10 冷たい校舎村9
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[ ふいに、「ズルい」と言われて、>>+34 慎一は少し驚いて自分の手元を見た。
ファスナーの表面は、 凹凸がざらざらとして触り心地がいい。
あまり意識もしていなかった行為を指摘され、 ボタンを摘まむ番代を見て慎一は笑った。]
ヤだよ。あげない。
[ ……ダサいウィンドブレーカーだしね。 今度は意識的に。自分を落ち着かせるために。 その感触を繰り返し指先でたどりながら。]
(+41) 2021/06/12(Sat) 22時頃
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[ しゃべってて気づいたんだけど、 自転車を飛ばしてきたせいか喉が渇いた。 あとで外の自販機を見てこようかなんて考えて。*]
(+42) 2021/06/12(Sat) 22時頃
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── 現在・病院 ──
[ バラエティ番組の反省部屋と比べれば、>>+44 このはずいぶんと静かだった。病院だもの。
それ以上聞いてこなかった番代に、 慎一がマネキンの話をすることはないし、
──あ、でも。 あまり口を挟まず話を聞いてた九重に、 「あのお札、なに……?」って、 怖々聞いてみたりして。
……専門的で難解な呪文みたいな、 オカルトトークが返ってくるんだとしても、 聞かなきゃよかったとは思わないよ。]
(+59) 2021/06/13(Sun) 01時頃
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[ 意味のわかんない動作をする慎一と、 それに首を傾げる番代。>>+44 その視線を感じたなら少し笑って、]
……手の届く範囲って、 意外と限られてるんだなあ、って。
[ やっぱり意味がわかんないかもしれないけど、 一応、そんな説明だけは加えておこう。]
(+60) 2021/06/13(Sun) 01時頃
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……そーだよ。
ちょっとだけ落ち着くから、 パニクったときとか、オススメ。
[ とりあえず気分を落ち着かせたいとき。 あるいは今みたいに、 無意識にしたって気分の落ち着かないとき。
慎一はそういうの、ちょっと詳しいんだ。 日常にそういうタイミングがちょっと多いからね。
だから、知ったような口をきく。 何も自慢できることではないけれど、 ふふん、という感じに笑っていた。]
(+61) 2021/06/13(Sun) 01時頃
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[ それから間もなくのこと、 綿見もその場所にやってきたかな。>>+58]
……おかえり。 綿見も反省部屋の仲間入りかあ。
[ 今度は「おかえり」を慎一が言おう。 さっきまでの冗談を引用しつつ、 なんか、女子ばっかだな……って思ってた。**]
(+62) 2021/06/13(Sun) 01時頃
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── 現在・病院 ──
んー……、 あの場所。ヒントだったのかな。 だとして、なにも気づかなかったね。 ──って話。
気づかなかったのか、 気づかないフリをしたのか、 ……そのへんの差はあるかもだけど。
[ だから、落第生の反省部屋。>>+67 小さく立てられた笑い声に、 慎一も少し笑ってそう答えよう。]
(+69) 2021/06/13(Sun) 21時半頃
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[ いつの間に。という問いには、 そういえば。と思い出すことがある。]
……いわれてみれば。 俺、綿見の人形は見てない。
9時前に集合しようって言われて、 その直前まではいたんだけどなあ。 ……少し前≠ニかいい加減な決め方するから。
[ まるで自分が今ここにいるのは、 あの大雑把な集合時刻のせいみたいに言う。 そんなことないのもわかってるんだけどね。]
(+70) 2021/06/13(Sun) 21時半頃
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……だから、 チャイムが鳴るとだれかが帰る、なら。 2日目の夜かな。午後8時50分。
[ 同時だったのか。という問いに対して、>>+67 正確な時刻を告げる必要があるかはさておき、 それが慎一の性分なので勘弁してほしい。
それから、慎一は少し考えて、 少し慎重な声色で綿見に尋ねてみよう。]
(+71) 2021/06/13(Sun) 21時半頃
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最後さ……その、 綿見もやっぱり、死んだの?
[ 番代はあまりその話、したくなさそうだしね。 綿見もそうだというなら無理強いはしない。
ただ、ほら。あれって結局何だったのかな。 いなくなった人、それぞれの形をしたマネキン。
喉元のかきむしったような痕。 襟首の詰まったセーターに少し隠されたそれを、 肌に残ったざらざらとした質感を、 手持無沙汰に撫でながら、綿見を見下ろして。*]
(+72) 2021/06/13(Sun) 21時半頃
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── 現在・病院 ──
図太い人ぉ? なんつーか、そっか。 見え方ってちげーもんだね。
[ 少なくとも番代と話していて、 そんな話にはならなかった……と思う。
椅子に腰かけた番代をちらりと見て、>>+74 なんていうか、同じ落第生でも、 出した回答は三者三様……なのかもしれない。]
(+79) 2021/06/13(Sun) 23時頃
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それも勝手な憶測だけどさ。 少なくとも、呼んでくれたんだし。 そういう話をしてたとこ。
[ 今度は誰が当てるかの予想大会は始まらず。 慎一は相変わらずなんとなく立ったまま、 座っている女子たちを見下ろしている。]
(+80) 2021/06/13(Sun) 23時頃
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……無視したかあ。 ユーガ今ごろ泣いてるかもよ。
……つってもさ、 集まったって無意味だったのかもね。 どうしたって帰らされてた気もする、し。
[ 炭蔵が泣いているとは1ミリも思わないが、 彼を不憫に思ったのははじめてかもしれない。
無視した結果の今ではないかもしれないが、 できれば次からは謹んで辞退とかにしようよ。]
(+81) 2021/06/13(Sun) 23時頃
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[ 「死んだの?」慎一の問いも直球だけど、 綿見の返答も大概ストレートな豪速球だ。>>+77 「死んだ」「殺した」物騒な単語の羅列に、 つい疑問を挟んでしまったりもするんだけど。]
殺した……? なにを?
[ だってさ、帰ってきたのは綿見ひとりでしょう。 あの時間に帰ってきたのは、慎一を入れてふたり。
何に会うこともなく、ひとりで沈んだ慎一には、 もうひとり帰ってないと計算がズレない? って、 純粋に疑問に思えて仕方ないだけだから、 語りたくないならコレも無視を決め込んでくれていい。]
(+82) 2021/06/13(Sun) 23時頃
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[ とにかく、会話にはままあることだろうが、 同じ問いが慎一にも跳ね返ってくる。>>+78]
……苦しかったなあ。 やっぱり夢じゃないなって、 あんとき改めて思ったかもしんない。 苦しかったし…………、
[ クレープの味ほど軽やかに語れないかな。 指先で傷跡をたどりながら、 慎一はあの瞬間のことを思い返している。]
(+83) 2021/06/13(Sun) 23時頃
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むなしいね。って、 だいぶ前、俺に言ったでしょ。
むなしかったよ。 あの場所で死んでいくのも。 今も少し、むなしい。自分がね。
[ 確かにぐちゃぐちゃにもなったけどね。 今の慎一は割と淡々とそう言って、 泣き出したりはしないので安心してほしい。
別にこれは今となっては、 何がなんでも隠したいモノでもなくて、 番代がいるのもわかって、そのうえで、 慎一はそんな漠然とした答えを返してる。]
(+84) 2021/06/13(Sun) 23時頃
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綿見は──、あ、いや。 無理に聞こうってわけじゃなくて。
[ 根に持つタイプでごめんね。 慎一はあの日のこと、忘れちゃいない。
結局あの言葉の真意やなにやら、 わかんないまま豹変されるのを警戒して、 気づけば普通の級友の距離で会話してる。 そんな数か月だったなあって思っただけ。
それと、なんだろう。 もうごまかす理由もない気がした。 声に出してしまえばそれが本当になるようで、 あのときは頑なに認めることもできなかったけど。]
(+85) 2021/06/13(Sun) 23時頃
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[ つい聞き返してしまったけれど、 これも、お得意の無視としてくれてもいいよ。 ……や、これは別に嫌味とかじゃあなくって。
ゆるりと会話の向く先を変えようと、 慎一はそのとき思い出したように言う。 ……実際、そのとき思い出したんだけどね。]
……そういえば、 クレープもパンケーキもうまかった。 夕飯に困んなくて助かってたんだよね。 あれ、綿見でしょ。ありがと。
[ 番代はパンケーキのこと知らないだろう? 羨ましがってくれてもいい。あれはうまかった。]
(+86) 2021/06/13(Sun) 23時頃
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俺、飲み物買いに行くけど──、 ほら、外出たとこの自販機。
なんか買ってこようか。 お礼。番代もついでに。
[ あくまで綿見にはお礼として、 番代はついでだよって言っちゃうから、 慎一には浮いた話がないんだろうな。 ……それ以外の原因からは目を逸らしつつ。
でもまあ、対価を払う気はあるよってこと。 どこまでいっても無償のナントカには縁遠く。
ラインナップまでは覚えてない慎一は、 ほらあっち、って入口のほうを指さした。*]
(+87) 2021/06/13(Sun) 23時頃
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