいな。
[ 苦味など一切ない微笑みを浮かべながら、 ]
これからも、君やみんなから デカくて有意義な存在だって 思ってもらえるように頑張るね。 ありがとう、サービス精神旺盛な招待主さん。
[ 礼を言わないといった舌の根も乾かぬうちに>>187 手のひらを反すこととなったが、 これは招待されたことに対する礼でないから、 と内心で言い訳しつつ。
席を立つ煙崎灰羅に「じゃあ、またね」と 手を振りつつ、彼と別れた後は 卯木は自室の305号室へと戻っていった。 ]**
(205) JITA 2023/11/26(Sun) 00時半頃
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── 帰還後の兎坂庵につきまして ──
[ 銀島に救援が来た後、>>#3 もしかしたら怪我などがないか調べるため 病院で簡単な検査などをしたかもしれないが、 特に問題のなかった卯木は 早々に自宅に帰宅できたと思う。
兎坂庵にて、今回の事件について 従業員から「何があったのか」と尋ねられても、 卯木は特に多くを語らず、 迷惑を掛けたことを詫びるに留まった。 ]
(211) JITA 2023/11/26(Sun) 02時半頃
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[ そんな風にバタバタとした日々を過ごしながらも、 あっという間もなく9月になったため、 期間限定の月見ハンバーグプレートを 出す時期になる。>>3:300 ]
お待たせいたしました。 月見ハンバーグプレートでございます。 ごゆっくりどうぞ。
[ 本日もお客様から入ったオーダーに応えて、 料理を出す。 ]
(212) JITA 2023/11/26(Sun) 02時半頃
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[ 月見ハンバーグプレートは、 真っ黒な皿の真ん中にはハンバーグが鎮座し、 そこに牛ひき肉、トマト、玉ねぎ、人参、セロリ、 赤ワインなどを煮込んで作った デミグラスソースがかかり、 その上に半熟の目玉焼きが乗っていて、
月見ハンバーグの左側には、 兎の顔型に盛り付けた五穀米が、 右側にはこれまた兎の顔型に盛り付けた ポテトサラダが、 上側には、白髪ねぎのバター炒めが すすきに見立てて添えられている。 ]
(213) JITA 2023/11/26(Sun) 02時半頃
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[ そういえば、9月中に間に合えば 月見ハンバーグプレートを食べたいと 坂理が言っていたなと、>>2>>3>>27
ほんの少し前のことを思い出しては、 はたして間に合うかな、 と卯木は自然と笑みを浮かべるのだった。 ]*
(214) JITA 2023/11/26(Sun) 02時半頃
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── 兎坂庵にて菊水との再会 ──
いらっしゃいませ。 菊水さん、ようこそお越しくださいました。
[ 菊水の姿を見れば、>>200 懐かしさに卯木はふわりと微笑んだ。
あのテーマパークで出会った時のような 黒のワンピースを纏った彼女と違い、 こちらは制服である 常盤色の着流し姿ではあるけれども、>>0:12
こうして再会すれば、 あのテーマパークで過ごした日のことが、 昨日のことのように思い出せる。 ]
(215) JITA 2023/11/26(Sun) 02時半頃
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ふふ、下見ですか。 それでしたら、次はご主人と共に来ていただけるよう、 精一杯おもてなししないといけませんね。
[ 冗談めかしながら、注文を承ると 一旦厨房へと引っ込みながら、 白玉クリームあんみつは他の従業員に任せ、 卯木は焙じ茶を入れる準備をする。
温めた急須と湯飲みを用意し、 茶葉を入れた急須に 沸騰したばかりの熱湯を一気に入れて、 30秒ほど蒸らすと、 焙じ茶独特の香ばしい香りが辺りに漂う。 ]
(216) JITA 2023/11/26(Sun) 02時半頃
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[ 焙じ茶が出来上がったちょうどいいタイミングで、 白玉クリームあんみつの盛り付けが 完成したようだ。
白玉クリームあんみつの器には、 兎形にカットした林檎や白玉団子、 苺、キウイ、蜜柑、粒餡、黒糖ゼリー、 抹茶アイスが乗っていて、
その横に黒蜜の入った小さな器を添えてある。 ]
(217) JITA 2023/11/26(Sun) 02時半頃
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お待たせいたしました。 白玉クリームあんみつと焙じ茶でございます。
[ 白玉クリームあんみつと湯飲みに注いだ焙じ茶を 菊水の座るテーブルに運びながら、 ]
それにしても、お互い無事に帰れてよかったですね。 結婚式の予定などに、 支障が出なかったのであればよいのですが。
[ 観覧車での会話を思い出しながら、>>1:296 こうして島の外で再会できたことに 人心地がつく気分になる。
まあ、卯木に良い出会いは>>2:58 残念ながら未だに訪れてはいないが、 今のところそれは些事な問題であるから。 ]**
(218) JITA 2023/11/26(Sun) 02時半頃
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宇宙原理衆 ウツギは、メモを貼った。
JITA 2023/11/26(Sun) 02時半頃
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── 回想:深夜の中央カフェ ──
[ 煙崎灰羅と別れ、自室に戻る前、>>205 クリーム大福を乗せた皿を 中央カフェに返さなければならないことに気づき、 卯木は再びテーマパーク内へと足を進める。
煙崎灰羅とは テーマパーク内で待ち合わせても良かったかも、 と若干の後悔をしつつ、中央カフェに辿り着くと、 テーブルに突っ伏して眠る青年の姿が>>254 目に入った。
その格好と顔つき、 そしてホテルラウンジで話した時の声を思い出して、 束の間の常連客に思い当たる。>>2:289>>2:290 ]
(272) JITA 2023/11/26(Sun) 16時半頃
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ああ、そういうことか。
[ 招待客とは全員顔を合わせたが、 彼と似た風貌の人物はいなかった。 おそらく彼は黒須なのだろう。
合点がいったように卯木は頷いた後、 皿を厨房にいるサポートロボットに渡し、 それから、卯木は惑星の透かし絵の入った便箋を 用意してもらうと、文字を書き始めた。 ]
(273) JITA 2023/11/26(Sun) 16時半頃
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[ 続けて書く文章に、卯木は少し悩む。 すげなく断られた誘いを思い出し、>>3:36 余計なことは書かない方がいいかもと思いつつも、 結局、卯木は自らの希望を書き記した。 ]
(274) JITA 2023/11/26(Sun) 16時半頃
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彼が目を覚ましたら、こちらをお渡しください。
[ 黒須を起こそうとするサポートロボットを 卯木はやんわりと止めつつ、
真っ白な封筒に先ほどの便箋と お釣りの硬貨を入れ、 月模様のシールで封筒の口を留めると、 サポートロボットに手渡す。
一方的な話を終えると、 今度こそ卯木は ホテルの自室へ向けて足を動かした。 ]**
(275) JITA 2023/11/26(Sun) 16時半頃
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宇宙原理衆 ウツギは、メモを貼った。
JITA 2023/11/26(Sun) 16時半頃
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── 兎坂庵 ──
ありがとうございます。 他のお客様からも 「何も考えずにホッと一息つきたいときによく来る」 と、よく言われるのですよ。
[ 菊水の言葉に卯木はぺこりと頭を下げる。>>279
兎坂庵は、祖父母の代から華美な装飾はせずに、 お客様に安らぎを与える場所にすることをモットーに 店を営んできたから、 落ち着くという言葉は素直に嬉しかった。 ]
(291) JITA 2023/11/26(Sun) 20時半頃
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はい。店の内装は和風の家具で統一して そこまで兎を押し出してはいないのですが、 料理にはところどころに兎を入れているのです。
ふふ、お口にあったようで何よりです。
[ かわいいという言葉に、>>280 にこりと微笑みながら、 口に含んだ後の感想には、>>281 相好を崩して、安堵のため息を一つ。 ]
(292) JITA 2023/11/26(Sun) 20時半頃
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おや、こちらが婚約者さんですか。 たしかにお若いですが男前ですね。 それに誠実そうな印象を受けます。
ええ。ぜひ次はお二人でお越しください。
[ スマホの写真を眺めつつ、>>281 幸せそうな姿を見ると、 こうして無事に帰れて良かったと 改めて卯木は思った。 ]
(293) JITA 2023/11/26(Sun) 20時半頃
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島の誰かですか? そうですね──
[ それから、先日に坂理が来店して、>>234 月見ハンバーグプレートを 美味しそうに頬張る姿を眺められたこと、 惜しみない感想をもらえて嬉しかったこと、 そのとき坂理が座っていた席は、 ちょうど菊水が座っている隣の席だったことを 卯木は思い出深く話す。
もし来店時に同伴者がいたり、 島にいた誰かと連絡先を交換したりしたならば、 その旨も合わせて菊水に話しただろう。 ]
(295) JITA 2023/11/26(Sun) 20時半頃
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あの島では色々なことがありましたが、 こうしてまた出会うことができ、 お客様にもなってもらえるなんて、 私は幸せ者だなとつくづく思います。
[ しみじみとした気持ちになって、 卯木は嬉しそうに目元を細めると、 こくりと小さく首を縦に振った。 ]*
(296) JITA 2023/11/26(Sun) 20時半頃
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── 兎坂庵 ──
ありがとうございます。 メニューで兎を取り入れるのも 可愛らし過ぎないかと悩みはするのですが、 そう言っていただけますと励みになります。
[ 菊水の好みに合ったようで、>>308 安心したように、ふわりと微笑みながら、 ]
ふふ、仲がよさげで微笑ましいです。 婚約者が急に音信不通になっては心配しますよね。
ええ、本当に。 こんな日常を送ることができて良かったと思います。
(311) JITA 2023/11/26(Sun) 23時頃
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そうですね。 今でこそ思い出話として話せますが、 あの島では辛いこともありましたから。
ただ、平穏な暮らしができる今だから、 奇妙な縁ではありましたが、 あの島で皆さんと出会えたことを ありがたいなと思えるのだなと思います。
いつかまたこの店で あの島であった誰かと再会できるといいですね。
[ それまで、兎坂庵の経営が下り坂にならないように 自分が努力しないといけないなと思いつつ、 ふと、いつかはあの島にいたみんなで集まれたら、 などと、そんな未来のことを卯木は想像してみた。 ]*
(312) JITA 2023/11/26(Sun) 23時頃
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── 兎坂庵 ──
ああ、いえ。意外と思ったわけではないのですが。 でも、そうですね。 出会ったばかりですし、 お互いにまだ知らないことも多いので、 今後意外だと思うこともあるかもしれませんね。
[ さり気なさのあるかわいいものは好きらしい。>>378 そんな情報を店長モードの卯木は 頭のメモに書き留めつつ、 また夫婦揃ってでも、 何度か来店いただけると嬉しいなと思いつつ、 ]
(395) JITA 2023/11/27(Mon) 23時頃
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たしかに。 次に遠出するときは、 ご夫婦で一緒に、ということになりそうですね。
そうですね。危険もなかったですし、 のんびりと非日常めいた休暇を それなりに楽しめたなと、私は思います。
普段お話ししないような方たちとの会話は、 なかなか面白かったですし。
[ 悪いことばかりでなくいいこともあった。 あの日、煙崎灰羅に言った言葉は、>>187 今もまだ卯木は撤回する気もなく、 ]
(396) JITA 2023/11/27(Mon) 23時頃
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もし兎坂庵で年越しパーティとか何かを開催すれば、 お客様が集まって、結果として全員と会える なんてこともあるかもしれませんね。
お粗末様でした。 いえ、こちらこそありがとうございます。
[ 「悪いことばかりではなかったわね。 それがわかってよかった。」>>379 菊水の言葉に卯木も「そうですね」と同意して こくりと頷いて。
それから、いくつか会話を交わしたかもしれないが、 菊水が帰宅するタイミングになると、 卯木は「またのご来店をお待ちしております」 と頭を下げただろう。 ]**
(397) JITA 2023/11/27(Mon) 23時頃
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── とある春の日・兎坂庵にて ──
[ 夏が終われば秋が来て、秋が終われば冬が来る。 当たり前のように月日は流れ、 煙崎るくあの命日も通り過ぎて。
季節は暖かい春になり、 お昼寝するのに心地よい時期になった頃、 店休日の兎坂庵にて、 卯木は煙崎るくあの特等席だった>>0:14 中庭がよく見える席に座りながら、 窓の外で咲き誇る満開のツツジを眺めている。 ]
(420) JITA 2023/11/28(Tue) 02時半頃
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それにしても、君の好みを聞いていてよかった。>>1:*11 じゃないと、お供えに困るという 従弟のときの二の舞になるところだったから。
[ いつも通りに淹れたほうじ茶と、>>216 こし餡を求肥で包んで兎型にし、 小豆の甘納豆で兎の目を 大福豆の甘納豆で兎の耳を表した大福を>>56 向かいの席に用意した。
当然、向かいの席に座る者など誰もいないけれど、 卯木は煙崎るくあに語りかけるように言葉を紡ぐ。 ]
(421) JITA 2023/11/28(Tue) 02時半頃
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人として生きる意志が無いなら、 それは死人と同じ。 その考え自体は僕の中では変わっていないけれど。
[ どんなに月日が流れようとも、 彼女の生前に話したことを>>0:216>>0:217 撤回するつもりはないけれど、 ]
君は亡くなるその瞬間まで、 一生懸命頑張って『生きていた』と僕は思うよ。
(422) JITA 2023/11/28(Tue) 02時半頃
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誰かは自殺なんて罪だと糾弾するかもしれないし、 誰かは逃げたと嘲るかもしれない。
でも、自分ではどうしようもない状況の中で、 君は必死に藻掻いて頑張っていた。 少なくとも僕はそう思うから。
[ あの島にいた中でも ある程度でも真実を知った人なら、 きっと同意してくれんじゃないかなって、 卯木は少しばかり期待しながら、 ]
(423) JITA 2023/11/28(Tue) 02時半頃
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……こんな話を、君が亡くなる前に しておきたかったな。
[ 一瞬、後悔の感情が心に滲んで、 卯木は目を伏せてしまったけれど、
窓の外できらめく陽光が顔に射し込んで、 卯木の顔は小さく綻ぶ。 ]
(424) JITA 2023/11/28(Tue) 02時半頃
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もうこんな後味の悪い思いをしたくないからさ、 似たような失敗を繰り返さないように たまには僕のことも見守ってくれると嬉しいな。
[ いつかこの春の心地よい温もりが 過ぎ去ることがあろうとも。
身を焦がして心が焼け果てるような夏も、 凍てつく寒さに心が塞ぎ込みそうな冬も、 いつまでも続くわけじゃないから。 ]
(425) JITA 2023/11/28(Tue) 02時半頃
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[ 苦い思い出も後悔も抱えながらも、 卯木はまた前を向いて歩き出す。 ]**
(426) JITA 2023/11/28(Tue) 02時半頃
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[ 卯木が気付いた時には、全ての片が付いていた。>>463 いや、片が付く前に気付いたところで 卯木にできることなどきっと何もなかっただろう。
だって、卯木は黒須ワの命を救うことなど、 とうの昔に諦めていたのだから。>>2:389>>2:390 ]
(494) JITA 2023/11/28(Tue) 19時半頃
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── 冬の銀島 ──
まったく、 お互いに厄介事を押し付けられたものですよね。
[ 傍らにいるモナリザに苦笑を零しながら、 卯木は久しぶりに銀島へと足を踏み入れる。 ]
まあ、私の手が後ろに回らないなら 別に協力は惜しむつもりはありませんが。
[ 骨壺を両手に抱えながら、>>463 卯木はモナリザが初めて 兎坂庵にやって来た日のことを思い出していた。 ]
(495) JITA 2023/11/28(Tue) 19時半頃
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[ お月見のシーズンが終わり、 茸の煮込みハンバーグや鯖といくらのお茶漬け、 和栗のモンブランやサツマイモの茶巾絞りなど 兎坂庵の期間限定メニューが変わる頃、
大量の書類と骨壺を抱えたモナリザが、>>463 兎坂庵を訪れた。
和風喫茶の趣にはお世辞にも似つかわしくない 近未来型ロボットに、お客様と従業員が 困惑の声を上げる中、
慌ててモナリザを兎坂庵の奥にある 自宅スペースに招き入れた卯木は、 そこで何が起こったのかを知ることとなる。 ]
(496) JITA 2023/11/28(Tue) 19時半頃
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色々と大変でしたねえ。
[ 予約は事前に行っていたとしても、 黒須が亡くなった後に 実際に人とやり取りするのは生きた人間なわけで。
おそらく黒須の家の者には 一応は形ばかりの報告はしただろうが、 当然の如く役に立たない彼らに 期待できることはなく。
卯木か、もしかしたら彼の住んだ家の大家かが、 対面でのやり取りに 駆り出されることになったと思う。
そうして、諸々が落ち着いた頃、 店休日に卯木は銀島を訪れて 散骨することとなった。 ]
(497) JITA 2023/11/28(Tue) 19時半頃
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[ 黒須の死については、 誰彼構わずに言いふらすことはなかったが、 何かの話題で黒須の話になったなら、 彼が亡くなったことと、 銀島の権利書を託されたことを話しただろう。
もし黒須の死を伝えた人がいたならば、 銀島に散骨する旨も伝えたため、 この日は卯木とモナリザだけでなく 他に同行者もいたかもしれない。 ]
(498) JITA 2023/11/28(Tue) 19時半頃
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[ 卯木はモナリザと共に園内をひたすら歩く。
ジェットコースター『宇宙遊泳』、 プラネタリウム『銀の館』、 サバゲーアトラクション『月面大戦争』、 貸衣装館『星の夢』、 メリーゴーランド『銀河の海賊』、 コーヒーカップ『惑星パーティ』、 お化け屋敷『宇宙病棟』、 カプセルトイのある休憩所、 中央カフェ、天の川ロード前休憩所、ホテル、 もしこの日がクリスマスローズの種を植えた後で>>355>>393 卯木がそれを知っていたのならその近くにも、 少しずつ黒須の粉骨を振りまいた。
こうして歩いていると、初めてこの島を訪れた 夏の終わりを思い出しては、楽しさともの悲しさが 心の中で混ざって落ち着かなくなる。 ]
(499) JITA 2023/11/28(Tue) 19時半頃
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[ 最後に訪れたのは観覧車。 黒須が眠りたかったのは、 きっとこの場所なのだろう。
卯木は瞳を閉じて、 帰還した日のことを思い出した。 ]
(500) JITA 2023/11/28(Tue) 19時半頃
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[ メッセージの着信に気付いた卯木は、>>*18>>-720 嫌な予感がして、近くにいた救援に来た人に 一緒に黒須を探すように頼み込んだ。
もしかしたら、卯木よりも早く行動を起こした人が 他にいたかもしれないが、 いずれにせよ、卯木は観覧車の前で倒れ込んだ 黒須の姿を見つけることとなった。>>406 ]
(501) JITA 2023/11/28(Tue) 19時半頃
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[ 「死ねば煙崎るくあに会える」と信じている人間に 『会えるわけない』と言ったところで意味はない。
卯木には全く理解できないけれど、>>0:217>>0:218 たとえ死者に会えなくて、触れられなくて、 自身の言葉が届かなくても、 会いたくて、触れたくて、言葉を伝えたくて、 それだけを信じて命を擲つ者も世の中にはいる。
黒須の思考がどうだったかは卯木は知らない。 けれど、何かしらの彼の信念を打ち砕けるとは 卯木には思えなかったから、>>2:390 彼が心変わりするかもしれないという、 蜘蛛の糸のような可能性に縋るしかなかった。 ]
(502) JITA 2023/11/28(Tue) 19時半頃
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君はここから何を見られたんだろうね。
[ 呟いたところで、 あの日黒須が見たものは>>405>>406 結局のところ分からない。
卯木が観覧車から見つけたのは、 こと座のようなシンボルマークだけ。>>2:28 まあ、そもそもこれはこと座ではなく、 あの隠し階段が開いたのは>>2:70 偶然だった可能性も大いにあるのだが。 ]
どうかな? これで君は満足できた?
[ 最後の粉骨を観覧車前に振りまくと、 ざわめく木枯らしが辺りの景色を揺らす。 ]
(503) JITA 2023/11/28(Tue) 19時半頃
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あと、これはお供え。
[ 観覧車の側の、風が当たらない場所に 青薔薇と黄色いパンジーが飾られた 鴇色の箱のボックスフラワーを置きながら、 ]
じゃあね、黒須さん。
[ 最後に誰にともなく手を振ると、 卯木はモナリザを連れて、銀島を後にした。 ]**
(504) JITA 2023/11/28(Tue) 19時半頃
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── いつかの兎坂庵 ──
いらっしゃいませ。
[ 来店した2人連れのお客様に、>>510>>519 卯木は目を見開いた。 帰還後は中村とも海透とも会わずじまいだったため、 二人の仲は知らないままだったのだ。
兎坂庵のお客様は 皆年齢も高く落ち着き払っているため、 有名人のお客様が来ようと、 節度を保った態度で、 特に騒がしくなることもなく、 ]
(521) JITA 2023/11/28(Tue) 22時半頃
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ご来店ありがとうございます。 お忙しかったでしょうし、 来ていただけただけでありがたく思いますよ。
[ おすすめの種類と言われ、>>510 何にしようかと迷いはしたものの、 海透の注文に合わせて、>>519 結局、煙崎るくあの好きだったほうじ茶と大福を>>421 彼らに振舞うことにした。
中村綺羅之介関連でニュースになったのは、 帰還したときの件だけで、>>512 おそらく煙崎るくあの件では お咎めなしとなったのだろうと卯木は推察しつつも、 卯木は特に何も尋ねることなく、 初対面のときと同様、 にっこりと柔和な笑みを浮かべている。 ]
(522) JITA 2023/11/28(Tue) 22時半頃
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お口に合ったようで何よりです。
[ 海透に大福を一口分ける姿に>>515 色々と察した卯木は楽し気に顔を綻ばせながらも、 ]
ここ、兎坂庵は、 お客様にホッと一息ついてもらう場所ですから。 まずは日常の疲れを癒しながら、 落ち着いてごゆるりとお過ごしいただけましたら。
[ 何か話そうと思案しているように見える姿に、 話したいタイミングでいいのですよ、とでも言うように ふわりと微笑みながらも。
もし彼が一言二言でも何か話し始めたら、 卯木は黙ってそれを聞き入るつもりだ。 ]**
(523) JITA 2023/11/28(Tue) 22時半頃
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