10 冷たい校舎村9
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向井くん。
[わたしは両拳を膝に押しつけ立ち上がった。 それでも向井くんの目線とはまだ差があって、 残念ながらそれだけで壁になることはできない。
両手に握りしめたものをそれぞれポケットに入れる。 お財布は元の場所に。入れる暇のなかった10円玉は、 ひとみちゃんのお守りと暫く同居してもらう。 ポケットの中、少しだけ重くなった。]
むかいくん。
[わたしはもう一度名前を呼んだ。 向井くんの目が開いているなら、 わたしはそこにわたしの手のひらを翳そうとする。]
(227) 2021/06/10(Thu) 20時半頃
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ごめん、屋台見に来たわたしが悪かったね。 帰ろう。ここは、危ないよ。
[なんでには答えられないけれど、 これでどうしての答えにはなったかな。 わたしから落とした硬貨を目的と繋げることはしない。
向井くんは見なくていいよ。その方がラクでしょ。 あの日も今も変わらずに、 わたしは向井くんを真実から遠ざけようとした。]*
(228) 2021/06/10(Thu) 20時半頃
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— 昨日の夜:購買まで —
[わたしと乃絵ちゃんの会話はいつも>>0:849みたいに ぽつぽつと。もし雪が地面に落ちる音があるのなら、 聞こえたんじゃないかってくらい。
さすがにお菓子は禁止されてた訳じゃないんだけど、 混雑するお昼はご飯だけ買っちゃうことが多いし、 放課後は友達とお喋りもせずに帰るから、 そもそも手に取る機会がない。 お母さんが買ってきてくれるの食べるくらいかな。
でも、甘いのはいい。 とびきり甘いの、すきだよ>>0:595。 わたしは乃絵ちゃん>>205の話に相槌を打ちながら、 薄っぺらいすきとエピソードを返した。]
(246) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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[わたしは放課後の乃絵ちゃん>>206を知らない。 わたしは乃絵ちゃんが与えてくれた乃絵ちゃんしか、 知らない。
それで良かったはずなのに、 落ち着かない気持ちになるのはなんでだろう。
わたしは窓から視線を外し、乃絵ちゃん>>208を見た。]
……ううん、なんでもない。
[ここに来てから誤魔化すの、どんどん下手になる。 平気だったため息が、わたしにもしもを突きつける。 首を傾げる乃絵ちゃんにそれしか言えなかった。]
(247) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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[わたしがわたしをここの世界の主人だと思わないのは、 わたしがわたしだから>>2:171だ。
わたしよりふさわしい人を、知っているからだ。]
(248) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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早く行こ。 食べたことないの、探さなきゃ。
[でも、当の本人は至って普通で、 至って普通にわたしたちの中にいて、 わたしの想像が間違いなんじゃないかって思っちゃう。
その方がいい。その方がいいから、 わたしはラクな方に流れようとする。 わたしのラクな方へ流れようとする。
名前を呼び合うから友達なんて考えるくせに、 わたしの中にはとっくに、 乃絵ちゃんに対する意思が芽生えていた。
歩みを進めると、上靴が触れて音を立てた。 ——雪が降り続けている。]*
(251) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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— 昨日の夜:購買 —
[食べたことないのって話してたのに、 結局わたしが選んだのは穴の空いたドーナツだった。 店を物色している乃絵ちゃん>>211に袋を見せると、 どうやら初めての様子。]
すっごい甘いから、お茶があってもいいかも。 ほうじ茶も買う?
[わたしのお母さんも身体のことを考えて 食事を作ってくれてたけど、乃絵ちゃんの家ほど 厳しくはなかった。 だからたまに買ってきてくれるお菓子は市販のもので、 わたしはやっぱり甘いお菓子を好んでいたみたい。 そう大きくなってから聞いたことがある。]
(254) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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わたしも怒られたー。 でもついやりたくなって、こっそりやってたな。
[わたしのお母さんはピアノのことは鬼みたいに怖いけど、 普段は優しいお母さんだったから。 外ではダメだけど、家では多少見逃してもらってた。 だからわたしの怒られたと乃絵ちゃんの怒られたは違う。
乃絵ちゃんの呟き>>212が聞こえた。 わたしは目の前に翳したドーナツの袋をどかして、 乃絵ちゃんを見上げる。]
(255) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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[わたしは両腕に力を込めて袋を開けた。 まだ支払いはしてない。でも今必要だから。]
はい。
[わたしは個包装のドーナツをひとつ摘んで 乃絵ちゃんに差し出した。 真面目な乃絵ちゃんは受け取ってくれないかな。 もしその時は開けた袋を抱えたまま、 レジに小銭を置いてくるつもり。]
はい。
[リベンジ。 どちらかのタイミングで渡せたらいいな。
わたしも袋からミニドーナツをひとつ摘み上げる。 一口で入っちゃうくらい小さな輪っか。 透明なビニールがちょっと邪魔だけど、 わたしはそのままドーナツの穴を覗き込んだ。]
(258) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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乃絵ちゃんがいる。
[わたしは正面にいる乃絵ちゃんの顔をじっと見つめた。 ちゃんと、ここにいる。わたしにはそう見える。]
乃絵ちゃんは?
[わたしはそう言って、乃絵ちゃんに促してみよう。 乃絵ちゃんはどうするだろう。わたしは黙って見守る。]
見えてるもの、同じだねぇ。
[炭蔵くんと視界を共有した時>>1:150と同じ話をした。 でもきっとそういうことじゃないんだろうってことも ちょっとだけ、分かってきた。
さっき別れた鳩羽くん>>222の顔が浮かぶ。 違うとこ、いろいろあったもんね。 鳩羽くんの真似をするように二度、深呼吸。]
(259) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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……もし、見えるものが違うなら、いつか教えてね。 わたしが知らなくて、乃絵ちゃんが知ってること。
[聞くよ>>0:1167より近い、教えてね。 わたしはあの時みたいに頭に触れようとした。 今回はミニドーナツ付きなので少しがさがさするかも。]
ね。
[わたしからはそれだけ。話は終わりって伝えるように、 乃絵ちゃんが選んだチョコレート>>214を覗き込む。]
(260) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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冬季限定味だー。 冬季限定が終わったらどうなると思う? 春季限定が出るんだよ。
[なんて話をしながら、乃絵ちゃんが選び終えて 支払いをするまで待って、お菓子たちと一緒に 保健室へ向かおうか。
ひとみちゃんと綿見さんにもお裾分けできたらとは 思うんだけど、わたしはなんでもいいよ。 みんなの一番ラクな結果でいい。]*
(261) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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夜笑国 メイは、メモを貼った。
2021/06/10(Thu) 22時頃
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— 現在:渡り廊下 —
[向井くん>>230の疑問はわたしの後ろの変化に吸われて、 わたしの両手にあった秘密はポケットに逃げおおせた。 空いた手で向井くん>>232の視界を遮ろうとする。
向井くん>>234は昨日の朝、 教室を飛び出した時みたいに動揺している様子はない。 腕の中のご飯を大事に抱えたままだ。]
いいの。なんにも買わないから。
[向井くん>>236が歩き出せば、わたしの手は邪魔になる。 腕を下ろして、冷気から守るように両手を擦り合わせた。
渡り廊下は大した距離じゃないけれど、 同じ景色が続くとなんだかずっと同じところを 歩いているような気分だった。 目が回りそうになったわたしの口は、 また向井くんの疑問を増やすような返事をする。]
(272) 2021/06/10(Thu) 22時半頃
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[そのまま離れるはずだった場所。 向井くんが立ち止まって振り返るから、 わたしは半歩遅れて向井くんの方を向いた。]
……?
[向井くん>>239が何を言っているのか 一瞬分からなくて、わたしは首を傾げた。
精神世界の話は、昨晩鳩羽くんに教えてもらったよ。 頭の中って言われても驚かない。]
それは……そうかもしれない。
[カッターナイフがわたしたちに飛んでくる訳でもない。 九重さんの人形のことを除けば、 ため息をそう捉えなければ、 わたしたちに敵意が向いていることはなかった。 まず、わたしは向井くんの疑問に答える。]
(273) 2021/06/10(Thu) 22時半頃
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でも向井くんには危ないでしょ。 ここ、想定外がいっぱいだもん。
[それからわたしの意見を述べた。 わたしは向井くんのルールなんて知らないけど、 向井くんがそういう人だとは思っているよ。
わたしの顔は笑ってない。 でも馬鹿にしたり困ってもいなかった。 ただ当たり前みたいに、わたしは向井くんを定める。]*
(274) 2021/06/10(Thu) 22時半頃
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— 昨日の夜:購買でワルイコト —
[二本指で摘めちゃうドーナツの穴は小さく歪で、 透明な膜を挟んだ乃絵ちゃんの表情はよく見えない。 たぶんちょっと動揺してる>>281。 わたしは角度を変えたり反対の目を閉じたりしながら、 乃絵ちゃん>>282がわたしの言葉を咀嚼するのを待った。
乃絵ちゃんが驚いた顔をした時>>279、 わたしはだよねぇって思った。納得した。 乃絵ちゃんは、やっちゃダメって言われたらやらない。 いつも真面目で、しっかりしてて、冷静で。
でも、別に強い訳じゃない。
乃絵ちゃん>>283がドーナツを目元に当てる。 わたしはわたしがよく見えるように、 乃絵ちゃんへ一歩近づいた。 わたしの名前を呼ばれて、わたしはうんって頷く。 同じだねぇ。]
(304) 2021/06/10(Thu) 23時半頃
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[わたしたちはいつも一定の距離を保っていたから>>278、 わたしは乃絵ちゃんの不安を雨粒分しか分からないし、 乃絵ちゃんもわたしに何が欠けているのか知らない。
でも今、ドーナツの穴から見えるように進んだ分、 わたしは言葉を近づけた。 いつか、なんて、曖昧な言葉だけど。 乃絵ちゃん>>286頷いてくれたからいいかなって思う。]
買う前に開けてごめんなさい。
[わたしは空っぽのレジに謝っておいた。 わたしはドーナツの穴を覗くようなワルモノだけど、 家の外でこんなことするような躾は受けてません。 フツーだよ、わたし。よく人と噛み合わないけど。]
(305) 2021/06/10(Thu) 23時半頃
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[乃絵ちゃんが選んだ冬季限定のチョコとほうじ茶>>279 綿見さんとひとみちゃんの分のお茶、 それからとびきり甘いミニドーナツ(開封済み)。 他よりちょっと大きな小銭の山を作ると、 わたしたちは保健室へ戻っていく。
お菓子パーティーが実現できたかどうか、 お茶が誰の手に渡ったかは、女の子だけの秘密だ。]
(306) 2021/06/10(Thu) 23時半頃
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[いい夜だった。 ここがどこか、なんでここにいるのか、 一瞬だけでも忘れちゃうくらいに。
いい日だったと思ってる。 怖いことはあったけど、 わたしの大切なものは何も失われていない。
自ら手放した、たったひとつの愛を除いて。]*
(307) 2021/06/10(Thu) 23時半頃
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夜笑国 メイは、メモを貼った。
2021/06/10(Thu) 23時半頃
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— 現在:渡り廊下 —
[向井くん>>291に「変なの」って言われたから、 わたしは「フツーだよ」って返した。 フツーだよ。知られたくないこと隠すために 誤魔化してるだけだもん。みんなもやるでしょ。
わたしたちは短い道を歩いて、 また建物の中に入るはずだった。
向井くん>>292が振り返って、わたしが半歩進む。 再開されるはずだった歩みを止めたのは、たぶん わたしだ。向井くん>>293が固まって、笑う。 わたしはやっぱり笑わなかった。]
(324) 2021/06/11(Fri) 00時半頃
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最初に言ったのは向井くんだよ。 決まってることやるの、ラクなんでしょ。
[わたしの向井くんに対する印象は、 ほとんどがあの日>>0:478に作られたものだ。]
ラクじゃなくてもいいの、すごいんでしょ。 えらいんでしょ。
ラクかどうか、 向井くんには大切なことだって思ってたんだけど。
[向井くんはそう言ったこと>>0:798、覚えているかな。 わたしも会話の詳細はもう覚えてないから 説明はできないんだけど。 わたしは思い出の断片を拾っては向井くんへ向けた。]
(325) 2021/06/11(Fri) 00時半頃
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炭蔵くん? ま、役割が違うからね。 それにわたしも言われなきゃ気づかなかったと思う。 わたしは人じゃなくて、向井くんを見てただけ。
……言わなきゃ、伝わらないんだよ。
[わたしはわたしへ言い聞かせるように零した。 わたしも言葉を途切れさせれば、 向井くん>>294との間に沈黙が漂う。 そろそろ歩き出す頃合いみたいな空気が流れ出した頃、 向井くん>>295が再び口を開いた。]
(326) 2021/06/11(Fri) 00時半頃
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それが、一番嫌なんじゃないの?
[思わず、どうしてが口をついて出ていた。 向井くんは息がしづらいのだという。
わたしがラクを求めずただひとつに打ち込んだように、 向井くんにとっては、 それが何より優先すべきことなんじゃないのかな。
だからわたしは昨日の朝、失われる石橋を思ったし、 今こうして向井くんと話してるし、10円玉を増やした。
分かったつもりだった向井くんのことが分からなくて、 わたしは笑うことなくまた首を傾げる。
笑わないのは、心配しているからだよ。 一番大切なことができないの、苦しいでしょう。 叶えられるなら、叶えるべきだよ。 わたしは理想を向井くんへ勝手に押しつけた。]
(327) 2021/06/11(Fri) 00時半頃
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[向井くんが歩き出すならついていくし、 そうでないなら立ち止まったまま。どっちでもいい。 今、わたしの興味は向井くんに注がれている。]
……っ、
[すると今度はわたしの方に話題が向いて、 面食らったみたいにわたしは息を詰めた。
何が一番好きなのか。 何にでもなれるなら何になりたいか。 そういうこと言えなくなってもう1年が経つ。 その間、わたしはほとんど息してない。 だからわたしは死人だと思ってた。]
(328) 2021/06/11(Fri) 00時半頃
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もし、ここがずっと、このまま、なら。 ……かな。
[ここが永遠なら、 わたしが悪意のない優しさから永遠に遮断されるなら。
そんなことはありえない。 わたしはこの世界よりわたしを信じちゃう。 いつか覚めるものって考えちゃう。
このままじゃいけないって思っちゃう。 わたしの頭の中で、世界と繋がりそうになる友達がいる。
わたしは追い払うように頭を振った。]
(329) 2021/06/11(Fri) 00時半頃
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だから、ちょっと苦しい。
[昨晩は楽しかった。本当だよ。 だからこそ言えないことが増えて苦しい。 わたしは嫌いじゃないって言える向井くん>>295を 羨ましそうに見つめた。あの時みたいに。 今度は「いいなぁ」とは言わなかったけど。]
(330) 2021/06/11(Fri) 00時半頃
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[だから、かな。 思い出がちょうど近いところに辿り着いたのかも。
それとも、嘘の10円をばら撒く行為に 神様を結びつけたせい?]
(331) 2021/06/11(Fri) 00時半頃
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[向井くん>>297の声に、わたしは固まった。 どういう意味だろう。 何度考えても、文字通りにしか捉えられない。]
……違うって言ったら、信じてくれるの。
[わたしの声はひどく硬いものだったと思う。 偉い大人たちの悪気のない優しさを身体が覚えている。 短い爪を、手のひらに強く押しつけた。
また、わたしじゃないことがわたしになるのかな。 何を言っても信じてもらえないかも。
自分は相手をこうだって決めつけるくせに、 わたしがわたしじゃなくなることに耐えられない。 傲慢だ。でもみんなそうなんじゃないの。
向井くんへ向ける視線に、不安と敵意が混じる。]**
(332) 2021/06/11(Fri) 00時半頃
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夜笑国 メイは、メモを貼った。
2021/06/11(Fri) 01時頃
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— 現在:渡り廊下 —
[わたしが口にして、向井くんが立ち止まって。 だからわたしたちは廊下の端にも辿り着けない。
九重さんの死体を見た時から わたしはもう以前のわたしのままじゃいられなくなった。
今までならへらへら笑って誤魔化し続けて、 向井くんのうやむや>>351もいつか消えるものとして 廊下に置いてきぼりにしただろう。
今回だって、そのつもりだった。]
(380) 2021/06/11(Fri) 09時半頃
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[息ができないから、死んでいるんだと思ってた。 でも結局、わたしを殺せるのはわたしだけだ。]
(381) 2021/06/11(Fri) 09時半頃
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