14 冷たい校舎村10
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……うん。会いに行こう。 終わりなんて、いやだよ。 *
(101) 2021/11/13(Sat) 21時半頃
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[ 扉のその先に、満点の星空を想像した。 裏腹に、広がるのはひたすらに深い闇だ。>>74]
(102) 2021/11/13(Sat) 21時半頃
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── 現在 ──
──和歌奈ちゃん!
[ わたし、飛び出すように、 開け放たれた扉の方へと地面を蹴った。
探していた人が背中を向けて立っている。 かすかにため息が聞こえた。 ただ事実を述べるような声も。>>79
別に走ってきたわけじゃないのに、 鼓動が速くて、息が苦しいのだ。 やっとのことで名前を呼んだくらいに。
こころが痛いのだ。 その背が近づかないでと言うようで。]
(103) 2021/11/13(Sat) 21時半頃
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[ 屋上に君は立つ君に、 まなちが語りかけるのを見ていた。>>94
穏やかな空気がまるで物語の終わりみたいで、 わたし、耐えられずに声を張り上げてしまう。]
ここが壊れちゃうなら、 その前に一緒にかえろうよ! かえれるはずなの! 今からでも!
[ 50%を切ったって大丈夫。 いつかそんなふうに笑ったくせ、 多くの場合≠ノさえ確証を持てず、 わたしの声はひどく切羽詰まっている。*]
(104) 2021/11/13(Sat) 21時半頃
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[私にはその時君が、>>88>>89 どんな表情を浮かべているのか、想像できそうな気がした。 悪い笑みは絶対浮かべないだろうって]
(105) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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[知ってるよ。>>90
風の音にともすればかき消されそうな、 車椅子のモーター音を聞きながら心の中だけで呟いた。 なんなら方法だって知ってる。 今立ってるところからまっすぐ歩いて、 フェンスの破れてるところを手で押し広げて、 普段は行けない向こう側へ立つ。 それから虚空へと踏み出す。
絶対に教えられないやり方だ。 パンケーキを綺麗な円にするやり方とはわけが違う。
パンケーキの方は興味があるなら古香ちゃんに教えてもらうといい。>>95]
(106) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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[和歌奈は不知火真梛の知らないことを知っていて、 ならばその逆もあるのだと、 どうして気付かなかったんだろう。
彼女がこの目で見てきた世界。 車椅子とエレベーター、ふたつの機械の力を借りて、 歩いた、文化祭。>>92>>93]
そっか、文化祭楽しんでくれたんだ。 よかった。 どういたしまして。
[ひとつ知らなかったことを知れて、 君に見えないところで少しだけ穏やかな笑みを取り戻す。
でもね、優しい君の口から降る、 「優しい」って言葉だけは、>>94 認めるわけにはいかない]
(107) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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優しくないよ。……私は。 私は、誰かの大事なものを壊しても、 泣くことすらできやしないんだから。
君が美しく優しいって言ってくれたこの世界も、 結局もうもたないって分かってるのに。 全然心が痛まない。
そんな自分が嫌になるよ。
だからね、何かを壊すのは、 もうこれで最後にしようと思う。
(108) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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── 屋上 ──
[着ぐるみの下、何とも言えない顔になる。>>100 委員長、副委員長、揃ってひとを買いかぶりすぎだ。
でも、もし兄にはなれない俺でも。 ここに集まったメンバーにとって、必要なら。]
…………。
[着いた屋上は、暗かった。>>74 校舎の中と違い、星も見えない空が広がっていて 分厚い着ぐるみのおかげで風は感じなかった。
雪はいつの間にやんでいたんだろう。 そんな、他愛もないことを考えながら。 飛び出して行った古香の背を、追った先。]
(109) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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[居たのは、河合と真梛。>>79 朝会話した時とは違う。>>3:155>>94 いつもの真梛の口ぶりにホッとしながら 突き離すような河合の返答に、軽く目を見開いた。
古香の声が闇を裂くように響く。>>104 悲痛なそれが、暗い空に消えるのを待って。]
……このまま壊れて、 かえりたくない理由があるなら、聞くけど。
[俺も、ここに居ることを告げる。*]
(110) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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[それから少しだけ声を張り上げる]
そういうことだよ古香ちゃん。 帰るわけにはいかないんだ、私は。 そうしないと、これが最後にならないんだから。
[顔は見てないけど声で分かった。>>104 そうとう切羽詰まってるって。 どうしたものか。今からでも、なんて言われても、]
もう遅いんだよ。 ……たとえ一応は丸く収まったとしても、 一度やっちゃったことは取り返せない。
(111) 2021/11/13(Sat) 22時半頃
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[聞こえてきた声はもうひとつ。>>110 荒木くんの声だ。 まさか着ぐるみを着ているとはこの目で確認してないから、 声が……何か違った感じがするのは、 風のせいかもしれないと思い込んでいる。 墨鳥くんらしき声はない。 ここにいないってことは、かえったのかも。 石頭くんと彼でふたり、って考えれば数は合う。
かえりたくない理由があるなら聞くという。 そうだね、話せばきっとわかってくれるに違いない。 そしてまた、過去を思い返せば、 ココロの奥に隙間風が吹く]
(112) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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知ってるよね。特に荒木くんは。 私の妹のこと。
[猫の着ぐるみと女の子の微笑ましい光景はたくさん見たし、 八歳であることや、似てない理由に起因する、家の事情はちょっとだけ話した。>>3:236 父の再婚相手の連れ子なのだと。
でもそんなこと和歌奈には関係なかった。 「いいお姉ちゃんになりたいんだ」と言って、 ただ笑っていた。朗らかに]
(113) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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……私はあの子に、ひどいことをしちゃったんだ。*
(114) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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[ 風の中でもよく通る声。 この声でクラスの意見をまとめてくれた。 我らが委員長。>>104
君さえいれば大丈夫だ。 安心感を与えてくれた穏やかな声が 今、和歌奈を思ってゆとりなく張り詰めている。
そしてその隣には、 隣、には?? ── 猫??? …… 春満か、愛らしいな。>>110 ]
(115) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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ふむ。見解の相違だな。 君の思考を私に寄せようとは思わない。
[ 優しくないと、君は否定する。>>108 頑なな拒絶に心が詰まる。
なんだろうなぁ。 どうして優しい人ばかり、>>0:494
その言葉に対して、首を横に振るんだろう? ]
(116) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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[ 車椅子を一歩、進め、声を張る。 ]
大変すまないが、 私には君の家庭の事情はわからない! 君の妹と会った事もないからな!
君が自分の事が嫌になったのは残念だと思うが。 仕方ない事だとも思う。 だが君の家族のことは知らなくても。 君の事は少し、知っているんだ。
…… たとえ最後だとしても、 何かを壊したらきっと君は傷付くのだろう。
君達ときたら、他者にばかり優しくて、 どうにも自分に優しくする事は不得手のようだから。
(117) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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[ 困った物だと、顰めた眉と共に息を吐き。
更に車椅子を動かした。 距離は縮まり、重なって。
そのまま止まらないまま擦れ違えば、 フェンスに近い場所へ。 中心を反転した状態で、先程と同じ距離が生じる。 ]
和歌奈。
(118) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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[ 今度は私が君に背中を向ける番。 振り向かないまま、名を呼べば。 口元に咲かせるのは、挑むような笑み。 ]
私は君の考えを否定しない。 君と私は別の人間だから。
─── が、
(119) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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君が優しくない人間だと言うのなら。 どうか、私の邪魔をしてくれるなよ?
(120) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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[ 笑いながら、念を押すように言い放てば、 さてどうしよう?
そうだな、手始めに。 真っ直ぐ車椅子を進めて、 フェンスの破れているところを手で押し広げて、 普段は行けないと向こう側に身体を出せば。 そこから先の事は、君が誰よりも知っている。 ]*
(121) 2021/11/13(Sat) 23時頃
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─── 病院 ───
やっぱ居た。 来ると思ってた。
[息を切らせて病院へとたどり着けば 先に戻っていた3人も、いつの間にやら幣太郎も、集まっていた。
最初から分かっていた。ここへ来ることは。]
(+41) 2021/11/13(Sat) 23時半頃
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[退院がいつできるかわからないから、 クリスマス越しちゃったら忘年会。 それとも年越しパーティー? 年を越そうものなら新年会もついでにさ。 受験?一日ぐらい忘れたっていいでしょ。
そんな夢にしばらく思いを馳せた後、]
私、ちょっと様子見てくるね。
[もしかしたら手術終わってるかもしれないし。 そう言って少し名残惜しそうに身体を離したら、 何かを思いだしたようにその口をまた開く。]
(+42) 2021/11/13(Sat) 23時半頃
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……そういえば、さ。 私元気で明るいクラスのムードメーカーな 七星さんは悩みとかなさそうでいいなって 思ったことあるんだ。
でも、違うよね。 生きている限り、ないわけないもんね。 だったら一人で抱えないで欲しいって思うよ。 そりゃ、誰にも言えないことだってあると 思うけどさ。
その、七星さんも大切な友達 だからさ!
(+43) 2021/11/13(Sat) 23時半頃
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[あの遺書に共感や親近感という言葉を口にした 七星さん。 荒木君だって。 真梛さんや他のみんなも。
私が言えたことじゃないのはわかってる。 けど、言わずにはいられなかったんだ。 誰かが欠けでもしたら、私は哀しいから。]
(+44) 2021/11/13(Sat) 23時半頃
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―― 待合スペース ――
[ご家族は変わらずに待っていた。 少し離れた場所で、心配させぬよう 祖父母に連絡を入れる。]
……そういえば、 あれはBADENDだったなぁ。
[いつか見た演劇部の古い台本。
精神世界のホストたる主人公は、 揺れながらも絶望から逃れられず、 確固たる意志の元その世界に残った。 けれど誰もいなくなった世界で、 一人笑いながら泣いていて――… ]
(+45) 2021/11/14(Sun) 00時頃
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[HAPPYENDが好きな私は、その終わりが悲しくて、 別の話に耽ったんだ。]
……帰ってきなよ
[あれからグルチャには何の反応もない。 だから石頭君や墨鳥君が帰ってきてるとは 微塵も思わず、ただ赤が消えるのを、待っていた。]**
(+46) 2021/11/14(Sun) 00時頃
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くそっ待つしかできねぇか。
[それは全部分かっていたことだった。 けれども、居ても立ってもいられなかった。 理由なんて要らない。そうだろう?]
(+47) 2021/11/14(Sun) 00時頃
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もしかしたらアイツは、戻ってくる気が無いのかも知れねぇ。 そんな事、望んじゃいないのかも知れねぇ。
[まちあいしつの重い空気に耐えられず、そんな事をポツリと口にする。ここまで来て明るく振る舞うのは、流石に無理だ。 それでも]
知るかよ。
[もう迷う必要なんてないから。]
オレはアイツに戻ってきて欲しいんだ。ただの我儘さ。でもアイツじゃなきゃダメなんだ。
(+48) 2021/11/14(Sun) 00時頃
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[まだ、秋だった。 冬の足音を遠くに聞きつつある時節。
私は考えた。 妹の大切にしている猫のぬいぐるみについて。 平塚ちゃん協力のもと、服は新しくなったけど、 本体のくたびれ加減はどうしようもない。
だから修理しようと決めたんだ。 妹がぬいぐるみをお留守番させて外に出ている間にこっそりと。 裁縫の腕は38点でも、私はだれにも頼らずひとりでやろうとした]
(122) 2021/11/14(Sun) 00時頃
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