15 青き星のスペランツァ
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[立ち上がったあなたに合わせて、マユラと名乗った青年もまた立ち上がる。]
そんな犬みたいな顔するなよ。 やりにくくなるだろ。やめないけど。 ……そんじゃ、歯ぁ食いしばれ、よッ!
[左手で拳を握り、頬を狙って思い切り振り抜く。手加減をしたつもりはないけれど、人を殴った経験自体がほぼ無い。利き手でもないし、片腕が固定された状態では動きも制限される。加えて体重が無いから、その一撃はケトゥートゥの全力パンチと大差無い威力しか出なかっただろう。*]
(184) 2021/11/14(Sun) 23時頃
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─ 三日目・夜/談話室 ─
[二度と使う気は無かったし、名乗る気も無かった。それなのに名乗ってしまったのは、死ぬ気しかないコイツが悪い。でなきゃ酒のせいだ。もしかしたら自分のせいも少しあるかもしれないけど、今日は色々あり過ぎて参ってるんだよ本当に。]
……いいけど、一文の得にもなりゃしないよ。 持って来たいって言うなら、止めないけど。
[笑うライジに対して、自分は憮然とした表情になってたんじゃないかと思う。“キランディ”なら、まずしない顔だ。互いに、らしくないなと思う。] [顔に来るとは思ってなかった癖に、随分と余裕のある態度だし、此方の拳の心配までしてくる始末だ。それにまた、腹が立つ。]
平気に決まってる。 こんなので折ったりなんかしてみろよ、タプルを驚かせるじゃ済まないだろ。
[右腕を折ってる身で言う事じゃないが、どれだけ脆いと思われてるんだろうか。]
……もういいよ、バカライジ。 アンタなんか知らない。何処へでも、好きにいっちゃえ。
[杯を重ねて、最後の夜を過ごす。別れた後は、処置室へ戻り、そのまままんじりともせずベッドに座っていた。] [ライジを示す座標が、動き出すまで。*]
(193) 2021/11/15(Mon) 00時頃
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─ 四日目・朝/??? ─
[予想通り、オレンジ色は速度を上げて、蒼の中心へと飛び込んだ。大きく上がったであろう飛沫も、この高さからだと小さなものにしか見えず。輝く泡もやがて消えれば、水面は平穏を取り戻す。どれだけ目を凝らしても、目立つ補色である筈のオレンジは見えない。]
[発信機のデータは、敢えて見なかった。其方は、きっと誰かが見てるだろうから。自分は、自分だけは、最期の最後までこの光景を見ると決めていた。] [この様子だと、きっと『成功』したのだろう。してしまったのだろう。その身体が、バイタルがどうなったかまでは知らないい知りたくもないけれど。]
…………バーカ。
[それは、誰に向けた物だっただろうか。ライジだったかも知れないし、“マユラ”にだったかも知れないし、先に死んでしまったハロやギロチンやアシモフ、或いは今頃大騒ぎしているであろう他のクルー達へだったかも知れない。] [緩みかけた涙腺を、昨夜殴りつけた左拳で雑に拭って。気付かれない内にと、静かに地上へ戻る。]
[これから、何食わぬ顔をしてスペランツァへ戻らなければならない事を思うと、吐き気がした。 ……自業自得でしかないけれど。*]
(194) 2021/11/15(Mon) 00時頃
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