人狼議事


10 冷たい校舎村9

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視点:


【人】 夜笑国 メイ

— AM8:50 —

[チャイムの音で目が覚めた時、
 乃絵ちゃんはどこにもいなかった。
 わたしは驚かなかったけど、少し泣きそうになる。

 先に出ただけ。昨日もそうだった。
 そんな言い訳が通用しないことは、もう分かってた。

 だって、不意に耳をくすぐるため息がない>>10

 わたしはぐっと堪えてベッドを出る。
 顔を洗って、身体もちょっと拭って。
 制服のスカートはすっかり皺だらけになっちゃったけど、
 ポケットに入れたお守りやお財布は無事だ。]

(11) 2021/06/14(Mon) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは充電が半分になったスマホを手に取った。
 日付はやっぱり最初の日と同じ。
 わたしは表示を隠すようにメールを開く。

 最初の日、チャイムと共にスマホへ届いた文面>>1:1
 わたし、見返さなかった。机に置いていった>>1:31
 今になってようやく、わたしは現実を直視する。]

  ……いいよって言ったじゃん。

[わたしはスマホを胸ポケットにしまった。
 ダッフルコートは羽織るのではなく腕に抱えた。
 ずっと守ってくれた歴戦の上靴に裸足の爪先を入れる。

 あんなに散らばっていたカッターナイフも見当たらない。
 わたし以外いなくなった保健室を一度だけ振り返って、
 わたしは廊下を走り出した。]

(12) 2021/06/14(Mon) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[一度目のチャイム。時の止まった校舎に閉じ込められた。
 二度目のチャイム。最初に九重さんの人形が見つかった。
 三度目のチャイム。ひとみちゃんと樫樹くんが消えた。
 四度目のチャイム。向井くんと綿見さんが先に帰った。
 五度目のチャイム。乃絵ちゃんの姿がない。

 ——でも、乃絵ちゃんじゃない。

 わたしは男の子たちが眠る休憩所>>1:651へ走った。
 鳩羽くん>>4:85と毛布を取りに行ったから、
 道に迷うことはない。

 扉を開く。
 誰の姿も見当たらなくて、わたしはまた駆け出した。]

(13) 2021/06/14(Mon) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  炭蔵くん!

[炭蔵くん>>4:458はまだ食堂にいたかな。
 もし別の場所だとしても、扉の前にわたしはいる。

 わたしは炭蔵くんに乗り上げる勢いで近づいた。
 さすがに実際にはやらないよ。前のめりだけど。

 わたし、自分がいなくなるとか帰る>>4:212とか、
 思うとか思わない>>4:210以前に考えかった>>4:430
 やっぱりずっと、乃絵ちゃんのこと考えてた。

 でも今朝、乃絵ちゃんの姿が見えなかった時に理解した。
 ため息が聞こえなくなって、カッターナイフも消えて。
 もう、終わりなんだなって。なんとなく、思った。]

(14) 2021/06/14(Mon) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[炭蔵くんはどうしてたかな。
 わたしは走って乱れた息を整えようと深呼吸を繰り返す。
 心臓はずっとバクバクと跳ねていた。]

  後悔するくらいなら、少しでも何かしたい。
  ……って、言ったよね。

[数日前の朝>>1:568からわたしはいろいろ変わったけど、
 あの約束>>2:35はまだ有効かな。
 わたしは炭蔵くんをまっすぐ見つめ、眸を探す。]

  乃絵ちゃんを、連れて帰りたいの。

[協力してとか、力を貸してとか、
 お願いする言葉はいっぱいあった。
 でも、わたしは言わない。
 炭蔵くん自身に望んで、一緒に来て欲しいから。]

(15) 2021/06/14(Mon) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは炭蔵くんの眼前に手を伸ばして、
 前髪を掻き上げようとする。
 拒んで払い除ければ、すぐ飛んでいく弱い手。
 それでもわたし、炭蔵くんの意思を知りたかった。]

  ……それに、鳩羽くんと柊くんも。探したい。
  きっと、どこかで倒れてるから。

[眸を見ることができてもできなくても、
 わたしはスピーカーを見上げる。
 チャイムは鳴った。これまでのことから、
 鳩羽くんと柊くんがどうなったかは想像に容易い。

 二人の行方を知らないまま、
 わたしは乃絵ちゃんをここの主として話した。]

(16) 2021/06/14(Mon) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたし、樫樹くんがどんな表情だったか>>2:226
 綿見さんの前に包丁が二本あったこと>>3:687
 知らない。

 見つけられないのは寂しいかなって思うけど、
 わたし、死んだ姿をみんなにいっぱい見せちゃうのは、
 ちょっとだけ、ヤだなって思う。

 恥ずかしいのかな。申し訳ないのかな。
 例えば、わたしがわたしだけ帰った時、
 それを見つけるのはきっと乃絵ちゃんでしょう。

 それは、やっぱりヤだよ。]

(17) 2021/06/14(Mon) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたし、ひとみちゃんに言ったの>>4:11
 鳩羽くんに言ったの>>4:129

 先に帰っただけ。また会えるって。

 だから、先に場所を知った相手の顔は見てない。
 次に見るのは、いつもの顔だって決めてる。
 絶対帰るって、帰らなきゃって、思ってる。]

(18) 2021/06/14(Mon) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……でも、誰にも見つけてもらえないのは寂しいもん。
  わたしが、ヤだ。探したい。

[大勢の民衆に埋もれる時は終わった。
 今ここにはきっと、炭蔵くんと、わたしと、
 乃絵ちゃんしかいない。

 探すための足も、差し出すための腕も、
 伝えるための口も、何もかも、あるだけしかない。]

(19) 2021/06/14(Mon) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  わたしひとりじゃ、全然、何にも、足りないの。
  だから……だから……。

[わたしにはやりたいことがいっぱいあって、
 一つだけを追い求め続けたわたしはそれに慣れてなくて、
 混乱したみたいに頭の中がぐるぐる回っている。

 見上げた顔を戻すと、
 不安や迷い、決意や意思の混じる目を炭蔵くんに向けた。
 そこに諦念は、ない。]

(20) 2021/06/14(Mon) 00時半頃

【人】 夜笑国 メイ


[もう終わりだって理解した時、わたしは帰りたいって思ったの。
 乃絵ちゃんと一緒に帰りたいって、思ったの。]*
 

(21) 2021/06/14(Mon) 00時半頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/14(Mon) 00時半頃


夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/14(Mon) 01時頃


【人】 夜笑国 メイ

— チャイムが鳴った後:食堂 —

[保健室を出て休憩室、それから1階の部屋をいくつか。
 わたしが食堂に辿り着いたのは
 チャイムの余韻がとっくに消えてしまった頃。
 詰め寄った炭蔵くん>>23とわたしの間には、
 走り回って乱れたわたしの息の音だけがする。

 わたしは炭蔵くんの反応も待たず、矢継ぎ早に話した。
 乃絵ちゃんがこの世界の主人である明確な証拠はなくて、
 本当は鳩羽くんかもしれないし、柊くんかもしれない。
 もちろん目の前の炭蔵くんの可能性だってある。

 わたしは確信に近い思いを抱いていたけど、
 炭蔵くん>>24にわたしを疑う様子は一切なかった。
 わたしの方が不思議に思って混乱が増していく。]

(33) 2021/06/14(Mon) 11時頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……っ、でも、

[疑問を口にするより先に、
 炭蔵くん>>25は落ち着いた声でわたしを嗜めた。
 いつもと変わらない温度。平らな響き。
 無機質にも見えるそれに、
 わたしは疑問より反発のような気持ちが勝る。

 それをぐっと飲み込んで、
 わたしは言い募る代わりに身を乗り出し、
 炭蔵くんの鼻筋に手のひらを滑り込ませた。
 そのまま手の縁で額を撫ぜれば、重い前髪が剥がれる。]

(34) 2021/06/14(Mon) 11時頃

【人】 夜笑国 メイ


[眸>>26を、見た。]
 

(35) 2021/06/14(Mon) 11時頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……なぁんだ。

[民衆っていうのは勝手なもので、
 勝手な想像で知らない相手のこと決めつけるし>>0:136
 その割に無意識に頼ったりする>>0:29
 炭蔵くんならやってくれる。炭蔵くんだから間違いない。
 まともに返事もせず、わたしは既読だけを増やす。
 他人事。人任せ。そんな日々だった。]

  わたしと同じじゃん。

[炭蔵くんだって、腕は二本しかないんだ>>1:570
 その心の内、詳細>>27>>28までは分からないけど、
 揺れる眸は炭蔵くんの口よりよっぽど雄弁だった。

 こんな当たり前で簡単なことも分かってなかった
 自分が何だかおかしくて、思わず笑っちゃう。
 プライドの高い炭蔵くん>>4:437を傷つけてしまうかな。
 でもわたし、別に馬鹿にした訳じゃない。]

(36) 2021/06/14(Mon) 11時頃

【人】 夜笑国 メイ


[わたしの基準はわたしで、善悪は正直どっちでもいい。
 今の炭蔵くんが今のわたしにとって正解だった。
 それだけのこと。]
 

(37) 2021/06/14(Mon) 11時頃

【人】 夜笑国 メイ

[自分より慌てた人を見た>>1:37時や、
 泣いている人の前で笑っていた時の気分に似ていた。
 おかげで少しずつ混乱も落ち着いてきた気がする。

 わたしは全力疾走と笑いに跳ねた心臓を押さえた。
 深呼吸は二度。こうすれば上手くいく気がする。]

  足りないよ。わたし一人じゃ全然足りない。
  現に今、わたし炭蔵くんに助けてもらった。

  言葉にしなきゃ伝わらないことが多いけど、
  言葉以外でもできることはあるんだって。
  教えてもらった気がする。

[炭蔵くんの眸がわたしを落ち着かせてくれたんだって
 言ったら、炭蔵くんはどういう顔をするかな。
 ううん、どういう色を眸に宿すんだろう。

 確かめようにも、わたしの指は逸らされた視線>>29
 離れてしまって、前髪はもう炭蔵くんの指のものだ。]

(38) 2021/06/14(Mon) 11時頃

【人】 夜笑国 メイ


  ありがと。

[乱れた前髪の隙間から、まだ少し眸は見えるかな。
 わたしの瞳に映る様々な感情は、
 得た落ち着きが水みたいに広がって柔く馴染んでいた。
 その視線を炭蔵くんのそれと繋げようとした。]*

(39) 2021/06/14(Mon) 11時頃

【人】 夜笑国 メイ

[そうしてわたしの息がこの場に馴染んだ後、
 わたしは炭蔵くん>>30の提案に頷く。]

  ……というか、そんなほいほい信じていいの?
  本当はわたしが騙してるのかもしれないのに。

[ため息がひっかかっていたわたしと、
 カッターで勘付いていた炭蔵くん>>24
 お互いにお互いの理由を知らないから、
 わたしはさっき喉奥に消えた疑問を掘り起こす。

 ここにわたしたち以外の人がいないことは分かっていた。
 だからとりあえず移動しない? と提案して歩き出す。]

(40) 2021/06/14(Mon) 11時頃

【人】 夜笑国 メイ


  留めるもの?

[炭蔵くん>>32が予想外のことを言い出したのはその時。
 わたしは手のひらで自分の身体を叩いて確かめる。
 ぼたん、お財布、スマホ。紺色のハンカチはもうない。
 鳩羽くんのコート。……ここは違った。]

  今は持ってない……けど、教室にはあるよ。
  鞄の中。机に置いてるから。

[わたし、髪短いからそういうのあんまり持ってない。
 でも時々前髪を邪魔に思うことはあって、
 そういう時に使う物ならあるよと炭蔵くんに告げる。]

(41) 2021/06/14(Mon) 11時頃

【人】 夜笑国 メイ


  検討してくれたの?

[一昨日>>1:572は乗り気じゃなさそうだったのに。
 残念ながらわたし、流行り>>0:74には疎い方だから
 笑顔のまま、いいねって賛同した。

 万が一にでも炭蔵くんがやめるなんて言い出す前に
 教室への移動を提案する。]*

(42) 2021/06/14(Mon) 11時頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/14(Mon) 11時頃


【人】 夜笑国 メイ

— 食堂 —

[不貞腐れたような炭蔵くん>>44の声にわたしは笑う。
 一対一で喋ったことがなかった炭蔵くんに
 わたしがすぐ親しみを覚えたのは、
 炭蔵くんの中身を見た気がしたからだ>>1:524

 ずっと、あの眸>>1:486をまた見たいと思っていた。

 少し遠くからじゃ覗こうとしてもできなくて、
 手を伸ばそうとしても届かなくて、
 ようやく叶ったわたしの願いは、
 炭蔵くんがわたしと同じ人間だって教えてくれる。

 わたしもちゃんと人間なんだって教えてくれる。]

(51) 2021/06/14(Mon) 15時頃

【人】 夜笑国 メイ


  嬉しいよ、わたし。

  炭蔵くんが同じ人間で。
  ここにいたのが、炭蔵くんで。

[だからわたし、素直にその気持ちを伝えた。
 今はたぶん、言って伝える場面だと思ったから。
 向き合って一緒に深呼吸。一回、二回。
 胸に手を当てると、鼓動も落ち着いていくのが分かる。]

(52) 2021/06/14(Mon) 15時頃

【人】 夜笑国 メイ


  そんな顔見せられたら、
  わたしも一緒に頑張りたいって思うもの。

[完璧、というのが何事にも冷静沈着で
 正解を選び続けることを言うのなら、
 今の炭蔵くんは完璧じゃないのかもしれない。

 でも、それがいいの。
 わたしにはぴったり、大正解。

 ここにはもうわたしたちしかいなくて、
 埋もれられないどころか民衆でもなくなっちゃった。

 王様と民衆じゃなくて、炭蔵くんとわたし。
 再度繋がった視線>45は、
 前だけを見つめているような気がした>>31。]*

(53) 2021/06/14(Mon) 15時頃

【人】 夜笑国 メイ

[お互いの意思を確認した上での作戦会議>>30
 わたしは心当たりがある様子の炭蔵くん>>46
 不思議そうな顔をする。

 もし炭蔵くんがカッターナイフを取り出したなら、
 わたしは懐かしそうに目を細めた。
 わたしが聞いて>>1:138、炭蔵くん>>1:325が拾った。
 はじまりの日のことだ。

 もし見せられたのが左手首なら、
 わたし、炭蔵くんの頬に指を伸ばしてつねったと思う。
 自分で自分の手を傷つけるなんて、何してるの。ばか。

 言いたいことは分かるけどね。
 真実は、生クリームみたいに甘くない>>4:522。]

(54) 2021/06/14(Mon) 15時頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……わたしもあるよ、心当たり。

[乃絵ちゃんがわたしにだけ零してくれたこと>>0:718
 だからその詳細までは話さないけど、
 わたしが聞こえなくなったため息を探すように
 耳を澄ませたら、何かあることくらいは伝わるかな。]*

(55) 2021/06/14(Mon) 15時頃

【人】 夜笑国 メイ

— 3-9教室 —

[最初に気づいたのは炭蔵くん>>48だった。
 昨日までなかった足跡が、扉の外へ続いている>>4:496
 どうやら3階の階段を昇ったようだった。]

  うん。

[分かっていたことだった。
 何ならさっきまでそれを前提に話してた。
 でも直面するとやっぱりわたしの身体は強張る。

 九重さんを思い出した。ひとみちゃんも、向井くんも。
 それが本当じゃなくても、人が死ぬことはやっぱり怖い。

 炭蔵くんの視線に気づかないまま、わたしは教室に入る。
 気づいてないから、泣きそうな顔も隠せなかった。]

(56) 2021/06/14(Mon) 15時頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは鞄からヘアピンを取り出すと、
 炭蔵くん>>49の言葉に顔を上げた。

 みんなでいろいろ書き込んだ寄せ書きみたいな黒板。
 壁にはフォトフレームに収められた写真が並ぶ>>10
 廊下とは違い、今度は文化祭以外の思い出もたくさん。]

  こういうのは、卒業式にやるものじゃん。

[お別れはまだ、ちょっとだけ早いよ。
 わたしは一人呟いてから炭蔵くんの見ているものを見る。

 『 じゃあな、いってくる! 』だって>>4:497

 その意味を知る人はここにはいない。
 でも、わたしは返すためのコートを強く握りしめた。
 こんな時でも深爪は、何の跡も残してくれない。]

(57) 2021/06/14(Mon) 15時頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは炭蔵くんに黒いシンプルなヘアピンを渡した。
 そのままの足で、わたしは教壇をのぼる。

 足元にはチョークが落ちていた。
 縁から零れたというにはあまりにも遠く、
 まるで、持っていた誰か>>4:498が落としたみたいだ。

 わたしは屈んで、チョークを摘み上げる。
 いつかのように、三本の指だけが白く染まった。]

  ……ねぇ、炭蔵くん。
  頭の中の世界って、どれくらい頭の中だと思う?

[炭蔵くんはここで前髪留めるかな。
 わたしはみんなの文字がたくさん並ぶ黒板を見ていた。
 置いていく10円>>3:590だって
 頭を振ったら耳から出てくる訳もないんだから、
 問いの答えは想像に容易くはあるんだけど、それでも。]

(58) 2021/06/14(Mon) 15時頃

【人】 夜笑国 メイ


  ここに書いたら、伝わるかなぁ。

[楽しかった文化祭、目を惹く綺麗な文字>>1:317
 あの日黒板に書かれたのは、楽しいことだけだったね。]

(59) 2021/06/14(Mon) 15時頃

【人】 夜笑国 メイ

[結局、わたしが待たせちゃったかも。
 チョークを元に戻して、手を叩いたわたしは
 炭蔵くん>>50と一緒に教室を出て行く。

 教室には写真と寄せ書きと。思い出だけが、残った。]

  ……行こう、きっと待ってるよ。

[『一緒に帰ろう』
 右肩上がりの癖のある文字は、無人の教室に佇む。

 わたしたちは足跡に導かれるように3階へ進む。
 みんなの待つ、3階へ。]*

(60) 2021/06/14(Mon) 15時半頃

【人】 夜笑国 メイ

— 3階 —

[途中、1枚欠けた写真>>4:507には気づけたかな。
 3階に上がると寒さが増した気がした。
 制服姿のわたしは身を震わせる。

 少し先、開いた窓>>4:520が原因のようだった。
 雪が降り込んでいる。]

  ……こんな時まで仲良しなの。

[窓の下に何かがあるのは、この距離からでも分かった。
 それに——わたしは階段を上がってすぐにある
 教室>>4:496の中を見る。

 こんな時まで、近い場所>>4:494にいるんだね。

 わたしの腕は二本しかないし、身体は一つしかない。
 炭蔵くんと同じ。だからわたしはまず教室に入った。]

(61) 2021/06/14(Mon) 15時半頃

【人】 夜笑国 メイ

— 階段前の部屋 —

[衣装部屋だったらしいそこは、
 ラックとハンガーが脇に並んでいただろうか。
 中央にできた道の先には姿見があって、

 ——鳩羽くんが、倒れている。]

  ……。

[わたしは血溜まりの前まで近づいた。
 裾が床につかないように気をつけながらしゃがみこむ。]

(62) 2021/06/14(Mon) 15時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  また明日って言ったじゃん。

[わたしは鳩羽くんに話しかけた。返事はない。
 下手くそな「笑顔」がマネキンに赤く刻まれていた。

 抜け殻みたいだなって、思った。
 それに、何にも似てなんかないのに、
 向井くんの話をした、あの廊下を思い出した。
 涙が水たまりになったみたいな、あの廊下を。

 ほんのちょっとの間だけ、わたしはコートに顔を埋める。
 感情を逃すように息を吐いた。]*

(63) 2021/06/14(Mon) 15時半頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/14(Mon) 15時半頃


【人】 夜笑国 メイ

— 教室まで —

[死んだらそこで終わり>>1:527
 わたしは一昨日、炭蔵くんとそんな話をした。

 どんなに思い出を大切にしたって、
 そこに新しい何かは二度と生まれない。
 声も、顔も、温度も、過ごした時間も、人の気持ちも、
 全部、掠れていくばかりだ。

 それは、嫌だった。怖かった。
 帰ったって信じようとしても、
 終わった姿を見るのはお母さんを思い出すから。]

  ……だいじょーぶ。

[頭を叩かれる感覚がして、
 炭蔵くん>>66がわたしより先に教室へ入っていく。
 その腕にはまだ絆創膏>>2:364があったかな。
 向井くんが悪いと主張する炭蔵くん>>65だったけど、]

(76) 2021/06/14(Mon) 18時頃

【人】 夜笑国 メイ


  あって五分。

[と、わたしはその意見を却下した。
 向井くんがこんなびっくりすること望む訳ないでしょ。
 わたしの中の向井くんはそういう人だ。
 でも炭蔵くんの前では違うのかなって思うから、五分。

 本人>>0:707は仲の良さは否定してたけど、
 長い付き合いであることは言葉の端々に見えてたから。]

  向井くんはつねったらびっくりしちゃうよねぇ。

[そんな話も少し前のこと。
 わたしたちが目にするのは卒業アルバムみたいな教室。
 そこでわたしは文字を書く。

 わたしが書いている間に炭蔵くん>>67も身支度を
 整えたみたいで、ファッションチェックを仰せつかる。]

(77) 2021/06/14(Mon) 18時頃

【人】 夜笑国 メイ


  なんか、ちょっと幼く見えるね。

[留め方の問題かな。それとも眸がよく見えるから?
 頭のてっぺんで固定された前髪は量が多くて、
 ヘアピンだとちょっと力不足だったかなって思う。
 わたしは表情を和らげながら、ヘアピンから逃れた
 端の前髪に手を伸ばして、横へ流そうとした。]

  よく見えるよ。わたしはこっちの方がすき。
  だから……似合うんじゃない。

[わたしの返答はやっぱり自分基準で、
 少し考えてから依頼主>>69に沿う回答も付け加える。

 わたしたちは足跡を追った。
 炭蔵くん>>68の伝えようって言葉が胸に残っている。]*

(78) 2021/06/14(Mon) 18時頃

【人】 夜笑国 メイ

— 3F階段前の部屋 —

[さっきは頭、今度は背中。
 炭蔵くん>>71の温度が冷えたわたしの身体に広がる。
 カッターを拾う姿は見えなかったけれど、
 続く言葉にわたしは息を吐くのをやめた。]

  ここに、明日≠ヘない……。

[何度朝を迎えてもスマホの日付は変わらなかった。
 わたしたちは、同じ一日を繰り返している。
 止まった校舎に明日はないんだ。
 黒板に書かれた文字>>4:497を思い出していた。
 わたしは顔を上げて炭蔵くん>>72を見る。]

(79) 2021/06/14(Mon) 18時頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……うん。

[やっぱり、よく見えるよ。泣きそうな顔。
 わたしは指摘することなく頷いた。
 だって、きっとわたしも同じような顔をしている。

 だからこのことは二人だけの秘密にしよう。
 わたしは人差し指を自分の口元に押し当てて笑った。]

(80) 2021/06/14(Mon) 18時頃

【人】 夜笑国 メイ

[それから炭蔵くん>>73は部屋を豪華に飾りつけている。
 文化祭の時、鳩羽くん情報量過多だったよね。
 ごちゃごちゃとした装飾にそんなことを思い出していた。

 ……うん、もう大丈夫。
 わたしは自分の足で、もう一人の下へ向かう。]

(81) 2021/06/14(Mon) 18時頃

【人】 夜笑国 メイ

[開いた窓の下を覗く勇気はわたしにもなくて、
 炭蔵くんが窓枠に手をかけるのを見ていた。

 そういえば、2階の窓を閉め忘れてた気がするけど、
 廊下には雪が積もってなかった。
 誰か>>1:649が気づいて閉めてくれたのかも。
 わたしはそんなことを思う。

 それから、柊くん>>4:520へ視線を落とした。
 炭蔵くん>>75と一緒に雪を払い除けていく。]

  うん、そうしよう。
  一人は、寒いもんね。

[わたしは炭蔵くんの提案に賛成して、
 二人で協力して柊くんを階段前の部屋まで運ぶ。
 雪みたいな冷たさに、わたしの指先がじんと痛んだ。

 なんとか運び切ると、
 赤く彫られた笑顔とぽっかり抜け落ちた顔が並ぶ。]

(82) 2021/06/14(Mon) 18時頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……待っててね。

[ここに明日≠ェ来ないなら、
 待ち合わせをした月曜の放課後だって二度と来ない。

 わたしは柊くんの輪郭に手を伸ばした。
 指先で触れるとひんやり冷たい。]

  それじゃ、いってきます。

[わたし、柊くんの名前の由来なんて知らないから、
 わたしの中の柊くんは今でも春色をしてる>>0:572

 春って、あたたかくてほっとするでしょ。

 鳩羽くんの隣、
 手足が折れ曲がってしまった柊くんの身体には、
 丁度いいサイズのダッフルコートがかけられていた。]*

(83) 2021/06/14(Mon) 18時頃

【人】 夜笑国 メイ

— 3階の果て —

[鳩羽くんの足跡に導かれて3階へ来たわたしたちは、
 最初に二人を見つけた。

 これでもう、迷いはない。
 鳩羽くんと柊くんが先に明日へ進んで、
 炭蔵くんとわたしは同じ道を歩いている。

 わたしたちの心当たりは確信になった。]


  ……できることを、しよう。


[結局まともな作戦会議はできなかったけれど、
 わたしの心はもう揺らがなかった。
 隣には炭蔵くんがいて、未来にはみんながいる。
 わたしたちは同じ方向>>64へ進んだ。]

(84) 2021/06/14(Mon) 18時頃

【人】 夜笑国 メイ


[音楽室は校舎の端>>0:678にある。
 夜にピアノを弾いた後、わたしは鍵をかけなかった。
 わたし以外、誰かが来るって思わなかったから。

 ひとつひとつ部屋を確かめた最後、その果てに。
 わたしたちが探し求めた人>>9はいたかな。]*
 

(85) 2021/06/14(Mon) 18時頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/14(Mon) 18時頃


夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/14(Mon) 20時頃


【人】 夜笑国 メイ

— 校舎の果て、音楽室 —

[鍵が開いていることにわたしは違和感がなかったから、
 だからこそ中に乃絵ちゃん>>87がいたことに驚いた。

 乃絵ちゃんは窓の側に立っている。
 その手に持っているのはクレープ>>86
 一つ前の夜、わたしと一緒に作ったもの。
 名前はラップにしか書いていなかったけれど、
 所々焦げた生地がわたしに事実を教えてくれた。]

  ……起こしてくれたら、良かったのに。

[乃絵ちゃん>>88は来てくれたんだって言う。
 振り返った顔は笑っていた。
 わたしは乃絵ちゃんの手元に視線を向けて、
 わたしより先に保健室を出た乃絵ちゃんに触れる。]

(99) 2021/06/14(Mon) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[「責任を持って食べようね」って言ったじゃん>>4:523
 「大丈夫」って言ったじゃん>>4:525
 「また明日ね」って、言ったじゃん>>4:526

 わたしと乃絵ちゃんの間には言えないことがあったけど、
 それでもちゃんと、隣にいたじゃん。

 今の乃絵ちゃん>>89がすごく遠く感じた。
 説明でみんなが無事であることをしっても、
 わたしの胸に広がるのは、安堵よりも不安が濃い。

 炭蔵くん>>94もきっと
 同じような感覚を覚えているんじゃないかな。
 続く言葉>>95には道中での約束>>93を果たそうかと
 思ったのに、わたしの手は炭蔵くんの背に届かない。

 それはそれでいいのかなって迷ったのもあるけど、
 単純に、身体を上手く動かせなかったから。]

(100) 2021/06/14(Mon) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ


[分かってる。分かっちゃった。
 乃絵ちゃんは、今、この校舎の主としてここにいる。]
 

(101) 2021/06/14(Mon) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[だからわたし、口を挟めなかった。
 乃絵ちゃん>>90の頭が下がるのを黙って見ている。

 乃絵ちゃんが音楽室にいることも、
 そこでクレープを立ち食いしていることも不思議で、
 現実味がなくて。
 わたしはいつも出迎える側だったから、
 この景色ごと夢なんじゃないかとすら思える。

 わたしたちは秘密があってもともだち>>1:131だけど、
 それでも。言わなきゃ、伝わらないんだ。
 ここで過ごす中で、わたし、
 そういう当たり前で大切なことをたくさん知った。]

(102) 2021/06/14(Mon) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[クレープについて尋ねる炭蔵くん>>96が、
 今どんな顔をしているか>>97わたしは知らない。

 わたしはどんな顔をしていただろう。
 笑っていたかったけど、たぶんそれは失敗した。
 だからわたしの目は普段より大きくなって、
 乃絵ちゃんの姿を映す。

 わたしたちは同じ方向を、乃絵ちゃんを見ていた。]

(103) 2021/06/14(Mon) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……乃絵ちゃんが、ここを作ったの?

[乃絵ちゃん、何にも知らないんだと思ってた。
 だからいくら心当たりがあっても、
 心のどこかで違うんじゃないかって思えた。

 でも、もうダメなんだね。おしまいなんだね。

 だからわたし、抱えていたもの>>3:152を吐き出した。]

  一緒に、帰ろうよ……。

[最後までじゃなくて、これからも一緒にいようよ。
 乃絵ちゃんが告げるおしまいを拒むように、
 わたしは首を横に振った。]*

(104) 2021/06/14(Mon) 21時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[そう、探したんだよ。
 乃絵ちゃんがどこにいるだろうって考えた時、
 わたし、すぐにどこかひとつの場所が浮かばなかった。

 教室にはいなかった。保健室もそう。
 食堂で炭蔵くんに会う前に、生徒会室も探したと思う。
 いつも雨を受け止めていたベンチはわたしたちが
 出られない外にあって、渡り廊下にも見当たらない。

 炭蔵くんと合流して2階に上がって、
 鳩羽くんの足跡を見つけた。

 もしそれがなかったら、乃絵ちゃんの手にある
 クレープはもっと少なくなっていたんじゃないかな。]

(121) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[そんなクレープを不思議に思った炭蔵くんの疑問へ
 答えた乃絵ちゃん>>107が、わたしに同意を求める。
 わたし、辛うじて頷くことしかできなかった。

 鍵盤の音>>105がしたら、きっとすぐに駆けつけたのに。
 乃絵ちゃんのSOSはわたしたちに届くことはなく、
 ここに辿り着けたのは、ひとつずつ扉を開けた結果だ。

 それとも、もっと気づけたことはあったのかな。
 わたし、知らないこといっぱいあるんだなぁって。
 わたしは自分で選んだ行動を後悔していたから、
 ね? って言う乃絵ちゃんに笑い返すことができない。]

(122) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 夜笑国 メイ


[いつかの仮定>>1:529、間違ってなかったのかな。

 だから、わたし悔しかったの。
 乃絵ちゃん>>109に「帰れない」って言わせたことが、
 どうしようもなく、苦しかったの。]
 

(123) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは炭蔵くんの言葉>>116へ同意するように、
 また首を横に振る。頭を振りすぎてクラクラした。

 続く乃絵ちゃん>>110>>111>>112の話は炭蔵くんへ、
 きっと二人の間に何かあったんだろうなって思う。
 わたしは口を挟まず、乃絵ちゃんが炭蔵くんの手首に
 視線を向けるのを見ていた。

 ……見ていたんだけど。
 炭蔵くん>>119からわたしの知らない事実が出た時は、
 さすがに思いっきり炭蔵くんの方を見た。

 背中を叩くんじゃなくてつまむ。頬より強めにつまむ。
 止めた訳じゃないよ。聞いていない。そういう意味。
 だからわたしは炭蔵くんの話>>120に合わせ、
 指を離して視線を乃絵ちゃんに戻した。

 深呼吸、二回。わたしは口を開く。]

(124) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  どう、して……?

[疑問だけが詰まった音、
 乃絵ちゃんにどれだけ意味が伝わるだろう。
 わたしは笑うより大きな目を湛え、乃絵ちゃんを見る。]

  どうして、自殺したの。

[それが乃絵ちゃんを苦しめたの。
 ため息を怖がらせたの。見捨てられた気持ちにさせるの。
 限界で耐えきれなくなるまで、一瞬で崩れるまで>>111
 顕にしない長袖の下、わたしの知らない傷を作ったの。

 本人が望まないことは聞かないようにしてた。
 乃絵ちゃんが望む分だけ話を聞いて、頭を撫でて。

 でも、もうダメなんだよ。おしまいなんだよ。
 そういうのも、全部。]

(125) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは知らなきゃいけなかった。
 知らなきゃ、帰れないって言う乃絵ちゃんに
 何も返せないと思ったから。]

  教えて、乃絵ちゃんのこと。
  ……お願い。

[わたしは願うしかできない。
 今はまだ、知ることしかできない。

 炭蔵くんとわたし、それぞれの問いは場に並んだ。
 わたしは炭蔵くんの背ではなく、腕を叩く。
 促したのか任せたのか、それはわたしにも分からない。]

(126) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[この距離じゃ、前髪を掻き上げることもできないし、
 眸の中だって覗けないでしょ。
 より深く潜るなら、わたしたちと乃絵ちゃんは遠すぎる。

 わたしは扉の前を離れ、窓の方、ピアノの近く、
 あるいは、乃絵ちゃんの側へ近づこうとした。]*

(127) 2021/06/14(Mon) 23時半頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/15(Tue) 00時半頃


【人】 夜笑国 メイ

[例えばの話。
 保健室で乃絵ちゃんに起こされて>>128
 乃絵ちゃんが校舎の主であることを打ち明けられたら。
 
 正直、想像がつかないのが本音。
 乃絵ちゃんはきっと、わたしにそういうこと言わない。
 袖の中に隠した傷のようにどうしようもなく辛いことで
 あればある程、一人で抱えて持っていく。

 だからわたし、乃絵ちゃんがいなかった時>>11
 驚かなかったし、泣かなかった。

 格好いいとか悪いとかは分かんないけど、
 わたしたぶん、乃絵ちゃんのそういうとこ、知ってた。
 クレープ食べてるのは予想外だったけどね。]

(160) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[炭蔵くんに>>144対して、乃絵ちゃんの口>>132
 わたしの指が動く。つまんだのは背中でも頬でもいい。
 大事なのは、炭蔵くんが困った顔で視線を向けるまで、
 わたしが痛いくらいに力を込めてたってこと。

 不慮の事故か何かだと思ってた。
 だってあんなに刃物が落ちていたんだもの。
 向井くんとの経緯>>2:387>>2:421を知らない以上、
 炭蔵くんが自ら切るなんて思いもしない以上、
 責任の所在をわたしが語ることなんてできないし、
 その理由>>119はわたしには信じ難いものだった。

 わたしは炭蔵くんの手首へ視線を向ける。
 絆創膏が貼られた場所からは、
 もう血が滲むこともなさそうだった。]

(161) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ


[わたしのお母さんは、手の怪我で夢を断たれた。]
 

(162) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[たまたま怪我して、たまたま怪我した場所が悪かった。
 死んじゃった時と同じ。シンプルで分かりやすいでしょ。

 わたしが死ぬのに大量の血なんていらない。
 たった一筋、刃で線を引いただけで、
 わたしの命は人より容易に奪われることがある。

 もし炭蔵くん>>146を叩いたわたしの手が強かったなら、
 つまりはそういうこと。
 わたし、珍しくちょっと怒ってた。]

(163) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……それヤだ。心配もする。
  だから。できたら、怪我、しないで。

[怪我してもしなくてもどっちでもいいなんて思えない。
 乃絵ちゃんと炭蔵くん、どっちかだけなんて思わない。
 どっちも、なんだよ。今のわたしは特別欲張りだから。

 あるのはわたしの感情で、正しさなんてどこにもない。

 炭蔵くんの困惑顔が意外そうな表情に変わるから>>146
 わたしは炭蔵くんの眸を見て、わたしの気持ちを伝えた。
 乃絵ちゃん>>132も言葉を重ねたみたい。]

(164) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは乃絵ちゃんの方へ向き直った。

 本当は、乃絵ちゃんにも同じこと言いたいよ。
 怪我しないでって。
 炭蔵くんと同じくらいヤだけど口を噤む。

 ちなみにもう一人>>3:288の該当者については、
 わたしたちの距離>>4:246が一定を保たれていたから
 幸か不幸かわたしが気づくことはなかった。

 閑話休題。
 「どうして」って踏み込んだわたしの問いに答える
 乃絵ちゃん>>136へ、わたしはゆっくり近づいていく。]

(165) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  すきだよ。

  ちょっと気が弱くて、でもわたしたちのこと
  何より大切にしようとしてくれるお父さんが、
  わたしはすき。

[そして、ちょっぴり嫌い。
 自分のこと、すぐ後回しにしちゃうから。
 わたしの夢がいつかお父さんを殺してしまいそうで。]

(166) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[お姉さんがいることは前から知っていて>>0:849
 お母さんのことも話を聞いたばかり>>4:524
 でもお父さんの話は、乃絵ちゃん、しなかったと思う。

 でも、フツーでしょ。
 わたしたちは高校生だ。小学生じゃない。
 親の話をしないことは珍しくもなんともない>>0:240。]

  ……うん。

[乃絵ちゃんの話は炭蔵くんとわたしの間を伝う。
 わたしはその間、いつもベンチでしていたみたいに
 相槌を打ち続けた>>0:1058。]

(167) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[お姉さんがいること以外に
 バレーや絵を描くことをやめたことも知っていた。
 降り注ぐ雨粒で乃絵ちゃんの輪郭を捉えた気にもなった。

 何にも、足りなかったね。

 もう時間も残されていない校舎の果て。
 口にすることを避けていた「どうして」が、
 乃絵ちゃんの本当>>141>>143を教えてくれる。]

(168) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[炭蔵くん>>146と乃絵ちゃん>>153の話は
 揺らぎ>>134を見せながらも、そう簡単には交わらない。

 わたしは二人の話を聞きながら記憶を辿っていた。
 思い出すなら、言葉より声からの方がいい。
 高さはどうだったかな。掠れ具合は?
 わたし、元気で楽しそうなのもいいと思うけど、
 ゆったりしたテンポがよく似合うとも思ってるよ。

 だから炭蔵くん>>149がわたしの表情を確かめるなら、
 さっき>>103に比べて、ほんの少し柔らかかったはず。

 わたしは人より少しだけ大きな手を、
 乃絵ちゃんの手に添えようとした。
 もし乃絵ちゃんが許してくれるなら、
 わたしたちの手の中には涙味のクレープ>>142がある。]

(169) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……文化祭、楽しかったなら嬉しいって。

[乃絵ちゃんが繰り返し口にする「手遅れ」って言葉。
 謝ってばかり>>129>>135の乃絵ちゃん。

 伝言は頼まれていない>>3:357
 だからこれは、わたしが力を貸してもらっているだけ。

 ここにはもう、たった三人しかいないけれど、
 最初からそうだった訳じゃない。
 それなら、思いは人の数だけあるはずだ。]

(170) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  こんな世界作っちゃうくらい、楽しかったんだなあ。
  ……向井くんがそう言ってた。
  向井くんも文化祭、楽しかったからうれしいって。

  でも、そういうのだけじゃダメなくらい
  疲れちゃったなら、悲しいとも言ってた。

  乃絵ちゃんはあんな目に遭わせちゃったって言うけど、
  何も、悪いことばかりじゃなかったよ。

[いつもの帰り道じゃ、聞けなかった話>>2:261がある。
 朝の気まずさ>>0:561を引きずり続けるだろうし、
 あんなこと>>4:165言う機会だってきっとなかった。
 約束>>4:386>>4:456を交わすこともなく、
 終わっていくだけの月曜日もあっただろう。

 何より、一度でもわたしが愛を口にできたのは>>4:383
 この場所がわたしたち以外いない、
 思い出の詰まった校舎だったからだ。]

(171) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  いいことも、たくさんあった。
  少なくともわたしはそう。きっとみんなも。

[優しいだけじゃなかったかもしれない。
 わたしはマネキンになる感覚も知らない訳だし。
 でも全員が何らかの意味を得たんじゃないかなって、
 そう、信じたいだけかもしれないけど。

 乃絵ちゃんはどんな顔をしていただろう。
 もし乃絵ちゃんと目があったなら、
 わたしはほのかに微笑んで見せた。
 虚勢でも見栄でも、舞台の上では堂々とするものだ。

 数歩離れる前に乃絵ちゃんの頭に手を伸ばす。
 撫でることはできたかな。]

(172) 2021/06/15(Tue) 12時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……——ピアノ、聞きたいんだっけ。

[乃絵ちゃんから数歩離れたわたしは、
 ピアノの蓋を持ち上げながら尋ねた。
 乃絵ちゃんの最後の心残り>>135なんだって。

 深紅の布を畳んで、引いた椅子に浅く腰掛けて、
 ペダルとの距離を確認。わたしは背筋を伸ばした。]

  ——魔法、かけてあげる。

[夜、柊くんが来てくれて良かった。
 誰か一人のために弾く喜びを教えてくれて良かった。

 おかげで、指の震えを少しでも抑えることができたから。
 わたしは乃絵ちゃんのために、わたしの音楽を奏でる。]

(173) 2021/06/15(Tue) 13時頃

【人】 夜笑国 メイ

[本当はね、「上手くできないと思うけど」って
 予防線を張りたかった。

 でもわたし、
 世界には、他が雑音に成り代わるようなすごい音楽が
 あるってことを伝えたかったから我慢したの。

 最後の心残りを晴らすんじゃなくて、
 また聞きたくなるような音楽を届けたかった。

 わたしは炭蔵くんみたいにたくさんの言葉を知らないし、
 我の強いわたしの性格は寄り添うことに向いてない。
 炭蔵くん>>151は不器用だけど、わたしも大概だ。
 残念ながら、ここに器用な人はいないんだよ。

 わたしたちは、できることをやるしかない。

 だから、わたしは乃絵ちゃんのためにピアノを弾こう。
 わたしにはそれしかできない。
 それだけは、できるから。]

(174) 2021/06/15(Tue) 13時頃

【人】 夜笑国 メイ



       [……できると、思ったんだけどなぁ。]

(175) 2021/06/15(Tue) 13時頃

【人】 夜笑国 メイ

[激しくて、力強い曲だった。
 それでいて雄大な大らかさもある。
 難しい指遣いも多く、聞き応えもある長さ。

 わたしがいくら愛を注いでも、
 わたしの衰えた指はちっとも気持ちに応えてくれない。

 当然だ。
 これはお母さんが亡くなった頃に練習していた曲で、
 随分前に弾けないと諦めてしまったものだから。

 冷たい校舎の中、わたしの額を汗が伝う。
 指がもつれた。メロディーが乱れた。腕が痺れてくる。
 それでもわたし、一度も止まることなく弾き続けた。

 完璧なんてどこにも見当たらない、
 思いを叩きつけるような音色だった。]

(176) 2021/06/15(Tue) 13時頃

【人】 夜笑国 メイ


[ごめん。
 わたしの音、遠くの銀河まで走れないみたい>>4:175

 わたし自身が、そう思っちゃった。]
 

(177) 2021/06/15(Tue) 13時頃

【人】 夜笑国 メイ

[数分に渡る演奏を終え、わたしは鍵盤から指を離す。
 心臓がバクバクしていた。息も切れていた。
 わたしは椅子に座ったまま、乃絵ちゃんを見上げる。]

  ……っ!

[——涙が、こぼれた。]

(178) 2021/06/15(Tue) 13時頃

【人】 夜笑国 メイ

[どんなに泣きそうでもずっと堪えていたのに、
 悔しくて、苦しくて、悲しくて、涙が溢れる。]

  ……ごめ、ん。
  ちがうの、もっと……っ、わたし、

[魔法、なんて。あんなに見栄を張ったのにね。

 乃絵ちゃんに別の世界>>4:426を見せられなくて悔しい。
 もっとちゃんと弾けてたんだよ。嘘じゃない。

 乃絵ちゃん>>157にすぐ反論できないことが苦しい。
 そんなお父さん、こっちから捨てちゃえって思っても
 わたしだって子どもだ。解決策を持ってない。

 乃絵ちゃん>>158が何もかも諦めていることが悲しい。
 手遅れだって言う。帰れないって言う。なんで、]

(179) 2021/06/15(Tue) 13時頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは制服の袖でぐしぐしと目元を擦った。
 わたしが泣いちゃダメだ。そう言い聞かせる。]

  現実って、楽しいことばかりじゃないよね。

[ヤだな、声が震えてる。わたしは一度言葉を切った。]

  死んだら、終わりなんだよ。

  これからあるはずだったこと、思い出。
  全部なくなっちゃう。

  顔とか声とか、どんな話をしたとか、
  そういうのも少しずつ、別のものに変わっていく。
 

(180) 2021/06/15(Tue) 13時頃

【人】 夜笑国 メイ

[帰ったら、わたしはまた愛に口を閉ざすことになる。
 自分のことよりわたしを優先しちゃうお父さん。
 偉い大人の親戚だって、要らぬお節介はわたしのため。

 わたしの物語に悪意はない。
 ただ、首に真綿を柔く巻かれているだけ。

 決して死ぬことできない息苦しさの中で、
 それでもわたしは生きていく。]

(181) 2021/06/15(Tue) 13時頃

【人】 夜笑国 メイ


  わたしの力はちっぽけかもしれないけど、
  炭蔵くんや鳩羽くんだっている。
  他のみんなだって生きてる。

  綿見さんとも話せたんでしょ。
  ……お母さんだって、いる。

[乃絵ちゃん>>4:524曰く、立派なお母さん。
 苺大福の話をしている時、ちょっぴり嬉しそうに見えた。
 好きだったのかなって思う>>4:469
 夜食もそう。わたしの知らない夜に、わたしの知らない
 乃絵ちゃんの楽しみ>>4:309があった。]

(182) 2021/06/15(Tue) 13時頃

【人】 夜笑国 メイ


  これからなんだから……だから、
  ……友達のまま、生きてよ。

  もっと教えてよ。巻き込んでよ。
  言葉にして、伝えてよ。
  でないと分かんないよ。

  今話したこと、誰にも言ってないんじゃない。
  ……できるなら、伝えようよ。

  せめて、飲み込まないで、痛くしないで。
  全部、わたしにぶつけていいから。

  一蓮托生、でしょ。
  わたしとなら、ワルイコトでもいいんでしょ。
 

(183) 2021/06/15(Tue) 13時頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは椅子を離れて、乃絵ちゃんの前に戻る。
 ドーナツの穴を通さなくたって、
 わたしの赤い目には乃絵ちゃんしか映っていない。

 もう一度手を取ろうとしたけどどうかな。
 疲労と不安で指が震え、ぺとぺともしたかもだけど、
 蓄えた熱さで手を温めることくらいはできるかも。]

  乃絵ちゃんは帰れないって言うけれど、
  手遅れじゃないとしたら……どうしたいの。

  わたしは、乃絵ちゃんの気持ちが知りたい。
  ……教えて、くれる?

[理不尽であることも分かってて>>154
 お父さんが間違っているとも思ってて>>156
 それでもなお、どうしようもない>>157

 乃絵ちゃんが抱えているのは
 簡単に解決できるものじゃないけれど、]

(184) 2021/06/15(Tue) 13時頃

【人】 夜笑国 メイ



  わたしは必要ないって言われても、
  乃絵ちゃんの友達をやめる気、ないからね。


[名前で呼び合ったらともだち?
 きっと違うよね。

 わたしが友達でいたいから、ともだち。

 涙と汗でぐちゃぐちゃでも、指が震えていても、
 全然出口が見つからなくても、不恰好でも。
 わたしはいつもみたいに笑って見せた。]**

(185) 2021/06/15(Tue) 13時頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/15(Tue) 13時頃


【人】 夜笑国 メイ

[炭蔵くん>>196の手が乃絵ちゃんの頭に向かう。
 わたしより背の高いふたりの顔を、わたしは見上げた。
 目を細めたのは笑っていたからなんだけど、
 眦にほっとした色が差したのは炭蔵くんを見てからだ。

 炭蔵くんの言葉>>194>>195が、背中を押してくれる。

 今でもやっぱり正しいとか間違っているとかは
 よく分からないことも多いんだけど、
 炭蔵くんがいて、同じ方を向いているからこそ、
 わたしは分からないままでも進めるんだと思った。

 わたしが怖い時に頭を優しく叩いてくれるから、
 前を向けない時に、背を撫で明日を教えてくれるから。
 わたしがここにいるのは、炭蔵くんのおかげだ。]

(197) 2021/06/15(Tue) 19時頃

【人】 夜笑国 メイ

[もしこの世界が炭蔵くん>>120の言う通りなら、
 わたしたちはもう少しだけ頑張れるんじゃないかな。

 わたしの話はどうにもぐちゃぐちゃだったけど、
 大切なことは炭蔵くんが言葉にしてくれた。]

  三人で、一緒に帰りたいな。

[わたしの話を炭蔵くん>>186が知らないことは当然で、
 炭蔵くんとわたしが一対一で話す機会すら、
 こんなことがなければありえなかったかも。
 隣に並んで乃絵ちゃんに手を伸ばす姿を不思議に思う。]

(198) 2021/06/15(Tue) 19時頃

【人】 夜笑国 メイ


  ね。

[だから、謝らなくていいんだよ>>187
 わたしのわがままなんだから。

 わたしが勝手に、炭蔵くんに親しみを持っちゃっただけ。
 あなたが傷つくの、ヤだなって思っただけ。
 今日限りでも、相棒になれたって信じたかっただけ。

 今はまだ、そう返せはしなかったけれど、
 誰にも見せなかった涙を二人にだけ明かして、
 ほんの少し強がりと共にわたしはにこにこ笑った。]*

(199) 2021/06/15(Tue) 19時頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/15(Tue) 19時頃


【人】 夜笑国 メイ

[焦げた生地でできたクレープに涙とわたしの手を足して、
 わたしは乃絵ちゃん>>203の話を聞く。]

  みんなの話、もっと聞いておけばよかったな。

[そうしたら、もっと乃絵ちゃんへ
 伝えられることがあったかもしれないのに。
 写真が捨てられた話に、乃絵ちゃんの手を強く握る。]

(218) 2021/06/15(Tue) 21時頃

【人】 夜笑国 メイ


  うん、……うん。
  楽しかったよねぇ。

  いらなくなんか、必要なくなんか、ないのにねぇ。
  そういうことじゃ、ないのに、ねぇ。

[乃絵ちゃんの話を聞く度、あのメール>>1が鮮明になる。
 逆らえない命令、一人じゃ生きられないこと。
 教室にはわたしたちの思い出がたくさん飾られてたけど、
 一番多かったのは、文化祭の写真だ。
 わたしは廊下に並んだみんなの顔を思い出す。

 乃絵ちゃんは、これ以上大切なものを奪われないように
 死のうとしたんだなって分かったから>>143
 手を握る力はより強くなった。
 わたしの短い爪は、それでも乃絵ちゃんを傷つけない。

 わたしは笑った。お日様にはなれないけど、
 あの文化祭の日、楽しかった時を取り戻すみたいに。]*

(219) 2021/06/15(Tue) 21時頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしの魔法はわたしに従ってくれなかった。
 ボロボロで、ぐちゃぐちゃで、
 せめて止まらないことで、曲としての形を辛うじて保つ。
 もっとできると思ってたけど、それしかできなかった。

   わたしは乃絵ちゃんに、
    とっておきの心残りをあげたかったのに。

 泣きたくなくても涙が止まらなくて、
 乃絵ちゃん>>207の言葉にわたしも首を振る。]

(220) 2021/06/15(Tue) 21時頃

【人】 夜笑国 メイ


  だ、って、もっとちゃんと、弾けたの。
  でも、もう弾いちゃ ダメだ から、

  わたし、 ぜんぜん、 ダメな、 の。

  のえちゃんに、 きいてもらいた かった、な。
  わた し、 の おんがく。

[声を発する度にしゃくりあげそうになるから、
 わたしはとうとう言葉すらぐちゃぐちゃになった。
 乃絵ちゃん>>208の言葉を一音たりとも
 聞き逃したくなくて、わたしは息を止める。]

(221) 2021/06/15(Tue) 21時頃

【人】 夜笑国 メイ

[痛みは、乃絵ちゃんが生きていくために
 どうしても必要なものだったんだと思う。

 だからわたしは口を噤み続けた>>200
 乃絵ちゃん>>211、身体中を刺したんだって。
 絶対痛いのに、痛みで手を止めてもおかしくないのに、
 それくらい、どうしようもなかったんだ。

 乃絵ちゃんは死ねたらラクなんだって言う>>208
 生きるのは苦しいんだろう。辛いんだろう。
 前のわたしなら、もう何も言えなかったかもしれない。

 ……でも、ね。
 ラクと楽しいが別々で、必ずしもイコールじゃないこと、
 わたしはもう、知っちゃったの。]

(222) 2021/06/15(Tue) 21時頃

【人】 夜笑国 メイ


[だから、たとえワルモノになったとしても、いいや。]
 

(223) 2021/06/15(Tue) 21時頃

【人】 夜笑国 メイ


  ——ダメ。
 

(224) 2021/06/15(Tue) 21時頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしは乃絵ちゃんの言葉>>212に、また首を横に振る。
 重ねた手を片方外して、右ポケットに入れた。
 大事なお守り。ひとみちゃんが渡してくれた、ぼたん。
 ぎゅうって握り締めてから、わたしは口を開いた。]

  綿見さんと仲良くなりたいのに、終わりなの。
  話せただけでいいの?

  これから、でしょう。
  クレープ焦げちゃったんだよって、一緒に言おうよ。
  教えてもらったら、今度は上手にできるかも。

[乃絵ちゃんが語る家族のこと>>209
 お姉さんの代用品だって話。
 乃絵ちゃんの家族のことは、乃絵ちゃんが一番知ってる。

 だからわたしが伝えられるのは、楽しかったって
 言ってた文化祭、一緒にいたわたしたちのことだけ。

 ポケットから手を出し、食べかけのクレープを示した。]

(225) 2021/06/15(Tue) 21時頃

【人】 夜笑国 メイ


  現実は、楽しいことだけじゃない。
  苦しくて、つらくて、どうしようもないこともあって。

  だから、わたしここも結構すきだったよ。
  永遠にいられるなら、それもいいかなって思うくらい。

[でもそんなことはありえない。
 わたしはそれを理解しているから帰るの。

 苦しくて、つらくて、どうしようもないこともある、
 それでも大切なものがいっぱいある現実へ。]

(226) 2021/06/15(Tue) 21時頃

【人】 夜笑国 メイ


  まだ、思い出にしないで。置いていかないで。
  全然ラクじゃないかもしれないけど、
  死んだら、楽しいことなくなっちゃうよ。

  ……乃絵ちゃんはそれでいいの。
  思い出だけで、いいの。

  わたしはヤだなぁ。
  これからの未来に乃絵ちゃんがいないの、ヤだなぁ。

[わたしは乃絵ちゃんを包んでいたもう片方の手も離し、
 手のひらを乃絵ちゃんへ向ける。]

(227) 2021/06/15(Tue) 21時頃

【人】 夜笑国 メイ

[わたしの手は、炭蔵くん>>217の隣に並んだ。
 乃絵ちゃんへ二本の手が差し伸べられる。]

  現実は、怖いだけ?
  乃絵ちゃんの中に、もうそれしかない?

  ……一緒に、帰ろうよ。

[ぐるぐる回って、たどり着いたのは結局最初と同じ。
 わたしはわたしの気持ちを押しつけただけかもしれない。

 でもほんの少しでも同じ気持ちがあるのなら、
 どうか、手を取ってほしい。

 わたしはそう伝えて、ほのかに笑った。
 乃絵ちゃんの願いを、選択を、答えを 待つ。]*

(228) 2021/06/15(Tue) 21時頃

【人】 夜笑国 メイ


[乃絵ちゃんの質問>>231に、
 わたしたちはわたしたちなりの答えを出した。]
 

(237) 2021/06/15(Tue) 22時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[炭蔵くんのわがままとわたしが積み上げる心残りが、
 乃絵ちゃんの中に届いたのかな。
 乃絵ちゃん>>232>>233はわたしたちの答えに笑った。

 さっきあんなに首を振っていたのに>>230
 もしかしてって期待しちゃいそうになる気持ちを堪えて、
 わたしは手の差し出し続ける。]

(238) 2021/06/15(Tue) 22時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  ……うん。

[乃絵ちゃんが願いを口にした。
 最初はいらないモノのこと>>234
 次に欲しいモノのこと>>235

 後者の話を聞いた時、わたし、指先が震えちゃった。

 夢じゃないかな。
 わたしが言って欲しいって思ったこと、
 聞こえてるだけじゃないかな。

 でも乃絵ちゃんの目からはぼろぼろと涙が溢れていて、
 わたしは鼻を啜りながら笑った。
 今度は強がりなんかじゃない、本当の笑顔だった。]

(239) 2021/06/15(Tue) 22時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[乃絵ちゃんはちょっと待ってねってクレープを食べる。
 わたしはわたしたちの手を見て、炭蔵くんの顔を見て、
 それから乃絵ちゃんを見て、からりと笑った。
 何だか、ちょっと力が抜けちゃったね。

 ——わたしたちはみんな、二本の腕を持っている。

 涙味のクレープがなくなるまで待って改めて。
 わたしたちは、真正面から向き合った。]

  ……全然上手じゃないけど、いい?

[わたし、嘘つくのあんまり気にしないんだけど、
 今だけは何の嘘も紛れ込ませたくなかったから、
 乃絵ちゃんにひとつだけ尋ねた。
 願い事には、わたしのピアノが含まれている。]

(240) 2021/06/15(Tue) 22時半頃

【人】 夜笑国 メイ


  絶対叶えるよ。約束する。

  一緒にいよう。思い出作ろう。
  ピアノも弾く……いつか、いつか。
  ……ううん、未来のことは分かんないけど。
  わたし、がんばるから、

  乃絵ちゃんも、そこにいてほしい。

[わたしは差し出した手をもっと前に伸ばす。
 いつの間にかわたしの目からは涙が消えていた。]

(241) 2021/06/15(Tue) 22時半頃

【人】 夜笑国 メイ


[わたしは、わたしの宝物で、友達を迎えに行く。]*
 

(242) 2021/06/15(Tue) 22時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[乃絵ちゃんの控えめなわがまま>>247にわたしは笑う。]

  それまでしか一緒にいてくれないの?

[なんて、ちょっと意地悪。
 わたしのピアノを望んでくれた乃絵ちゃん>>246に、
 それまでなんてある訳ないのにね。]

  ずっと一緒にいたいってことだよ。

[約束じゃなくて、わたしがそうしたいから。
 乃絵ちゃんに伝えて、わたしは乃絵ちゃんの手を引く。
 そうしたら、乃絵ちゃんのもう片方の手を取った
 炭蔵くん>>245にもその力が伝わるかな。
 わたしは、校舎の果てから出ようと促した。]

(251) 2021/06/15(Tue) 23時半頃

【人】 夜笑国 メイ

[音楽室の中、
 わたしは手を繋いだ乃絵ちゃんを見上げる。
 少し身体を傾けたら、向こうに炭蔵くんも見えた。]

  乃絵ちゃん。

[わたしは大切な友達の名前を呼ぶ。
 一緒に帰ろう。明日へ進もう。
 そのために、まずはどこへ向かおうか。
 
 道のりは分からないけれど、ひとつだけ確かなのは、
 わたしが乃絵ちゃんの手をもう離さないことだけ。]*

(252) 2021/06/15(Tue) 23時半頃

夜笑国 メイは、メモを貼った。

2021/06/15(Tue) 23時半頃


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