28 僕等(ぼくら)の
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「ん…っ。」
小さく声が漏れる。初めてのキス。 キスがこんなに幸せな気持ちになるものだって知らなかった。唇を触れ合わせているだけなのに心臓がこれでもかと高鳴って、命くんに聞こえてしまいそう。 頭の芯がジンと熱く痺れて蕩けそうになってくる。 どれくらいそうしていたんだろう。 唇が離れた時は少し名残惜しい気がしたけれど、唇にそっと指を添わせて俯いた。 本当に、キスしちゃった。大好きな人と。 その感覚の余韻につい浸ってしまう。 きっと私は耳の先まで真っ赤になっていた。 キスは甘いと言うけれど、味じゃなくて感覚で甘いと思ってしまうのがよくわかる。 大好きな人とのキスはものすごく甘いものなのだ。
(+65) 2023/08/19(Sat) 18時半頃
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「え、あっ…、ん…。」
"もっと好きに"の声に驚いて顔を上げる。 でも重ねられた唇を拒むなんてするはずが無い。 甘く受け入れて、私からも唇を押し付ける。 離れてはまたどちらからとも無く唇を寄せて、繰り返されるキスに甘く吐息をこぼしながら──とさ、と気付くと背がソファに付いていた。 唇が離れてそのまま命くんを見上げる私の眼差しは甘く蕩けて、潤んで。恥ずかしいけれど、私だって今のキスで昂ってしまった事がわかってしまうかもしれなかった。 でも背に回された手が抜けて、繋いでいた手が両手に繋ぎ直される。 もう決して離さないんだと言うような、互い違いに指先を絡めた繋ぎ方で。 そうして真っ赤な顔で目を閉じたり開いてりしている命くんを、呼吸を整えながらまっすぐに見上げていたけど。
(+66) 2023/08/19(Sat) 18時半頃
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>>+61それを言うなら、私だって救われていた。 たくさん食べてくれるのは嬉しかったし、あの寂しい誕生日を塗り替えてくれたのは命くんだ。 私の心をすくいあげて助けてくれたんだ。 でもきっともうその前から好きだった。 好きだから会う機会を増やしていって、命くんの傍にいたかったんだと思う。 私にヘラの名前は勿体無い。 だけど命くんがそう言ってくれるなら──。
「私も──ずっと、命くんと一緒にいたい、です。 結婚も、嬉しい。 ずっと…大好き、命くん、大好き。」
来年になったら。 せめて先に籍だけ入れるのも良いかもしれない。二人が18になったら、誰の許可も必要なくできるんだもの。 でも今はそんな法律の話だとか制度の話なんて出したりしない。 ただ、それが嬉しいと素直な気持ちを伝えて微笑んだ。 じわっと涙が滲んでくるのは嬉しいから。 繋いだ手に力を込めて命くんを見つめ続ける。
(+67) 2023/08/19(Sat) 18時半頃
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この、今の不安な情勢がいつまで続くかわからない。 だけどこの言葉があればなんだって頑張っていける。 そう、思えた。**
(+68) 2023/08/19(Sat) 18時半頃
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─お父さんの態度─
瑠璃川先生は瑠璃川先生で結婚予定の彼女がいて娘と別居予定だったんだからその態度本当やめてほしい。 そんな事を笑顔で瑠璃川先生に言ったらオロオロ後にガックリだった。 不思議ですね先生? >>+62命くんは正式に時間を取って結婚の挨拶をしてくれたんですよ。 勿論、このお忙しい中で瑠璃川先生もお時間を取っていただいたのは…、何よ、他人行儀嫌だって?知らないよ! まあ忙しい中だったしこんなご時世だから正式な場で、と言うのは難しかったけどね。 お父さんの仕事の合間に時間を取ってもらってのことだった。 それは感謝してる。 だけど、支援活動もしてくれてる、正式に娘と付き合ってると表明してくれてる相手に失礼じゃ無いかと。 それは分かってるそうだけど、娘の親というのは複雑らしい。 ただ、私と命くんが同い年という説明をしたからかお父さんは勘違いしている。 もう二人とも18だと。 だから結婚しようと思ったらできちゃう──のが問題なのかもしれない。 でも、二人で暮らしてるのは(この情勢が落ち着くまでと言いながらも)許可してくれてるのでそこはありがたい。 その点は命くんの家が今はもう潰れてるせいもあるんだけどね。
(+69) 2023/08/19(Sat) 19時頃
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一応前向きに受け止めてくれてるらしい。 私たちが学生のうちは支援もしてくれるらしいけど、情勢が落ち着いたら住む場所は変える方向で説得された。 一緒に暮らして良いの?は黙殺されたから良いと言うことにしておこう。沈黙は罪です。 ただ一つ。 気持ちが真剣なのなら、いつか式を挙げて見せてほしいとお願いされた。 お母さんの式の時のヴェールが残っていて、それを譲りたいからと。 それは勿論、否定するつもりは無かったからその後に命くんにも伝えたよ。 一緒に住むことも否定はされてない、とも伝えたけど。
何はともあれ、早く平和な世界に戻ってほしいよね。 それ以降お父さんの態度は多分軟化した…はず。**
(+70) 2023/08/19(Sat) 19時頃
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─支援活動─
病院での支援活動。私は子供たちの相手、ご老人を始めとした患者の話し相手、日本語より英語のコミュニケーションを求める人の対応が主になった。 子供達の相手は楽しいんだけどね。 ずーっとおしゃべりしてる(と言うより聞いてる)のは、地味にしんどい事なんだと実感した。 傾聴ボランティアって聞いたことあったけど、やってる事はそれに近いかな。そして、それがそもそも存在する意味もよーくよーく分かった。 だって、こんな情勢なんだもん。みんなが不安で、誰かに話を聞いてもらいたがってる。 ただ、病院に来た人みんながそれを医者相手にやっちゃうと本当に医療が必要な人に医療の手が届かなくなるから、こう言う支援も必要なのだ。 その中で私の弱点は、瑠璃川っていう珍しい苗字。 『んま〜瑠璃川先生の娘サン!』程度で終われば良いけど、息子の嫁に〜とかは本当に断り方が難しいし、人によっては何度も同じ話をループさせてくる。 そういう意味では英語対応の方が気楽。どの支援を求めれば良いのか、どの科に行けば良いのか、そんな母国語ならスムーズに手に入れられる情報を説明することが殆どだからね。
(+71) 2023/08/19(Sat) 19時頃
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公共機関の乱れは大変だけど、私は命くんの自転車の後ろに乗せてもらってる。 『重くない?』とは思ったけど電動だから大丈夫らしい。確かにこんな時には自転車重宝するよね。 免許の話が出たら「原付…くらいだよね、まだ。」と現実的な話。 免許取っても良いけど…筆記は…なあ…と試験勉強から目を背けようとする私もセット。 原付の免許取得に筆記が必要かどうか知らないけど、どうなんだろう? 二人乗りのことも合わせて調べてみても良いかもね。**
(+72) 2023/08/19(Sat) 19時頃
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─命くん─
「うん…私も、今まで生きてきた中で 今が一番嬉しいよ、命くん。 ずっと、ずっと大好き…。」
>>+74気持ちを重ね合わせながら、一緒にという言葉に頷く。 ずっと一緒に。ずっと、いつまでも。 今まで生きてきた中で今日が一番嬉しい日だけど、一緒に過ごしていく中で一番嬉しい日がもっともっと増えていけばいい。 大好き。その言葉が胸に沁みて言葉が詰まってしまいそうになるけど、それでも同じかそれ以上の気持ちを伝えたくて言葉を重ねていく。 浮かべた微笑みは可愛らしいけどほんの少しぎこちなくて、いつかもっと微笑む日が増えてくれたらと願う。 そして、微笑みを増やすのが私であればと願いは更に増えていってしまうけれど、それだけ彼と一緒に生きていきたいと願ったから。
(+83) 2023/08/19(Sat) 21時頃
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「ん、ふぁ…っ?」
両手を繋ぎ合わせながら、言葉以上に唇を重ね合わせていく。 >>+75その中で耳たぶに甘い囁きと共にキスされるとひくんと肩が跳ねた。 唇が塞がれてない分、擽ったさから変に高い声が漏れる。 首筋にも口付けられて、いい香りなんて言われるとなんだか妙に恥ずかしくて首元まで赤くなってしまったけど、キスが優しくて振り払う事はない。
(+84) 2023/08/19(Sat) 21時頃
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「ぁ… 命くん…?」
手のつながりが解けて抱きしめられると、ほんの少し身じろぎした。 背筋を撫でられ、肩に触れられて。私の形を確かめるような手つきと自分とは違うその手の硬さにまた緊張してしまう。 正直、家に来てって言った時にはここまで考えていなかった。 無事を喜んで、一緒にいたいと願って、これからも一緒だねって。 何よりも命くんが無事である事に感謝していた。 でも、じゃあ何も期待してなかったかと言えば嘘になる。 まさかファーストキスに止まらず、プロポーズに至るとは思ってなかったけれどそれだっていつかはと夢見た事。
じっと命くんを見上げる。 ほんの少し眉を下げた、困ったような顔で。 けれど期待に満ちた潤む瞳で。
(+85) 2023/08/19(Sat) 21時頃
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「…あの。 電気…消さない?」
だから、緊張にかすれる小さな声でそんな事を言うことになった。 この続きを、想像してしまえたから。 そして望んでもいたから。*
(+86) 2023/08/19(Sat) 21時頃
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─七尾ちゃん─
まあ、学校は今となってはバッキバキやで!状態らしいので、授業とか講義とかどうなるんだろうねえ…な私なんだけど。 登校日とかあるって事は、もしかしたら無事な箇所があったのかそれとも青空教室とか別の施設を借りてやってるのかも。 やっぱり情報網が大混乱だよね。そういう情報はこちらには回ってきてなかったみたいだし。
>>+78ともあれ七尾ちゃんからの連絡にホッとした。 その中で命くんの安否が書いてあったから、返事をしようとしてちょっと首を捻って悩む。 もう今となっては隠すようなことではないし。
(+87) 2023/08/19(Sat) 21時頃
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『大和くんとは今、一緒に住んでるよ。 とにかく七尾ちゃんが無事でよかった。』 『(嬉しい、とニコニコするケサランパサラン)』 『窓ガラス大変だったね。今はもう塞いでる? 段ボールとかで一時凌ぎできるって聞いたけど 虫除けにはミントが良いって聞くよ!』 『(大丈夫?と心配するケサランパサラン)』
どうしてもこの季節、蚊をはじめとした虫の被害が気になるところ。 虫除けとか蚊取り線香とか、そもそも早く窓が塞がると良いなと願ってはいる。 けど流石にそれはなんとも…! 『何かあったら遠慮なく相談してね』 とは伝えておこう!*
(+88) 2023/08/19(Sat) 21時頃
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─支援活動とか─
>>+81その効果は絶大でした(棒読み)。
辺りに「んまぁああっ!」とか「きゃっ♡」とか「あらあら!」なんて声が飛び交う中、された私は真っ赤になって機能停止。 両手で顔を覆って恥ずかしがってたりしたけど命くんはその後大丈夫だったかな? なお私はおばさまがたの良いおもちゃ…ううん、「若い人は良いわね〜!!!」を全身に浴びることになりました。 まあ、恋人いたのね!とか、お父様はご存知かしら!からの、うちの嫁に〜が無くなったのは良かったんだけどね! そっちはそっちで揶揄われてないか心配です。 命くんも相当恥ずかしがってたみたいだし…。 後にちびっ子たちが同じセリフを言いながらぎゅーしてたのでさらに心配です。 う、嬉しかったけどぉ…! あとちょっとお父さんにも飛び火したみたいだった。まあ仕方ないよね!
(+89) 2023/08/19(Sat) 21時半頃
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家ではソファの前に情報誌が増えている。 更に専門学校の本とか資格の本がひっそりと増えてたりする。 こんな日々だからこそ、未来のことを考えるのは楽しいし生きる糧になるよね。 私も前向きに専門学校の事は考えるようになった。 でも、調理系じゃない。そしていま二択でちょっと迷ってるところだったりする。 理容師と美容師。気持ちは、理容師に若干傾いてるけど。 ただどちらも突発的に思った事だから、まだ自分の気持ちは固まってない。 そんな事は、多分話してなくても命くんには伝わってると思う。 >>+82なぜなら触れ合いながら座ってることが多いから。 聞かれたら答えるし、そうでなくてもくっついてる。 私のお気に入りは膝の間に座ること。 そんな姿勢で本や新聞を読んでるから、色々伝わることもあると思う。テレビを見てる時もそうだなあ。 ただこの姿勢の困る事は、直ぐにキスしたくなる事だよね。 真面目に勉強する時は(限りなく少ない時間なんだけど)ちゃんと対面か距離を置いて座って机に向かうのが一番見たい。*
(+90) 2023/08/19(Sat) 21時半頃
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─命くん─
>>+91目元に光るものがあったから、その溢れる先に唇を寄せた。 ほんのり海の味がして、ああ、生きてるんだなってなんだか嬉しくなる。 でもそう。最初は無事を喜び合うだけで十分だと思っていた。 でも、好きな人とこうして隣り合って、触れ合って、想いを伝えるだけじゃ飽き足らない。 そんな私の欲深さを思い知る事になる。 それに──。
「…そ、ゆ、こと、言われると…恥ずかしい…。」
ゆるく拳を握って口元を隠してしまう。 そんな甘い声、出してた? だけどいま、もっと命くんに触れてもらいたい。 お互い生きてる事を確認し合いたいし、もっと甘えたい。甘えて欲しい。もっと沢山キスがしたくて──命くんのしたい事全部受け止めたい。 ロマンチックさとはかけ離れてるかもしれないけど、思えばあの危機から逃れた事自体がロマンなのだと思う。 危機から脱した果てに再会した二人なのだから、もうそれ自体がロマンの果て…なのかも。
(+103) 2023/08/19(Sat) 22時半頃
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>>+92此方のことを気にしてくれる優しさに小さく頷きながら、甘い囀りを溢していく。 恥ずかしいけれど嬉しくて、自分の体が全く知らない反応をする事に、自分の口から聞いたこともないような甘えた声が漏れる事にも驚いて。 とても甘くて、幸せな痛みがある事も知った。 ──医者の娘として一つだけ懺悔するとするなら、流石にこの事態を想定してなかったから、命くんが持ってなかったらそのまま…したかもしれない事だけど。
翌朝、再び顔を見合わせた時。 色々思い出して真っ赤になってしまう私は、きっとこの災難の中でいちばんの幸せ者なのだと思えた。*
(+104) 2023/08/19(Sat) 22時半頃
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─支援活動とか─
お父さんはほっとけば良いと思うよ! 命くんに仕事任せすぎ!…とは思うけど、それだけ認めてくれてるって事なら…でもねえ? ちなみにお父さんの彼女さんは看護師の方だった。成り行きで知る事になったけど、だいぶ若い人だったからまあ17の娘がいたら嫌だよねえ…と何だか納得しちゃった。 もちろん、それでも良い!って燃え上がる人もいるだろうけどさ。 今となってはそれで良いかもって思ちゃう不思議。 自分が幸せで満たされてると他のことを考える余裕も出てくるんだなって思てしまった。
でも不安な日々は続いてもいる。 いつになったら、ロボットの襲来は終わりを迎えるのだろう。 若しかしたらまた街が潰されるかも。 今度は自分たちの家が。病院が。ううん、もっと被害は拡大して世界滅亡…? そんなことを考えちゃう時は、命くんにぴったりくっついてる。 特にそんな事を考えちゃうのは夜が多いよね。 暗い時間帯、いつ何かが消えてもおかしくない。 そんな不安に駆られて命くんの寝ているところに潜り込んでは安心してる。逆のことがあってももちろんおいでってするけど、命くんは大丈夫なのかな?
…命くん依存症かも。なーんてね?
(+105) 2023/08/19(Sat) 23時頃
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「災害支援で活動してる理容師さんたち見たの。 髪の毛整えたり、髭を剃ってあげたりして 身だしなみを整えてあげてたんだ。」
ある日、私はそんなふうにどうしてそれを目指そうと思ったのか告白し始めた。
「確かに利用者さん、さっぱり気持ちよさそうでね。 災害時だけじゃなくて要介護の人に 訪問理容室したりもしてるらしくて。 こういう仕事カッコいいな〜と思ったけど 圧倒的に男性の利用者が多い分野だし 普段の仕事なら美容師さんの方が良いけど そうなると、剃刀を扱えないから…。」
髭を整えてもらってさっぱりした利用者さんの姿は印象的だった。 でも、小さい子の髪の毛を器用に編み込んであげてる美容師さんも素敵だった。 >>+101ダブルライセンスコースもあるとは聞いたけど私の頭の方が心配になる。
(+106) 2023/08/19(Sat) 23時頃
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むーん…と、襲撃の起きてない平和な日に悩むけど。
「…理容師さんなら、命くんの髭だって 整えてあげられるんだよなー、なんて。 頑張ってダブルライセンスコース狙おうかなあ…?」
どちらもできるならそれも良いと思うし、あとは私の頑張り次第だろう。 本来なら災害時のことを念頭に仕事を考えたりしないから、普段の仕事も考えないといけないよね。 でもそういえば、命くんは建築系の進路に進むのかな? もし難しいから悩んでると聞いたなら、頭とか勉強とかじゃ私は役立たずだけど。
「資格合格したら、私がなんでも いうこと聞いてあげるとか? なーんて!」
なんて、そんなことを言って笑ったりもした。 割と本気だけどね!
(+107) 2023/08/19(Sat) 23時頃
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それにしても、離れていれば触れたくなるし、触れたらより触れたくなって繋がりたくなる時もしばしば。 ちょっと私は七夕物語を思い出していたりする。 …一年引き剥がされたくないけど、それだけくっついていたい恋人同士の気持ちもわかる。 だからこそ、ちゃんとやるべき事をやってからを心掛けよう。*
(+108) 2023/08/19(Sat) 23時頃
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─平和な日々─
>>+111そう言えば命くんとは沢山キスしてる。 毎日のおはようとおやすみ、その間にも何回も。 最初の頃こそ照れ臭かったけれど挨拶のキスは二人だけの時には普通になっていたし、それ以外でもしたい時にはそれとなく近付いて…ほっぺたや唇にチュッ、て。 それだけでも凄く幸せな気分になるから、こう言うのはこれからも続けていきたいなあ。 きっとお父さんと彼女さんもそうなんだろうと思う。 こういうの、年頃の娘には見せたくないだろうし私もお父さんに見られたくないもん。 そういう意味でも理解ができて寛大な心になる。 もしかしたら再婚のこと、今まで我慢させてきたのかもしれないしね。
それとは別の話で、進路のことも考え始めた。 やっぱり両方できるように頑張りたい。 美容師なら着付けとかも習うだろうから、成人式には着物…なんてね? って、そう言えば成人式って何歳で出席なんだろう。前の成人は二十歳だったけど。十八ならまだ専門生じゃないよね、と気付いてみたり。
(+123) 2023/08/20(Sun) 08時頃
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「顔の産毛剃りもやるみたいだから、 その時に眉毛を整えたりするみたい。 ふふ、確かに命くんはお髭濃くないよね。 眉毛がキリッとしててかっこいいの。」
手を伸ばして、ぺたぺた顎周りを触ってみる。 一応生えてるんだろうけど、今はわかんないなあ。 応援するって言ってくれたから、ありがと、ってまた頬にキスして。
(+124) 2023/08/20(Sun) 08時頃
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「うん、…えー、私は良いんだけど。 でも、うん。約束ね? その時はなんでも、お互いにね!」
>>+114ちょっと勢いに驚いたけど、私のいうことも聞いてくれるっていうなら頑張っちゃおう! えへへ、と照れ笑いしながら指切りして、苦手な勉強も頑張ろうと決意し始めていた。 本当、命くんは私が元気に鳴るやり方が上手。 多分命くんのお願いなら私なんでも聞いちゃう気がするんだけどね。 ああでも、子供は…うん。 ちゃんと結婚してからが良いと思うんだ。 だからそれは、うっかりお父さんがやってきた時にバレないようにしてソファの横と、私の枕元にあったり…する。 こ、こっちは念のため!念の為! つい予備とか買う癖があるからだし、それにはお父さん関係の所から融通とか一切してないからちゃんと買ってるし!
──子供はいつか授かったら嬉しいけど。 ちゃんと育てられる時になってから、欲しいもんね?**
(+125) 2023/08/20(Sun) 08時頃
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─四度目の襲来─
「Everyone has to go to the emergency shelter. Please follow him! It’s this way.」
>>+115>>+116四度目の襲来時、まだロボットは動き始めていないようだったけれど私たちは避難を開始していた。 命くんが子供たちを誘導してくれる。 私は日本語が母国語じゃない人たちのために英語で声をかけ始めた。 子供達の中にも日本語では分からない子たちもいるからね。 でも命くんが近くにいてくれる時でよかった。 >>+117それに重篤な子たちは移送が済んで他のも大きい。私たちの避難誘導でなんとかなるレベルの子達だからだ。 でも、それでも入院が必要な子たちでもある。 必要以上に不安にさせないよう、此方は必要以上に不安な顔を見せないようにしないと。 そんな緊張感があった中、命くんが抱きしめてくれたから私も一度ぎゅっと抱きついた。 普段なら恥ずかしくなったり周りから冷やかされたりの行動だけど、こんな時はみんなもそう冷やかすこともないし、わたしもむしろ落ち着ける。
(+126) 2023/08/20(Sun) 08時頃
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「うん、大丈夫。一緒に避難しよう! 七尾ちゃんもだし、他のみんなもだけど…。 とにかく今できることしないと!」
命くんがヘルメットを被せてくれた。七尾ちゃんと選んだ白猫のヘルメット。 七尾ちゃんも活用してくれてるかな。 でもちょっと動揺を抑えられたわたしはニコッと笑って命くんと子供達を誘導し始める。 わたしの方は簡単な英語メインでね。 そのうち子供達だけじゃなくて英語を聞きたい人たちも集まってくるだろうけど、ここの集まりは子供メインで移動している。 なのでこの一角はかなりヘルメットが可愛いんだけど、それは周りにも良い効果だったみたい。 小さい子たちが避難しているのは胸を痛める現場でもあるけど、可愛いは正義。可愛いは癒しなんだから!
それにしても、無事に避難誘導を終えた後に見たロボットは──。
(+127) 2023/08/20(Sun) 08時頃
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「ああいう土偶居た気がする…?」
いやそれとは違う気がするけど。 あれはどんな動きをしてくるんだろう。 今度は、どんな被害が出てしまうのか。**
(+128) 2023/08/20(Sun) 08時頃
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─ロボットの呼ばれ方─
そう言えば、あのロボット。特に毎回出現するあのロボットはなんで呼ばれていただろう。 小児科界隈の子供達の中では、アレは「コーラ」と呼ばれている。 ロボットが暴れているのを直接かテレビかで見て、小さな子が「コラーッ!」とそれに向けて怒ったのが、何となくアレに向けてみんなが怒るようになり、けれどコラーだと叱る時や注意する時と被るから、コーラと形を変えたらしい。 PやCから始まる飲料関係の皆様はすいません。 でもほら、世間一般的には違うかもしれないし。
でも、わたしの中ではアレはコーラで定着しつつある。 本当にコラッ!だもの。いや、それじゃ気が済まない。
何であんなのがこの街に現れるようになったのかな? 何で、私達の街が犠牲になっているんだろう。**
(+129) 2023/08/20(Sun) 10時頃
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─四度目の襲来─
「ビーム…。」
>>+134確かに、あれは今までの取っ組み合い?の格闘戦のようなものではない気がする。 確かコーラ(子供達命名)もビームは使っていたけれど…アレはより遠距離型のような気がする。 でも、遠距離?だとしたら攻撃対象はコーラじゃないの? 接近戦に向いてるようには見えないけれど…という事は、より被害が拡大するのでは? 前回の戦いを思い出す。 ここにまで被害が及ぶ可能性もあるんだろうか。 でも、できれば避難は考えたくない。 だってここにはまだ、たくさんの患者さんがいる。 お父さんが、いる。 そこから離れるのはあまりにも…。
(+137) 2023/08/20(Sun) 10時半頃
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